鬼に嫁げば
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鬼に嫁げば (プリズム文庫)
高将にぐん (著)
香林 (イラスト)
出版社: オークラ出版 (2011/7/23)
内容紹介
おら、おめぇが嫁こでよかった。
村一番の美人を、山で暮らす鬼の花嫁として差し出すよう要求された村人たちは、
旅の途中の剣士である紅葉に、花嫁の代わりとして鬼のもとへ行き、
その鬼を殺してほしいと頼む。
鬼のせいで忌まわしい過去のある紅葉は、村人の依頼をふたつ返事で引き受けた。
純白の花嫁衣装に身を包み、シンと名乗る鬼のもとへ嫁いだ紅葉だが、なかなか相手を殺せなくて──。
感想
やっぱり可愛いね 日本昔話風なんだけど そういうの好きだから しかし人外
ばかり読んでるような^^;シンが妙に純朴でいいんだなー16歳で擦れてなくて
紅葉じゃなくてもほだされそうな わんこ系。若い恋って ピュアだなあとひとり
でほっこりしてます。
裾の短い着物に毛皮を腰に巻きつけた鬼がやぐらに上り そこにいた白装束の娘の
顔を見て おめーが嫁っこか 気にったといい 担いでどんどん丘を駆け下りてい
く。鬼は娘に シンっていうんだよろしくな と笑いかける。嫁ーシンの嫁ーと妙
な歌を歌いながら鬼はやっと 娘を下す。ここはたくさん花が咲いてるんだといい
赤い花を娘の髪にさして名をきく。紅葉といいますと答える。月明りでシンの顔を
見ると角もないし まだ少年のような顔だ。シンは半人前だから角もないし 嫁も
人間をもらうんだという。小屋について これが俺たちの家だ一生懸命に作ったと
いう。紅葉は穴倉じゃないのかと驚く。シンはしばらく休んでいろ 迎えが来るか
らと出て行ってしまう。紅葉は小屋で 白無垢が苦しいと横になる。
胸には妖怪退治に効くという 銀の飾りと白い房の付いた美しい懐剣を持っている。
紅葉は旅の剣士で 噂をきいた村長に鬼退治を頼まれたのだ。村一番の娘を嫁にと
鬼に言われ困っているという。娘の身代わりでここまで来たのだが 鬼のシンは
優しいので戸惑っている。土間も小さいながら炊事ができるようになっているし
囲炉裏もある。シンがこつこつと作ったのだろう。嫁さーと声がしてみると揃いの
金の着物の女が三人いる。よく見ると耳と尻尾がある。紅葉は固まっていると女は
手を引き歩きだし 木々の間のしめ縄の下を通り神域に入っていく。ここは魔の棲
む山だと紅葉は汗がです。長く続く土塀の中の館に入る。京の御殿のように見える
が 中の調度は絢爛豪華だ。なによりそこにいるのは 白蛇 大蜘蛛 大鴉に猪等
に加え屈強な鬼がずらりと並んでいる。これだけの相手と一人で戦えないと紅葉は
絶望する。
視線を感じると 寝殿の中央に子供のような体に真っ白な着物 髪 真っ赤な目の
ものがいて 婿殿はあそこだという。庭には恐ろしい面をかぶり 鎖帷子などを
纏った武士の格好のシンがいて 舞い始める。それは神々しくて思わず紅葉は目が
吸い寄せられる。終わると紅葉はシンと 子どものような白い山母の前に座りかた
めの盃を飲む。シンは嬉しそうに紅葉を見て手を繋ぐ。それから二人はたくさんの
妖かしと挨拶をした。白狐や亀綾に引合され 赤鬼のアル兄とも話した。シンは皆
に紅葉を見せ 人間の嫁を好きになれなかったらどうしようと思ったけど 好いと
ると囁く。
散々皆に飲まされ酔っぱらったシンは動けなくて 大きなカメが家まで連れてきて
くれた。寝ているシンを殺そうと懐剣を振り下ろすが シンは紅葉の腕をつかんで
着物をはだけると肩にキスをして噛んでくる。気持ちが良くて声が出てしまうが
更に胸に手をやり乳首を触ってくる。紅葉は押さえつけられて体を動かすことがで
きなくて このままでは男とばれると焦るが おめえが嫁でよかったといいながら
いびきをかきだす。紅葉は這い出して 懐剣でシンを刺すがまるで血が出ない。
シンはすやすやと寝ている。自分の手を傷つけてみるが まるで切れない。シンは
いつまでも一緒だと寝言を言っている。
シンは起きて紅葉がいないので焦っていると ご飯を作っている。逃げたんじゃな
いかと思ったとシンはいう。紅葉は志乃という綺麗な女の子の身代わりで来たのだ。
志乃は好きな人がいて結婚することになっている。紅葉は両親がなくなり叔父に引
き取られ ずっと厄介者だった。帰るところも待っている人もいないのだ。叔母は
いつも不吉な子だと言っていた。食事が終わるとシンは山母のところで仕事だとい
う。紅葉も一緒に行こうと。シンは手を繋いでゆっくり歩き ここの花は紅葉のた
めに いろんな場所から様々な花をとってきて植えたんだよと言う。館に着くと鬼
女たちに仕事を教えてもらえといい 後で迎えに来るとキスをしていく。紅葉は恥
ずかしいことをと怒り 真っ赤になっている。殺す相手だと思うのだが。シンはま
だ16歳で紅葉より三歳も下だ。
鬼女の女房たちは見かけは怖そうだが 親切に教えてくれる。紅葉は言われたとお
りに調理をしていると 騒々しい声がたくさんする。子鬼たちが帰ってきたのだ。
めしーと お腹すいたと騒いでいる。ノノたちは急いで食事を作るので 子供の相
手をしていてくれと紅葉にいう。しかしいつも不吉な子と言われて一人だった紅葉
は どういていいかわからない。そこへシンが来てみんなで相手をして楽しむ。帰
りにシンは寄りたいところがあるといい 崖のところから お前の色だなといって
茜色の空を紅葉に見せる。紅葉は赤いはっぱの事なんだってなとシンはいう。山母
は偉いから字が読めるんだと。
家に帰ると ごろごろと音が追いかけてくる。紅葉は真っ青になり塩を探している。
シンはあっけにとられているが もしかして雷が嫌いなのかと。稲光がすると紅葉
は竦んでいるので シンは抱きしめてもう寝ようと。布団の中で背中を撫でて落ち
着かせる。子どもの時 家に雷が落ちて火事になり両親が死んだと紅葉は言う。鬼
が落とした雷で死んだから気味が悪いと紅葉は言われ続けたという。シンは人間を
殺すために雷をおこすわけじゃないからと諭す。キスをしていると段々激しくなり
紅葉が震えると怖いのかとシンはやめてくれる。
鬼女たちと働いていると シンからなんか貰ったかとユエたちがいう。シンが紅葉
になんかやりたいから ユエたちなら夫から何が欲しいかときいたらしい。ユエは
恋文が欲しいといったらしいのだが。紅葉は落ち着かない。シンと帰ってきてから
なにかくれるのかと思うが シンは普通にしている。別に恋文なんてほしくないと
おもったりするが ふとシンは字の読み書きができないと思い出す。寝ようとする
とシンが畳んだ紙を渡す。文だというが開けると押し花で あの赤い花だ。おら字
が書けないからとシンがいう。胸がいっぱいになる紅葉だが シンは抱きしめて
キスを何度もして 抱こうとする。紅葉は焦り 不浄の日だからと言って避ける。
シンはがっかりした顔をするが 辛いそうだなといい抱きしめてきてお腹をさすっ
てくれる。
いよいよ 絞殺か毒殺かと悩むが 丁度里から戻ってきた鬼女が 包丁を多く持っ
てきたので ひとつくすねて これで刺そうと思う。そこは袴姿の少年が来てシン
が凪魚の伴で怪我をしたというので慌ててシンのもとに行く。ところがシンは凪魚
と遊女を買いに行って女に引っかかれたとしり 包丁で襲いかかるがシンは受け止
めて 春を買うというのが女を買うとしらなかったという。可愛い嫁がいるからし
ないと言ったので遊女に引っかかれたという。紅葉の手が冷たい水で荒れて可哀そ
うだから 春が欲しかったというのだ。紅葉が嫉妬したとシンは嬉しそうだ。
紅葉は酒が好きなのでシンは亀綾のところの湧水は酒になるのだといい 取りに行
こうと。夜こっそりいき飲むと とてもおいしい。二人で瓶に汲んでいると亀綾と
白狐が逢引きをしている。紅葉は慌ててシンに見せないようにするが 亀綾に見つ
かり シンは罰として1週間紅葉に触れられない術をかけられて泣きべそをかく
祭りの準備をしているとき 紅葉は両手に火傷してしまう。シンがひどく心配して
両手を包帯で巻いているので ご飯を食べさせてくれる。いつも心配して優しい
シンにどんどん気持ちが傾いていく紅葉だ。
谷でアオメという化け物の卵があったので注意しろとシンがいう。魂がなくてただ
食欲だけで牛でも食べられるくらい大きくなるという。凪魚たちみんなが退治する
ので探しているが 夜は絶対出るなという。紅葉は これに食べられたことにして
逃げようと思う。早速山の中を逃げる。一緒にいられなくてごめんと言いながら。
しかしシンはすぐ気が付いて 探している。紅葉と必死に呼んでいる。シンが見え
たがそのまま行こうとすると 後ろからアオメがシンを狙ってる。シン!と叫んだ
がシンは紅葉を食べたと思い戦い始める。しかし思いっきり弾き飛ばされる。思わ
ず紅葉は駆け寄るがぐったりしていて 紅葉に逃げろと言う。紅葉は胸の懐剣で戦
い仕留める。
シンは肋骨を折っているので安静にしなければならない。山母に呼ばれると紅葉だ
け残された。懐剣をみせよといわれ これはわらわのだと山母はいう。そしてシン
は人間だという。里で双子が生まれると 一人は山に捨てる。それを育てたのだ
という。本人は半人前と思っているのだ。だから人の嫁を貰ったと山母はいう。
紅葉が男だとほとんどが鼻がきくからわかっているとおかしそうに笑う。紅葉が
シンを迎え位に行くと 青鬼のカナと話していて 紅葉は山や鬼が嫌なのかなと
いう。カナは紅葉は里に返して違う嫁を貰ったらどうだという。面倒なら殺すか
と物騒なことを言う。シンは紅葉が大事だという。
紅葉が家に帰ると シンは村に帰りたいかと言う。帰りたいと言ったら返すのかと
きくと 返すという。紅葉はショックだがありがとうという。シンが寝ているので
そっと紅葉は俺は男なんだと いい嫁さんをもらえよという。大好きだったよと
囁く。
懐剣をカナに渡し山母に返してくれと頼む。シンに抱き着いてキスをして さよう
なら ありがとうという。カナと紅葉は山を下りるが途中で 山に人が侵入したよ
うだと帰っていく。紅葉が村に着くと鬼の首を持っていないといい 芳一が殺され
ると騒ぐ。芳一は志乃の恋人で 剣士が鬼を殺さないと志乃が攫われるからと鬼を
殺しに行くと 山に登ったという。しかも紅葉の剣を持って。紅葉はすぐに山に引
き返す。もう山のものではないと言われるが シンが危ないと言うとカナ兄が出て
きて 山に連れて行ってくれる。先にシンたちが戦っているのが見えるが 同じ
顔をしている。芳一は双子の片割れだ。怪我をしているシンがやられそうになり
紅葉が芳一の相手になる。芳一は強い。紅葉は最後抑え込み 殺そうとしたがシン
と同じ顔を殺せない。雷が轟き 多くの妖かしたちがおりてきた。山母の姿も見え
る。鬼が芳一を雷で殺そうとするが シンがやめてくれという。雷は人を殺すため
のものじゃないと 紅葉に教わったと。
芳一は殺してもいいが志乃に手を出すなと。シンはそんなことはしないと芳一を返
す。紅葉は芳一に 山に鬼なんていないと 鬼は人の心にいるんだという。紅葉は
シンを小屋に連れて行き寝かせる。シンは抱きしめてキスしたいと。キスをすると
我慢できなくて 紅葉はごめんと謝る。シンは男でも気にしないというので驚く。
紅葉が泣くと抱きしめて 怪我が治るまでいてくれるか 嫁にきてくれるかという。
紅葉は黙って頷く。
2月経ってやっと怪我が治った。二人でそわそわしてご飯を食べるが もうシンは
我慢できなくて 途中で抱き着いてくる。シンは胸から始まり体中を嘗めてくれる。
紅葉は気持ち良くてぼんやりすると 咥えられて飛び上がるが そこまで愛してく
れるのが嬉しい。白狐からもらったという薬を後ろに塗り シンがほぐしてくる。
それだけでも いってしまいそうだ。シンが入ってきて痛いけれど 少しずつ快感
の波がやってきて 抑えきれないほどになる。一緒にいって やっと夫婦だと二人
でたった一人の愛しい存在を抱きしめた。
里が賑やかだなとシンがいう。今日は芳一の婚儀だと紅葉が言う。里にお供え物を
とりにいったとき鯛と手紙があったと。二人でより添い 日々を感謝し茜空を見る。