(緊急で録音が間に合いませんでしたが、読者の方が音読をしていただきました。ありがとうございました。音声は以下にあります。)
http://youtu.be/HCkyy_ieGKU
2012年9月27日の読売新聞に福島市が行う「まるごと博」の記事が大きく出ていました。「福島原発事故の風評被害を吹き飛ばすため」とありましたが、読売新聞には記事の訂正を、福島市には中止を、福島市民には不参加を呼び掛けます。
まず第一に被曝は危険です。本格的な病気に発展するかは別にして、普通なら100人に1人の甲状腺異常が、福島の女子小学生で54人、女子中学生で55人です。チェルノブイリでは26年経っても甲状腺ガンが増えていることを考えると、お子さんを持つお母さんのご心配はいかばかりでしょう。このような人たちを増やそうとしているのです。
福島市を汚染したのは東電であり、福島市の人ではありません。このままこのようなことをすると福島市民が加害者になります。放射線障害が出る可能性が高く、そうすると福島市の人は傷害罪と同じです。
すでに法令で「被曝をできるだけ少なくすること」となっていて、それを社会人が知らないとは言えません。法令は「お上」が決めるのではなく、国民(福島市の人、日本国民)の合意です。つまり、福島の「まるごと博」に福島市民が参加したら、国民の合意を破り、病気の人がでたら福島市民が加害者になります。
「まるごと博」の会場前でデモをしてピケを張ってください。自分が被曝を避けられないから、他人を被曝させるというのは日本人の気持ちではありません。
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第二に、風評被害ではありません。法令では一般人の被曝限度は1年1ミリであり、福島市ではそれを超えます。福島市の人がそこにお住みになるかは個人のご判断ですが、それを「風評被害」と称して他人を呼び入れるのは、違法であり、善良な市民がするべき事ではありません。
日本国民を被曝させて生活を守るのではなく、東電と国に保障を求めるべきです。自分が交通事故にあったから、他人を車ではねても良いということはありません。交通事故の被害が大きくても、あくまで補償を求めるべきであり、「俺は傷ついたのだから、他人を傷つける」というのは善良な日本人がすることではありません。
福島市の皆さん! 苦しいことは分かるつもりですし、除染もできるだけ早くやって綺麗な福島を取り戻すために私も全力を挙げます。でも、被曝者を増やすことは賛成できません。
是非、中止してください。原子力関係者、お医者さん、教育関係者、公務員の皆さん、協力してください。健康を守り、法令を守ること、それはとても大切なことです。他人を法令違反の範囲に呼び込んでお金を儲けても何もなりません。辛い反省の一生が残るだけです。
私もこんなことを呼び掛けると、非難されますが、被曝して傷つく子供達の痛みを思うと、私などなんでもありません。法令を守る人をバッシングする人など、軽蔑するばかりです。一致団結して、子供を守りましょう!!
(平成24年9月28日)
武田邦彦
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