こういう映画、好き!
人気ホラー作家クライブ・バーカーの短編小説を、鬼才、北村龍平監督がハリウッドで撮影した快作。好き嫌いが分かれる理由は、北村監督の良さが出ているか否かのようです。残念ながら北村監督の作品は観たことがなくて、比較できないのですが、私は好きです、この映画。冒頭からの異質な雰囲気は、結末がどうであれ視聴者をグイグイ引っ張っていく魅力があります。グロ度も高めで、血と肉が飛び散る様は圧巻です。まさしくミートトレイン・・・。冒頭の地下鉄シーン。

この時から異常さがぷんぷんです。血だらけ、そして列車内で見える殺害シーン。一気に引き込まれます。
写真家レオンは、NYの街を写真に収めていますが、なかなか認めてもらえません。NYの「負」をとらえようと夜の地下鉄駅に足を運ぶことにします。

追跡していた不良グループに襲われていた美女。

カメラを切りながら、レオンは女性を助けます。
美女は「ありがとう」とキス。まんざらでもないレオン。

「負」の一部を写真に収め、なおかつ不良を追っ払い、美女に感謝のキスまで貰ったのですから気分が上場になるのも無理はありません。列車に乗り込む美女に手を振って別れるのです。
美女の後ろにスーツ姿の男が座っています。何やら手に持って美女に近づくと・・・。
バコーンッ!!
顎が完全にズレ、即死の美女。スーツ姿の男は、美女の死体から衣服を剥ぎ取っていくのでした。
昨晩のベストショットに気を良くしているレオンは、好物の豆腐ステーキを注文。日本監督らしい趣向ですね。

日本人の私は、豆腐ステーキはちょっとなぁ。肉がいいでしょ。うん。
朝刊に目をやると、昨晩助けた美女が行方不明とのこと。

不良グループを追い払ったが、実は隠れて彼女を再度襲ったのではないかとレオンは証拠の写真を手に警察に向かいます。ところが対応した刑事は、そっけないほど相手にしてくれません。写真を撮った事に責任感を感じたのか、独自で捜査を始めるレオンです。
一方、最終の地下鉄内。仕事帰りの男女が「地下鉄って怖い」「もう慣れた、安全だよ」とか談笑していると。

スーツ姿の男が近寄ってきます。異様さを察知した1人が叫ぶ瞬間!
バッコーン!!(2回目)

殴られて目玉が飛び出た!
むっちゃ返り血浴びてんですけど!!

あっさり犯人の顔バレです。

手に持っているのは、肉を叩くハンマーですね。こんなので殴られたらたまったもんじゃない。
このハンマーで頭を2回ほど叩けばどうなるでしょう。

あれ、頭がどっかいっちゃいました。
首が千切れてしまいました。さっきはこの頭から見た自分の胴体だったんですね。

憎い演出だ。そして気味が悪い。
一連の作業がとっても凶悪で、キュンキュンしてしまいました。

行方不明の美女を捜すため、地下鉄を見張っていたレオンは、異様なこのスーツ姿の男が気になり追いかけます。

が、あっさりと追尾がバレてしまい「無断で写真を撮ってごめんなさい」と情けないです。けど、写真を撮ってて実は正解だったんだよレオン君。だって彼が犯人なんだもんね。
そんなことはもちろん知らないレオンは、調査の結果、このスーツ男は肉の解体業で働いていることを突き止めます。

地下鉄の殺人といい、職業に何か関係でもあるのでしょうか。
スーツ男は仕事が終わるとスーツに着替え、地下鉄に行き、最終電車まで待ちます。そして最終列車に乗り込むのです。

この日は、やたらイチャモンをつけてくる黒人男性が乗車中です。スーツ男をからかいますが、だんまりなので「フォレスト・ガンプ」かよって笑います。
そして例によってスーツ男は例のハンマーで黒人を襲います。ところが黒人が強い。反撃に遭ってしまいます。そして発作的な喘息がスーツ男を襲い、絶体絶命のスーツ男ですが・・・。
バキューンッ!!
黒人の頭を銃でブチ抜いたのは、なんと列車の運転手でした。スーツ男とグルだったのね!

「失望したぜ、マホガニー。早く『肉』を片づけな」
命令する運転手。スーツ男の名はマホガニーというのですね。言われた通り片づけるマホガニーは波打つ胸を必死に押さえるのでした。
レオンの捜査は佳境に入り、地下鉄と肉解体業者というパスワードを元に、とうとうある事件に辿り着くのです。

行方不明になった美女以外にも、たくさんの人間が消えているのです。地下鉄沿線で発生している事から、やはりあのスーツ男、マホガニーの行動を調べなければなりません。
マホガニー自身も、自分の体の異変に十分気づいていました。

病に侵される身を振り絞って、毎日同じルーティンをこなすのです。
同業者として紛れ込んだレオンですが、カメラを首にかけてるんだからアッサリと見つかっちゃいます。

鉤フック片手に、マホガニーが襲ってきますが、何とか逃げ切りました。レオンは確信します。この一連の失踪事件はマホガニーが関与していることを!
ずっとレオンを陰で支えてきた恋人のミアは、彼が心配でたまりません。

写真家として美しいモノを撮ってもらいたいのに、最近の彼はいかついオッサンの隠し撮りばかり。口を開けば失踪事件の事。レオンの心はすっかりマホガニーに浸食されているのです。
レオンのマホガニーに対するストーキングが功を奏し、彼が乗る列車に乗車できました。いつも邪魔ばかりで乗れなかったので、今度こそマホガニーの化けの皮を剥がし、写真に収める事ができるのです。
この日も殺戮は唐突に始まります。

改めて観るその凄惨さに、レオンは半分腰砕け。そりゃビビりますね。

しかしプロカメラマンとして、ここまでマホガニーを追ってきた自分にカツを入れるが如くシャッターを切りまくります。
マホガニーの作業は、とても丁寧でした。死体から衣類等を全て取り去り、ビニール袋に入れます。
そして歯を一本ずつ抜いていきます。

丁寧に・・・丁寧に・・・。
爪も剥がし終えたら、次は目玉を取る作業に移ります。

潰さないように・・・丁寧に・・・。
歯と目玉はタッパーに入れましょう。何故だ?

バリカンで頭髪を刈り、足にフックを刺すと死体を吊るしあげます。
実はマホガニーはレオンの存在に気が付いていたんですよね。不敵に笑みをこぼすマホガニーは、そのままレオンを襲撃、腑抜けなレオンはカメラを奪われた揚句、あっさり気絶させられます。

気がつくと、解体工場でした。レオンの胸には大きな傷が付けられています。マークのように見えます。

どうしてマホガニーは自分を殺さなかったのだろう。カメラは奪われましたが、マホガニーの行動に少しずつ自分が感化していくのがわかるレオン。マホガニーの目に、すっかり自分を投影してしまったようです。
別人と化してしまった恋人に、ミアはこれまた独自で調査し、マホガニーを追いかけます。
レオンよりも効率が良いのか、あっさりとミート・トレインでマホガニーと対峙します。

マホガニーの肉ハンマーの餌食となる所で、ヒーローの如くレオン参上!!
決着をつけてやると、互いに武器を取りミート・トレインでの激しいバトルが開始されます。
吊られた死体が邪魔・・・
吊られた死体が邪魔・・・
勝つのはどっちだ??★★★★★★★
レオンとマホガニーの列車内対決までは好きでした。
その後、レオンは列車を降りることになるのですが、そこから先は自分の好みではありませんでした。原作があるのでそこは変えられないのでしょうけど、リアルだった殺戮が一変してSFになっちゃうんですね。驚きましたよ。都合よく感じるのは、警察も運転手もグルだから。まあそうでしょうね(笑)
グロ度もアクションも詰め込まれているのに、ヒットしてないのが不思議なくらい。いろいろ大人の事情があるんでしょうが、十分怖かったし面白かったです。
結末以外は。ある最終の地下鉄内。

どこかで見たことがあるスーツ姿。少し違うのは彼は・・・。このオチは好き。
テーマ : ホラー映画
ジャンル : 映画