松原みき『REVUE』1983

'83年4月リリースの松本隆×細野晴臣という豪華コンビによるシングル「Paradise Beach(ソフィーのテーマ)」が日立マクセルCFソングに起用され久々のチャートイン、このタイミングで初のベスト・アルバムもリリースし、ここで初期路線の総決算という感じ(?)。
スティーリー・ダン風味をモチーフに後藤次利色が強かった、若干硬派路線の前作『彩』からまた雰囲気が変わり、全10曲中6曲を林哲司さんがアレンジを手掛け、林さんの他に根本要(STARDUST REVUE)/佐藤健/山川恵津子/伊藤銀次(敬称略)というメンバーが楽曲提供したアルバム。バッキングについては、これまでの数作のように特定のバンドが入って制作されたわけではなく、入れ替わり立ち替わりで正確なレコーディング・メンバーは分かずクレジットは不完全なよう(?)。アルバム・タイトルの"REVUE"の通りショー・アップされたような印象というか、いつも以上に華やかで楽しいムード、かつ林哲司サウンドも相まって、個人的には松原みきさんのディスコグラフィーで最も万人受けしそうなアルバム。シングル曲「Sweet サレンダー」にしても楽しいアップ・ナンバーですが、まさにスタレビな冒頭「ムーンナイトレビュー」、ザ・林哲司なミディアム・ソウル「雨のちハレルヤ」、シャカタクっぽい「シャンデリア・ミラージュ」と心躍るようなナンバー揃い。歌詞も星や月、パーティの情景を描いてキラキラしています。あとラスト三曲「スターダスト・レイン」~「風のフォトグラフ」~「もう一度Fall in Love」が連続で林哲司作品、ここで急にオメガトライブ~菊池桃子的NAV風サウンドになる(特に「風のフォトグラフ」はそのもの)のもまた見過ごせないというか、林さんのミューズ感がたまりません。単純にアルバムとしての完成度という意味なら3rd『―Cupid―』を筆頭に他にも良作揃いの松原さんですが、聴きやすさの面では上位に来るのでは。
※ 2023年にポニーキャニオンからUHQCD化されています。
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