2023年04月 Der Klang vom Theater (ドイツ~劇場の音と音楽)
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我が家に月刊「レコード芸術」誌が見当たらない

私の様に地方に住んでいると「あるある」かも知れない
とにかく

「外盤レコードが欲しい!!」


そうなんです、地方のレコード店の在庫は国内盤一色(1980年代当時)

DGG、エレクトローラのドイツプレスは?
Decca、コロムビアの英国プレスは?
PHILIPSのオランダプレス盤はどんな音がするんだろう・・・

ネットもヤフオクも無かった当時、外盤の存在は渡欧そのものに匹敵する文化的隔たりであったわけです
薄給の身ですからオリジナルどうのこうのではありません
兎にも角にも、再発でも再々発でも外国プレスのレコードに憧れたのです


では、どうする?
もちろん上京して都内のレコード店を回る他ないのですが、「遠い」「旅費が高額」などなど問題山積です
解決策は一つしかありません

「若さ」です


同好の士を募り、例えば3名で車に同乗し、朝5時に家を出て下道を走って所沢駅前のジャスコの駐車場に入れます
帰りに夕食のパンと飲み物を買えば(当時は)駐車可能でした・・・ジャスコさんごめんなさい、御社の規約内の事でしたのでお許しください・・・

そこから、電車に乗って都内へ、車内もワクワクが止まらず寝るどころではありません



初めて、石丸電気本店のレコード売り場を見た時の感動、衝撃、畏怖の感情をどの様に表現したら良いでしょう
「息を飲む」とはこの事でした

神田の古書センター9F「富士レコード社」も行きました、2階ほど下に「新世界レコード」(だったかな?メロディア盤やシャンソンのレコードが豊富)があってビルの奥の階段で降りれるんですけれど、途中の階に「芳賀書店」があって

「私はそこに行くんじゃない」と言う顔を作るのに苦労しましたね


パンパンにレコードが詰まったデパートの紙袋を4袋も持てば、紐が食い込んで指が千切れるんじゃないかと思うほどの苦行でしたが、もちろん意気揚々と都下を闊歩したものです


交差点の先に「ルノアール」を発見して、何時間ぶりに休憩をとり戦利品の見せ合いをしてはドヤ顔をしたり悔しがったり
体育会の部活のノリですね

帰り際には池袋のサンシャイン60で仙台レコードのセールがあったりしてここでも沢山買いました

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石丸本店には Pathe リファレンスがほぼ全タイトルありました。さらに餌箱のレコードをレジに持っていくと
何とそれは見本で、販売分は裏のヤードにある何枚ものストックから持ってきてくれるんです
いくらバブル全盛期とは言え非常識な光景に映りました




一度の行脚でおそらく50枚以上買ったと思います
外盤は安かったので50枚でも3万円ほどでした

ところで、その50枚を選んだ根拠は何だったのでしょう?
もちろん数枚は「お目当て」の前々から欲しかった、狙っていた盤も買いましたが、9割近くは

知らない演奏家や曲、聞いたことのないレーベルを買っていた様に思います

当てずっぽう、とか不見転と言う事です


もし、現代において
レコードショップのオンラインショップやネットオークションで、一回の注文で50枚を不見転で買えるでしょうか?
私には無理ですね、どうしたって慎重になって、定番や高評価の物を選別してしまうでしょう


オーディオ機器は「ベストバイ」レコードは「特選盤」を並べてただけで「余はオーディオマニア也」と言う人も少なからず居るのもこの趣味の実状です



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中でも有名な物を集めました
マジ訳の分からないレコードも多数買いました、もちろん一回聞いたらそれで仕舞いです



もし、あの当時の無茶なレコード行脚が無ければ自分だってそうだったかも知れません
正直、ある程度収入が見込める様になるとオリジナル盤に入れ替わり、当時のレコードは減りました

しかし、レコード文化との向き合い方として、仲間内やメディアから入る知識を頼りにしなかった事は今になって自分の一番の財産だと思います

初見の音楽に向かい「自分がどう感じるのか」

実はこの点がオーディオをする上でも、計り知れない恩恵をもたらしてくれたと思っています



そんな訳で

月刊「レコード芸術誌」休刊のニュースを聞いて家の中を探してみましたが1冊も見当たりませんでした
確か「名録音特集」の回のを買った記憶はあるのですが・・

オーディオや音楽の雑誌がないことが自分のクラシック人生の重要なポイントだと言えようwww


追伸

実は買わなかった最大の理由は

「・・・であろう」
「・・・と言えよう」

この口調が大嫌いで毛嫌いしていたからです









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