bittersweet | day by day(及川×岩泉)
bittersweet
自作BL・GL/二次創作BL 日常ゆるゆる雑記 好きなものを、好きなように、好きなだけ。

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 個人的な趣味で小説を書いています。
 二次創作を扱っていますが、出版社、原作者等、いかなる団体とも一切無関係です。
 オリジナル・二次創作ともにBL・GL要素を含みますのでご注意ください。
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Author:hiyu
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野球と映画があれば、なお良し。
玉ねぎとお豆腐とチーズが無いと落ち込みます。

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(2018/12/15更新)

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day by day(及川×岩泉)
 私、この二人好きなんですが、やっぱり岩ちゃんだなー、と思うのです。
 もうセットだよねぇ。
 離しちゃ駄目だよねぇ。
 他カプ推奨の方には悪いのですが、この二人に関しては、固定。
 私、基本、受け側は誰とでも組み合わせちゃっても平気なんですが、岩ちゃんだけはねぇー。
 
 てなことで、
 及川×岩泉
 シチュエーションは危険ですが、私が書くので、健全です。
 健全以外は書きませんとも。





   day by day

 幼馴染みって言うのはとても面倒だ。今さらただの友達には戻れないし、だからと言ってこの関係をすっぱりと断ち切れるわけがなかった。
 と、言うよりも、長年積み重ねてきたこの関係が簡単に崩れるとは思えない。
 それはいつ、何時でも。
 小さな頃から一緒にいたから、などと言うのは簡単だ。けれどそれだけではない。互いの意識の問題だ。
 あいつはいつも俺を一番に考える。
 俺も多分、そうなのだろう。
 俺が何か行動を起こせば必ずあいつが傍にいて、追い抜いたり、前を行かれたりしながらも同じ道をたどってきた。
 気がつけば隣にいて、それが当たり前のように感じていた。
 お前の考えていることが分かる。
 そう、思っていた。
 小学生で始めたバレーを、今でも俺たちは続けている。そして、コートの中で、間違いなく、俺はあいつの考えが分かっていた。向こうもそうなのだろう。だからこそ、俺たちは阿吽の呼吸でコートを支配できたのだ。
 あいつがトスを上げるタイミングが分かる。
 俺が跳ぶタイミングがあいつには分かる。
 スパイクが決まったとき、お互いに合わせる視線だけで、俺たちはその関係性を、そして絆を深めることができた。
 コートの中にいる俺たちは、その存在だけで強くなれると思っていた。
 人生は長い。 
 同じコートにいられるのは、あとどのくらいなのだろう。そんなことを時々考えた。
 高校を卒業しても、大学でそれを続けることはできる。大学を卒業したら、社会人で。
 けれど本当にそんな未来はあるんだろうか。
 もしかしたらこの先、俺たちが一緒にコートに立つことはもうないんじゃないだろうか。そんな風に考えて不安になったことは一度や二度ではなかった。けれど俺はそれをあいつに言うことはなかった。
 俺の不安を、あいつは気付いていたのかもしれないけれど。
 けれど少なくとも、それはもう少し先のことだとばかり思っていた。
 俺たちの高校生活はまだわずかだけど残っていて、二人でコートにいられる時間もちゃんと存在していた。
 それなのに。
 目の前の及川が、じっと俺を見つめていた。
 どのくらい時間が経ったのかも分からなかった。
 汗で濡れたTシャツも、もうとっくに冷えてしまっていた。

 最後の大会のために二人で居残り練習をすることが増えていた。今日もそうだった。
 思う存分身体を動かした。今までに培われてきた信頼が絶妙なコンビプレイを生む。こいつのトスを完璧に打てるのは俺だけだった。そして、俺に完璧なトスを上げられるのは、こいつだけだった。
 練習を終えてコートの真ん中に大の字になった俺に、及川が笑いながら近付いてきた。
「駄目だなぁ、岩ちゃん。このくらいでへばっちゃ」
「うるせぇ」
 俺は大きく呼吸を繰り返し、その息を整えていた。悔しいことに、及川は俺ほど息を乱してはおらず、俺のそばに立ったままTシャツで汗を軽く拭ってそのまま俺を見下ろしていた。その余裕のある表情が気に入らなくて、右手でしっしと追っ払う仕草をしてやる。
「俺は犬じゃないよ」
 及川が苦笑する。俺の顔を見下ろすようにしていた及川の長く流れた髪の先から汗が落ちた。それは俺の顔のすぐ横で、床に当たったぽたんという音となり、俺の耳に聞こえた。
「すげー汗」
「岩ちゃんのほうがすごいよ」
 確かに俺は汗だくだ。数え切れないくらいのスパイクを打った。及川のトスが上がるたび、俺の心が弾んだ。完璧なコース。俺が打ちたいと思うその場所に、きちんと上がるそのトスを、永遠に打ち続けていたい、とさえ思った。
 体育館の扉は閉まっていたが、二階席の上部にある窓は開いていた。わざわざハシゴを上って開閉しなければならないその窓は、時々外からの風を取り込んでくれるが、体育館の天井付近を行き来するだけで、コートにはほとんど影響を与えない。
 けれどさすがに部活終了時間からかなりの時間が経つ。夕方を過ぎればそんな窓からも外の冷えた空気を感じることができた。冷たくなった空気が下へと流れ込んでくるからだろう。
 俺はしばらく目を閉じてその冷たさを堪能していた。熱を持つ身体が少しずつ冷めていく。
 ぽたん、とまた音がした。
 及川がまだ俺を見下ろしているのだろうと考えた。うつむいたその顔に、重力によって垂れ下がる前髪が影を作る。そしてその髪を汗のしずくが伝う。そんな姿を頭の中で想像した。
 運動後の、身体を支配するようなこの気だるさが好きだ。
 寝転がったまま、指一本動かせないくらいの倦怠感。息を整えるための呼吸。少しずつ引いていく汗。
 もうすぐそれから回復して、俺は立ち上がる。そしてこのコートを後にする。
 そしてまた、明日、同じようにこうして身体を疲労させるのだ。
 あんなに暑かったはずの空気が、いつの間にか涼しくなっていた。
 汗はもう、引き始めていた。
 目を閉じていた俺の顔に、影が落ちる。明るさを感じていたはずのまぶたの裏が、暗くなった。
 俺は目を開ける。
 目の前に、及川の顔があった。
 いつの間にか及川は俺にまたがるような格好で、両手を俺の頭の両サイドについて身体を支えていた。
「何だよ」
 何かの冗談だろうと思い、俺は笑う。けれど及川は黙っている。無表情のまま俺を見下ろすだけだった。
 毛先が濡れていた。けれどしずくはもうない。
「及川」
 名前を呼んだ。けれど返事はない。
 すうっと、俺の身体が冷えていくのを感じた。
 及川の目は真剣だったが、そこに焦燥はない。ただ、俺を見下ろしている。
 俺の身体はまるで金縛りにあったかのように動かなかった。
 そしてなぜか、俺は及川から目が離せなかった。
 幼馴染みなんていうものは、子供の頃から同じ時間を過ごしている。大抵の思い出はほとんど共有していて、俺が何かを思い出すとき必ずそこには及川の存在がある。
 俺は及川のこんな目を、知らない。
 どこか寂しそうで、苦しそうで、けれどまるで大事なものを見守るような、そんな目。
「岩ちゃん」
 ようやく口を開いた。
「岩ちゃん、岩ちゃん──」
 何度も。俺の名前を呼び続ける及川は、なぜか今にも泣きそうだった。
 ああ、俺はこの声を知っている。
 子供の頃、公園で一人、膝を抱えて泣いていた姿を思い出した。そんな及川を、俺がよく迎えに行ったものだった。
 何があったのかは聞かなかった。想像はできた。昔から及川は女の子に囲まれていた。友達は女の子ばかりで、それをよく近所の男の子たちにからかわれていた。
 今はふてぶてしくモテる自分さえも武器にするこいつだが、昔はそうやって一人で泣いていた。だから、俺はこいつを探しに行って、泣き止むまで隣にいてやった。
 岩ちゃん。
 泣きながら俺の名前を呼んだ。何度も。
 ちゃんと傍にいてやる、と俺はこいつを慰めた。
 抱きついてわんわん泣く及川を、しっかりと支えて。
 あのときの姿に、目の前の及川が重なった。
「ごめん、岩ちゃん。もう無理なんだ」
 本当に泣き出してしまうかと思った。けれど及川はそれを必死でこらえる。
「もう、俺は、我慢できないんだ」
 何に。
 そんなことは分かっていた。本当は。
 けれど気付かないフリをしていた。
 だって、それを自覚してしまったら、終わってしまうような気がして。
 多分、こいつも同じだったに違いない。だからこそ、こんなに辛そうな目をしている。
 きっと、たった一言で俺たちの関係がすべて終わると思っている。
 俺も、こいつも。
 及川は俺を見下ろしている。俺の顔の横、身体を支えるように床についた及川の両手が震えていた。
 俺も及川も、しばらく黙って見つめ合っていた。
 汗は完全に冷えていた。貼りついていたTシャツが肌に冷たくて、身を震わせそうになった。
 二人でコートに立てる時間は、あとどのくらいだろう。
 気付かないフリをしていたのは、その時間を少しでも長引かせたかったからだ。
 俺のスパイクが、及川のトスが、いつかお互い以外の誰かにしか存在しなくなることがあるのだろうか。
 もう少しだけ、俺はこの時間にすがっていたかった。同じコートに立ち、誰も叶わないようなコンビネーションを、一つになる呼吸を、感じていたかった。
 冷え切った身体を、どうしていいか分からない。
「岩ちゃん」
 及川が俺を呼ぶ。
「──終わっちゃうのかな?」
 ああ、泣く。
 及川の目から、今までこらえていた涙が溢れる。それはぽたぽたと俺の頬に落ちる。
「もう、俺たちは、これで終わっちゃうのかな」
 子供みたいに。一人で膝を抱えていたあの頃のように、l及川が泣く。
「言っちゃ駄目なのかな」
 しゃくりあげ、泣き続ける及川の涙が、次々に俺に落ちる。
「でも、俺は──」
 その先を、もう言わせなかった。
 俺は両手を持ち上げて、及川の顔に添えた。
「終わらねーよ」
 そしてがっしりとつかんでやる。
「終わるわけねーだろ」
 俺たちは幼馴染みで、いつお互いのことばかり考えてきた。友達というには近すぎるその関係を、俺たちは積み上げてきた。
 何があってもきっと、俺はその関係は永遠なんだと思っていた。
 こいつが俺を一番に考えていて、俺がこいつを一番に考えている限りは。
「俺たちの時間が、俺たちの関係が、そんな簡単に崩れると思ってんのか」
「だって──」
 及川は一瞬だけ俺から視線をそらすように目を閉じた。すぐに目を開き俺を見た。きっ目をそらせない。俺がそうであるように。お前を一瞬でも視界の外へ追いやるのは嫌だと思った。
「きっと終わる。俺は岩ちゃんのこと──」
 好きなんだ。
 声にならない、かすれた声を絞り出すように、言った。
 もうただの友達には戻れない。
 けれど俺たちはただの友達なんかじゃない。
「泣くな」
 俺は及川の顔をつかんだまま言った。
「ちゃんと傍にいてやる」
 まるで面食らったような顔になった。及川の目は大きく見開いたまま、はたはたと涙がこぼれている。いい加減、俺の顔ももうびしょぬれだ。散々こいつの涙を浴びている。
「だから、泣かなくていい」
 膝を抱えていた子供の及川が、俺にだきついて泣く。あの頃は俺の方が背が高かった。だから及川の身体をちゃんと受け止めることができた。
 けれど今は、いつの間にか5センチも差をつけられている。けれど昔と同じように、いつもすがってくるのはこいつの方だ。
 及川はそのまま俺に抱きつく。
「重いっつーの」
 俺は苦笑して及川の頭をぽんぽんと叩いた。
「岩ちゃん、岩ちゃん、岩ちゃん」
 昔から変わらなく、こいつが俺を呼ぶ、
 断ち切れるわけがなかった。崩れ去ってしまうはずがなかった。
 及川が俺を見た。その目はさっきまでの辛そうなものではなかった。俺は笑ってやる。及川も、笑った。そして再び俺に抱きつく。
 俺はその背中に腕を回す。自分よりもでかい男に乗りかかられているせいで、とても重かった。けれど、さっきまで冷たく冷えていた身体は、及川の体温と混ざり合って、いつの間にか暖かさを取り戻していた。
 多分、俺たちはいつか同じコートに立つことができなくなるのかもしれない。
 けれど少なくとも、まだその時間は残っている。
 俺はその時間を大事にしようと思う。
 及川のトスを、最高のトスを、俺がもっと最高の力に変えるために。
 俺の理想どおりに上がるトスを、完璧に相手コートに叩き込む。
 そんなことを考えながら、俺はなかなか泣きやまない及川をとりあえず、思う存分笑ってやった。

 了


 私の書く及川さんは、弱いですね。
 そして岩ちゃんは無駄に強いです。
 男前が好きです。
 
 及川は別に押し倒したかったわけじゃなくて、岩ちゃんを逃がしたくなかっただけです。
 だから、危険な方向へは行きません。

 あー、岩ちゃん、好き。
 




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