2009年04月 Der Klang vom Theater (ドイツ~劇場の音と音楽)
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訪問記 2

今朝お尋ねしたのは、
自宅から車で3分の場所に有るコーヒーの香る店

「シルバービート」さんです。
長野市金箱438  古里小学校北(私の母校!)
026-295-9680  11:00~20:00 水曜休 
コーヒー 350円!軽食もOK  駐車場:結構広い

お店を始めて8年になるんだそうですが、15年ぶりに実家に戻った私には、新しい刺激です。
1番最初は知らずに入ったのです。
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トリオくらいならミニコンサートも出来そうなほどの店内。

スピーカーはALTEC 820 (低域803x2  高域802)の2Way
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先週に続いてマホガニーです。豪華ですねえ。

現在、お話を聞かせて頂いたマスターはお二人目とのこと、お兄さんが始められた店だそうです。
お兄さんは町の名士でしょうか、地域の仕事が忙しいのでしょうね。

このマスターが実に物腰の柔らかい方で、「ジャズ喫茶のおやじ」としては世界的にも希少なキャラクターではないでしょうか。

こちらがフロントエンド
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プレーヤーはガラード301が2台にオルトフォン。プリがWEのラインアンプにRIAAを入れたもの
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パワーはWE118です。
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これがまた、マスターの物腰通りの、どこにも引っかかりの無いスムースな音です。
今度LP持参で行きますから、是非また聴かせて下さいね。

でも、こちらにはJazzばかりでなくクラシックの初期盤も沢山あってそんな必要も無さそうです。
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店内の写真を撮らせていただくのに他のお客さんのお邪魔になってはいかんと思い、11:00時の開店と同時に押しかけたのですが、コーヒーを落としている間に常連さんと思しき方がご来店!
3人で話をしていると程なくもう1人・・・
「XX(私の名前)くんじゃないか!」って
「えっ?」

なんと8年ぶりに再会したオーディオ仲間のKさんです。
そこからは、ブログも忘れて思い出話に花が咲いたことは言うまでもありません。

人と人の出会いがある街の喫茶店でした。
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プリアンプ その6

このマイクアンプは少し時代が下って、1954年の発表となります。
全体の形状が小型化されているのは、ミキサーにプラグインして多チャンネルに備える必要が生じた為で、同一の取り付け寸法で、仕様の異なるアンプが相当数作られています。

Klangfilm Kl. V004 Magnetton-Abtastverstarker
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球の構成は先に紹介した、EF-40とEF-804sのハイブリットです。
仮説ですが、EF-804sは極めて低ノイズでマイクアンプには最適ですが、まだ供給数が少なかった頃かもしれません。(或いはコスト的に高すぎた?)

入出力には当然のこととしてトランスが使われています。
入力は~200Ωでこれ以前と変わりません。対して出力には3kΩ~の負荷を指定しており、これはDanner(フェーダー)の仕様に合わせたものでしょうが、伝統的な低インピーダンス送りから変更した点は興味深いものがあります。

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回路的には5結+3結の2段ともセルフバイアスを採用しており一般的な用法に添っています。

このアンプの特徴として、ストレートな使用でも14kHz付近に約5dBのピークを持っています。それなのに高音調整としてトータル16dBまでピークを上げることが出来ます。
何かの必要があって採用したのでしょうが、現場の人に確かめないと理由は分かりませんね。
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この辺りが業務用機器を家庭で使う難しさで、Klangfilmだから音がいい!はずだ。などという心がけで使ってしまっては、見事に高域にピークのある音をありがたく聴くことになり、とんでもない結末を迎えると言う良い事例です。

こちらは、専用の電源です。
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これにも電流供給能力によって幾つかバリエーションが存在します。
アンプのチャンネル数によって、写真のような21インチラックに必要数セットされて使われます。

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+Bはチョークも入らない簡単なπ型フィルターです。WE20型のような念のいった安定化電源ではありません。
しかし、ヒーターへの供給はしつこいくらいに検討されており、この辺りにも製造者によるプライオリティの違いが垣間見れて興味をそそられる処ではあります。

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お宅訪問記 1

新しいカテゴリーを増やしました。
やろう!ネタ切れだなって思われるでしょうが、はい、その通りです。
で、2週間ほど前にブログの先輩クニタンさん宅へお邪魔したのですが、お伺いすること自体始めてでしたし、遠慮がちなお返事でしたのでKYにならないよう、先週末お邪魔したH氏からスタートします。
Hさんとはもう25年来お付き合い頂いており、オーディオや音楽を語り合う良き同胞です。

ちょっと前に新築された純日本建築の立派なお宅で玄関から
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まだ、木の香りが残る階段を上がって(この御宅は殆ど木と紙と石で出来ています)隠れ家へ進みます。
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メインのスピーカーはWE753モニター、低域KS12004 高域 WE713A という2Wayで、ほぼ密閉に近いエンクロージャーに入っています。(らしい)
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マホガニーのフレンチポリッシュ仕上げで、細かい格子がこちらのお宅の意匠に見事にマッチしています。

こちらがフロントエンド
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TD-124+SME3009Protはモノラル盤用です。

今回は、我侭をお願いし(勝手に)私が普段聴いているレコードを一抱え持込み、腰を据えて聴かせてもらいました。
以前から、自分の中でぼんやりとしていたある「考え」に一回ケリを付けたかった為です。

レコードの幾つかはこちら
DSC01520.jpgいずれも我が家での定番中の定番です。

さて、クルト・ワイルの3PO(三文オペラ、写真左)を聴いてから、Hさんにオーディオに「求めているもの」を伺ってみました。
序曲に続き、Jazzの世界でも有名な曲(Mack the Knife)で直ぐにハッキリしました。
結果は思った通りでした。
利発で、明晰なHさんの求めている世界感は彼の人柄そのものです。

ナチの台頭するベルリンの異常な世相を反映したこの奇異な曲は、私の家で聴くといかにも前時代的な薄暗い(不健康な)劇場の中で行われる反体制的なゲイジュツ活動の趣を感じます。
・・・と言うよりは、私が求めているものが音楽を通じて聴こえると言った方が近いかもしれません。

比してHさんの家で響いた音楽はむしろ明るい、綺麗なスタジオで録音されたかの如き透明な空気感を目の前に提示してくれました。歌手の声は気持ち悪いほど生々しいタッチで迫ります。

こちらは居間からサンテラスを望む・・・隠し撮っちゃいましたm(_ _)m
DSC01488.jpgまさに、よく現れていますね。私の部屋は地下洞窟に近いです

結論が後になりましたが、
オーディオの音は機材が出すのでなく、使う人が何を求めるかで決まる。
と思っています。

聴かせていただいている間、ずっとこんなことを考えてました。
「きっと、このシステムをそっくり我が家に持ち込んだら、今オイロパで出している音と同じ音になるんだろうなあ」と。

だから、私は機械はなんでもいいんです、縁があったものがたまたま家に来るだけで。Hさんも同じだと思います。

さて、Hさんはもう1台スピーカーを計画しています。
中高域だけ先に到着しており、低域待ちだそうです。
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ドイツの古いフィールドユニットを使った3Wayの予定。

さては・・・我が家のようなドロドロの狂人の世界へようこそ! か?

いえいえ
WEよりもっと、明晰な世界にしたいそうです。恐れ入りました、芯はブレませんねえ。機械の音の差より、人間の想いの方がずっと強いってことですね。

その手段はこちら
1.jpg
真空管整流で3段以上のπ型フィルターを持った、定電流電源だそうで、

整流管の出力にCを抱かせただけの我が家とは随分な違いで・・・  
いやはや、ディテールにこそ人柄が表れるというのは、全く正しい!

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自分への誕生日プレゼント

まだ全然早いんですが、HMVオンラインの在庫が残り1個という切羽詰った状況になり勝手に自分へのプレゼントとこじつけて、ずっと欲しかったCDを買ってしまいました。その数7枚。

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大きいほうがテイチクさんがリリースした「歌手 ちあきなおみ」という5CDセットです。
なんとHMCD規格の特別仕様です。

ちあきさんはご主人の急逝を期に平成4年に歌手活動を停止(と思いたい)されましたが、10年以上経ってもこうして新規格でCDがリリースするわけですから、やはり途方も無い歌い手の一人と思います。

左にある2CDセットは主にカバー曲を収録したものでコロムビアからリリースされています。

私がつい涙ぐんでしまう楽曲は

1、冬隣
2、黄昏のビギン
3、星影の小路
4、夜間飛行
5、紅い花    などです。

特に「冬隣」は亡くなった人に対する万感の思いを綴った曲です。
この曲を歌った僅か後に、ちあきさん自身がこの曲の境遇になってしまったことは(後から言えることではありますが)表現者としての歌手の宿命というか、運命のようなものを感じずにはいられません。

思い返すとちあきさんの代表曲である、「喝采」もやはりテーマは一緒でこの稀代の歌手が背負っていた何かを思い起こされるところであります。
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結局、唄とシンクロした人生なんでしょうね。往年のE・ピアフやM・カラスと同じように。だからこそ、聞き手の心に打ち込める力を持っていたのだろうと・・・
誰が何と言おうとこれは言いすぎではないと思います。

知人の一人は「クラシック聴いてるおまえがなんでちあき?」と不思議がっていました。
こう言ってやりましたよ。
ジャンルとか分類分けで音楽を聴かないで、曲自体を聴いて自分がどう感じたかに従っただけだよ。ってね。

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プリ(EQ)  その5-2

klangfilm kl-v055e の周辺について少し続けます。

最初に、EF-40ってなんだ?
ドイツではかなり早い段階から多極管が実用化されており、特に微少信号を扱うマイクアンプやラインアンプで積極的に採用されていたようです。

その中でも、オーディオ帯域の主力として用いられた球が「EF-12」(私はクラゲと呼んでますが、本人には迷惑な話でしょう)です。
時代的には大戦直後からあり、米国の「6J7」クラスのポジションでしょうか。

その後、機械全体の小型化もあって球も小さくなりますが、主に業務用途ではMTソケットに信頼が置けなかったのでしょうか、ガラス壁に突起を設け、リングバネでロック可能な「リムロック管」が登場します。これが電気的には同じ仕様とみえる「EF-40」です。

EF-40の標準規格

Vf :6.3V
If :0.3mA
Va :250V
Vg2:140V
Vg1: -2V
Ia :3.0mA
Ri :2.5MΩ
A/F: 38

更に時代が下って、いよいよMTソケットでいいじゃん!という空気を読んで、かの有名な「EF-804S」が登場します。

細かいこと言わなければ互換としています。現実にEF-12仕様のアンプにEF-804Sを挿す為の変換ソケットも作られていました。

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クレンペラー教授を囲んでご満悦の「Pentode 三兄弟」

中央に敷いて有るカルテは「EF-804S」のギャランティエ・カルテ(保証書)」です。
また、右の黄色箱/赤シール時代のSIEMENSの球は全数シリアル管理されています

前にも書いたかもしれませんが、事業経営や生産管理の経験の有る方はお解かりと思いますが、メーカーがラインナップを増やしたり、個体管理することがどれ程経営に影響するかを考えたとき、消耗品を個体管理する企業のよく言えば「理念」、悪く言えば「理想主義」に声も出ませんね。

結局、そんな経営は直ぐに止めちゃいましたけど・・・

このこと一つとっても、ヴィンテージ品を欲しくなる悪癖を正当化できます。

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プリ(EQ)  その5

今日からklangfilmのマイクアンプをご紹介します。
1機種目は、技術的にklangfilmらしさのある

Kl-V055eです
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銘板はこんな感じ
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この回路の構成は、入力トランス→リムロック管EF-40x2段→出力トランス というまあよく有るラインナップです。
EF-40はEF-12(くらげ型)の改良版足違いで、後にMT足の有名なEF-804へと進化する、低ノイズの5極管です。

電源回路付近を見てください・・・
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縦に4本並んでいるコンデンサの右側が(本来は)0Vラインなのですが、上から2本目で抵抗を入れています。所謂、固定バイアスのようですが、ここに+0.8V程が出ています。

な、なにおー?プラスでバイアスかけてるの?

このアンプは長いこと回路図を入手できずに、使い方が分かりませんでした。
そして、回路図入手!(ただただ根性で)

実際は+0.8Vラインをコモンにして、(本来の)0Vラインを相対的に-0.8Vのバイアスラインとして使っています。

 ですよね。

これ以外にグランド(シャーシ)ラインが存在して、特に入力側との結線は寝不足の日に行ってはいけません。頭が混乱して訳判らなくなります。

増幅回路付近は
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左側の入力端子「10,11,12」が上でお話しした、3つのラインです。
この写真は以前に撮ったものなので使い方間違っちゃってます

今回は、自分で書いていてもよく分からない説明でした。
気になる方は、遠慮なく我が家へお越し下さい。ってこんな田舎にはそうそう来れませんか。

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プリ(EQ)  その4

前回の最後に写真の出たRIAA-EQをご紹介します。

Neumann WV-Ⅰ
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エテルナ考の記事で「人類最高のオーディオ機材」と紹介しました、Neumannのカッティングレース「AM-32」システムに附属するモノラル用プレイバックアンプになります。

RIAA-EQを設計したことのある方ならお解かり頂けると思いますが、0.05mVレベルの信号を正にジェットコースターの如くに上げたり、下げたりするEQアンプは幾つもの相反する要素を持った技術的難関を抱えています。

その一つにヘッドマージンを十分に確保するという問題があります。Neumannはここでも、ドイツ人の面目躍如たる「当たり前」の手法で回答を用意しておりました。
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中央の菱形マークの部品がその答えです。

なんと、「充電池」・・・
 

そうです、+Bを十分な低電圧で動作でき、かつ、安定してカソードに深いバイアスを掛けてヘッドマージンを確保する方法として直流発生装置「電池」を回路中にぶち込んだのです。
動作中はカソードに流れる電流で充電しています。
勿論、部品の寿命は「永久」くらいの意気込みで造られており、実際60年以上経た現在も律儀に 1.41Vを発生させています。

次に、全体のコンストラクションをご覧下さい。
DSC01277.jpg

有る意味病気ですね。控えめに申しても病的です。 たかが・・・モノラルのEQです。

この状態で、ハムやノイズは皆無といって差し支えなし。と申し上げておきます。

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我が家のクロス

もう、春なのですが・・・
冬の季節だけ、階段の踊り場の照明と窓から入る夕日が上手く重なる時期があります。

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ナマで見るともう少し綺麗なんですけどねえ。
写真にすると、撮影者のウデも含めて「伝わらない」タイプの情景ですね。



プリ(EQ) その3

2月4件、3月2件しか更新できずに死んだのでは?と思われるといけませんので4月はまたペースを戻します。と、宣言してスタートさせて頂きます。

引き続きプリアンプですが、今日は大物です。(体積は小さいですが)

マイクアンプの「ロールスロイス」といわれるTelefunkenのV76です。
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EF-804S3段に、バッファーがE83F。
あっちこっちに、チョークが入って、これでもか!という内容です。

内部はこちら
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まったく、ドイツ人って・・・

この機械は、初段にNFを掛けてありますので、その値を変更してRIAAを作っていました。
これだけゲインがあると、ラインアンプ要らなくていいですわね。

こちらのようにシャーシに入れて
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古い写真で済みません。

V76の上に乗っかってるのはモノラルEQです。次回の予告ということで。

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