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数えてみたことがないので、よくわからないけれど、 我が家の庭には、タブン100本を越える樹木があると思う。 生垣にしている金木犀だけでも70本はあるからね。
実のなる木も多く、日記にも登場した、さくらんぼ。 三本ある柿、あんず、きんかん、かりん、なつめ、それからキウイ。 今朝、そのキウイの花が咲いていました。
7年前のお正月に肺がんで亡くなった義父は、 とっても働き者だった。 大正生まれの義父は、無口で、不器用で、 一生懸命に義母や子供たちのことを思っているのに、 それを表現するのが下手だった。 末っ子のパパさんを、ことのほか可愛がっていたので、 自然と私のことも、とても可愛がってくれていた。 私も、そんな義父が大好きだった。
いつか、義母が話してくれたけど、 とっくの昔におじいちゃん、おばあちゃんになっていた二人のことを、 子供達も、じいさんとかばあさんって呼ぶようになっていたのに、 私だけは、おとうさーん、おかあさーんと呼んでくれる。 そのことが嬉しかったらしい。
農家の末っ子に生まれながら、跡をついでいた義父は、 仕事としてではなく、作物を育てる。 そのことが大好きな人だった。
どうしたら、美味しいトマトができるか?とか、 どうしたら、たくさんの実がつくか?とか、研究熱心な人でもあった。
結婚した頃、庭の半分は、畑になっていて、 そこに、せっせと義父が何かを植えてくれる。 手入れもしてくれる。 普通のサラリーマンの家庭に育ち、 親戚に農家はいない私にとって、家庭菜園とは違う畑の様子は、 わくわくさせてくれるものだった。
畑でできた、枝豆をみて、 「おおお、枝豆ってこうやってできるのね!」 って感激したことを、昨日のことのように思い出す。 かぼちゃや、すいか、たまねぎにサトイモ。 紫蘇、青ネギ、ふだんそう・・・・ 畑は、おもちゃ箱みたいだった。
ある日、義父が苗木を二本買ってきた。 それが、キウイだったのだ。 キウイは雌雄異株性(雄株と雌株がないと実をつけない性質)なので 2本の苗木ってことだったのですね。
さっそく、植えてみたけど、何年たっても、 花も咲かなければ、実もならない。 ただ、毎年元気に蔓をのばし、綺麗な葉を茂らせるだけだった。
畑のあった場所に、パパさんの事務所を建てることになり、 私はまた、細々と家庭菜園を楽しむ生活にもどり、 植え替えられたキウイは、相変わらず、 花も実もつける様子はなく、それでも、元気に成長していた。
辛いとか、苦しいとか、そんな泣き言を決して言うことのなかった義父が、 最後の入院をしたとき、見舞いに行った私に、 「ちょっと、きつかねぇ」と洩らした。 「うんうん、きつかねぇ。でも、ちゃんと食べて、また、一緒にでかけるよ」 っていいながら、 残り少ない義父の命を実感した日でもあった。
義母と子供達に見守られて、義父は苦しむこともなく、 静かに逝ってしまった。 「俺が死んだら、骨は蜜柑の木の下に埋めてくれ。」 そう言ってた義父の骨を一片、私はそっと、自分のハンカチに包んで、 葬儀のゴタゴタが終わったあと、義母に渡して、 義父は、戦後の混乱のなか、自分で切り開き、丹精こめて作った、 温州みかんのみかん山に眠っている。
その年の5月、いつものように、元気に蔓を伸ばしている キウイの木をまじまじとみると、 薄い黄色の花がたくさん咲いているのだ。 初めてみるキウイの花にびっくりして、 でも、どれが、雄花か雌花かもわからず、 実のなることなんてない。そう思っていたら、 7月の始めになると、ピンポン玉の大きさくらいになったキウイが、 何個もぶら下がっていたのだ。 さすがに、風が吹いたり、虫がついたりで、 実際に収穫できたのは、ほんの数個だったけど、 義父がくれた贈り物のような気がして、なんとも言えない気持ちになった。
翌年、キウイは、やっぱり、棚を作ってあげないといけない。ということで、 ぱぱさんと、実家の父が、立派な棚を作ってくれて、 キウイは、やっと、自分の場所を確立し、 いつにもまして、勢い良く伸びたけど、 結局、花も咲かず、実もなることはなかった。 あれは、亡くなった義父の一回だけの贈り物だったのかな。。。なんて思った。
忙しさに、キウイの棚を見ることさえも忘れていた4年前。 知らない間に、ちゃんと花を咲かせて、 たった、一個だけだけど、 キウイは実を結んでいたんだよね。
あれから、キウイは毎年実をつけてくれるけど、 なかなか大きく育つまでにはならなくて、 食べるのは一個だけって感じだけど、 それでも嬉しいもの。
今、咲いているのは雌花ばかり。 雄花も咲いてくれないと、今年は実がならないよ。 義父を思い出す季節です。
今日のお天気は、晴れ。 雨上がりの五月晴れ。 風が心地よい日になりました。
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