ウクライナ国家安全保障会議長官は、紛争についてガラリと論調を変えた(抄訳)
アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。超タカ派だったウクライナ国家安全保障会議のアレクセイ・ダニロフ長官が2023/12/12のインタビューでガラリと論調を変えたことは、反攻が失敗して援助が打ち切られる可能性を前に、キエフに緊張が漲っていることを物語っている。
Ukraine’s National Security Council Chief Just Changed His Tune About The Conflict
ダニロフの論調変化
ウクライナ国家安全保障会議のアレクセイ・ダニロフ長官は、ゼレンスキー政権の中で最もタカ派の一人として知られている。なので2023/12/12のBBCのインタビューで彼が紛争についての論調をガラリと変えたことにはニュース価値が有る。
ダニロフは5月の時点で、来るべき反攻が「歴史的な機会」を齎すだろうと予測していた訳だが、BBCはこの件について率直に彼に尋ねた。それに対して彼は恥ずかしそうに、「希望は有ったが、叶わなかった」と答えた。
だが彼は「それは勝利が我々の側に無いと云う意味ではありません」と言い張り、「我々が2年間国を守り続けて来たと云う事実は、既に大きな勝利です」と付け加えた。
彼は誇大宣伝した反攻がものの見事に失敗した事実を率直に認めることに苦労しており、何とか取り繕おうと言い訳を繰り返した。
「人は時々間違いを犯すものです。一生『A』を貰うことは出来ません。」
「彼は、最前線の現在の状況を『非常に困難』と表現し、NATOのものも含め、古い戦争の『教科書』は『アーカイヴに戻すべきだ』と述べた。」
ダニロフはまた、次の反攻が何時になるかについては明言を避け、戦いを止めないと約束するに止めた。
ウクライナ支援を巡って米議会が紛糾していることについて質問されると、彼は(ゼレンスキーのヒステリックで恩知らずな口調とは対照的な)穏やかで感謝の気持ちを込めた口調を取ろうとした。
「クリスマス前にプレゼントを受け取ることが出来たら、我々はそれで満足します。ですがもう少し先になると言うのであれば、それを悲劇にしてはなりません。」
が、援助が実際に停止される可能性について、内心では焦っている様子が窺える。「米国の援助が止まったらウクライナは戦争に負けるかと問われ、彼はその可能性を考えてみることを拒否した。」
「真実は我々の側に在ります。プーチンは人類の目の前で我々を滅ぼすのでしょうか? 彼は我々の子供、女性、年配の男性達を殺すのでしょうか? これを全世界は目を閉じて見守るのでしょうか? であれば問うべきは、我々がどの様な世界に生きているのかということになる筈です。」
つまりキエフ政権は2014年以来ロシア語話者に対するジェノサイドを継続して来たことについては金切り声で全否定するだけで、自分達への援助を止めれば世界は終わりだと脅すだけだ。
最後に彼はゼレンスキーとザルジニー総司令官との対立疑惑について問われてこう答えた。
「今日メディアで報道されている様なことが真実であるかどうかは確認していません。」
この回答には単にノーと云うよりも多くの努力を必要としたことだろう。彼の言葉はキエフで繰り広げられている政治的策謀について、更なる憶測を促すことになるだろう。
ダニロフが論調を変えた理由
以上のことから、ダニロフが紛争についてガラリと論調を変えたのは明らかだ。以前の様な虚勢は消え去り、代わりに比較的謙虚な男が登場し、奮闘に対する自分の評価に「現実主義」を加味している。
しかし同時に、彼は誇大宣伝した反攻の失敗と、それが米国のウクライナ支援に齎した影響に対処するのに苦労している。彼が今だに必勝のマントラを唱えているのはそれが理由だ。ゼレンスキーは現実離れした完全勝利に拘って救世主的な誇大妄想に陥っていたが、それでも最近は多少はシラフに戻りつつある。ダニロフは彼の上司より早く酔いが覚めたが、にも関わらず反攻がどれだけ悲惨な結果に終わったかを受け入れることは難しいと感じている。
更に彼は、率直過ぎると更なる圧力を掛けられると云う恐れから、自己検閲してトーンを抑えている可能性が高い。ダニロフは11/28に、SBU(ウクライナ保安庁)にロシアの工作員達が潜んでいると主張したが、その当日にこの発言を撤回している。恐らくSBUから圧力を受けてのことだろうが、彼は恐らくこの経験から学んでいる。ウクライナ当局に疑問を差し挟む様な発言はどんなものであれ好ましくないのだ。ウクライナに勝利の可能性が無いことは当局者であるダニロフも十分承知している筈だが、反攻が失敗したことを率直に認めてしまうと、「敗北主義」のレッテルを貼られて非難されるかも知れない。キエフは援助を打ち切られる可能性に怯えてそれだけヒステリーに陥っているのだ。
彼がゼレンスキーとザルジニーとの対立について言葉を濁したのも同じ理由だろう。だが行間を読めば、彼は恐らく同時に、対立を軽視しているのは強要されてそうしているだけなのであって、対立そのものは正に現実の問題であると解っている、と云うシグナルも送りたがっている様だ。
反攻が失敗したと認めたにも関わらず、ダニロフが必勝のスローガンを鸚鵡返しにしていると云う事実は、彼が他の人々に、全ては実際に、他の人々が思っている通りに悪いのだ、と云うシグナルを送っていることを示唆している。こう考えると、ゼレンスキーに対する彼の表向きの忠誠心は、実は心からのものではなく、実際には秘密警察からの圧力に怯えてのものであると推測することが出来る。
Ukraine’s National Security Council Chief Just Changed His Tune About The Conflict
ダニロフの論調変化
ウクライナ国家安全保障会議のアレクセイ・ダニロフ長官は、ゼレンスキー政権の中で最もタカ派の一人として知られている。なので2023/12/12のBBCのインタビューで彼が紛争についての論調をガラリと変えたことにはニュース価値が有る。
Ukraine counter-offensive hopes didn’t come true - security official https://t.co/HOHu6hTpfp
— BBC News (World) (@BBCWorld) December 11, 2023
ダニロフは5月の時点で、来るべき反攻が「歴史的な機会」を齎すだろうと予測していた訳だが、BBCはこの件について率直に彼に尋ねた。それに対して彼は恥ずかしそうに、「希望は有ったが、叶わなかった」と答えた。
だが彼は「それは勝利が我々の側に無いと云う意味ではありません」と言い張り、「我々が2年間国を守り続けて来たと云う事実は、既に大きな勝利です」と付け加えた。
彼は誇大宣伝した反攻がものの見事に失敗した事実を率直に認めることに苦労しており、何とか取り繕おうと言い訳を繰り返した。
「人は時々間違いを犯すものです。一生『A』を貰うことは出来ません。」
「彼は、最前線の現在の状況を『非常に困難』と表現し、NATOのものも含め、古い戦争の『教科書』は『アーカイヴに戻すべきだ』と述べた。」
ダニロフはまた、次の反攻が何時になるかについては明言を避け、戦いを止めないと約束するに止めた。
ウクライナ支援を巡って米議会が紛糾していることについて質問されると、彼は(ゼレンスキーのヒステリックで恩知らずな口調とは対照的な)穏やかで感謝の気持ちを込めた口調を取ろうとした。
「クリスマス前にプレゼントを受け取ることが出来たら、我々はそれで満足します。ですがもう少し先になると言うのであれば、それを悲劇にしてはなりません。」
が、援助が実際に停止される可能性について、内心では焦っている様子が窺える。「米国の援助が止まったらウクライナは戦争に負けるかと問われ、彼はその可能性を考えてみることを拒否した。」
「真実は我々の側に在ります。プーチンは人類の目の前で我々を滅ぼすのでしょうか? 彼は我々の子供、女性、年配の男性達を殺すのでしょうか? これを全世界は目を閉じて見守るのでしょうか? であれば問うべきは、我々がどの様な世界に生きているのかということになる筈です。」
つまりキエフ政権は2014年以来ロシア語話者に対するジェノサイドを継続して来たことについては金切り声で全否定するだけで、自分達への援助を止めれば世界は終わりだと脅すだけだ。
最後に彼はゼレンスキーとザルジニー総司令官との対立疑惑について問われてこう答えた。
「今日メディアで報道されている様なことが真実であるかどうかは確認していません。」
この回答には単にノーと云うよりも多くの努力を必要としたことだろう。彼の言葉はキエフで繰り広げられている政治的策謀について、更なる憶測を促すことになるだろう。
ダニロフが論調を変えた理由
以上のことから、ダニロフが紛争についてガラリと論調を変えたのは明らかだ。以前の様な虚勢は消え去り、代わりに比較的謙虚な男が登場し、奮闘に対する自分の評価に「現実主義」を加味している。
しかし同時に、彼は誇大宣伝した反攻の失敗と、それが米国のウクライナ支援に齎した影響に対処するのに苦労している。彼が今だに必勝のマントラを唱えているのはそれが理由だ。ゼレンスキーは現実離れした完全勝利に拘って救世主的な誇大妄想に陥っていたが、それでも最近は多少はシラフに戻りつつある。ダニロフは彼の上司より早く酔いが覚めたが、にも関わらず反攻がどれだけ悲惨な結果に終わったかを受け入れることは難しいと感じている。
更に彼は、率直過ぎると更なる圧力を掛けられると云う恐れから、自己検閲してトーンを抑えている可能性が高い。ダニロフは11/28に、SBU(ウクライナ保安庁)にロシアの工作員達が潜んでいると主張したが、その当日にこの発言を撤回している。恐らくSBUから圧力を受けてのことだろうが、彼は恐らくこの経験から学んでいる。ウクライナ当局に疑問を差し挟む様な発言はどんなものであれ好ましくないのだ。ウクライナに勝利の可能性が無いことは当局者であるダニロフも十分承知している筈だが、反攻が失敗したことを率直に認めてしまうと、「敗北主義」のレッテルを貼られて非難されるかも知れない。キエフは援助を打ち切られる可能性に怯えてそれだけヒステリーに陥っているのだ。
彼がゼレンスキーとザルジニーとの対立について言葉を濁したのも同じ理由だろう。だが行間を読めば、彼は恐らく同時に、対立を軽視しているのは強要されてそうしているだけなのであって、対立そのものは正に現実の問題であると解っている、と云うシグナルも送りたがっている様だ。
反攻が失敗したと認めたにも関わらず、ダニロフが必勝のスローガンを鸚鵡返しにしていると云う事実は、彼が他の人々に、全ては実際に、他の人々が思っている通りに悪いのだ、と云うシグナルを送っていることを示唆している。こう考えると、ゼレンスキーに対する彼の表向きの忠誠心は、実は心からのものではなく、実際には秘密警察からの圧力に怯えてのものであると推測することが出来る。
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