前半は完全に劣勢でした。ほぼ川崎陣内で試合を進められ、脇坂泰斗が独力でポケットまで運ぶシーンはありましたが、シュートを1本も打つことなく2失点を喫しました。

先制されたのは今回もセットプレーからでした。福森晃斗のフリーキックを枚数の多い壁で防いだものの、こぼれ球をスパチョーク・サラチャートにダイレクトで合わされ決められます。

このまま0-1で折り返せばまだよかったのですが、35分に小気味よくパスをつながれると、スパチョークにポケットを取られ、最後は駒井善成にゴールを許しました。

苦しい流れでハーフタイムを迎えた川崎は、後半頭に選手を代えます。この日はミドルパスがうまく決まらなかったジョアン・シミッチに代えて瀬古樹、瀬川祐輔に代えてマルシーニョを送り込みました。

機動力を上げたホームチームは、マルシーニョを生かす攻めを見せます。それがVARの介入による岡村大八の退場につながりました。

人につく守備をする札幌が、数的不利となったことで川崎はビルドアップが容易になります。後方で手詰まりにならず、中盤まで苦労しないでボールを運べるようになりました。

こうなると川崎に主導権が移り、67分には逆に相手のビルドアップのミスをついて、マルシーニョがボールを奪い、脇坂が冷静に蹴り込みます。

さらに71分、佐々木旭がマルシーニョに預けてゴール前に走ると、山根視来の叩き付けた折り返しに合わせて同点に追い付きました。佐々木は登里享平不在で巡ったチャンスを生かしました。

そこまでは順調でしたが、以降は札幌のゴール前での体を張った守備に手を焼きます。アディショナルタイムが11分もありながら、喉から手が出るほど欲しい決勝点が奪えません。

不発に終わった小林悠を下げて宮代大聖を入れ、さらにはレアンドロ・ダミアンを入れて2トップに変え、サイドからのクロスボールを増やしても届かず、時間だけが過ぎていきました。

11人対10人になってからはほとんど決定機を与えなかった川崎。それでも勝ち切る経験から遠ざかっていたことが影響したのかもしれません。リーグ戦の連敗こそ3で止めたものの、2-2のままゲームは終わりました。

しっかり勝って、あと3連勝でタイトル獲得に至る天皇杯に向かいたいところでしたが、それはなりませんでした。