bittersweet | 空と雲と、夏色ゼリー~rise05~(東峰+月島+澤村)HQ!!
bittersweet
自作BL・GL/二次創作BL 日常ゆるゆる雑記 好きなものを、好きなように、好きなだけ。

はじめに
 個人的な趣味で小説を書いています。
 二次創作を扱っていますが、出版社、原作者等、いかなる団体とも一切無関係です。
 オリジナル・二次創作ともにBL・GL要素を含みますのでご注意ください。
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hiyu

Author:hiyu
冬生まれ。
本と猫とコーヒーとチョコがあれば生きていける。ような気がする。
野球と映画があれば、なお良し。
玉ねぎとお豆腐とチーズが無いと落ち込みます。

画像はPicrew「とーとつにエジプト神っぽいメーカー」さんから。


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●現在は、HQ!!04(黒尾×月島)のSS1本です。
(2018/12/15更新)

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空と雲と、夏色ゼリー~rise05~(東峰+月島+澤村)HQ!!
 本当だったら烏野メンバーを沢山出してみたいところなんですが、そうなると、話のコンセプトが行方不明になってしまうので、烏野からは最低限。
 山口は絶対出てないとおかしいと思いつつ、就職で遠くに行ってるから店に来れないんだよー、という設定になってたり。
 本当は田中と縁下出したいんだけど、無理だな、とか。
 スガさんは名前だけ出てますけど、こちらも県外にいる設定。
 なので、とりあえず澤村。
 黒尾さんとツッキーのことを書くのに、無理なく絡められる人は、この人しかいなくて。音駒や梟谷の人間が仙台にいるのはちょっとおかしいかな、と思って。

 東峰+月島+澤村
 ようやくクロの名前だけ出てきた(笑)
                          作品一覧はこちらをクリック→二次創作目次(tns/krbs/HQ/YWPD/その他)




     空と雲と、夏色ゼリー~rise~

 暗闇の中で目を覚ました。
 光がほんの僅かも差し込まない遮光カーテンの向こう、バイクのエンジン音がした。
 目を覚ましたあとは、いつも、少し、苦しくなる。
 夢を見ていたのだと思うけど、どんな夢だったのかはいつも思い出せない。けれど、目を覚ますたびに訪れるこの胸を締め付けるような苦しさは、その夢がけしていいものなんかじゃなかったことを物語っている。
 枕元のスマホが、メールの着信を報せている。
 週に、2度、3度。
 他愛のないメール。
 「おはよう」とか、「おやすみ」とか、「いい天気だよ」とか、「元気か」とか。
 僕はそれに返事を返さない。短いその文字を見つめ、お腹の奥が重苦しく、鈍く痛むのを感じる。
 東京で、6年半、暮らした。
 長いとは言えない、けれど短くもないその6年半の大部分、このメールの相手は、気が付くと僕の傍にいた。
 今、は。
 僕はベッドから起き上がり、カーテンを開けた。古びたモルタルの、築年数が僕の年齢とさして変わらないようなアパートの二階、狭いその部屋には、ベッドと、小さなテーブルがあるだけ。殺風景なその部屋に、光が差し込み、そのまぶしさに目を細めた。
 今日も、いい天気だ。気温も高くなりそうだった。
 盛夏。
 なぜだか、ふと、体育館の、熱のこもったあのコートを思い出した。

 今日のケーキはクラシックショコラに、どっしりとしたベイクドチーズケーキ、それに夏らしいきらきらのゼリー。
「冷菓なんて珍しいですね」
 冷蔵ケースにそれをしまいながら、僕は言った。
「この夏の新作なんだって。白い部分はヨーグルトゼリーで、上のブルーはレモン味」
 丸いガラスの容器の底には白い層。上のブルーの層には、オレンジ色の魚と星の形をしたゼリーが閉じ込められていた。海の中のようでもあるし、空のようでもある、不思議な世界。
「きれいですね」
 余ったら買い取ろう、と決めた。けれど実のところ、火・木・土曜の週に3日、一日限定15個のケーキは、いつも残らずに注文が入る。青根さんの作ったケーキは、とてもおいしい。派手さはないのに、食べた人を虜にするくらい、丁寧で、優しい味がする。
「だよね。思わず今日はこれ、って決めちゃったよ」
「東峰さんセレクトなんですね」
 3つのケーキの写真を一枚ずつ撮った。それをデジタルフォトフレームに飛ばして、カウンターに立てかける。今日のケーキの見本である。
「子供たちも夏休みに入ったし、これ、もしかしたら子供向けかもしれませんね。見た目がかわいいし」
 基本に忠実な、シンプルなケーキを作る青根さんにしては、珍しい。だから、多分、そうなんだろうな、と勝手に思って、僕はにんまりする。青根さんは時々店にコーヒーを飲みに来てくれる。見た目にそぐわず、青根さんは子供や動物が大好きな、かわいい人だ。
 店を開けると同時に、何人かの客が入店してきた。テーブル席に、二人組の若い女性客と、一人の中年男性客。もう一人は──
「よー、やってるか、ひげちょこ」
 にっと、太陽みたいな笑顔を見せて、澤村さんが言った。そのままカウンターの真ん中の席に座って、東峰さんと話している。僕はテーブル席の女性客の注文を取って、カウンター越しにオーダーを通す。
「──お久しぶりです、澤村さん」
「元気そうだな、月島」
「おかげさまで」
「ようやく肉ついてきたなー」
 去年の春、実家に閉じこもっていた僕を引っ張り出してくれたのは、澤村さんだった。高校時代のメンバーを集め、ちょっとした同窓会のようなものをして、僕らを励ましてくれた。そこで僕と東峰さんは何年かぶりに顔を合わせ、今に至る。
 まともに食事もとらずに閉じこもっていた僕は、見るも無残にやつれていた。多分、体重はベストから10キロ近く落ちていて、久々に会ったメンバーは、みんなぎょっとしたような顔をして、僕を心配してくれた。
 あれから一年以上経った今、きちんと食事もとり、少しずつ体重も戻りつつある。
「今日は、部活、ない日なんですか?」
「ああ、久々の休み」
 澤村さんは、この店の最寄りの地下鉄駅とは反対側の終点駅から、さらにバスで30分以上北の方にある町の中学校で教師をしている。おまけにバレー部の顧問もしていて、毎日忙しそうだ。同じ市内に住んでいても、なかなか会うことはない。
 けれど、休みになるとこうして店に来てくれる。 
 冷蔵ケースからチーズケーキとチョコレートケーキを取り出し、プレートに乗せてフォークを添える。丁度東峰さんがコーヒーを入れ、カップをカウンターに置いた。僕はトレイにそれらを乗せ、窓際のテーブルの女性客に運んだ。
「ごゆっくり」
 一礼して戻ろうとしたら、男性客が右手を上げる。オーダーは、アイスコーヒー。暑くなって、コールドドリンクの注文が増えてきた。東峰さんが深煎りのイタリアンローストを濃い目にドリップし、たっぷりと氷の入ったサーバーに注いだ。からからとマドラーでかき混ぜ、それを氷を入れたグラスに注ぐ。
 男性客にそれを運び、同じように一礼して戻ってきた。澤村さんは、ホットコーヒーを飲んでいた。東峰さんのドリップコーヒーは、とてもおいしい。だから、澤村さんは、いつも、これ。
 アイスコーヒーは深煎りだけど、今日のホットは中煎りのコーヒーを使っている。僕にはコーヒーの種類はよく分からないけれど、今日のコーヒーの豆は、中煎りくらいが苦味と酸味のバランスがいいのだそうだ。
 豆の種類によって、浅煎りか、中煎りか、深煎りかは変わるらしく、「本日のコーヒー」は、日替わりで、焙煎も様々だ。もちろん、指定された種類の豆ならば、それに限らず。
「最近、西谷からの連絡は?」
 カップを持ち上げて、澤村さんが問う。東峰さんは苦笑しながら、
「一方的な電話とか、メールくらいかな。いつも元気で、こっちが圧倒されるよ」
「相変わらずか。──ワールドリーグは残念だったな」
 西谷さんは関西のにあるチームに所属し、バレーを続けている。日の丸を背負って代表にも選ばれ、今や日本では1、2を争うリベロ。
 春にリーグ戦を終え、今はオフ期間。もちろん、その間も様々な大会の予定が入っていて、代表に選ばれている選手に休みはない。オフ、とは言っても、完全な休みではないので、もちろん、チームでの練習も続く。
「代表と言えば、影山もだけど──」
 澤村さんは、ちらりと僕を見た。
「それに、黒尾も」
「──そう、ですね」
「元気かな?」
「……そうだと、思いますけど」
 僕の曖昧な返事に、深く追及するのはやめたらしい。澤村さんはまたカップを傾けた。
 今朝も、メールが届いていた。
『おはよう。今日の予想気温は34度。もう少しで猛暑日』
 スマホの画面、そんな短い文を、僕は見つめる。
 おはようございます、という返事すら、打たなかった。
 けれど、黒尾さんは、僕を責めない。ただ、定期的に、そんなメールを送ってくる。
 今も──多分、後悔しているのだ。
 近くにいたのに、何もできなかった、と。
 そして、大事なときに、離れてしまった、と。
 負い目を背負う必要などない。悪いのは僕だ。
 ──チャレンジリーグのチームに所属していた黒尾さんが、関西のプレミアリーグのチームに移籍したのは3年前。丁度、僕が体調を崩し始めた頃だった。それまでは、近いとは言い難いけれど、関東のチームに所属していた黒尾さんは、暇を見つけては会う機会を作ってくれていた。
 高校時代から、ずっと、僕はあの人に世話になりっぱなしだった。
 別の大学に通っていても、しょっちゅう顔を合わせ、慣れない東京生活の僕を気遣ってくれた。時には木兎さんや赤葦さんも交えて食事に行ったり、遊びに行ったり、高校時代よりもその距離は近くなった。
 僕も、地元から遠く離れた東京で、黒尾さんを頼っていた。
 黒尾さんが移籍したことと、僕が体調を崩したのは、何の関係もない。僕自身の弱さが招いたことだった。けれど、黒尾さんはそれを信じなかった。
 何度も、違うと言った。
 もし黒尾さんが関係しているのだとすれば、それは、僕が彼を頼りすぎていたことが原因だ。彼が傍にいないことに、勝手に不安を覚えてしまった僕の脆弱さだ。
 会社を辞めて宮城に帰ることを告げた電話の向こう、黒尾さんは言葉を失ったかのように黙り込んでいた。
 ──あなたのせいじゃない。
 何度も告げた言葉を、そのときも、口にした。
 電話の向こう、彼の苦痛の表情が浮かんで、やるせなくなった。
 ──あなたには感謝しています。だから──
 ──ツッキー。
 僕の言葉を遮るように、黒尾さんがようやく口を開いた。
 ──もし、傍にいたとしても、同じ結果だった?
 今度は僕が、言葉を失う番だった。
 そんなことは、分かるはずがない。
 もし、なんて、考えたこともない。
 高校時代、紛れもなく黒尾さんは僕の、バレーにおける目標で、仲間で、そして、恩人だった。
 それは今も変わることがない。
 ──黒尾さん。
 僕は、問いかけられたことには、答えなかった。
 ──あなたは何も、悪くないです。これは、僕の弱さです。
 それきり、僕はもう、彼に連絡をすることはなかった。
 彼の足を引っ張りたくない。迷惑をかけたくない。だから、彼に頼ることを、やめた。
 そして、それからはずっと、黒尾さんからの短いメールが、定期的に届く。
 まだ、きっと、彼は責任を感じている。
 ──戻れるものならば、戻りたい、と思った。
 第三体育館。高校生だった僕が、彼に引きずり込まれて、彼を頼り、依存し、そこから抜け出せなくなる、その前に。
「月島」
 東峰さんに呼ばれて、僕ははっとした。東峰さんが目配せして、テーブル席の男性に呼ばれていることを示す。僕は急いでそのテーブルに向かった。
「すみません、お待たせしました」
 60代と思しき男性客は、アイスコーヒーを飲み終えていた。男性はカウンターの上に置かれたデジタルフォトフレームを指さして、
「あれ、何かな」
 一定時間で切り替わる映像。コーヒーの写真、チーズケーキの写真、チョコレートケーキの写真──あれ、は、今日のケーキのひとつ、青根さんの作った夏色のゼリーだった。
「ヨーグルトとレモンのゼリーです」
「かわいいね。──あれ、持ち帰りはできるかな?」
 時々、店のケーキを持ち帰りたいと言うお客さんがいる。一応、店内での提供ということにはなっているが、一人につきひとつだけならば、テイクアウトもよしとしていた。もちろん、その際には、青根さんのお店のフライヤーも一緒に渡す。
「おひとつだけなら、可能です」
「じゃあ、包んでもらえる? 孫に、お土産」
 きらきらのセリー。白とクリアブルーの二層。オレンジの魚と星が浮かんでいる。
 青根さんの作りだした、かわいらしいその冷菓は、子供に喜ばれそうだな、と思った。
 かしこまりました、と頭を下げて、僕はカウンターの内側に入った。冷蔵ケースからゼリーを取り出し、小さな持ち帰り用の、取っ手のついた紙袋に入れた。ガラスがぶつかって壊れないように、保冷剤と、ペーパーナプキンを多めに入れる。男性客は席を立ち、レジの前で伝票を出す。
「保冷剤を入れてありますが、お早めに冷蔵庫にお入れください」
 会計後、その紙袋を渡すと、男性は笑顔でありがとう、と言って店を出ていった。その後ろ姿にありがとうございました、と声をかける。
「──暑そうですね」
 僕は、開いた扉の隙間から入り込んできた熱気に、思わずつぶやく。
「今日は30度くらいになるって、ニュースで言ってたな」
 澤村さんが窓の外を見つめ、うんざりしたように言った。
「──大阪は、34度になるそうです」
 今朝も、いつも通り。まるで独り言みたいな、一方的な内容だった。
 僕が返事をしなくても、週に2、3度、黒尾さんはメールをくれる。
「34度! 溶けそうだな!」
 澤村さんが天を仰ぐ。
 東峰さんが、そうだね、と笑っている。
 仙台の空は、快晴。
 果てしなく続くブルー。真っ白な雲が、浮かぶ。
 きっと、ここから遠く離れた関西の空も、同じように、ブルーと白のコントラスト。
 どこまでも続くそれは──あんなに離れたあの人がいる場所とつながっているのだ。
 体育館のコート。熱気と、ぬるい風と、高校生の僕たち。
 いつかは、必ず。
 あの他愛ないメールに、返事を打てる日が来るはずだ。
 だから、もう少し。
 僕の弱さを、許して。
 きっと彼は、その日が来るのを待っていてくれるような気がした。

 了


 他人様の二次創作漁っていると、澤村が将来教師、っていうネタが結構ありまして(大抵体育教師(笑))
 ぴったりだな! と思ってからは、もう、澤村が先生にしか見えない……。なので、ここでも教師です。体育か数学だな。どっちかは考えてないので、そのうち決めます(適当)
 一応、仙台市の一番北の、泉区っていうところの教師設定にしてみました。「rise」のある駅とは反対側の終点駅です。

 ところで、「ひげちょこ」っていいよね。
 東峰さんを見ると、やっぱり「ひげちょこ」だな~って思うのです。
 本編であんなにかっこいいのにね(笑)払拭できない「ひげちょこ」イメージ(^-^)
 ひげのへなちょこって!(笑)




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