bittersweet | アングル<side Y>(山口×月島) HQ!!
bittersweet
自作BL・GL/二次創作BL 日常ゆるゆる雑記 好きなものを、好きなように、好きなだけ。

はじめに
 個人的な趣味で小説を書いています。
 二次創作を扱っていますが、出版社、原作者等、いかなる団体とも一切無関係です。
 オリジナル・二次創作ともにBL・GL要素を含みますのでご注意ください。
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Author:hiyu
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本と猫とコーヒーとチョコがあれば生きていける。ような気がする。
野球と映画があれば、なお良し。
玉ねぎとお豆腐とチーズが無いと落ち込みます。

画像はPicrew「とーとつにエジプト神っぽいメーカー」さんから。


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(2018/12/15更新)

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アングル<side Y>(山口×月島) HQ!!
 前出「アングル」の山口視点バージョンです。
 できれば、<side T>を先に読んでいただけると、分かりやすいと思います。
 無自覚にやきもち妬いてるツッキーに対して、こっちはちゃんと自覚中。
 そしてスルースキルも発動。
 やはり山口、ハイスペック。

 山口×月島
 山口視点





   アングル<side Y>

 トイレから出て廊下を歩いていたら、クラスの女子がノートの山を抱えてふらふらと歩いていた。
 俺は早足でその子に追いついて、その山の4分の3ほどをひょいと持ち上げた。
 急に視界が広がり、重みが消えたことに、その子は驚いたようだったけれど、俺の姿を確認して、ああ、と微笑んだ。
「ありがとー、山口くん」
「こんなにたくさん、1人じゃ危ないよ」
「そう思ったんだけど、先生が運べって」
「ひどいね、こういうのは男子生徒に頼めばいいのに」
「たまたま私が近くにいたからだと思うんだけど」
 彼女はうーん、とうなって、本の数冊になったノートを胸に抱え込むような格好になった。
「どこに運ぶの」
「職員室」
 並んで歩きながら、彼女はありがとう、と再び言った。
 平気だよ、と答えると、彼女はほっとしたように笑った。
「山口くんってさ」
「うん」
「いつも親切だよね」
「そうかな」
「困ってる人、放って置けないタイプ?」
「うーん、そうでもないと思うけど」
「自覚ないんだね」
 くすくすと笑う。
「普通さ、こんな風にさりげなく親切にされちゃったら、もしかして私のこと好きだったりするのかな、って思っちゃうんだけど──」
 彼女は探るような目をして俺を見上げた。
「でも、その気は全くなさそう」
「あはは、ごめんね」
「素直すぎ。少しは期待させてよー」
 そう言いながらも、彼女はなんだか楽しそうだ。別に本気でそんなことを言っているわけではないのだと気付いて、俺も安心する。
「でもね、本当のところ、どうなの?」
「どうって?」
「山口くん、彼女いないよね」
「いるわけないよ。モテないし」
 苦笑しながら言うと、彼女は少しだけ、真剣な目をした。
「そんなことないと思うけどな」
「ないない。モテるのはツッキーみたいな人だよ」
「月島くん、かあ」
 うーん、と悩むような仕草をして、彼女は何か考えている。俺はしばらく黙ってそんな彼女の隣を歩く。
 ツッキーがモテるのは、昔からだ。
 実際、ツッキーはかっこいい。
 クールを通り越して、時々冷たいといわれることもあるけれど、それが本当の姿じゃないことを、俺は知っている。
 ツッキーは優しい。とっても。
 小さい頃からその信念はまっすぐで、妥協をしないのだ。自分に厳しく、甘やかさない。だから、少しだけ、人にも厳しい。
 ツッキーは優しい。その言葉は辛らつだけど、いつも間違ったことは言っていない。
「山口くんって、本当に月島くんのこと好きだよね」
 彼女が俺を見上げた。ツッキーと一緒にいるとあまり大きく見えないらしい俺だけど、実は180センチ近くあり、普通の女の子なら顎を上げて見上げないと、視線は合わない。
 隣を歩く彼女とも、20センチ以上の差があった。
「うん、好きだよー」
「迷いないねー」
「迷うわけないよ」
 にこりと笑うと、彼女もつられたように笑った。
「そんな顔されちゃうと、付け入る隙ないね」
「付け入るつもりもない、でしょ?」
「まあ、それはね──」
 彼女は、それからこそっと、自分の友達が俺のことをちょっといいなと思っているのだと教えてくれた。
「気持ちは嬉しいけど」
「分かってる」
 ノートを運びながら、俺は隣の彼女を見下ろした。小柄な彼女のつむじが見えた。部活では、日向や谷地さんのつむじも、こうやって見下ろすことができた。
 けれど、いつもの俺は、隣のツッキーを、ちょっとだけ見上げるようにして喋る。
 俺が一生懸命話しているのを、ツッキーは黙って聞いている。たまに相づちを打ちながら。
「山口くんは、本当に、月島くんが好きだよね」
 彼女がさっきと同じ台詞を口にした。
 その言葉に裏があるのか、それとも単純な乾燥なのか、どちらなのかは判断できなかった。けれど、邪気のない笑顔で俺を見上げる彼女を見ていたら、どっちでもいいような気がしてきた。
「うん、好きだよ」
「やっぱり、付け入れないなあ」
 はあ、と溜め息をつかれた。俺はそれに、気付かなかったフリをした。
「きっとね──友達も」
 彼女が諦めたように、言った。
「月島くんのことを好きな山口くんが、好きなんだと思うよ」
「そうだと嬉しいな。──ごめんね、ありがとう」
 俺が少し真面目に答えたものだから、彼女が一瞬、寂しそうな顔をした。けれどすぐに笑顔を作る。
「友達に、そう、言っておく、ね」
「うん」
 俺はうなずく。
 ツッキーを好きな俺、を好きになってくれてありがとう。そう言いたかったけれど、黙っていた。
「でも月島くんは、少し自覚した方がいいと思うの」
「何が?」
 俺は首を傾げる。
「もうちょっと素直にならないと、山口くんが誰かのものになっちゃうかもしれないってこと」
 まるで言い聞かせるように彼女が言ったので、俺はぷっと笑った。
「それは──多分、ないんじゃないかな」
 俺の答えに、彼女は呆れたように息をつく。
「やっぱり?」
「やっぱり」
 俺はうなずく。
 彼女は困ったようにそんな俺を見ていたけれど、諦めたように、肩を落とした。ノートをぎゅうっと抱き締めて、唇を尖らせて俺をにらむ。
「本当に、付け入れない人ね、山口くん」
 大げさにブーイングして、彼女はそれからにこりと笑った。
「それならもう、幸せになってもらいしかないかな」
 俺は苦笑して、なんだか急に元気に歩き出した彼女を追いかけるようにして歩調を速めた。
「ありがとう」
「お礼を言われるようなことはしてないです」
 わざとつんと横を向き、それからまた、俺を見た。そんな仕草がかわいくて、おかしくて、俺たち2人は顔を見合わせて笑った。
 職員室の前、視界の隅に、俺より背の高い姿が映った。ツッキーは俺たちに気付いたのか、そうでないのか、俺が声をかける前にくるりと後ろを向いて、去って行った。その後ろを、小柄な日向が追いかけていくのが見えた。
 ツッキー?
 気になったけれど、彼女と一緒に職員室に入り、ノートを置いた。言いつけた先生が俺たちをねぎらう。俺はそわそわとそれを聞いていた。ようやく解放されて職員室を出てみたが、もちろん、もうその姿は消えていた。
「ありがとね、山口くん」
 後ろからぽんと背中を叩かれて、俺は振り返る。彼女はにこにこと俺を見上げている。
「助かっちゃった」
「あ、うん。──じゃあ、教室、戻るから」
「なら一緒に──」
 彼女の言葉を俺は最後まで聞かなかった。廊下を走ってはいけない。だから、俺はなるべく早足で教室へと向かった。入り口の前で少しだけ息を整えて、俺は扉を開く。
「ツッキー」
 声をかけたら、日向の方が早く振り向いた。ツッキーは何事もなかったかのような顔をして、俺を見た。職員室の前でその姿を見かけたことを、俺が気付いていないと思っているみたいだった。だから俺は、今始めて気付いたかのように、言った。
「あれ、日向。何してたの?」
 日向はにこにこしながらツッキーの席の前の椅子に腰掛けて、寄っただけだと言った。俺は少しだけ日向と世間話をした。途中、ツッキーが溜め息をついた。
「どうしたの、ツッキー」
 思わずそう問うと、ツッキーは少しだけ驚いたように俺を見て、すぐに視線をそらしてしまった。
 話が一区切りついたからか、日向が自分の教室へ戻っていく。俺はそれを見送って、それからもう一度呼びかけてみた。窓の外を見ていたツッキーの顔を、わずかに覗き込むように。
「ツッキー?」
「何、話してたの」
 突然、そんなことを訊ねられて、俺はきょとんとした。
「さっき、職員室のところで」
 俺があそこにいたことに、気付いていたんだな、と思った。それなのに、どうしてツッキーは声をかけてくれなかったんだろう。
 俺がまた余計な面倒ごとを背負い込んでいるのを、呆れていたから?
「──ノート運ぶの手伝ってたところ、見てたの?」
 俺と彼女が笑い合っていたところを見ていたのだろう。まさか、ツッキーのことだとは言えないなと思った。ツッキーは、俺がよそでツッキーのことを話すのを、あまり快く思っていないから。
 でも、別に悪いことをしていたわけではない。だって、彼女は、俺とツッキーのことを、分かってくれていた。
 幸せになってもらうしかないかな、なんて言いながら。
「だから、何、話してたの」
 謝るべきなのかな、と考えていた俺は、ツッキーがいらついたような目をしているのに気付いた。
 ──もしかして。
 俺は、急激に、口元が緩んでいくのを抑えられなかった。
 俺に声をかけないで去って行ったのも、今こうしてその話の内容を知ろうとしているのも、やきもち妬いてるからってこと?
「ツッキー」
 思わず名前を呼んだ。スピーカーからチャイムが鳴り響き、俺のその声は、ツッキーに届く前にかき消されてしまったかもしれない、と思った。
 ツッキーはまだ、どこか不機嫌そうに俺を見ている。
「──あとで、教えてあげる」
 俺は必死で、あふれてくる笑みを抑える。
 自分の席に着いて、授業が始まっても、俺は窓際の席に座るツッキーの姿から目を離せなかった。ツッキーは頬杖をついたまま、ずっと窓の外、時々ホイッスルの音がする校庭を眺めていて、一度もこっちを見てくれることはなかった。
 彼女には悪いけれど。
 俺が、ツッキー以外の誰かのものになるなんてことは絶対にない。
 それだけは、断言できた。
 もしツッキーがそれを迷惑だと思っていても。
 俺はきっと、ツッキーから離れたりしないんだろうな、と思った。
 授業が終わるのが待ち遠しかった。
 校庭から聞こえていたホイッスルの音は、ツッキーの姿を見つめるのに夢中になっていた俺には、いつの間にか聞こえなくなっていたのだった。

 了


 お互いが、「誰にもやらない」、「離れたりしない」と思っているのに、伝わっていない、の図。
 ビバ、両片思い!
 うずうずしますね。
 お互い好きなのに、ちょっとすれ違ってる感じ。

 ちなみに、彼女は「友達が」って言ってますが、本当は自分が山口のことを好きなのです。
 山口は途中でそれに気付きます。
 分かりづらくてスミマセン。
 ……もっと精進します。

 次の休み時間にちゃんと答え合わせして幸せになるといいな。
 頼むぞ、山口(笑)




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