bittersweet | カフェモカ・スマイル~rise09~(東峰+月島+鎌先)HQ!!
bittersweet
自作BL・GL/二次創作BL 日常ゆるゆる雑記 好きなものを、好きなように、好きなだけ。

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 個人的な趣味で小説を書いています。
 二次創作を扱っていますが、出版社、原作者等、いかなる団体とも一切無関係です。
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hiyu

Author:hiyu
冬生まれ。
本と猫とコーヒーとチョコがあれば生きていける。ような気がする。
野球と映画があれば、なお良し。
玉ねぎとお豆腐とチーズが無いと落ち込みます。

画像はPicrew「とーとつにエジプト神っぽいメーカー」さんから。


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(2018/12/15更新)

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カフェモカ・スマイル~rise09~(東峰+月島+鎌先)HQ!!
 鎌先さんは、かっこいい。
 私が彼を好きだからというのもあるんですが、ストレートな男気ある馬鹿って(けなしじゃなくて、愛です!)最高にいかしてる。
 惚れてるぜ、鎌先! ……だから、この、riseの鎌先さんは、めちゃくちゃ高スペックなのです(笑)結婚してほしいよ……(/ω\)

 東峰+月島+鎌先
 青根と二口のことを、信じて、待ってる。
 そんな、先輩。そんな、鎌先さん。

                         作品一覧はこちらをクリック→二次創作目次(tns/krbs/HQ/YWPD/その他)




     カフェモカ・スマイル ~rise09~

 練習の成果があり、フードメニューは好調。結局、あのあとも何度か鎌先さんに付き合ってもらって、メニュー決めと練習を繰り返した。試食はいつも東峰さんと国見。東峰さんは大抵の場合、おいしいよ、と言ってくれるが、国見は容赦ない。悪いところがあればずばずばと歯に衣着せぬ物言いで切り捨てていく。
 そして、試作と推敲を重ね、ようやく形になったフードメニューは、ついに最終審査を経て、店で提供することが決まった。
 最後の試食には、青根さんも来てくれた。
 国見と、鎌先さんと、青根さんが、閉店後の店のカウンター、スツールに腰かけてじっと待つ。東峰さんが見守るその横で、僕はパンをスライスする。
 ふわふわのスクランブルエッグをのせたエッグトーストのほかに パンの上に薄く切ったちくわとツナとマヨネーズを乗せて焼いたツナマヨトースト。たっぷりのチーズをこぼれんばかりに乗せて焦げ目がつくまで焼き、じゅうじゅうと音を立ててとろりと糸を引くチーズトースト。トマトソースを塗ったパンに玉ねぎとピーマンの薄切りと、サラミを乗せ、チーズを散らしたピザトースト。厚みの半分くらいまで格子の切り込みを入れて、たっぷりのバターとはちみつを乗せて焼いたハニートースト。
 丁寧に、見た目にも気を使い、作り上げた。
 3人の反応は、上々。晴れてオーケーをもらい、今月から店のメニューに仲間入りだ。
 見た目からは想像もできないが、鎌先さんはわりと料理上手だと知った。連日の練習中、休憩のたびに余った材料で適当に──ここが、ポイント──作ってくれた食事は、どれもおいしかった。
 特に、ハニートースト作りで切り込みを入れすぎて駄目にしたパンを、残っていた卵と牛乳、砂糖を混ぜたものに浸して、素早く作ったカラメルソースをかけ、トースターで焼いたパンプディングは、目分量で、まさしく「適当」という感じでちゃちゃっと作ってくれたのに、嘘みたいにおいしかった。
 これをメニューにしたい、と言ったら、鎌先さんはさすがに呆れたような顔をしていた。余り物を上手に処分しただけの料理だったようだが、少なくとも、僕と国見には需要がありそう。
 結局、却下されてしまったが。
 トーストには、プチトマトとオリーブを楊枝に刺して添える。ナイフとフォークを付けて、ワンプレート。
 メニューに並んだその日から、いくつか注文が入って、評判も良かった。鎌先様様である。
 そのうち、もう少し料理が上達したら、ほかのメニューも考えてみるつもりだ。そのときはまた、鎌先さんに手伝ってもらうことにした。
「料理なんてな、慣れだ、慣れ」
 顔に似合わず甘党らしい鎌先さんが、ハニートーストをかじりながら言った。
「必要に迫られりゃ、誰でもできるようになんだよ」
 おまけにドリンクはカフェモカ。つまり、エスプレッソにスチームミルクにチョコレートシロップ。鎌先さんはいつも、これ。甘×甘。
「就職したての頃は、金もなくって、自炊するしかなかったんだ。でも、手間かけてる時間はねえ。となると、フライパンひとつとか、鍋ひとつでできるもんになる」
 じゅわりとパンに染み込んだバターのしょっぱさとはちみつの甘さが、この上ない組み合わせは、僕も大好きだ。と、いうことで、ハニートーストは、隠れた人気メニューだ。案外、男の人が注文することが多い。
「皿なんかいくつも出して、片付けるのも面倒だしな。だから、結局、丼飯に乗っけて食えるもんとか、焼いたパンにそのまま乗っけて食えるもんとか、主食とおかずを一気に食っちまえるもんに行きつくんだよ」
「鎌先さんと丼って、よく似合いますね」
「それ、誉め言葉か?」
「一応」
 僕がうなずくと、多少疑いの目を向けつつも、鎌先さんは納得する。
「鍋とか、フライパンから直に食ってたこともあるけど、さすがにそれはやめた」
「よかったです、人間らしい判断ができているようで」
「……なあ、月島、お前時々、俺をバカにしてるよな?」
「してませんけど」
「…………」
 鎌先さんはハニートーストを食べ終え、はちみつのついた指先をぺろりとなめた。フォークとナイフを添えてあるのに、この人はいつも、パンを直にかじる。まあ、らしいといえば、あまりにも鎌先さんらしいので、僕も咎めないのだが。
「んで、毎日作ってりゃ、慣れる。そのうち、どれとどれの組み合わせがうまいか、とか、この食材にはこの味が合う、とか、分かるようになってくんだよ」
「そんなものですか」
「そんなもんだ」
 今日の鎌先さんは、シンプルな白いワイシャツだ。けれど、よく見ると、織がヘリンボーン。妙にシックでかっこいい。この前は鹿の子っぽい織のシャツを着ていた。この人のワイシャツコレクションは、多分、かなりのもの。いつも、店に来るたびに、今日はどんなシャツなのだろう、と、ひそかに楽しみにしている。
 打ち合わせや、顧客と会うとき以外はノーネクタイだから、シャツだけでも、という遊び心なのかもしれない。一見ガサツなこの人に、そんな洒落たところがあるとは驚きだ。
「パスタなんてな、フライパンでゆでて、そのままお湯捨てて、炒めるの、めちゃくちゃ楽だぞ」
「……フライパンで、ですか」
 豪快な鎌先さんの料理は、参考になるんだかならないんだかよく分からない。
 東峰さんも、カウンターの向こう側で、なんだか妙に感心したような顔をしている。僕らは二人ともほとんど自炊をしない。おまけにあまり料理の才能がない。だから、そんな鎌先さんを実は尊敬している。
「料理のできる男ってかっこいいよね」
「ですね」
「お、俺のことか」
「ええ、不本意ですが」
「……やっぱり、お前、俺のことバカに──」
 最後まで聞かなかった。ドアベルの音に、僕は反射的にいらっしゃいませ、と声をかけ、お冷のグラスを用意する。窓際のテーブル席、若いカップルが座る。
 注文は、チーズケーキとピザトースト。それにコーヒー。
 僕はオーダーを通し、トーストの準備をする。東峰さんがそれに合わせてコーヒーを入れてくれた。テーブルに運んだら、男性の方がケーキで、女性の方がトーストだった。
「──甘党の男性って、案外多いですよね」
「月島、自分もそうだろ」
 東峰さんが苦笑する。
「鎌先さんも顔に似合わず甘党ですよね」
「顔に似合わずって何だ。──甘いの、うめーじゃん。青根も甘党だぞ」
「青根さんはかわいいからいいんです」
「──あの顔をかわいいと言うか」
「かわいいですよ」
 青根さんが甘いものを食べるとき、わずかに頬が緩み、ぷわぷわとバックに小さなお花が飛ぶ──という幻覚が見えてしまうくらい、ふんわりとした雰囲気になる。口数が少なくて、あまり表情豊かな人ではないが、付き合っていくうちに、わりと分かりやすい人だということに気付いた。そして、かわいい。これだけは譲れない。
「青根と言えばなあ──二口と、いつ和解すんだか」
「……ケンカじゃない、って言ってましたけど」
「──話したのか、あいつ」
「詳しくは聞いてませんけど、青根さんがバレーを辞めたから、二口さんが怒ってるって」
「そっか。──二口はさ、一緒に続けたかったんだよ。同じチームに入って、また、同じコートで戦いたかったんだ。でも、青根は高校出て、製菓の専門学校に入っちまってな」
「二口さんは?」
「あいつは大学。推薦来てたんだ、二人に」
「それを蹴ったんですか。青根さん」
「あいつは、蹴ったつもりはねーんだろうけどな。二口にしたら、裏切られた気分だったのかもな。大学でも、二人セットで来てほしいって話だったし」
「──それからずっと、会ってないんですか?」
 高校を卒業した年から数えたら、約10年。さすがに長すぎる。
「いや、そのときはまだ、ぎくしゃくしてるだけで、二口も青根の決めたことを認めてたんだよ。青根がやりたいことなら、って応援もしてた」
「なら、どうして」
「二口、な」
 鎌先さんはカップを持ち上げ、残り少なくなったカフェモカを飲み干す。
「怪我、しちまった。大学4年のときに」
「────」
 思わず、東峰さんの様子を窺ってしまった。東峰さんは表情を変えずに、黙って鎌先さんを見ていた。
「かなり落ち込んでたよ。大学でバレーはやめるつもりだったみたいなんだけどな。──でも、最後の花道、飾れなかったんだよな」
 空っぽになったカップを戻して、鎌先さんはがしがしと頭をかいた。
「俺はさ、高校でバレーから足を洗ったから、何とも言えなかったけど──」
 それから、ぽつり、とつぶやく。
「悔しいよな、やっぱり」
 東峰さんが、ぐっと奥歯を噛みしめたのが分かった。
「完全燃焼して終わりたかっただろうな、と思った」
 僕も、鎌先さんも、バレーは高校までで終わった。最後の試合を終えたとき、「ああ、終わったんだな」と思った。負けても勝っても、いくばくかの悔いは残ったのだと思う。けれど、それを後悔し、引きずることはない。終わった、という思いは、心のどこかで、バレーからの解放を待ちわびていたことにも気付かせられたから。
「青根はその頃、東京の有名な洋菓子店で修行中でな。二口が辛いときに、傍にいてやれなかったことを今も悔やんでる」
「けど、それは──」
「仕方ないって、俺も言ったんだよ。でも、青根はさ、優しいだろ。自分のことより、相手のことを考えてやるような」
「──そうですね……」
「電話なんかはしてたみたいだけどな。二口だって、けしてあいつに当たりたかったわけじゃないと思うんだ。二口も卒業後、ちゃんと就職して──でも、あんまりうまくいってなかったんだろうな。少しずつ二人の距離が離れてって……多分複雑な思いだったんだろ。夢叶えるために着実に進む青根と、そんな自分の違いに、つい、感情が爆発して、言っちまった」
 鎌先さんは深い溜め息をついた。窓際のカップルは、穏やかに笑い合い、幸せそうだ。窓から差し込む光が二人を包み、きらきらと輝いているように見えた。
「お前がいてくれなかったから」
 鎌先さんの言葉が、想像の中、二口さんの言葉に代わる。
「お前と一緒にコートに立ちたかったのに──お前がいなかったから」
 胸が痛い。
 二口さんだって、本当にそんな風に思っていたわけではないのだろう。
 けれど、心のどこかで、いつも、引っかかっていたのかもしれない。一緒にコートに立ちたかった。一緒に戦いたかった。そして、一緒に笑いたかった。
 伊達工の、鉄壁。
 その強靭な壁を、思い出した。
「今、二口さんは」
「市内の会社で働いてる。──バレーはもう、やってない」
「青根さんのことは?」
「知ってるよ。店始めたのも。俺らが──茂庭と笹谷、だけどな──連絡して、何度か会って話してもいる」
「青根さんを、許してない、ん、ですか」
 僕が訊ねると、鎌先さんは少し、考えるような顔をして、いや、とつぶやく。
「あいつが許してないのは、自分自身だよ」
 ああ、そうなんだ。
 だからこそ、二口さんは、青根さんに会いに行くことができないのだ。
 苦しい、と思った。
 二人とも、お互いを思っているからこそ、すれ違ったままでいる。
「ケーキ、食べてほしい、って言ってました。青根さん」
「二口も、実は、甘党なんだ」
 鎌先さんが笑う。
「何とかしてやりたいと思ってる。──けど、結局のところは、あいつらが自分たちで何とかしなきゃいけないんだよな。自分たちの意思で」
「そうですね」
「俺たちはさ、どちらの肩も持てないから──ただ、待ってる。信じて」
 いつも、ガサツで、うるさくて、空気も読まないこの人は、それでもやっぱり、先輩なのだと思った。青根さんと二口さんのことを見守り、信じて、待っている。それは、信頼の表れだ。
 もどかしいと思いながら、それでも。
「鎌先」
 今まで黙っていた東峰さんが、つぶやいた。
「後悔や、絶望は、長く続かないよ」
「──それ、体験談かよ?」
「かもしれない。──人間はね、単純だから、辛いことや悲しいことよりも、嬉しいことや楽しいことの方を、より大きく、深く感じられる。どんなに落ち込んでも、立ち直れないと思っても、ほんの些細な一言や、行動で、簡単に浮上できる」
「────」
「悔み続けることは、エネルギーがいる。人を恨んだり、自分を責めたり、そういうネガティブなことは、とても大変なんだ」
 東峰さんも、そうだったのだろう。僕は、その気持ちが少し分かった。
 自分を責めるのは簡単だ。とことんまで落ち込んで、内側から痛めつけることも。けれど、それを続けていくのは、確かに労力を伴う。
 実家の自室で、何日も閉じこもり、自分の弱さを責め続けていた僕は、どんどん弱っていった。食事も喉を通らず、自分の情けなさに泣けてきて、一人で涙を流す。けれど、泣くのだって、体力を削られる。食事をとらない僕に、泣きわめき、自分を責める体力は皆無。結局、残ったのは、ただの虚無。
 何も考えず、何も求めず、そして、何もなくなる。
「俺には、励ましてくれた仲間がいた。一人じゃないと思わせてくれた。そして──」
 東峰さんは、僕を見た。
「一緒に一から始めようとしてくれる、月島がいる」
 鎌先さんも、僕を見た。
「それだけで、人生は、変わるんだよ。──一人でいたときのことを、俺はもう、思い出せない」
 それは、僕も同じだった。
 今は、東峰さんがいる。
 同じように落ち込み、閉じこもり、一人だった。
 今は、二人。
 始まり。
 新しい人生。新しい日常。
 ──僕も、もう、一人で閉じこもっていたことを、忘れかけている。
 あんなに苦しくて、辛かった日々なのに。
「──カフェモカ」
 鎌先さんは、空になったカップを東峰さんの方に押しやった。
「もう一杯」
 東峰さんは笑顔でうなずき、新しいカップを用意した。
「俺は、単純だからさ」
 鎌先さんは、エスプレッソマシンがうおんと音を立てるのをじっと見て、言った。
「うまいカフェモカ一杯で、結構元気になれんだよな」
 エスプレッソと、スチームミルクと、チョコレートシロップ。
 杉綾の、おしゃれな織のワイシャツ。
 鎌先さんは、小さく溜め息をついた。なんだか、この人らしくないなと思ってしまった。
「いいぞ、月島。バカにしても」
 もちろん、そんなことはできなかった。
 僕は一息置いてから──
「一度もしたことありませんけど」
 いたずらっぽく笑ってみせたら、鎌先さんが、嘘つけ、といつものように笑ってくれた。

 了


 青根と二口を仲違いさせるなんて、考えるのも悲しい……_| ̄|○ lll
 でも、胸を痛めながら書きました(笑)
 鎌先……素敵。自分で書いて、自分で落ちてる。やばい。
 末期だな。

 やっぱ、結婚して(笑)




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