2024年03月 : 22インチのフットボール

22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2024年03月

中断明け最初のゲームとなった多摩川クラシコ。川崎は2点目を取るのに苦労したものの、クリーンシートで今シーズンのホーム初勝利を収めました。

この日はマルシーニョが出場停止でしたが、川崎にとって大きかったのはセンターラインの安定です。ジェジエウがフル出場できるコンディションになり、エリソンも負傷から復帰。まだ十分とは言えないもののメンバーが揃いつつあることが、結果に結び付きました。

ホームチームは開始から積極性を見せていました。前節、鹿島アントラーズ戦では少なかったミドルレンジからのシュートも果敢に放ち、東京ゴールに迫ります。

前半は長短のカウンターを繰り出してやり切る場面もある中で、34分には三浦颯太が長友佑都と対峙しながら入れたクロスを木本恭生が触りポストを叩くと、こぼれ球に脇坂泰斗が反応して先制します。

エンドの変わった後半は追いかける東京が前に出てきますが、川崎もギアを上げて応戦しました。敵陣でのボール回収も目立ち、早々にリードを広げにかかります。それでも波多野豪の好セーブに阻まれるなどして追加点が奪えません。

粘り強く攻めていたところ、東京の最終ラインの背後を狙った遠野大弥のワンタッチパスにエリソンが抜け出すと、飛び出した波多野がファウルを犯して退場になります。

数的有利となり、82分に山内日向汰と山田新が入って、その2人で価値ある追加点を奪います。山内はボックス内で木本を翻弄し、アシストを記録しました。

これで冷静になる一方の川崎と逆に焦りの色が見える東京という対照的な構図になり、川崎は手を緩めずにボールを動かします。

アディショナルタイムには、サイドバックではなく中盤の底を任されていた橘田健人のシュートが久々に炸裂。勝利を確実なものにする3点目を挙げました。

次は水曜日にアジア4強の横浜F・マリノス、その後は目下首位を走るFC町田ゼルビアが待つ日程になっており、この快勝を生かせるかどうかが問われます。


マルシーニョの得点によって、今季のリーグ戦では初めて先制に成功したものの、後半開始からわずか5分で逆転を許し、そのまま敗れてしまいました。

序盤は川崎がアタッキングサードに侵入する場面がほとんどなく、鹿島には逆に中盤で引っ掛けられて攻め込まれます。

前段階のビルドアップにも苦しみますが、36分の先制時はそれがようやく形になりました。特に右の大外に開いた脇坂泰斗から家長昭博への浮き球のパスが効いて、抜け出した家長がシュート。これは早川友基に防がれるも、こぼれ球に反応したマルシーニョが正確にゴールをとらえました。

前半はリードしたまま無難に終えます。

それだけに後半の入りを誤ったのが悔やまれます。川崎が決定機になりかけた直後、植田直通からのロングボールの処理がうまくいかず、最後はアレクサンダル・チャヴリッチに決められ追い付かれました。

さらに自陣でのボールロストの後、名古新太郎の懸命のクロスがクロスバーを叩き、落ちてきたボールを鈴木優磨に押し込まれます。

鬼木達監督はすぐさま佐々木旭を送り込んで、まず右サイドの守備の安定を図ります。橘田健人はアンカーにポジションを戻しました。

反撃に転じるための態勢を整えた川崎ですが、60分を待たずにジェジエウが足をつらせてしまい、大南拓磨との交代を余儀なくされます。

ただこの試合のベンチにはDFを多く入れており、ジェジエウに関しては遅かれ早かれ交代する流れを想定していたと思われます。

大南とともに遠野大弥、小林悠も投入され、サイドからのクロスも増えますが、チャンスには結び付きません。

苦しい状況を悪化させたのは、マルシーニョの退場でした。残り15分の場面で2枚目のイエローをもらい、ピッチを去らなければならなくなります。

1点差とはいえ10人での戦いは厳しく、鹿島の密集した守備を一向に崩せません。ポケットを取ることはほとんどなく、確実さを重視したのか、効果的なミドルシュートも見られません。

終盤はとりたてて決定機と呼べるシーンのないまま、タイムアップを迎えました。中断前の試合だっただけに勝って五分に戻したいところでしたが、黒星が続きます。


前節の痛恨の敗戦を経て、上福元直人の起用をはじめスタメンの入れ替えを行った川崎。しかし、ベンチ外となったエリソンの不在が響いて、無得点に終わりました。

またしても起こった開始早々の失点は、VARにより原大智のハンドがあったとして、ゴールは認められません。

最悪のスタートを回避し、当たりの強い京都の守備にも次第に慣れてきます。この日は右サイドバックを務めた橘田健人が、アンカーの山本悠樹のそばに立つなどしながら、少ないタッチでボールを放し、前進していきました。

トップに入った山田新は最前線で体を張り、時に相手の意表をついてゴールに迫ります。ただ、ネットを揺らすには至りません。

後半、京都がマルコ・トゥーリオを入れたことで橘田の動きを封じ、序盤はアウェイチームが主導権を握りました。

試合が動いたのは65分。京都のコーナーキックを凌いでカウンターに出ていこうとした矢先、マルシーニョのコントロールが大きくなって、ボールを失います。局面が一気に変わり、上福元の懸命の守備も実らず、川﨑颯太に得点を許しました。

鬼木達監督は次々と交代カードを切って、勝ち点獲得のために動きます。脇坂泰斗や家長昭博を下げ、最終的には3バックに変更。小林悠とバフェティンビ・ゴミスの2トップに託します。

それが実ったかに思われたゴミスの待ちに待った87分の初ゴールは、直前の遠野大弥のポジションがオフサイドであったとして、VARにより幻となりました。

唯一の希望が打ち砕かれたかのように、以降の川崎のプレーには焦りが見られだします。アディショナルタイムに入っているので当然と言えば当然ですが、相手に脅威を与える攻撃ができていませんでした。

ホームでは公式戦3連敗。ネーミングライツによって新たな名前となった本拠で、いまだ勝利を挙げられずにいます。


最後の最後まで勝ち点獲得の可能性を残したホーム開幕戦でした。しかし、開始30分で3失点を喫したことが大きく響きます。

特に高井幸大が平川怜にボールを奪われて、ジャーメイン良にフリーで決められた2失点目は、看過できないミスが起こった形です。

山東泰山戦でも最終ラインでの似たようなエラーがあり、川崎の失点パターンになりつつあります。今後も対戦相手がセンターバックに迷いなくプレスをかける場面は増えるでしょう。

とはいえ、3点ビハインドから60分までに追い付く力はさすがでした。相手のミスを逃さない姿勢、エリソンの決定力が光ります。

その中で、前半のうちに1点返せたことで、ボールを動かすエリアがミドルゾーンから前に移るようになりました。次第にマルシーニョが生きる形も増えます。

ハーフタイム明けに瀬古樹が左インサイドハーフの位置に入ると、機敏にピッチを動き回り、さらに攻撃にリズムを生み出します。2点目のコーナーキックは、脇坂泰斗に変わって瀬古が蹴ってアシストを記録しました。

三浦颯太のサイド突破を起点に3-3にした後は、磐田にPKを2本献上。いずれもジャーメインに決められます。

最初のPKの直後は、勝負の4枚替えで出てきた山田新がリカルド・グラッサに倒されてPKを獲得。山田がボールを譲らずに志願して決め、一旦は4-4の同点に追い付きました。しかし、三度追い付くことはできません。

PKに際してVAR判定に時間がかかり、最終的に15分を超えるアディショナルタイムが設けられるも、川島永嗣の好セーブもあって肝心のゴールが奪えませんでした。

ホームでの公式戦は、これで2戦連敗です。どちらも点の取り合いになりながら、終盤に屈しています。次もホームで戦えるだけに、嫌な流れはきっちり払拭しなければなりません。








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