bittersweet | 苦い、苦い~ふたりぐらし29~(<赤葦×月島>+木兎+黒尾+研磨+リエーフ)HQ!!
bittersweet
自作BL・GL/二次創作BL 日常ゆるゆる雑記 好きなものを、好きなように、好きなだけ。

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 個人的な趣味で小説を書いています。
 二次創作を扱っていますが、出版社、原作者等、いかなる団体とも一切無関係です。
 オリジナル・二次創作ともにBL・GL要素を含みますのでご注意ください。
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Author:hiyu
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本と猫とコーヒーとチョコがあれば生きていける。ような気がする。
野球と映画があれば、なお良し。
玉ねぎとお豆腐とチーズが無いと落ち込みます。

画像はPicrew「とーとつにエジプト神っぽいメーカー」さんから。


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●現在は、HQ!!04(黒尾×月島)のSS1本です。
(2018/12/15更新)

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苦い、苦い~ふたりぐらし29~(<赤葦×月島>+木兎+黒尾+研磨+リエーフ)HQ!!
 みんなでクリスマスパーティ。
 赤葦はケーキを作るのにはまっています。
 ツッキーは、毎日おやつにケーキを食べています(笑)

 <赤葦×月島>+木兎+黒尾+研磨+リエーフ
 月島。
 クリスマスで、ケーキ、なのに、苦い……? なんででしょう?

                      作品一覧はこちらをクリック→二次創作目次(tns/krbs/HQ/YWPD/その他)




      苦い、苦い~ふたりぐらし29~

 赤葦さんが、ふわふわのスポンジケーキを焼いて、ひとパック680円もするイチゴを買って、ショートケーキを作ってくれた。
 お店で売っているケーキよりもデコレーションは荒っぽく、絞りだされたクリームは歪んでいるけれど、ケーキを作り始めてほんの10日間ほどで、デコレーションケーキまで作れるようになってしまった赤葦さんは、本当にすごいと思う。
 思えば、この10日、赤葦さんは1日おきにケーキを焼いていた。ガトーショコラから始まって、ベイクドチーズケーキ、ドライフルーツとクルミの入ったフルーツケーキ、アップサイドダウンケーキ、さらにレアチーズケーキも作った。僕の毎日のおやつになったそれは、どれもとてもおいしかった。飽きずに毎日、少しずつ、食べた。
 そして、クリスマスイブの今日、出来上がったのは、真っ白なクリームと真っ赤なイチゴのコントラストが美しい、僕の大好きなショートケーキ。
 歪んだ生クリームが、ご愛敬。
「すっげー、赤葦」
 木兎さんが、まじまじとそれを見つめながら、感嘆の声を上げた。
「お前、一体どこへ行こうとしてんの?」
 黒尾さんも、半分呆れたように言って、隣に立つ赤葦さんが、ひょいと肩をすくめ、
「月島のためなら、どこまでも行きますけどね」
「開き直ってんなー」
「次に作るときには、デコレーションももっときれいにできるようになってるはずです」
「あー、はいはい、お前は本当に器用だよ」
 大雑把なくせに、器用、なんて面白いなあ、と僕は思う。
「おいしそうだね」
 研磨さんが羨ましそうにつぶやいたので、
「一昨日赤葦さんが焼いてくれた、アップサイドダウンケーキがありますよ。リンゴがたっぷりなんです」
「リンゴのケーキなの?」
「型の底にリンゴを敷き詰めて、生地を流して焼いて、出来上がったらひっくり返して、上下逆にするんです」
「ああ、だからアップサイドダウン……」
「おいしいですよ。2日経ってるので、味が馴染んで最高だと思います」
「俺、それ食べたい」
「あとで切りますね」
「ねー、みんな、手伝ってくださいよー!」
 シンクの前で嘆いたのは、灰羽だった。さっきまで使っていた調理器具を、一人でせっせせっせと洗っていた灰羽だけが、話に混ざれないでいる。
「その生クリーム泡立てたのも、俺ですからね!」
「うん、ありがとう、リエーフ」
 赤葦さんがお礼を言った。
 ──クリスマスパーティをしよう、と言い出したのは木兎さんだった。それに乗っかってきたのが黒尾さんで、結局、僕らのアパートで、と事後承諾させられてしまったのだが、赤葦さんも僕もそんなことには慣れていた。木兎さんと黒尾さんの言うことは絶対的で、それに逆らう気力はない。それに、みんなで集まって楽しくパーティ、なんて、かわいらしいことを考えた二人に、赤葦さんが真顔で「じゃあ、全力で応えようかな」などと言い出して、準備に追われた。
 ──何だかんだで、赤葦さんはこの二人の先輩が好きなのだ。
 そして、僕らだけでは手が足りないから、と当たり前のように手伝わされた灰羽が、一番働いていた。クリームを泡立てるのは、前にホットケーキを作ったときに懲りていた。赤葦さんは生クリームを入れたボウルをそっと灰羽に押しやり、灰羽は口をとがらせながらひたすら混ぜた。ぴんと角の立った、いいホイップクリームが出来上がる頃には、ぐったりとしていた。
 ──生クリームって、泡立てるの、すごく大変なんだね……。
 そう言いながら、腕をぶらぶらさせる。僕はうなずき、おいしいものを作るのは大変なんだともっともらしく言ってやった。
 赤葦さんがケーキをデコレーションしている間に僕らはおつまみを作った。明太子とクリームチーズを混ぜたディップを作り、クラッカーを用意。グリーンカールとクレソンでサラダを作る。プチトマトとオリーブとラディッシュでオイルマリネを作り、スモークサーモンと玉ねぎの薄切りでレモンマリネを作る。
 デコレーションを終えた赤葦さんとバトンタッチして、キッチンを譲った。赤葦さんは唐揚げを揚げて、なぜか豚肉の生姜焼きと青椒肉絲を作って──多分、肉食の木兎さんのためだろう──ついでに焼きそばを作った。炊けたご飯で僕も一緒におにぎりを作る。
 おしゃれなパーティ料理から、急激に定食屋風情。クリスマスにおにぎりって、もう意味が分からない。何ともバラエティに富んだメニューである。
 そうこうしているうちに黒尾さんたちがやってきて、灰羽が後片付けをし、僕らはケーキを取り囲んでいた、というわけだ。
「一応、お菓子とか、飲み物とかは適当に買ってきたんだけど」
 研磨さんが、レジ袋を指さした。木兎さんが部屋に入ってくるときにぶんぶん振り回していたものだ。中を見たら炭酸のペットボトルや缶の飲料が入っていて、これはしばらく開けられそうにないな、と思った。
「テーブル小さいので、床でいいですか? 掃除はちゃんとしてます」
「別にいいよ」
 誰も異を唱えなかったので、ダイニングテーブルを移動させ、一応床をウェットシートで拭いてから、ラグを敷いて料理を並べた。
 囲むように座って、ジュースで乾杯。
「うっめ、赤葦、すげー」
「木兎さんがいくら食べてもいいように、唐揚げは2キロです」
「……揚げすぎだろ」
 黒尾さんが呆れたようにツッコんだけれど、木兎さんは次々に料理を口に運んでいった。──赤葦さんもさり気なくこの場の誰よりも食べていた。だから、結局2キロもあった唐揚げは、最終的にはきれいになくなってしまった。
 成人済みの3人──黒尾さん、木兎さん、赤葦さん──は、途中からビールやら缶チューハイやらを飲みだしていたけれど、僕と灰羽の未成年二人と研磨さんは、そろそろケーキが食べたいなあと、お皿とフォークを用意していた。赤葦さんが気付いて冷蔵庫からケーキを取り出し、運んでくれた。
 ナイフで、まず、真ん中から二等分にして、片方をさらに4つに切る。それを4枚の皿に移し、気持ち大きめに切った二つを研磨さんと灰羽に、残りの二つを黒尾さんと木兎さんに渡した。
「月島は、好きなだけ食べな」
 残ったホールの半分を、僕の前に置いてくれる。
「あかーし、ヒイキ!」
 木兎さんがブーイングすると、冷ややかに木兎さんを見て、
「これは、初めから月島のために作ったんですから、当然です」
「ずりー」
「木兎さんたちは、こっちのケーキを好きなだけ食べてください。これがリンゴのアップサイドダウンケーキで、こっちはレアチーズです」
 僕が半分くらい食べてしまったアップサイドダウンケーキと、昨日の夜作って冷蔵庫で冷やしていたレアチーズケーキ。研磨さんは、さっそくリンゴの多そうなところを切っている。
 僕は、ショートケーキをさらに半分に切って食べることにした。残りの半分は、ラップして冷蔵庫にしまい、明日のお楽しみだ。
「おいしいです、赤葦さん」
「イチゴの甘味はどう? 充分?」
「はい。とっても甘いです」
「うん、高い方を選んで正解だったね」
「クリームの甘さも、スポンジの柔らかさとしっとり感も、完璧です!」
「月島の喜ぶ顔が見られて、嬉しいよ」
 僕らがそんな会話をしていたら、ほかの4人が無言でじーっとこちらを見てるのに気付いた。
「──何、ですか?」
 僕がひるんだように聞くと、黒尾さんが、
「いや、別に。幸せそうだな、と」
「そうですね。幸せです」
 赤葦さんがしれっと答える。
「あかーし──ケーキ、うまい」
「どうも」
「本当においしいね。赤葦、パティシエでも目指したら?」
「月島専属でいいならね」
「クリーム泡立てたのは俺ですー」
「うん、お疲れ様」
 赤葦さんと、みんなのそんなやり取りを聞きながら、僕はケーキを食べる。
 きめ細かいスポンジにはたっぷりのシロップ。ほのかに香る洋酒の香りと、噛みしめるとしゅわりと染み出してくるその甘さに、さっぱりとしたクリームと、甘いイチゴのバランスが最高だった。
「──そういえば」
 黒尾さんが、隣の木兎さんの腕を肘でつついた。木兎さんが思い出したように自分の荷物を引き寄せ、中からきれいにラッピングされた包みを取り出した。
「これ、俺らからプレゼント」
「何ですか?」
 赤葦さんが受け取り、リボンをほどく。僕が隣で覗き込むと、箱に入ったそれを取り出し、開けた。メタリックなボディの電動泡だて器だった。
「ケーキ作り出したって聞いたから、必要かなと思ってさ」
「ありがとうございます」
「えー、もうちょっと早くプレゼントしてくれたら、俺、あんなに苦労しなくて済んだのに!」
 灰羽が嘆く。
「明日、腕、筋肉痛だよー」
「うん、だから、お疲れ様」
 赤葦さんの言葉に、灰羽は口をとがらせ、ケーキのイチゴにフォークを突き刺す。
「よかったね、月島。これからは、楽にクリームを泡立てられる」
「はい」
 普段から無表情な赤葦さんだけど、今は少し、嬉しそうに見える。
「ところで、月島は、あかーしにプレゼントやったの?」
「──あ、いえ」
「誕生日んときも散々悩んでたから、クリスマスも、絶対悩んでるって思ったぜ」
「……だって、赤葦さん、欲しいものちっとも教えてくれないんです」
「月島がここにいるだけで、充分だよ」
「だから、そういうのとは別に──」
「誕生日に一番欲しいものをもらったし、しばらく俺、欲しいものはないかな」
 赤葦さんのこういうところが、少し苦手だ。こちらが困るくらいに恥ずかしいことを言っている自覚がないから、今だって、黒尾さんたちがにやにやしながら僕らを見ていることも、ちっとも意に介さない。というより、この人が困ったり、照れたりするところを、あまり見ることがないような気がする。
「じゃあ、また、リボン巻いたらどう?」
 さっきのプレゼントの包装に付いていた赤いリボンを持って、灰羽がにっと笑った。
「ツッキーに、巻いてあげるよー。どこがいいかな」
「全身に巻いちゃえ」
 木兎さんまで悪ノリしてそんなことを言い出す。
「ちょっと、灰羽!」
 本当に僕の頭にリボンを巻こうとした灰羽の手を振り払うと、二切れ目のアップサイドダウンケーキを食べていた研磨さんが、やれやれ、と溜め息をついた。
「あんまり悪ふざけしちゃ駄目だよ、リエーフ」
「そうだぞー、赤葦が怒るぞー」
 黒尾さんの方は、研磨さんと違って完全に面白がっている。僕がにらんでやると、黒尾さんは肩をすくめてみせる。灰羽は、しつこく僕の腕をつかんでいる。
「えー、いいじゃん。お前も嬉しいよなあ、あかーし」
 わざわざ回り込んで、僕の頭をぐしゃぐしゃとかき混ぜ、まるで抱き込むようにして押さえつけ、灰羽に手を貸していた木兎さんが振り返ってそう言うと──
「──そうですね」
 缶ビール片手に静かに、赤葦さんがつぶやいた。
「でも──」
 かつん、と音を立てて缶を床に置いた赤葦さんが、木兎さんを引きはがし、僕の手首にリボンを巻こうとしていた灰羽の手を押しやり、僕の腕をつかんで自分の方に引き寄せた。
「月島はもう俺のものなので、プレゼントにはなりえませんけどね」
「──赤葦……さん?」
「そうだろう、月島?」
「え、ええと、あの」
「それとも、まだ、俺のものじゃないのかな?」
 すっと伸びた切れ長の目が、僕を見つめる。
「あ、赤葦さん、酔ってます?」
「俺が酔わないのは、月島が一番よく知ってるだろう?」
「そう、ですけど……あの、赤葦さん」
「何?」
「目が、据わってます」
「そうかな?」
 灰羽が、手にしていたリボンをはらりと落とした。フォークをくわえていた研磨さんが、最後の一口を食べ、黒尾さんとうなずき合う。
「あれ、あかーし、何か怒って……」
 木兎さんが窺うようにつぶやき、黒尾さんに首根っこをつかまれた。
「赤葦、俺たちそろそろ帰るわ。ケーキも料理もめちゃくちゃうまかったよ」
「今度、アップルパイ作ったら呼んで」
「あの、リボン、ここに置いておきますね……」
「え、何、もう帰んの?」
 木兎さんだけが、ぽかんとして3人を交互に見ている。
 そそくさと帰り支度をして、黒尾さんたちは本当に帰って行った。
「おやすみー」
 玄関の扉が閉まるとき、そんな声が聞こえて、部屋には僕と赤葦さんだけになった。
「……あの、赤葦さん」
「何?」
「そろそろ、離してもらえますか?」
「どうして?」
「ええと、片付けとか」
「あとでいいよ」
「でも」
「月島」
 僕はびくんとして、はい、と小さく返事をした。
「あんまり──勝手に触らせないで」
 僕の身体を抱きしめて、赤葦さんが、言った。
「嫉妬する」
「──木兎さんと、灰羽ですよ?」
「木兎さんとリエーフでも」
 ぎゅっと、抱きしめる腕に力がこもり、僕もそっと赤葦さんの背中に両腕を回した。
「──わかりました。ごめんなさい」
「うん──こちらこそごめんね、心が狭くて」
 赤葦さんが僕の顔を覗き込み、短くキスをした。
 赤葦さんからは、ビールの香りがして、僕は少し、苦笑する。
「ビール、苦手です」
「そっか──次からは気を付ける」
「はい」
 赤葦さんは僕の背後に手を伸ばし、何かを引き寄せた。見ると、さっき灰羽が持っていた赤いリボンだった。
「やっぱり、巻いてもらおうかな」
「──でも、僕はもう赤葦さんのものなので、プレゼントにはならないって──」
「俺から俺へのプレゼントなら、問題ない」
 僕の左手首にくるりとリボンを巻き付けて、赤葦さんがきれいにリボン結びを作る。
「──赤葦さん、やっぱり、目、据わってますよ……?」
「うん、そうかも」
 リボンを巻いた手首にキスをしてから、再び、僕を引き寄せる。鋭い視線がすぐ目の前にあって、思わず息をのむ。
「気を付けるのは、次から、だから」
 赤葦さんの台詞の意味を考えて、少しだけ、反応が遅れた。勢いよくぶつかるように唇が重ねられ、舌がねじ込まれた。
 僕が苦手だといったビール。そして、次から気を付けると言った、赤葦さんの言葉を、思い出した。
 玄関の鍵を、かけていない、と気付いた。
 けれど、赤葦さんは僕を離さない。
 息継ぎもできない。
 苦しくて薄く目を開いたら、ようやく唇を離した赤葦さんが、僕を見ていた。
 まるで射るように──
 苦い、ビールの香りも、味も、好きじゃないのに──
 ──なのに、どうして赤葦さんが相手ならば、嫌じゃないんだろう。
 その視線に撃ち抜かれて、力が抜ける。
 次から、も。
 赤葦さんが、今度は優しく、キスしてくれた。ビールの香りが、ふわりと漂う。
 次からも、気を付けたりしなくていい、と言ってしまいそうな自分が、少し、怖かった。

 了


 正解は、ビールが苦い、でした。
 ツッキー、ビール嫌いそうだ。
 赤葦は、お酒が強すぎて、何を飲んでも同じ、ではないかと。でも、甘いのより、苦いお酒が好きかな、多分。

 ……ところで、信じられるか、これで、まだ、セックスしてないんだぜ……?
 私の頭がいかれているとしか思えねーよ……。




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