bittersweet | 秘密(山口×月島)
bittersweet
自作BL・GL/二次創作BL 日常ゆるゆる雑記 好きなものを、好きなように、好きなだけ。

はじめに
 個人的な趣味で小説を書いています。
 二次創作を扱っていますが、出版社、原作者等、いかなる団体とも一切無関係です。
 オリジナル・二次創作ともにBL・GL要素を含みますのでご注意ください。
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hiyu

Author:hiyu
冬生まれ。
本と猫とコーヒーとチョコがあれば生きていける。ような気がする。
野球と映画があれば、なお良し。
玉ねぎとお豆腐とチーズが無いと落ち込みます。

画像はPicrew「とーとつにエジプト神っぽいメーカー」さんから。


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●現在は、HQ!!04(黒尾×月島)のSS1本です。
(2018/12/15更新)

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秘密(山口×月島)
 黒尾と月島という組み合わせが大好きですが、山口と月島も好きです。(あと、密かに赤葦と月島なんてのもいいなぁ、と思っていたりする)
 山口はいいよね。ステキですよね。いい子ですよね。
 かわいくて仕方がないのです。
 嶋田マートさんとでも良かったけど、やっぱり基本はツッキーかな。

 山口×月島
 山口は幸せにせねばなりません。
 これは絶対です。
 




   秘密

 例えば、手紙を渡してと頼まれた、とか。
 呼び出されるときの窓口にさせている、とか。
 話がある、と声をかけられたときに素早くその場を離れる、とか。
 僕の隣にいつもいる山口が、当たり前のようにそんなことをする。
 それが僕は、気に入らない。

「ごめん、ツッキー。また頼まれた」
 山口が差し出したのはアイボリーのシンプルな封筒で、宛名は僕。差出人は書いてないが、その文字から女の子からのものだと分かった。
 僕はそれを一瞥し、いらない、と答える。
「え、でも、渡すって言っちゃったし……せっかく書いてくれたんだし」
「うん、でも、いらない」
「ツッキー」
 山口が情けない顔ををして僕を見上げる。180センチ近くある身長なのに、僕と話すときは少し顎を上げることになる。
 山口はいつも、こうやって僕をいらつかせる。
 僕は封筒を奪うように受け取り、そのまま鞄に突っ込んだ。
「ちゃんと読んであげてね」
「うるさいな」
 僕はヘッドフォンを装着し、目をそらした。山口がまだ僕の方を窺っているのは間違いなかった。困ったような、それでいて安心したような、そんな顔で。
 困った顔は、僕に悪いことをしたと思っているから。そして安心したような顔は、僕がちゃんと手紙を受け取って鞄に入れたから。多分、そうなのだろう。
 山口は優しすぎる。
 そしてそれも僕をイラつかせる原因だ。
 僕があまりにも近寄りがたいのか、話しかけずらいのか、その分山口がいつも笑顔で愛想よく周りと接する。そのおかげで面倒を背負い込んでいることも厭わず、今日も愛想なく返事をする僕の代わりに周りとのコミュニケーションを図っていた。
 優しさは人に付け入られる隙を生む。山口はいつも周りの人間に利用される。面倒ごとを押し付けられても笑顔でそれを引き受ける姿を数え切れないほど見てきた。
 断ればいい、と忠告しても、、でも困ってるみたいだし、と答える。困っているはずがなかった。山口の人の良さに漬け込んで、すべて押し付けているだけだ。それでも山口は笑顔で答える。
 俺で役に立てるなら、嬉しいから。
 山口は馬鹿だ。
 そんなことで喜ぶなんて、どうしようもない馬鹿だ。
「ツッキー」
 山口の声が聞こえた。僕は遠くを見つめたまま、何の反応も示さない。
「ごめんね、ツッキー」
 まるで口癖のような山口の台詞。この言葉を、今まで何度聞いただろう。
 ヘッドフォンから聞こえる音楽は、いつも音量を押さえている。この声が聞き取れるように。
 山口はそれを知らない。僕には何も聞こえていないと思って話しかけている。謝ったら僕に怒られることを知っていて、ヘッドフォンをつけているときに。
 山口は馬鹿だ。
 利用されることを喜んでほしくはなった。
 それが僕に関係することならば、尚更。

 並んで歩く帰り道は、いつも山口ばかりが喋っている。僕は時々それに返事をしてやる。
 隣を歩く山口のびょんと伸びたあほ毛が歩調に合わせて揺れる。ゆらゆらと。
「それでね、ツッキー」
 僕を見上げた山口が、きょとんとした。僕が無言で山口の頭を見ていたのに気付いたらしい。
「何? 何かついてる?」
「別に」
 僕がそっけなく答えると、山口は首をかしげた。また、突っ立った髪の毛が揺れた。それを見つめたままでいたら、山口が困ったように眉を寄せた。
 そばかすの浮いたその顔が、不安そうに変わる。
「その顔、やめてよ」
「え?」
「何ですぐそうやって不安そうな顔するの?」
 山口はぴしりと硬直した。
「どうして山口は、僕の顔色ばかり窺うの?」
「ご、ごめん、ツッキー」
「そうやって謝るのも──」
「ごめん」
 山口がうつむいたままつぶやいた。
「だから、どうして」
 山口がこんな風に不安げな顔をしたり、謝り出したのはいつの頃からだっただろう。小学生の頃から当たり前のように一緒にいるのに、僕はそれを思い出せなかった。
 元々、山口はすぐにごめん、と言う。口癖ならば仕方がない。けれど昔はもっと違っていた。ごめんね、ツッキー。いつも笑顔でその言葉を口にした。だから僕はいつも山口に言う。
 本当にごめんって、思ってないでしょ。
 すると山口はもっと笑顔になって、ごめんね、ツッキー、と答えるのだ。
 僕だって本気で怒っていたわけじゃない。山口が笑ってそう言うのを分かっていて、わざとそっけない態度をとったりしていた。
 いつから、山口は僕の顔色を窺うようになったんだろう。
「手紙、受け取らないって言ったよね」
「うん」
「呼び出されるのも嫌いって言った」
「うん」
「なのにどうして山口は、僕の嫌がることをするの?」
「ごめん、ツッキー」
「謝ってほしいわけじゃない」
 山口はうつむいたままだ。
「理由を聞いてるんだよ。どうして?」
 山口は答えない。答えたくないのか、答えられないのか、どちらなのかは分からなかった。
「山口」
 強めに名前を読んだら、びくっと身体を震わせた。別に脅かしたかったわけじゃない。だから僕は溜め息をついてもう一度、今度はさっきより優しく呼びかけた。
「山口」
「──ツッキーを困らせたいわけじゃない」
 小さな声で山口が言った。
「手紙も、呼び出しも、本当はすごく嫌はってるって知ってる。でも、遠まわしにそれを言っても、女の子たちはみんな押し切るんだ」
 遠まわしじゃなくてストレートに言えばいいのに。僕がどんな冷たくて嫌なやつだと噂になっても、別に気にしない。その方がよっぽどせいせいする。
 けれど山口はきっと、僕が悪く言われたりするのが嫌なのだろう。だから必死でフォローする。そんな姿が目に浮かんだ。
「どんなに断っても、もう俺の話なんて聞いてくれないんだ。とにかく渡してくれ、呼び出してくれって言われる。あの子達はみんな本気でツッキーのことが好きで、どんな小さなチャンスでも逃したくないんだ。そうなっちゃうと、もう俺が勝手にそれを断ることはできないんだよ、ツッキー」
「どうして。嫌だって言えばいいだけでしょ」
 山口はゆるゆると顔を上げた。すごく傷ついた顔をしていた。これは僕のせい?
「俺だって嫌だよ。でもあの子達の本気が、俺にはよく分かるんだ。だって俺は──」
 その表情が悔しさを滲ませた。そして怒りをはらむ。それは僕に対してというよりは、自分自身に対して。けれどすぐにそれを否定するかのように首を振る。
「ツッキーは断れって言うけど、俺にはその権利はないんだよ。──断ったときに聞かれるんだ、どうして? って。押し切られたらもう無理なんだ。それを受け取ってやるしかできない」
 山口のこんな表情はあまり見たことがなかった。
 僕の知る山口は、いつもにこにこしていて、ツッキー、とまとわりつくように声をかけてきて、時々、真面目な顔で僕を見つめる。
 ツッキーはすごいね。
 そんな風に言いながら、山口が笑う。僕はそれを当たり前のように聞いている。
 不安そうな顔や、今みたいな悔しそうな、怒ったような顔は、僕の知る山口ではないから。
 ああ、そうか。
 僕は山口を見下ろしながら、ようやく気付いた。
 僕が山口にいらついていたのは、そこに僕ら以外の誰かが介入してから、あの笑顔を見ることがなくなったからなのだ、と。
 山口が誰かのために骨を折る。やらなくていいことを、わざわざやる。僕が迷惑していると知って、それでも僕や、その女の子たちのために手紙を受け取る。
 そんなことをする必要なんかないのに。
 山口が僕の顔色を窺うようになったのは、きっと、そんなことが多くなってからだ。
 ますます不機嫌さを増した僕に気を使っているのか、それとも昔のように何も考えずに付き合い続けることが辛くなったのか。
 どちらにしろ、僕は今の山口の姿は見たくない。たとえ僕のためだとしても。
「理由が欲しいの?」
 僕は訊ねる。
 山口の表情が少し変わった。突然の問いに戸惑うように。
「山口が、僕のことに口出しできる理由が欲しいの?」
 理解するまでに少し時間がかかった。山口は表情を引き締めて、口を開いた。
「欲しい」
「なら──」
 僕は少しだけかがんで、山口の唇に自分の唇を重ねた。それはほんの短い時間だった。二人とも目は開いたままだった。至近距離でまともに視線がぶつかり、山口がみるみるうちに目を見開いて驚きを表した。
 重なっていた唇が離れると、山口がその場にずるずると崩れ込むように座り込んだ。
「ツ、ツツツ、ツッキー?」
「理由」
「え?」
「これで理由になるでしょ」
「な、なるのかな?」
「なるでしょ」
「でも、キスしただけでそんな権利って──」
「好きでもないやつとこんなことするわけじゃないんだから」
 ぶわっと、音が聞こえるんじゃないかってくらい、山口が突然赤面した。
「す、好きって」
「好きなんじゃない」
「お、俺も、ツッキーのこと好きだよ」
「うん、知ってる」
 山口は急に脱力し、うつむいて、はあぁ、と息を吐き出した。
「俺、ずっと黙ってるつもりだったのに」
「無理でしょ、そんなの。──ああ、これからは、僕のために利用されて笑ってるとか、止めてよね。あれ、すごく腹が立つ」
「でも、ツッキー」
「どうせ僕のため、と思ってるんでしょ。でも違うから。本当に僕のためとか、僕が喜ぶかもって思ってるなら、間違いだし」
「そうだね」
「あんなことされて喜ぶとかあり得ないから」
「うん、ごめんね、ツッキー」
 山口が謝る。その表情には笑みが浮かんでいる。
「もうツッキーの嫌がることはしない。手紙もちゃんと断る。──あとは、どうすればいいのかな。俺、どうしたらツッキーに喜んでもらえる?」
「今までどおり笑ってればいいんじゃない? ごめんね、ツッキー、って、今みたいに笑えば?」
 山口は両手で顔を覆ってしまった。泣いているのかと思ったら、逆だった。顔を赤くして笑っていた。
「何で隠すの?」
「だって、恥ずかしいよ、ツッキー」
「恥ずかしいのはこっちなんだけど」
 僕は山口の正面にしゃがみ込む。腰が抜けたように座り込んだままの山口と目線の高さを合わせた。覆った顔はまだ隠れたままだ。僕は目の前にへなっと垂れ下がる山口の飛び出た髪をくんっと引っ張る。山口が指の隙間から僕を見た。
「いつまでそんなこと座り込んでる気?」
「うん、ごめん、ツッキー」
 山口は笑顔でそう言ってから、僕を見つめた。
「本当にいいのかな」
「何が?」
「ツッキーのことに口出しする権利、もらっても」
「いらないの?」
「ううん、欲しい。すごく欲しい」
 身を乗り出した瞬間、髪の毛が揺れた。さっきみたいにゆらゆらと。この揺れるあほ毛が愛しい、と思っている、なんて言ったら、山口がどんな顔をするか想像しておかしくなった。
「なら、いいんじゃない。早く立ちなよ」
 僕は一足先に立ち上がる。山口もようやく腰を上げた。座り込んでいたせいで制服が汚れていた。山口は慌ててその汚れを手で叩き落す。
「今度からは、あんな顔しないでよね」
 制服を叩きながら、山口がきょとんとする。
「手紙受け取るだけで、不安そうな顔とか、安心したような顔とか」
「ああ、だって、それは──」
 山口はもじもじと恥ずかしそうにしながら僕を見る。
「ツッキーを怒らせてるなって思って不安だったし──」
「だったら」
「でもツッキーがその手紙に興味ないって分かって、安心したし」
 僕は意表を衝かれた。てっきり、あの安心した顔は、僕が手紙をちゃんと受け取ったからなのだとばかり思っていた。
 それが──
「どんなに嫌だって思ってても、やっぱりかわいい女の子からの手紙だったら嬉しいんじゃないかなって。だからツッキーが乱暴に鞄に突っ込むの見て、ほっとしてたんだ、いつも」
「ば──馬鹿じゃないの。手紙見ただけでかわいいかどうかなんて、分かるわけないでしょ」
「あ、そうか、顔知ってるのは俺だけなんだっけ」
 山口は馬鹿だ。
 そう言おうとしたけど僕は自分の体温が急激に上がるのを感じて右手で口元を覆った。
「──ツッキー?」
 山口が驚いたように僕を見る。
「え、何でそんなに真っ赤なの?」
「うるさい、山口」
 僕は素早く背を向けて歩き出す。
「ツッキー?」
 山口が慌てて追いかけてくる。
 追いついた山口に、僕は振り向かずに言った。
「次からちゃんと断ってよね」
 顔を見なくても、山口が満面の笑みを浮かべたのが分かった。
「うん、ツッキー」
 そう言う声は喜びに溢れていて、僕は赤みの増す顔を山口に見られないように必死だった。
 山口のくせに。
 そう思ったけれど、そんな感情はとても子供じみていた。
 正直に認めると、この日から、僕は山口の笑顔に心が揺らぐ。いつの間にか、無邪気に僕を慕っていただけの笑顔ではなく、とても男らしく見えたからだ。
 山口のくせに。
 それはもう、ただの負け惜しみに聞こえた。

 それから、今まで僕専用の窓口だった山口が、僕に関するすべての頼まれごとを断るようになった。理由はいつも「ツッキーには好きな人がいるから」で、その噂は瞬く間に広がった。
 そのおかげで僕は毎日のようにその相手が誰なのか訊ねられる。人とあまり接しない僕がこうなのだから、山口に対する質問の量は僕の比ではないはずだ。
 相手を教える気はない、と山口は断っているようだが、あまりにしつこいとこう答えているらしい。
「それは俺とツッキーだけの秘密なんだ」
 それ、際どすぎない?
 そう言うと、山口は少し余裕のある表情で僕を見てから、
「ごめんね、ツッキー」
 と笑うのだった。
 その笑顔が僕だけに向けられていることに、毎回気付かれないように顔を赤らめてしまうのは、山口には、秘密だ。

 了


 ツッキーの喋り方がかわいいよね。「僕」とか、「でしょ」って。
 そんで、ツッキーツッキー言ってる山口もかわいいよね。
 この二人って、とてもかわいいですね。
 だから好き。

 山口は、優しいし、芯が強そうなので、自覚したらめちゃくちゃかっこいいんだろうな。
 谷地さんとほんわかしてる山口(おお、NLだ。しかし、多分私は書かない)も好きなんですが、やっぱツッキーだな。

 山口を、幸せにしよー。
 ツッキーも幸せにしよー。
 おー。




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