『ゾンビ・リミット』
ゾンビ映画で泣いたのは初めてかも

シッチェス映画祭ってご存知です?
年に一度、スペインのシッチェス地方で開催される映画祭なんですが、主にファンタジー作品を取り扱っているのです。SFからホラーまで様々。過去には「リング」や「座頭市」などもグランプリを獲得しており、あながち見過ごせない祭なんですね。
本作はホラー映画でありながら、私にとって凄い変化球でした!本当に泣いたのは初めて(笑)
血や肉が踊るホラー映画ばかり観て、脳みそがイカれてたのかも。
こんなピュアな作品が描かれるという事は、もはや視聴者はゴアをそこまで求めていないの?それはそれで淋しいけどね。
本作の主人公、医者のケイトとミュージシャンのアレックス。

普通のカップルで、しかも美男美女の彼らには人に言えない秘密があります。
彼らが住む世界は、今やゾンビと人間が共存する複雑な状況に陥っていました。
ゾンビウィルスが蔓延しだした20年前から、ワクチン生成に全力を注ぐ人類。
しかし未だ完成に至っていません。
ただ感染してから48時間以内に未完成のワクチンを打てば、ゾンビ化を防ぎ最悪の事態は回避できます。しかし、それは一生ワクチンと共に生きなければいけない事。
ゾンビ化を食い止めて生きる彼らを「リターンド」と呼び、政府は厳しく管理しています。
実は感染者のアレックス。
もちろん恋人のケイトしか知りません。だけど感染したからって2人の気持ちは変わらない。

憧れの郊外に家を持つのが2人の夢なのです。
綱渡りなワクチン接種しか、アレックスの生きる道はないのです。
これも運命なのか、リターンド患者の治療にあたっているケイト。
毎日、来る日も来る日も新しい患者が運ばれてきます。

それは子供とて一緒。
両親にワクチンの説明をしますが、晴れない顔の2人を励ますしかありません。
一方、リターンドという事を隠して仕事を続けるアレックスですが・・・

何も知らない生徒たちがリターンドの存在をからかいます。
いてもたってもいられないアレックス。
見た目は通常と変わらないのに、どうして迫害されてしまうのか。
ワクチンの数が少しずつ減っている現状。
医者という立場、しかもリターンド担当ということもあり、ケイトは薬を賄賂で買っています。

本当だと、見ず知らずの患者用のワクチンなのですが・・・。
アレックスのため。
そう、愛するアレックスのためなのです。
自宅にワクチンを隠し、保存しています。

アレックスはそれを静かに眺めます。
このワクチンを接種しなければ、自分はゾンビになる。愛するケイトの事も忘れて、彼女の肉を食らう化け物になってしまうのです。
この日、アレックスは重大な事を無二の親友に告げるつもりでした。
ジェイコブ夫妻を自宅に呼び、楽しい食事会です。

ジェイコブの美しい妻、アンバーと共に宴が続きます。
アレックスはジェイコブを見つめます。
「実は、今まで黙っていたことがあったんだ」
「なんだい、急にあらたまって?」
「本当に、本当に最初は小さな傷だったんだ」

「噛まれた後、高熱が出たんだ。体中に激しい痛みが走り、俺は政府の緊急コールに電話をしたんだ」
「・・・お前、もしかして・・・」

「連れていかれた場所には、多くの死体があった。すぐさまワクチンを打たれけど今晩が山場だと言われた」
「隣には頭を撃ち抜かれた死体があったよ」

「そして、気が付くとケイトの病院だったんだ」
「・・・」
「今まで本当に黙っててごめん。この話を聞いて友人をやめたいと言われても仕方がない。けど、信頼できる君にだけは伝えたかったんだ」
「・・・アレックス。告白してくれてありがとう」
「!!」
「君がたとえリターンドだとしても、20年来の友情が壊れると思っているのかい?水臭いじゃないか、これからもずっと友人のままさ!」
破顔したアレックスに、ケイトもホッとします。
ジェイコブの妻、アンバーも作家という立場なのか、冷静に2人の会話を聞いて微笑むのです。
アレックスは助かりましたが、実際はこうなってしまいます

リターンドワクチン生成に力を入れているケイトの病院は、メディアが間違った情報を流さないように講演を開いています。

辛辣な意見も飛び交いますが、ケイトには守るべき人(アレックス)がいる。
リターンドを救いたい。何よりも代えがたいアレックスの為にも早くワクチンを完成させなくては!
しかし。
やはりゾンビとの共存はうまくいくとは思えません。
夜勤時を狙って、過激派グループが病院に忍び込みます。

「なんであいつらを庇うんだよ。お前も、殺すぞ」
「あなたたちがしている事は、決して許されない行為よ!!」
過激派グループはリターンドが隔離されているキーを奪うと、虐殺を開始しました。
リターンド患者は全員死亡。
まだ幼い子供もいました。
ケイトのショックは相当なものでしたが、医院長から「リターンド患者のリストを奪われた」と聞き、急いで家に戻ります。
間一髪でした。
襲撃者を殺害してしまいましたが、このままではアレックスは過激派に殺されてしまう。

ケイトは病院に休暇をもらうと、死体を郊外に遺棄し、アレックスとともに逃避行に出ます。残り少ないワクチンと共に。
そんな2人に助けの手を差し伸べたのがジェイコブでした。
「君たち夫婦に迷惑が掛かってしまう」

「まだそんな事を言っているのか。じゃあ僕たちが所有している別荘に4人で移動しようじゃないか」
優しいジェイコブ夫妻の言葉に甘えて、素敵な郊外の大別荘に避難したアレックスたち。
本当によくしてくれるジェイコブ夫妻。
「彼らにずっと甘えているわけにはいかないわ。ワクチンの事もあるし」
「ここにいた方が安全だよ。ジェイコブは親友だ」
銃の必要性を感じていたアレックスは、ゾンビがいる場所に向かいます。

「こんな風になりたくない!」
アレックスはあらためて生きる決意をするのです。
必要な物を揃えるため、一度自宅に戻ったケイト達ですが、そこに警察が捜査に来ました。
「アレックスさんは?」
「!!」
慌ててクローゼットに隠れるアレックス。
「彼は感染者ですね?政府の要請があったでしょう。隔離しなければなりません。ワクチンが少なくなっていますから政府が保護しているのですよ」
ケイトは知っています。
世界はワクチン不足が深刻化しています。政府がリターンドを隔離するということは、すなわち・・・。
「彼は・・・」
「ケイトさん、隠しても意味がないですよ」
「彼は私が殺しました」

襲撃者の死体を遺棄した場所に、警察を案内するケイト。
ありがたい事に腐敗が進み、識別不能でしたがアレックスだと断定してくれました。
これで政府からは逃れることができた。
けどワクチンは?
病院でワクチンを回してくれた薬剤師から連絡がありました。
「大量にワクチンが手に入ったよ。けどもうこれでおしまい。バレちゃ私も危ないからね。私の家まで取りに来てくれる?」
ケイトが向かうと、薬剤師は殺されていました。

もちろん、ワクチンはありません。
「誰が、こんなことを」
死体のそばに付爪が落ちています。
「!!!!」
付爪の正体が分かったケイトはアレックスに連絡します。
「今すぐワクチンの在庫を見て!!」
ジェイコブ宅にあったアレックスのワクチンはありませんでした。
たった1本、残されていました。
ジェイコブの妻、アンバーはリターンドでした。

彼女の命を守るため、ジェイコブはアレックスのワクチンを奪い、ケイトの電話を盗み聞きしていたアンバー自身も薬剤師を殺害してワクチンを横取りしたのでした。
「お願いだから、10本でもいい!ワクチンを分けてくれ!!」
アレックスはジェイコブに電話で訴えます。
「悪いがそれはできない」
「!!もともとは俺のワクチンじゃないか!」
「俺の?君たちだって別の患者のワクチンを奪ってたじゃないか!」
「!!!」
最後の1本を打ち終わると、アレックスは自宅の防音室に籠ります。

もはや自分が助かる見込みはない。
一方、ケイトは必死で医院長に残っているワクチンがないか懇願します。
「君の今までの努力を考えれば、残りのワクチンを渡そう」

ケイトは涙して感謝します。
感謝してもしきれない。
ワクチンを小脇に抱えると、アレックスに状況を説明します。
「ワクチンが手に入ったわ!!」
しかし、それを聞いていた男がケイトを襲います。
奪われたワクチンを取り戻そうと、ケイトは思わず男を轢き殺してしまうのです。
男は子供の患者を持つ父親でした。
子供を救いたい一心だったのです。

ところがワクチンはすべて路上に落ちてしまい、使い物になりませんでした。
残された時間。

ケイトとアレックスは、その時まで一緒に過ごします。
あんなに素敵に演奏できたギターが、もう弾けなくなってしまいました。

泣きながらコードを押すケイト。
吐血が始まります。
「愛してるわ、アレックス」
「お願い・・・だ、俺を・・・」
「いやよ!!」
「頼む」
最期の時が来ました。
泣いて泣いてもアレックスはもう・・・

そして響く銃声。
20年前、ケイトはゾンビとなった父親を撃ち殺しました。
父親に噛まれた母親は「自分を撃て」と懇願しましたが、それだけはできませんでした。
愛する人の命を奪う。
自分はそれを2回もおこなってしまった。
放心状態で街を歩くケイトに、医院長が大急ぎで駆けつけます。
「ずっと電話を掛けてたんだぞ!」
「どうしたんですか?」

「ワクチンが完成したんだよ!!」
足元から崩れ落ちたケイト。
ほんの数時間前に、自分は愛する人の命を奪った。
どうして?どうしてこんな事に・・・。
困惑する医院長の足元で泣き叫ぶケイト。
夜空にはワクチン完成を祝う花火が打ち上げられていました。
憧れだった郊外の一軒家。
引っ越しが終わったケイト。

お腹が大きくなっています。
ソッと壁紙を見つめます。
ジェイコブ夫妻の所在地が書かれています。

薄ら笑いを浮かべるケイト。

彼女は何を思うのでしょう。
★★★★★★
泣いたわー!
ゾンビ映画で泣いたん、たぶん初めて。ホラー映画でも初めて(笑)
なんてかわいそうなカップルなんでしょう・・・。確かに医者という立場を利用してワクチンを手に入れてたのは悪いことです。けどワクチン生成にあんなに努力して、患者を愛してた。アレックスも長年の友人に裏切られてしまい、しかもワクチン完成の数時間前に死んでしまった。ジェイコブが1本でも多く彼に分けてあげれば・・・。ジェイコブも妻の為なんでしょうけど、やっぱり許せないよ。
大きくなったケイトのお腹には、間違いなくアレックスの子が宿っています。
・・・健常な子供だとは思えないんですが。それでも産むつもりなのかな。
どうかジェイコブ夫妻の復讐が成功しますように←怖いことを言うなよ

シッチェス映画祭ってご存知です?
年に一度、スペインのシッチェス地方で開催される映画祭なんですが、主にファンタジー作品を取り扱っているのです。SFからホラーまで様々。過去には「リング」や「座頭市」などもグランプリを獲得しており、あながち見過ごせない祭なんですね。
本作はホラー映画でありながら、私にとって凄い変化球でした!本当に泣いたのは初めて(笑)
血や肉が踊るホラー映画ばかり観て、脳みそがイカれてたのかも。
こんなピュアな作品が描かれるという事は、もはや視聴者はゴアをそこまで求めていないの?それはそれで淋しいけどね。
本作の主人公、医者のケイトとミュージシャンのアレックス。

普通のカップルで、しかも美男美女の彼らには人に言えない秘密があります。
彼らが住む世界は、今やゾンビと人間が共存する複雑な状況に陥っていました。
ゾンビウィルスが蔓延しだした20年前から、ワクチン生成に全力を注ぐ人類。
しかし未だ完成に至っていません。
ただ感染してから48時間以内に未完成のワクチンを打てば、ゾンビ化を防ぎ最悪の事態は回避できます。しかし、それは一生ワクチンと共に生きなければいけない事。
ゾンビ化を食い止めて生きる彼らを「リターンド」と呼び、政府は厳しく管理しています。
実は感染者のアレックス。
もちろん恋人のケイトしか知りません。だけど感染したからって2人の気持ちは変わらない。

憧れの郊外に家を持つのが2人の夢なのです。
綱渡りなワクチン接種しか、アレックスの生きる道はないのです。
これも運命なのか、リターンド患者の治療にあたっているケイト。
毎日、来る日も来る日も新しい患者が運ばれてきます。

それは子供とて一緒。
両親にワクチンの説明をしますが、晴れない顔の2人を励ますしかありません。
一方、リターンドという事を隠して仕事を続けるアレックスですが・・・

何も知らない生徒たちがリターンドの存在をからかいます。
いてもたってもいられないアレックス。
見た目は通常と変わらないのに、どうして迫害されてしまうのか。
ワクチンの数が少しずつ減っている現状。
医者という立場、しかもリターンド担当ということもあり、ケイトは薬を賄賂で買っています。

本当だと、見ず知らずの患者用のワクチンなのですが・・・。
アレックスのため。
そう、愛するアレックスのためなのです。
自宅にワクチンを隠し、保存しています。

アレックスはそれを静かに眺めます。
このワクチンを接種しなければ、自分はゾンビになる。愛するケイトの事も忘れて、彼女の肉を食らう化け物になってしまうのです。
この日、アレックスは重大な事を無二の親友に告げるつもりでした。
ジェイコブ夫妻を自宅に呼び、楽しい食事会です。

ジェイコブの美しい妻、アンバーと共に宴が続きます。
アレックスはジェイコブを見つめます。
「実は、今まで黙っていたことがあったんだ」
「なんだい、急にあらたまって?」
「本当に、本当に最初は小さな傷だったんだ」

「噛まれた後、高熱が出たんだ。体中に激しい痛みが走り、俺は政府の緊急コールに電話をしたんだ」
「・・・お前、もしかして・・・」

「連れていかれた場所には、多くの死体があった。すぐさまワクチンを打たれけど今晩が山場だと言われた」
「隣には頭を撃ち抜かれた死体があったよ」

「そして、気が付くとケイトの病院だったんだ」
「・・・」
「今まで本当に黙っててごめん。この話を聞いて友人をやめたいと言われても仕方がない。けど、信頼できる君にだけは伝えたかったんだ」
「・・・アレックス。告白してくれてありがとう」
「!!」
「君がたとえリターンドだとしても、20年来の友情が壊れると思っているのかい?水臭いじゃないか、これからもずっと友人のままさ!」
破顔したアレックスに、ケイトもホッとします。
ジェイコブの妻、アンバーも作家という立場なのか、冷静に2人の会話を聞いて微笑むのです。
アレックスは助かりましたが、実際はこうなってしまいます


リターンドワクチン生成に力を入れているケイトの病院は、メディアが間違った情報を流さないように講演を開いています。

辛辣な意見も飛び交いますが、ケイトには守るべき人(アレックス)がいる。
リターンドを救いたい。何よりも代えがたいアレックスの為にも早くワクチンを完成させなくては!
しかし。
やはりゾンビとの共存はうまくいくとは思えません。
夜勤時を狙って、過激派グループが病院に忍び込みます。

「なんであいつらを庇うんだよ。お前も、殺すぞ」
「あなたたちがしている事は、決して許されない行為よ!!」
過激派グループはリターンドが隔離されているキーを奪うと、虐殺を開始しました。
リターンド患者は全員死亡。
まだ幼い子供もいました。
ケイトのショックは相当なものでしたが、医院長から「リターンド患者のリストを奪われた」と聞き、急いで家に戻ります。
間一髪でした。
襲撃者を殺害してしまいましたが、このままではアレックスは過激派に殺されてしまう。

ケイトは病院に休暇をもらうと、死体を郊外に遺棄し、アレックスとともに逃避行に出ます。残り少ないワクチンと共に。
そんな2人に助けの手を差し伸べたのがジェイコブでした。
「君たち夫婦に迷惑が掛かってしまう」

「まだそんな事を言っているのか。じゃあ僕たちが所有している別荘に4人で移動しようじゃないか」
優しいジェイコブ夫妻の言葉に甘えて、素敵な郊外の大別荘に避難したアレックスたち。
本当によくしてくれるジェイコブ夫妻。
「彼らにずっと甘えているわけにはいかないわ。ワクチンの事もあるし」
「ここにいた方が安全だよ。ジェイコブは親友だ」
銃の必要性を感じていたアレックスは、ゾンビがいる場所に向かいます。

「こんな風になりたくない!」
アレックスはあらためて生きる決意をするのです。
必要な物を揃えるため、一度自宅に戻ったケイト達ですが、そこに警察が捜査に来ました。
「アレックスさんは?」
「!!」
慌ててクローゼットに隠れるアレックス。
「彼は感染者ですね?政府の要請があったでしょう。隔離しなければなりません。ワクチンが少なくなっていますから政府が保護しているのですよ」
ケイトは知っています。
世界はワクチン不足が深刻化しています。政府がリターンドを隔離するということは、すなわち・・・。
「彼は・・・」
「ケイトさん、隠しても意味がないですよ」
「彼は私が殺しました」

襲撃者の死体を遺棄した場所に、警察を案内するケイト。
ありがたい事に腐敗が進み、識別不能でしたがアレックスだと断定してくれました。
これで政府からは逃れることができた。
けどワクチンは?
病院でワクチンを回してくれた薬剤師から連絡がありました。
「大量にワクチンが手に入ったよ。けどもうこれでおしまい。バレちゃ私も危ないからね。私の家まで取りに来てくれる?」
ケイトが向かうと、薬剤師は殺されていました。

もちろん、ワクチンはありません。
「誰が、こんなことを」
死体のそばに付爪が落ちています。
「!!!!」
付爪の正体が分かったケイトはアレックスに連絡します。
「今すぐワクチンの在庫を見て!!」
ジェイコブ宅にあったアレックスのワクチンはありませんでした。
たった1本、残されていました。
ジェイコブの妻、アンバーはリターンドでした。

彼女の命を守るため、ジェイコブはアレックスのワクチンを奪い、ケイトの電話を盗み聞きしていたアンバー自身も薬剤師を殺害してワクチンを横取りしたのでした。
「お願いだから、10本でもいい!ワクチンを分けてくれ!!」
アレックスはジェイコブに電話で訴えます。
「悪いがそれはできない」
「!!もともとは俺のワクチンじゃないか!」
「俺の?君たちだって別の患者のワクチンを奪ってたじゃないか!」
「!!!」
最後の1本を打ち終わると、アレックスは自宅の防音室に籠ります。

もはや自分が助かる見込みはない。
一方、ケイトは必死で医院長に残っているワクチンがないか懇願します。
「君の今までの努力を考えれば、残りのワクチンを渡そう」

ケイトは涙して感謝します。
感謝してもしきれない。
ワクチンを小脇に抱えると、アレックスに状況を説明します。
「ワクチンが手に入ったわ!!」
しかし、それを聞いていた男がケイトを襲います。
奪われたワクチンを取り戻そうと、ケイトは思わず男を轢き殺してしまうのです。
男は子供の患者を持つ父親でした。
子供を救いたい一心だったのです。

ところがワクチンはすべて路上に落ちてしまい、使い物になりませんでした。
残された時間。

ケイトとアレックスは、その時まで一緒に過ごします。
あんなに素敵に演奏できたギターが、もう弾けなくなってしまいました。

泣きながらコードを押すケイト。
吐血が始まります。
「愛してるわ、アレックス」
「お願い・・・だ、俺を・・・」
「いやよ!!」
「頼む」
最期の時が来ました。
泣いて泣いてもアレックスはもう・・・

そして響く銃声。
20年前、ケイトはゾンビとなった父親を撃ち殺しました。
父親に噛まれた母親は「自分を撃て」と懇願しましたが、それだけはできませんでした。
愛する人の命を奪う。
自分はそれを2回もおこなってしまった。
放心状態で街を歩くケイトに、医院長が大急ぎで駆けつけます。
「ずっと電話を掛けてたんだぞ!」
「どうしたんですか?」

「ワクチンが完成したんだよ!!」
足元から崩れ落ちたケイト。
ほんの数時間前に、自分は愛する人の命を奪った。
どうして?どうしてこんな事に・・・。
困惑する医院長の足元で泣き叫ぶケイト。
夜空にはワクチン完成を祝う花火が打ち上げられていました。
憧れだった郊外の一軒家。
引っ越しが終わったケイト。

お腹が大きくなっています。
ソッと壁紙を見つめます。
ジェイコブ夫妻の所在地が書かれています。

薄ら笑いを浮かべるケイト。

彼女は何を思うのでしょう。
★★★★★★
泣いたわー!
ゾンビ映画で泣いたん、たぶん初めて。ホラー映画でも初めて(笑)
なんてかわいそうなカップルなんでしょう・・・。確かに医者という立場を利用してワクチンを手に入れてたのは悪いことです。けどワクチン生成にあんなに努力して、患者を愛してた。アレックスも長年の友人に裏切られてしまい、しかもワクチン完成の数時間前に死んでしまった。ジェイコブが1本でも多く彼に分けてあげれば・・・。ジェイコブも妻の為なんでしょうけど、やっぱり許せないよ。
大きくなったケイトのお腹には、間違いなくアレックスの子が宿っています。
・・・健常な子供だとは思えないんですが。それでも産むつもりなのかな。
どうかジェイコブ夫妻の復讐が成功しますように←怖いことを言うなよ