リトルバスターズ! 考察 1 神北 小鞠
リトルバスターズ! 神北小毬抱き枕カバー (2008/07/31) コスパ 商品詳細を見る |
追加キャラ攻略に進もうと思ったのですが,考察しがいがある内容なのと記憶が鮮明なうちにまとめることにしました。
ネタバレ注意です。
世界の秘密を知っていることが前提になっています。
小鞠ルートだけではなく,Refrainも終えていないと重大なネタバレになってしまいます。
基本情報:
リトルバスターズ! を理解する上で重要なのが「世界の秘密」です。
プレイするゲーム内での世界は通常の世界ではなく「作られた世界」「虚構世界」となっています。
現実世界は修学旅行までで,バス事故の際に虚構世界が創られ,ゲーム開始の5/13から1学期をその世界の中で繰り返しています。
バス事故は全員が死亡するような悲惨なもので,真人と謙吾が体を張って鈴と理樹を助けます。
バスに隠れ乗っていた恭介は鈴と理樹だけを残して死ぬわけにはいかない。二人は弱すぎるので,現実を見て絶望してしまう……。それで鈴と理樹を守り強くするために虚構世界を創りあげます。
そうしなければいけない理由の一つに理樹のナルコレプシーがあります。
ちなみにNarcolepsyはThird Eye Blind でその名前を知りました。
理樹は幼い頃に両親を失うことによって現実世界から目を背けるようになり,辛い出来事から逃避しようとする意識からナルコレプシーを発生させているものと思われます。
そのことを知っている恭介はバス事故の悲惨さに理樹が耐えることができず,ナルコレプシーを発生させてしまい,その場から逃れることができず事故の後の爆発に巻き込まれてしまうことを危惧しています。
(最終的には鈴と一緒に生きる道,リトバスメンバーやヒロインたちと一緒の日常を理樹が強く求めることによって克服することができます)
虚構世界を創り出したのは恭介ですが,その想いに真人と謙吾が同調しこの3人は世界の秘密のことを知り,繰り返されるループでも記憶を継続しています。
(恭介は管理者として世界を構築してゆく上での権限を持っていて,真人と謙吾もそれに準じる権限を持っています)
恭介は鈴と理樹が強くなることを願い動き,真人は繰り返されてもいつもの自分のスタンスを貫き続けています。謙吾はループ世界の中でずっと理樹たちと遊び続けることを望んでいます。現実世界ではいろいろとやることがあったため十二分に遊ぶことができなかった鬱憤を晴らすことができています。
恭介は虚構世界の管理者としてこの世界の権限を持っています。
リフレインで真人の視覚や聴覚をコントロールしたり,古式みゆきを作り出したりと,自分の記憶にあるものを作り出したり,住人である十人の記憶や感覚を操作することができています。
レノンに指令を与えている人物を理樹が探していたときに,先生を動かしていたように,一般生徒や教師をコントロールすることもできます。それができるので,指令に会わせて学食のおばちゃんもコントロールすることができていましたし,各部のキャプテンによる野球チームも作ることができています。
しかし,他人の記憶にまでは干渉できないようで,住人が自分の記憶から作り出したもの,小鞠ルートの小次郎や美魚ルートの美鳥を認識することはできていません。
この3人に同調して虚構世界を支えているのが5人のヒロインたちです。
彼女たちは現実世界でやり残したことや未練があるため,虚構世界に加わります。
彼女たちは基本的には生前の記憶に従って動き,ループごとに記憶も消去されているようですが,一学期をループする世界の秘密には気がついているようです。
ゲームタイトル画面に現れる光の球と波紋がこの世界を作り出している8人を表していて,理樹がヒロインのやり残したことをかなえたり未練をなくすことによってこの光が消えてゆくので,攻略されたヒロインは虚構世界から去っています。
そのため,Refrainではヒロインたちは登場せず,それ以前も攻略済みヒロインは特定のイベント以外は登場しなくなります。
虚構世界で再現されていることは基本的にはそこの住人である10人の記憶にある範囲内にあることに限定されていて,その他の登場人物,佳奈多や佐々美,美鳥などは10人の誰かが作り出して動かしています。
神北 小鞠:
小鞠の未練,悩みとなっているのは兄が亡くなったことによる悲しみであり,それを受け入れることができていません。心の中では兄の死を否定しています。
小鞠との出会いは屋上。
理樹を先生と最初思ったように,基本的には現実世界での記憶に基づいて学園生活を送っています。
屋上が好きな場所なのは病院の屋上での兄との思い出から。
たまごとひよことにわとりの話は繰り返されるループと,ループに気がついていない理樹と鈴のことを示しています。
同時に兄の死を忘れたいけど,忘れたくないものを忘れたくはないという小鞠の兄に対する想いが含まれています。それと同時に作者である兄がやがて小鞠のことを離れること意識して作製しています。自分がいなくなることに備えさせるものに。
頑張るペンギンさんの話は弱い存在である理樹と鈴のことを示しているようです。
いろんな動物たちと交流して成長し,みんなに送り出されて星に行く,現実世界へと旅立つことを示しています。
作者である兄は,ペンギンを小鞠に当てはめていたようですが。小鞠が強くなるのに役立ったようです。
森の中に住んでいた8人の小人と,そこに訪れた男の子と女の子の話は虚構世界を作り出している8人と理樹と鈴を指しています。
そのふたりの訪問者が,小人さんたちの悩みを一つずつ解決してゆくというのは各ヒロインルートのことを。
これは共通ルートでの話なので,本も途中までです。
リフレイン終盤では「悩みのなくなった小人たちは,一人ずつ森を去っていく」とこの世界から退場してゆくことが示されます。
そのように,虚構世界の仕組みにもある程度気がついているので鈴のことも何かと気にかけ,鈴とは一番仲良くなるヒロインです。
二人で流れ星を見るときの「あなたの目が,もう少し,ほんのちょっとだけ見えるようになりますように」
流れ星はこの世界を去ってゆく人のことを指しているようです。小鞠は死期の迫った兄と屋上で流れ星を見ていました。
続く童話の話での「元々の話は悲しいものだったり酷いものだったりするものが多い」というのも理樹がヒロインたちの悩み未練を解決させてこの世界から去らせることを示しています。
そうすることによって童話のようにハッピーエンドにすることができます。
8つの流れ星が流れることは理樹と鈴以外の8人がこの世界から去ることを示しています。
小鞠は流れ星は7つで最後だと思っていました。最後の一つは恭介ですね。この世界がやがて完全に失われることを指しています。
(リフレインでは小鞠は最後まで虚構世界に留まろうとしていましたので,最後の一つは小鞠かもしれません)
流れ星の後でマッチ売りの少女のことを話す小鞠。マッチ売りの少女が迎える死のことを言っていて8つの流れ星であるこの世界を作り出している8人が死ぬことの暗喩です。
マッチ売りの少女は亡くなる兄が読んでくれていた本で,死のイメージと重なっています。
翌朝,恭介は流れ星のことを知りません。
これを作り出していたのは小鞠ですね。
夢に見るというお兄ちゃんが本当にいるかもしれないと。
兄の死を自分の中で否定しているため,忘れてしまっています。
兄のことを思い出そうとして思い出す白いひらひら
ボランティア先は小鞠の記憶にあるので虚構世界でも作り出すことが。
電車で出かけたとき,理樹が窓の外の景色に違和感を感じたように,小鞠の記憶の中にあるものから作り出しているものであって実際の景色ではないので同じものが連続しているように感じてしまいます。
ボランティア先も小鞠視点での記憶なので,患者たちのリアクションに一部違和感を感じていました。
「あなたの目が,もう少し,ほんのちょっとだけ見えるようになりますように」は二人でボートに乗ったときにも登場していました。
理樹は「その目は自分の見えない記憶を見ようとしているものだから,寂しそうに見えるんだと思う」と感じていますが,理樹は現実世界での記憶を忘れ,小鞠は自分の未練である兄のことを忘れています。
それで,理樹を兄の代わりにして現実から目を背けることに。お互いに逃避することに。
そして,携帯がつながらなくなるという障害が各ヒロインルートで発生します。
小鞠ルートでは野球の練習が中止だという恭介からの連絡が入りませんでした。
これはこの世界の住人がある程度,恭介にも気づかれずに世界を改変できることを示しています。
小鞠は理樹との二人の時間を邪魔されなかったため,恐らく無意識のうちにだと思いますが,他からの情報を遮断するようにしていたはずです。二人の恋愛が進展した後で発生していたのでこれも愛の力,強力な感情が引き起こしていたものなのでしょう。
それで,終盤小鞠が理樹を遠ざけ,拒絶したときは理樹の電話も繋がらなくなっていました。
この点を理解するとクドルートや来ヶ谷ルートなどで発生していた現象を理解しやすくなります。
子猫の死をきっかけに思い出す兄,神北拓也のこと。
死期が迫った兄は「これは夢の中のこと……だから起きたら忘れてもいい。悲しくならなくてもいい」と小鞠を励ましますが,これは同時にこの世界にいる理樹のことを指してもいます。怖い夢は起きたら忘れるのです。ループによって記憶は消去されていました。
それによって小鞠は兄のことを夢の中の存在にしていて,死を受け入れることなく兄の思い出を大事にしていました。
その状態は虚構世界にいる理樹の存在とよく似ています。現実を受け入れることなく夢の世界のような状態で生存しています。
小鞠は兄のことを認識することによって,現実世界で起きたことも思い出しつつあります。
「みんないなくなっちゃう,私ここにいるから会いに行けない,どうしてここにいるんだろう」とここが夢の中の世界のような場所であることに気がついています。
それから目を背けたくても「でも……私たちの目は見えすぎるね」と。
もう少し,もうちょっとだけ見えることになることを願っていましたが,思い出した忘れていたことは冷たい過酷な現実です。
このように理樹と小鞠は立場的に非常にシンクロしやすい状態。そしてとても弱いです。それゆえに小鞠BADのように真実から背を向けて二人で夢の中の世界に逃避行する道を選ぶことになってしまいます。怖いもの,過酷な現実から意図的に目を逸らしています。
誰かが数えるのをやめると。そして0に。
事故の日まで進んで再びループしてやり直すことを示しているように見えます。
小鞠を救うことはできません。
それで小鞠を救うために真正面から向き合う道を選ぶ理樹。
しかし,兄を思い出すことは小鞠を疲弊させること。
「繰り返し,思い出しては……心をすり減らす」
それゆえに理樹たちには過酷な現実を見せないようにしていたわけです。
しかし,小次郎が言っていたように逃げは解決にはなりません。
小次郎がやがて死ぬように,いつまでも過酷な現実から目を背け続けることはできません。
それゆえに小鞠を遠ざける小次郎ですが,何かほかに方法は無かったのかと後悔しています。
それで,理樹は小鞠を救う道を選ぶことにします。
理樹はまず小鞠の兄,拓也と向かい合うことに。
拓也に墓参りの時に謙吾を見かける理樹。
これは古式みゆきが亡くなっていることを示しています。
2週目の鈴ルートで謙吾は古式みゆきを助けますが,現実世界では助けることができませんでした。
それゆえにリフレインでの野球対決で恭介が彼女の姿を作り出したとき,あれほど謙吾はキレたわけです。
流れ星は死を示すものでもありましたが,魂が神さまのところへ引き上げられることも示しています。
それで救いとなる物語を作ることにする理樹。
成長し強くなろうとしている理樹を恭介,真人,謙吾が支えていました。それがこの世界の目的です。
小鞠のことを想う強い気持ちが正気に引き戻します。
それで現実と向き合う小鞠。夢は覚めます。
辛いことでもいつかそれを受け止めなければいけない。
拓也はそのことをにわとりとたまごの本で伝えていました。
そのことはこれから理樹が受け止めなければならない辛い現実のことも示しています。
小鞠が心残りになっていた兄のこと。理樹の助けによって兄の死を受け入れ,兄の想いを知ることによって未練を断ち切ることができるようになります。
それによってこの虚構世界から去ることができる小鞠。
夢から覚め,兄がいる神さまのところに行くことができます。
「終わる世界に,最後の夢を」
最後のページで消えることが。
この最後のシーンですが,理樹が作った本を持っている小鞠は,現実世界に戻った後の話ではないでしょうか。
小鞠を小次郎さんに会わせ,小鞠と幸せになれる道を手に入れたことを伝えるのでは。
小鞠が付け足した最後のページは消えちゃうこと。
「それはきっと,いい終わり方なんだよ」
ヒロインたちは個別ルートで未練を断ち切ることによって虚構世界から消えることができることを指しています。
そのようにしてヒロインたちの問題を理樹が解決することによって強さを得て,現実世界でもみんなを救うことができるようになります。
リフレインで鈴は小鞠のノートを見つけます。
小鞠は理樹と鈴の虚構世界での行動を観察していて,それを絵本にして,この世界の構造を示しています。
そのように小鞠はヒロインたちの中でも鈴と最も親しいということもあって特別な立ち位置にいます。OPでも一番最初に登場していました。
それで,真人,謙吾,恭介が消えた後でも屋上に潜んで見守っていました。
(恐らくこの世界を終わらせる権限を恭介から託されていたと思われます。屋上が夕焼けになっていたのは鈴が言っていたように終わりの合図であり,この世界を終わらせるための演出として小鞠が操作したのでは。夕焼けは美魚ルート突入の時にも効果的に用いられていました)
そしてお願い事を,アクセサリーの星に託して鈴に渡します。
その願いのおかげで,理樹と鈴は強さを得て,事故現場でみんなを助け出すことができるようになります。
そのようなわけで,小鞠の重要な立ち位置を占めていました。
再プレイすることによって虚構世界で起きていることを理解しつつある小鞠の言葉が理樹のことをも指していることを理解することができます。理樹(&プレイヤー)に多くのヒントを与えていました。
初回プレイ時には全く気づきませんでしたが,多くの伏線を与えていてこの作品を理解する上での基本的なことを教えてくれていました。
小鞠と理樹の立場は似ていて,現実世界で味会うことになる辛い事実をよく示しています。
虚構世界での理樹との交流を通して現実と向き合うことができたように,理樹もこの世界を通して強くなることができることが示されていました。
リフレインをクリアすることによって,この小鞠ルートにも重要な意味があったことがわかり,評価が大きく変わってきます。
最初は高い評価ができなかったのですが,意味がわかる今ならこのシナリオの意図を理解することができます。
ヒロインルートがつまらないと感じる人が多いかもしれませんが,リフレインを終えることによって,個別ルートが重要な布石になっていたことに気づくことができます。
ついでに直枝理樹についても考察:
最大の謎はナルコレプシーです。
現実世界でも発症していたのか,本当にただの睡眠障害なのか。
小鞠ルートで理樹は白くてひらひらが病院の屋上で干しているシーツであることにすぐ気がつくので,以前から治療のために通院,入院していたことが考えられます。
実際,現実世界の事故現場に戻ったときにも発症していたので,以前から患っていた可能性が高いです。
これは予想ですが虚構世界でのループが理樹の体に負担をかけていてより発症しやすくなっていたのではないでしょうか。
鈴と理樹は生存者であるにも関わらず虚構世界に召還されています。生身の体ゆえにループが負担になっていたことが考えられます。
実際,鈴はリフレインでループする世界で起きた出来事によって心に傷を負っていました。
理樹はこの作られた世界について知らず,ループの際も記憶は基本的に継続されていませんが,ヒロインが抱えていた問題を解決してゆくことによって少しずつ強くなってゆきます。
そのことはバトルランキングや野球に反映されていて,再プレイ時に強くなっていることを実感できます。
最初は何の意味があるのかと思っていたステイタスですが強くなってゆくことを目で見える形で示すものになっていたとは……芸が細かいです。
それで,リフレイン突入後には恭介がしたのと同じようにリトルバスターズを再結成させ,現実世界でもみんなを救うことができるようになります。
理樹についてはもう少し考察が必要なようなので,各ヒロインルートを再考する際に考えてみます。
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根拠としては
①リトルバスターズのメンバー以外は誰かが操っている存在であり、小毬が「小次郎が親戚であること」や「小毬のトラウマを理樹に話したこと」を把握していない(=小毬が小次郎を動かしているわけではない)ことから、他の誰かが小次郎を操っているとわかります。
②謙吾は小毬ルートをクリアするまで野球チームに参加しません。つまり、小毬ルートでやることがあったと考えられます。
逆に小毬ルートクリア後のはっちゃけっぷりから、彼の「やるべきこと」は小毬ルートで完了したとも取れます。
③和也の墓地の場所や、理樹がそこに行くことを知っているのは神北小次郎(を操作している人)しかあり得ません。……もしかしたら恭介なら把握しているかもだけど。
以上より、神北小次郎の正体は謙吾であり、小次郎の助言による成果を確認するために墓地に赴き、理樹に見つかりかけたので急いで立ち去ったと考えておりますがいかがでしょうか?