もっとも全編くまなく見た訳ではなく、極めて断片的に見ていたので、全体を評価することはできないが、最後の1時間半位は続けて見た。
前半の最初で、東條英機の300枚以上に亘る獄中メモが発見されたとして紹介していた。
続いて行われた鳥越俊太郎氏と保阪正康氏による解説は見ることができなかった。
昭和天皇裕仁を演じたのは野村萬斎であるが、格好良すぎるし、歯切れも良過ぎる。
天皇が陸・海軍大臣に戦争の勝算を問うくだりなど、厳しく詰問する感じであり、それはないだろうというイメージであった。
このドラマの特徴と言うと、これまでこの手の開戦から終戦に至るドラマでは殆ど取り上げて来られなかった文人・徳富蘇峰(西田敏行)を狂言回しとして、
『国民を戦争に熱中する狂気に導いたのが、徳富蘇峰を代表とする“言論人”とこれを受けて狂気の報道を推進した新聞である』という視点で貫いている所である。
一方では、ドラマの最後に、徳富蘇峰を取材する新聞記者に「300万人の国民を犠牲にしたのがほんの少数の軍人の誤った選択だったのか?」と蘇峰に問わせている。
A級戦犯として有罪判決を受けた者のうち、終身刑受刑者は実際には昭和30年頃には事実上放免されており、かれらの殆どが80歳代後半から100歳までの長寿を全うしていることにも驚かされた。
多くの若者を20歳前後で戦闘死や餓死・病死、そして特攻死に送り込み、非戦闘員(すなわち子どもも含む一般市民)300万人を死においやり、数千万人を被災させた張本人達が、つい先日まで生きて居たのである。
絞首刑と終身刑との差は余りにも大きい。
終身刑は実質的には「懲役7年程度」の刑にしか過ぎなかった。
一方では、「私は貝になりたい」のように、B・C級戦犯で「絞首刑」に処せられた下級兵士が大勢居るのにも拘わらず。
このブログの以前の記事 より、B・C級戦犯の数を再録
【5千7百名が逮捕され、なんと937名が絞首刑に処された】
(逮捕者6人に一人が絞首刑)
これに対し、A級戦犯容疑者として逮捕されたものは125名ほどで、
A級戦犯として訴追された者は僅かに28名
絞首刑に処せられたのは、僅か7名に過ぎなかった。
(逮捕者18人に一人が絞首刑)
この数字は戦犯裁判そのものの“政治性”と異常性と報復性、
そしてアメリカ人の『民族優越性意識』を顕すものであったと言うことができるだろう。
B・C級戦犯・937名の「絞首刑」は、報復と見せしめ、そしてアグブレイブ収容所でアメリカ軍が犯した民族蔑視と暴行・凌辱に繋がる『精神的退廃』 を示すものである。
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