乳がん⑨
小林麻央報道の「印象操作」にザワつく乳がん女子の胸の内
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52200
『今日も日本のどこかにいるだろう、欲しい情報にたどり着けず困っている人の何かの足しになれば---そんな思いでがんとのお金、仕事、恋愛、セックス事情をブログに公開しはじめたのが34歳。そのブログが乳がん患者や一部の好事家の間で少し話題になり、1冊の本として出版される話が動き出した頃には、5年のホルモン治療の終了を迎え、わたしは悲願の36歳になっていた。やったぜ。
そうして書籍化が少しずつ進んでいく中で、出版社の1人がこう言ったのだ。
「日本人って可哀想な話が大好きだから、生きている人の闘病記って売れないんだよね~」
ショックで声が出なかった。つまり「あんた生き残ったから、この本ウケないよ」と言われたのだ。繋いできた気持ちと時間、なにより命をつぶすような否定の言葉に目をむいた。
ではマスコミが「ウケる傾向」を追いかけた結果何が起こるかというと、たった1人のインフルエンサーの症状が「乳がんの代表症例」のように報道され、視聴者に偏った知識が広められていくのだ。そしてわたしも自分が罹患するまで、その報道に感化されていた外野だったと痛感した。
若年性乳がんの女性を題材にした某映画などはまさにそれで、乳腺外来の先生たちはみな「あんなに希な進行がんが乳がん全体のことだと思われたら本当に迷惑だ。実際の患者さんにとって何の希望にもならないのに」と怒っていた。
そして若年性乳がん治療後の結婚や出産、転職など数多くある事実に基づいた「治療の先の希望や未来」は、「大衆にはウケない」という理由で報道されないのだ。
先日亡くなられた女性アナウンサーの方も、そんなインフルエンサーの1人だったように思う。夫や家族に愛されて、見知らぬ多くの人たちにもその存在を肯定され、応援されていた。彼女の紡いだ言葉の輝きは、同じ乳がん患者以外の方も励まし勇気づけた。それ自体はとても素晴らしいことだが、彼女のような治療環境が整えられない人たちもいる。
お金の工面がままならず、治療のストレスで周囲の人との間には愛どころか軋轢が生まれ、治療と仕事との両立が難しい――。
そうした人が日本における大半にもかかわらず、世間ではウケ狙いの報道によって、1人の闘病事例が「基準」になっているため、立ち行かなさを訴えると、それは「自己責任」だと突き放される。
「がんになったのは可哀想だけど、受け入れてくれる人がいないのはあなたの人間性が問題」
「休職を快諾してもらえないのは、非正規で働いてきたあなたのせい」
そんな風に訳知り顔で言われるのだ。
もちろん人生は不平等で、社会は理不尽だ。だけど「亡くなった人の無念の方が、エラい、尊い」と言わんばかりの風潮には、違和感しか感じない。
これはこの国の報道が、何百万人もいる当事者の事実より大衆ウケを優先し、悲しい事例と美談を喧伝して一部の人を崇め立てた結果だとわたしは思う。その報道は果たして女性アナウンサーの方が自らをさらけ出すことで社会に望んだ、乳がんを理解してもらうことになるだろうか? ならないよ。』
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52200
『今日も日本のどこかにいるだろう、欲しい情報にたどり着けず困っている人の何かの足しになれば---そんな思いでがんとのお金、仕事、恋愛、セックス事情をブログに公開しはじめたのが34歳。そのブログが乳がん患者や一部の好事家の間で少し話題になり、1冊の本として出版される話が動き出した頃には、5年のホルモン治療の終了を迎え、わたしは悲願の36歳になっていた。やったぜ。
そうして書籍化が少しずつ進んでいく中で、出版社の1人がこう言ったのだ。
「日本人って可哀想な話が大好きだから、生きている人の闘病記って売れないんだよね~」
ショックで声が出なかった。つまり「あんた生き残ったから、この本ウケないよ」と言われたのだ。繋いできた気持ちと時間、なにより命をつぶすような否定の言葉に目をむいた。
ではマスコミが「ウケる傾向」を追いかけた結果何が起こるかというと、たった1人のインフルエンサーの症状が「乳がんの代表症例」のように報道され、視聴者に偏った知識が広められていくのだ。そしてわたしも自分が罹患するまで、その報道に感化されていた外野だったと痛感した。
若年性乳がんの女性を題材にした某映画などはまさにそれで、乳腺外来の先生たちはみな「あんなに希な進行がんが乳がん全体のことだと思われたら本当に迷惑だ。実際の患者さんにとって何の希望にもならないのに」と怒っていた。
そして若年性乳がん治療後の結婚や出産、転職など数多くある事実に基づいた「治療の先の希望や未来」は、「大衆にはウケない」という理由で報道されないのだ。
先日亡くなられた女性アナウンサーの方も、そんなインフルエンサーの1人だったように思う。夫や家族に愛されて、見知らぬ多くの人たちにもその存在を肯定され、応援されていた。彼女の紡いだ言葉の輝きは、同じ乳がん患者以外の方も励まし勇気づけた。それ自体はとても素晴らしいことだが、彼女のような治療環境が整えられない人たちもいる。
お金の工面がままならず、治療のストレスで周囲の人との間には愛どころか軋轢が生まれ、治療と仕事との両立が難しい――。
そうした人が日本における大半にもかかわらず、世間ではウケ狙いの報道によって、1人の闘病事例が「基準」になっているため、立ち行かなさを訴えると、それは「自己責任」だと突き放される。
「がんになったのは可哀想だけど、受け入れてくれる人がいないのはあなたの人間性が問題」
「休職を快諾してもらえないのは、非正規で働いてきたあなたのせい」
そんな風に訳知り顔で言われるのだ。
もちろん人生は不平等で、社会は理不尽だ。だけど「亡くなった人の無念の方が、エラい、尊い」と言わんばかりの風潮には、違和感しか感じない。
これはこの国の報道が、何百万人もいる当事者の事実より大衆ウケを優先し、悲しい事例と美談を喧伝して一部の人を崇め立てた結果だとわたしは思う。その報道は果たして女性アナウンサーの方が自らをさらけ出すことで社会に望んだ、乳がんを理解してもらうことになるだろうか? ならないよ。』
乳がん⑧
乳がん予防のために見直したい生活習慣4つ 喫煙や肥満、飲酒はリスク要因
http://toyokeizai.net/articles/-/172784
『最も重要な対策の1つは禁煙だ。』
『ノルウェーとスウェーデンで数十年間にわたり、計10万2098人の女性を対象に行われた調査によれば、1日10本以上のタバコを20年以上吸っていた人は、非喫煙者に比べて浸潤性の乳がんを発症するリスクが約30%高かったという。また、15歳になる前に喫煙を開始した女性の場合、発症の可能性は50%近く高くなった。』
『もう1つの重要な要素が体重のコントロールだ。ボディマス指数(BMI)が上がると乳がんのリスクも高まる。特に問題なのが、ウエスト周りが太った場合だ。腹部の脂肪は代謝が活発で、成長因子やホルモンを産出する。乳がん細胞の成長を促す女性ホルモン、エストロゲンも増える。』
『乳がん発症リスクとの関係がはっきりしている3つ目の要素はアルコールだ。1日に2~5杯のアルコールを飲む女性は、酒を飲まない女性と比べ40%も乳がんになりやすい。1日に1杯の飲酒であってもがんの発症リスクは約7%上昇する。
飲酒は性ホルモンの量に影響を与え、性ホルモンは閉経前であれ後であれ、女性のがん発症リスクを高める。乳がんの治療をすでに受けた場合でも、週に3~4杯相当のアルコール摂取は再発のリスクを高める。閉経後の女性や、過体重もしくは肥満の女性では特にそうだ。』
『食習慣についてもアドバイスしよう。心臓病の予防効果があるとされている食習慣こそ、乳がんの予防効果が最も期待できる食習慣だ。食物繊維が豊富な野菜に果物、全粒の穀物を多く食べ、飽和脂肪酸の多い牛豚肉など赤い肉の摂取は最小限にすることだ。また、砂糖で甘くした飲食物はほんの少しにとどめよう。
最近、発表された過去の15の研究に関する分析論文によれば、乳がんのリスクが最も少なかったのは果物と野菜を最もたくさん摂取していた女性たちだった。だが野菜や果物を多く食べることとがんのリスクとの相関がいちばんはっきり出たのは、乳がんになったあとに食習慣を変えた女性ではなく、子ども時代から野菜と果物をたくさん食べるという食習慣があり、それを大人になってからも続けていた人々だった。
特に予防効果が高いのが、カロテノイドという物質を豊富に含む野菜や果物だ。』
『次に来るのが身体的な活動だ。定期的な運動は乳がんを予防するばかりか、発症したとしても回復を促進する。そればかりか、多くの慢性疾患から体を守り、体重を標準に戻して維持するのにも役立つ。
米国および外国で行われた50を超える観察研究から、運動量の多い女性は乳がんになりにくく、罹患(りかん)した場合の死亡率も低いことがわかっている。
健康を守るためには、アスリートになる必要もなければ、マラソンを走る必要もない。速足で歩くといった運動は効果的で、特に1日1時間もできれば言うことはない。だが1日30分間であっても体を動かすなら、何もしないよりはましと言えるだろう。』
http://toyokeizai.net/articles/-/172784
『最も重要な対策の1つは禁煙だ。』
『ノルウェーとスウェーデンで数十年間にわたり、計10万2098人の女性を対象に行われた調査によれば、1日10本以上のタバコを20年以上吸っていた人は、非喫煙者に比べて浸潤性の乳がんを発症するリスクが約30%高かったという。また、15歳になる前に喫煙を開始した女性の場合、発症の可能性は50%近く高くなった。』
『もう1つの重要な要素が体重のコントロールだ。ボディマス指数(BMI)が上がると乳がんのリスクも高まる。特に問題なのが、ウエスト周りが太った場合だ。腹部の脂肪は代謝が活発で、成長因子やホルモンを産出する。乳がん細胞の成長を促す女性ホルモン、エストロゲンも増える。』
『乳がん発症リスクとの関係がはっきりしている3つ目の要素はアルコールだ。1日に2~5杯のアルコールを飲む女性は、酒を飲まない女性と比べ40%も乳がんになりやすい。1日に1杯の飲酒であってもがんの発症リスクは約7%上昇する。
飲酒は性ホルモンの量に影響を与え、性ホルモンは閉経前であれ後であれ、女性のがん発症リスクを高める。乳がんの治療をすでに受けた場合でも、週に3~4杯相当のアルコール摂取は再発のリスクを高める。閉経後の女性や、過体重もしくは肥満の女性では特にそうだ。』
『食習慣についてもアドバイスしよう。心臓病の予防効果があるとされている食習慣こそ、乳がんの予防効果が最も期待できる食習慣だ。食物繊維が豊富な野菜に果物、全粒の穀物を多く食べ、飽和脂肪酸の多い牛豚肉など赤い肉の摂取は最小限にすることだ。また、砂糖で甘くした飲食物はほんの少しにとどめよう。
最近、発表された過去の15の研究に関する分析論文によれば、乳がんのリスクが最も少なかったのは果物と野菜を最もたくさん摂取していた女性たちだった。だが野菜や果物を多く食べることとがんのリスクとの相関がいちばんはっきり出たのは、乳がんになったあとに食習慣を変えた女性ではなく、子ども時代から野菜と果物をたくさん食べるという食習慣があり、それを大人になってからも続けていた人々だった。
特に予防効果が高いのが、カロテノイドという物質を豊富に含む野菜や果物だ。』
『次に来るのが身体的な活動だ。定期的な運動は乳がんを予防するばかりか、発症したとしても回復を促進する。そればかりか、多くの慢性疾患から体を守り、体重を標準に戻して維持するのにも役立つ。
米国および外国で行われた50を超える観察研究から、運動量の多い女性は乳がんになりにくく、罹患(りかん)した場合の死亡率も低いことがわかっている。
健康を守るためには、アスリートになる必要もなければ、マラソンを走る必要もない。速足で歩くといった運動は効果的で、特に1日1時間もできれば言うことはない。だが1日30分間であっても体を動かすなら、何もしないよりはましと言えるだろう。』
フランスでのたばこの値段
フランス、たばこ1箱1300円に値上げへ 首相が計画発表
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170705-00000026-jij_afp-int
『エドゥアール・フィリップ(Edouard Philippe)仏首相の思い通りに事が運べば、フランスの歩道脇のカフェでたばこをくゆらすのを、最も熱烈な愛煙家ですらその値段を考えて、ついには諦めてしまうかもしれない。
フランスではたばこ関連の死者数が毎年8万人に及んでおり、この現状を受けてフィリップ首相は4日、「何もしないという選択肢はない」として、たばこ1箱の価格を現在の7ユーロ(約900円)から10ユーロ(約1300円)に引き上げる計画を発表した。
フィリップ首相は国会演説の中で、たばこは「回避可能な死の主要な原因であり、日常的な喫煙が若者の間で増えている」と述べた。
フィリップ首相は値上げの時期については言及しなかったが、同時に「この政策を台無しにする密売人らとの容赦ない闘い」を実施する意向を表明した。
現在のフランスのたばこの価格は、欧州連合(EU)の中で英国、アイルランドに次いで高い。
フランスの喫煙者数は非習慣的喫煙も含めて1600万人と推計されており、これは15歳から85歳までの人口の約3分の1に相当する。
仏政府は2016年、たばこのパッケージに生々しい画像を用いて健康被害を警告する統一デザインを導入した。
5月に選出されたフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は選挙遊説で、タバコ1箱を10ユーロに値上げすることに異存はないが、喫煙者らが安いたばこを探し回れないようにするために近隣諸国にも同様の措置を講じるよう強く求めると述べていた。』
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170705-00000026-jij_afp-int
『エドゥアール・フィリップ(Edouard Philippe)仏首相の思い通りに事が運べば、フランスの歩道脇のカフェでたばこをくゆらすのを、最も熱烈な愛煙家ですらその値段を考えて、ついには諦めてしまうかもしれない。
フランスではたばこ関連の死者数が毎年8万人に及んでおり、この現状を受けてフィリップ首相は4日、「何もしないという選択肢はない」として、たばこ1箱の価格を現在の7ユーロ(約900円)から10ユーロ(約1300円)に引き上げる計画を発表した。
フィリップ首相は国会演説の中で、たばこは「回避可能な死の主要な原因であり、日常的な喫煙が若者の間で増えている」と述べた。
フィリップ首相は値上げの時期については言及しなかったが、同時に「この政策を台無しにする密売人らとの容赦ない闘い」を実施する意向を表明した。
現在のフランスのたばこの価格は、欧州連合(EU)の中で英国、アイルランドに次いで高い。
フランスの喫煙者数は非習慣的喫煙も含めて1600万人と推計されており、これは15歳から85歳までの人口の約3分の1に相当する。
仏政府は2016年、たばこのパッケージに生々しい画像を用いて健康被害を警告する統一デザインを導入した。
5月に選出されたフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は選挙遊説で、タバコ1箱を10ユーロに値上げすることに異存はないが、喫煙者らが安いたばこを探し回れないようにするために近隣諸国にも同様の措置を講じるよう強く求めると述べていた。』
動脈塞栓術
海外の富裕層が押しかける「診療所」をほとんどの日本人が知らない理由
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1705/23/news047.html
『関西国際空港の近くにある病院を目指して、わざわざ海外からやって来る人が増えている。病院名は、IGTクリニック。がん治療専門のクリニックに、なぜ外国人の患者が増えているのか。その理由は……。
4月、関西エアポートは2016年度の「関西国際空港」の総旅客数が2571万人と過去最多を更新し、そのうち外国人が13%増の1242万人とこちらも2年連続で過去最高となったことを発表した。
これが「訪日外国人観光客」のおかげであることは言うまでもない。』
『関空はそんな外国人で溢れかえっているが、実は今、その外国人の中で京都はおろかUSJや道頓堀に見向きもせずに、関西国際空港駅から電車で約5分の「りんくうタウン」を訪れる人々がじわじわと増えてきているのをご存じだろうか。
彼らが目指す先は駅から徒歩5分ほどのところにある「IGTクリニック」というがん治療専門のクリニック。ここで行なわれている「動脈塞栓術」というがん治療を受けたいという海外の富裕層や、その技術を学びたいという外国人医師がまさしく世界中から集まってきているのだ。
「そんながん治療は聞いたことがないぞ!」「WELQ的な似非科学なんじゃないの?」といぶかしむ方も多いだろうが、動脈塞栓術は、日本の医師が1982年に発表し、世界に広まった画期的な肝臓がんの治療法「肝動脈塞栓療法」(TAE)を他のがんに応用した医療技術である。ちなみに、TAEは国立がん研究センターのWebサイトでも紹介されている。
そんな動脈塞栓術の第一人者で、この15年間で、乳がん、肺がん、胃がん、肝臓がんなどで1万件超の治療実績を誇っているのが、このクリニックの院長を務める掘信一医師なのだ。
「1万件の実績」と聞いて、動脈塞栓術に興味を抱いた方も多いだろう。そこで、5月26日に発売される掘医師の初めての著書『なぜ関空に世界中からがん患者が集まるのか?』(宝島社)の中に、この治療法について端的に説明してあるところがあるので引用させていただく。
『「動脈塞栓術」とも呼ばれるこの治療は、非常に細いマイクロカテーテルという器具を血管内に通して、がんの塊に向けて抗がん剤を直接送り込むと同時に、がん細胞が栄養を受け取る血管を極めて小さな「塞栓材料」というもので「蓋」をしてしまうという治療です。
がん組織への血管を蓋で塞いでしまうことで、少量の抗がん剤で効果的に治療ができるうえ、がんへの栄養補給路も断つことができます。わかりやすくいえば、がんに対して「兵糧攻め」を行うのです。』(P10)
ご存じのように、抗がん剤を用いた「全身化学療法」は重い副作用がある。その辛さは筆舌に尽くしがたいものがあり、がん患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を大きく損ねるが、動脈塞栓術の場合は「全身化学療法」の10分の1程度の量で済むため、副作用が少ないのはもちろんのこと、薬にかかる費用もかなり少なく抑えられるメリットがあるのだ。
また、マイクロカテーテルという細い管を脚のつけ根の動脈に差し込むだけなので、お腹や胸にメスを入れるなどの手術が必要ない。ほとんどの患者は1回の治療で2泊3日の入院で済むため、外国人の場合はすぐに飛行機で母国へ帰ることができる。つまり、副作用的にも、経済的にも、そして身体的にも負担が少ないがん治療と言えるのだ。
いやいや、いくら負担が少ないからっていても、がん治療なんだからそれなりの効果がなくちゃなんの意味もないだろ、という声が聞こえてきそうだが、効果に関しても目を見張るものがある。
実は筆者は掘医師の執筆のお手伝いをさせてもらった関係で、1万件の実績の中で、いくつかの治療経過を拝見した。他の病院でがん免疫チェックポイント阻害薬という新しいタイプの治療薬を用いてもなかなかいい結果がでず、「余命3カ月」を宣告されるほど大きくなったがんが、堀医師による動脈塞栓術を受けた途端に半分程度に縮む、というようなケースを無数に目にしている。中には、「兵糧攻め」によって、がんがほとんど消えてしまうようなケースもあった。
なんて調子で動脈塞栓術を持ち上げるような話ばかりを聞いていると、おそらくこんな疑念が浮かぶことだろう。
「そんなに素晴らしい治療法なら日本中に普及してもっと知られているはずだ。国立がん研究センターや有名な大学病院で当たり前のように行なわれていないということは、きっとなにか問題がある治療法に違いない」
その疑念はある意味で正しい。この動脈塞栓術は患者の負担も少なくて、効果もあるのだが、実はいくつかの大きな「問題」を抱えた治療法でもあるのだ。まず1つは、「誰でもできる治療法ではない」ことが挙げられる。血管内にマイクロカテーテルを通して、正確にがんの周辺にたどりつくには、ミリ単位の繊細の技術を要する。 このような「職人技」は一朝一夕で身に付けられるものではなく、堀医師も若いころから欧州で修行をしたり、長い経験の中で習得している。
また、マイクロカテーテルを通すためには体内の血管1本1本を正確に把握しなくてはいけないので、CTと血管造影装置を組み合わせた億単位の高額な医療機器が必要となる。
つまり、IGTクリニックで行なっている治療を、他の病院でやれと言われても、いきなりできるようなものではないのだ。
「国民皆保険制度」という共産主義的な医療システムが根幹にある日本では基本的に、北は北海道から南は沖縄まですべて同じ質の医療を提供していなくてはいけない、ということになっている。堀医師に動脈塞栓術をしてもらった患者と、他の医師に動脈塞栓術をしてもらった患者の、結果が異なるというのは「すべての国民が安くて質の高い医療を受けられる」という基本理念を掲げる日本の医療政策的に絶対にあってはならない話なのだ。
ただ、そのような「問題」もさることながら、動脈塞栓術とういものを、我々一般人がほとんど知らないのは、もうひとつ大きな「問題」がある。数年前、ある学会で堀医師が動脈塞栓術を用いてがん治療をした結果を発表しようとしたところ、学会の座長がこのように紹介したという。
『皆さん、よく聞いてください。今から行われる発表は、私たちの学会でつくられたガイドラインから大きく外れるものです。その点をよく念頭に置いたうえで、今からの演題を聞いてください』(P64)
ご存じの方も多いと思うが、医師はそれぞれの専門領域の学会がつくる「診療ガイドライン」に基づいて診療をしているのだが、動脈塞栓術はそのガイドライン的にアウトとされているのだ。
例えば、堀医師は動脈塞栓術で乳がんを多く治療しているが、乳がん学会の診療ガイドラインでは、動脈塞栓術は「D」(推奨しない)となっている。つまり、堀医師は学会が認めていない治療をやっている「異端の医師」なのだ。
そのような治療をテレビや新聞で大きく取り上げられるわけがない。大多数の医療関係者からは「患者を誤解させるよう怪しい話をふれまわるな」とか「WELQみたいな似非科学報道しやがって」と怒られる。どんなに回復したという患者がいても、それを声高に伝えるリスクが高すぎる。
つまり、我々が「動脈塞栓術」の存在すら知らないのは、この治療が白い巨塔的に「タブー」だからなのだ。
この現状を、堀医師はこのように述べている。
『動脈塞栓術が十分に普及してこなかった原因のひとつは私たちにあります。十五年以上も動脈塞栓術で患者を治療してきたにもかかわらず、目の前の患者さんの治療に専念するあまり、論文や学会での発表を疎かにしてきたのです』(P59)
ちょっと前、製薬会社が降圧剤の「効果」をうたうため、大学病院で行なわれた医師主導臨床研究のデータをいじった、いじらないと大騒ぎになったように、医療の世界では論文や学会での発表がすべてである。いくら目の前にいる患者のがんを小さくしても、「エビンデンス」(科学的根拠)がなければ「たまたまでしょ」という扱いで、全国の医療機関に普及することがない。
だからこそ、IGTクリニックに世界中から、治療を求める外国人がん患者や技術を覚えようという医師が集まっていることは、長い目で見ると日本のがん患者にとっても喜ばしいことなのだ。
症例が積み重なることはもちろんだが、海外で医療情報が交換され、「堀学校」の卒業生が海の向こうで論文や学会発表をする。海外で認められれば、日本国内の医師たちも認めざるを得ない。そうなれば、ガイドラインでの評価も最低ランクの「D」から「C」(推奨するだけの根拠が明確ではない)くらいに上がる。それはつまり、全身化学療法、切除手術、放射線治療に続く「第4の選択肢」ができるということなので、がん治療で苦しむ人々の「可能性」が広がるというわけだ。
堀医師が「異端の医師」でなくなる日もそう遠くないのかもしれない。』
龍志会IGTクリニックでは血管内治療でQOL向上を目指します。
http://www.igtc.jp/
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1705/23/news047.html
『関西国際空港の近くにある病院を目指して、わざわざ海外からやって来る人が増えている。病院名は、IGTクリニック。がん治療専門のクリニックに、なぜ外国人の患者が増えているのか。その理由は……。
4月、関西エアポートは2016年度の「関西国際空港」の総旅客数が2571万人と過去最多を更新し、そのうち外国人が13%増の1242万人とこちらも2年連続で過去最高となったことを発表した。
これが「訪日外国人観光客」のおかげであることは言うまでもない。』
『関空はそんな外国人で溢れかえっているが、実は今、その外国人の中で京都はおろかUSJや道頓堀に見向きもせずに、関西国際空港駅から電車で約5分の「りんくうタウン」を訪れる人々がじわじわと増えてきているのをご存じだろうか。
彼らが目指す先は駅から徒歩5分ほどのところにある「IGTクリニック」というがん治療専門のクリニック。ここで行なわれている「動脈塞栓術」というがん治療を受けたいという海外の富裕層や、その技術を学びたいという外国人医師がまさしく世界中から集まってきているのだ。
「そんながん治療は聞いたことがないぞ!」「WELQ的な似非科学なんじゃないの?」といぶかしむ方も多いだろうが、動脈塞栓術は、日本の医師が1982年に発表し、世界に広まった画期的な肝臓がんの治療法「肝動脈塞栓療法」(TAE)を他のがんに応用した医療技術である。ちなみに、TAEは国立がん研究センターのWebサイトでも紹介されている。
そんな動脈塞栓術の第一人者で、この15年間で、乳がん、肺がん、胃がん、肝臓がんなどで1万件超の治療実績を誇っているのが、このクリニックの院長を務める掘信一医師なのだ。
「1万件の実績」と聞いて、動脈塞栓術に興味を抱いた方も多いだろう。そこで、5月26日に発売される掘医師の初めての著書『なぜ関空に世界中からがん患者が集まるのか?』(宝島社)の中に、この治療法について端的に説明してあるところがあるので引用させていただく。
『「動脈塞栓術」とも呼ばれるこの治療は、非常に細いマイクロカテーテルという器具を血管内に通して、がんの塊に向けて抗がん剤を直接送り込むと同時に、がん細胞が栄養を受け取る血管を極めて小さな「塞栓材料」というもので「蓋」をしてしまうという治療です。
がん組織への血管を蓋で塞いでしまうことで、少量の抗がん剤で効果的に治療ができるうえ、がんへの栄養補給路も断つことができます。わかりやすくいえば、がんに対して「兵糧攻め」を行うのです。』(P10)
ご存じのように、抗がん剤を用いた「全身化学療法」は重い副作用がある。その辛さは筆舌に尽くしがたいものがあり、がん患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を大きく損ねるが、動脈塞栓術の場合は「全身化学療法」の10分の1程度の量で済むため、副作用が少ないのはもちろんのこと、薬にかかる費用もかなり少なく抑えられるメリットがあるのだ。
また、マイクロカテーテルという細い管を脚のつけ根の動脈に差し込むだけなので、お腹や胸にメスを入れるなどの手術が必要ない。ほとんどの患者は1回の治療で2泊3日の入院で済むため、外国人の場合はすぐに飛行機で母国へ帰ることができる。つまり、副作用的にも、経済的にも、そして身体的にも負担が少ないがん治療と言えるのだ。
いやいや、いくら負担が少ないからっていても、がん治療なんだからそれなりの効果がなくちゃなんの意味もないだろ、という声が聞こえてきそうだが、効果に関しても目を見張るものがある。
実は筆者は掘医師の執筆のお手伝いをさせてもらった関係で、1万件の実績の中で、いくつかの治療経過を拝見した。他の病院でがん免疫チェックポイント阻害薬という新しいタイプの治療薬を用いてもなかなかいい結果がでず、「余命3カ月」を宣告されるほど大きくなったがんが、堀医師による動脈塞栓術を受けた途端に半分程度に縮む、というようなケースを無数に目にしている。中には、「兵糧攻め」によって、がんがほとんど消えてしまうようなケースもあった。
なんて調子で動脈塞栓術を持ち上げるような話ばかりを聞いていると、おそらくこんな疑念が浮かぶことだろう。
「そんなに素晴らしい治療法なら日本中に普及してもっと知られているはずだ。国立がん研究センターや有名な大学病院で当たり前のように行なわれていないということは、きっとなにか問題がある治療法に違いない」
その疑念はある意味で正しい。この動脈塞栓術は患者の負担も少なくて、効果もあるのだが、実はいくつかの大きな「問題」を抱えた治療法でもあるのだ。まず1つは、「誰でもできる治療法ではない」ことが挙げられる。血管内にマイクロカテーテルを通して、正確にがんの周辺にたどりつくには、ミリ単位の繊細の技術を要する。 このような「職人技」は一朝一夕で身に付けられるものではなく、堀医師も若いころから欧州で修行をしたり、長い経験の中で習得している。
また、マイクロカテーテルを通すためには体内の血管1本1本を正確に把握しなくてはいけないので、CTと血管造影装置を組み合わせた億単位の高額な医療機器が必要となる。
つまり、IGTクリニックで行なっている治療を、他の病院でやれと言われても、いきなりできるようなものではないのだ。
「国民皆保険制度」という共産主義的な医療システムが根幹にある日本では基本的に、北は北海道から南は沖縄まですべて同じ質の医療を提供していなくてはいけない、ということになっている。堀医師に動脈塞栓術をしてもらった患者と、他の医師に動脈塞栓術をしてもらった患者の、結果が異なるというのは「すべての国民が安くて質の高い医療を受けられる」という基本理念を掲げる日本の医療政策的に絶対にあってはならない話なのだ。
ただ、そのような「問題」もさることながら、動脈塞栓術とういものを、我々一般人がほとんど知らないのは、もうひとつ大きな「問題」がある。数年前、ある学会で堀医師が動脈塞栓術を用いてがん治療をした結果を発表しようとしたところ、学会の座長がこのように紹介したという。
『皆さん、よく聞いてください。今から行われる発表は、私たちの学会でつくられたガイドラインから大きく外れるものです。その点をよく念頭に置いたうえで、今からの演題を聞いてください』(P64)
ご存じの方も多いと思うが、医師はそれぞれの専門領域の学会がつくる「診療ガイドライン」に基づいて診療をしているのだが、動脈塞栓術はそのガイドライン的にアウトとされているのだ。
例えば、堀医師は動脈塞栓術で乳がんを多く治療しているが、乳がん学会の診療ガイドラインでは、動脈塞栓術は「D」(推奨しない)となっている。つまり、堀医師は学会が認めていない治療をやっている「異端の医師」なのだ。
そのような治療をテレビや新聞で大きく取り上げられるわけがない。大多数の医療関係者からは「患者を誤解させるよう怪しい話をふれまわるな」とか「WELQみたいな似非科学報道しやがって」と怒られる。どんなに回復したという患者がいても、それを声高に伝えるリスクが高すぎる。
つまり、我々が「動脈塞栓術」の存在すら知らないのは、この治療が白い巨塔的に「タブー」だからなのだ。
この現状を、堀医師はこのように述べている。
『動脈塞栓術が十分に普及してこなかった原因のひとつは私たちにあります。十五年以上も動脈塞栓術で患者を治療してきたにもかかわらず、目の前の患者さんの治療に専念するあまり、論文や学会での発表を疎かにしてきたのです』(P59)
ちょっと前、製薬会社が降圧剤の「効果」をうたうため、大学病院で行なわれた医師主導臨床研究のデータをいじった、いじらないと大騒ぎになったように、医療の世界では論文や学会での発表がすべてである。いくら目の前にいる患者のがんを小さくしても、「エビンデンス」(科学的根拠)がなければ「たまたまでしょ」という扱いで、全国の医療機関に普及することがない。
だからこそ、IGTクリニックに世界中から、治療を求める外国人がん患者や技術を覚えようという医師が集まっていることは、長い目で見ると日本のがん患者にとっても喜ばしいことなのだ。
症例が積み重なることはもちろんだが、海外で医療情報が交換され、「堀学校」の卒業生が海の向こうで論文や学会発表をする。海外で認められれば、日本国内の医師たちも認めざるを得ない。そうなれば、ガイドラインでの評価も最低ランクの「D」から「C」(推奨するだけの根拠が明確ではない)くらいに上がる。それはつまり、全身化学療法、切除手術、放射線治療に続く「第4の選択肢」ができるということなので、がん治療で苦しむ人々の「可能性」が広がるというわけだ。
堀医師が「異端の医師」でなくなる日もそう遠くないのかもしれない。』
龍志会IGTクリニックでは血管内治療でQOL向上を目指します。
http://www.igtc.jp/
「病院」と「診療所」の違い
「病院」と「診療所」の違いとは?医療費に差も!
http://diamond.jp/articles/-/117275
『家の近所にある何でも相談できる診療所、子どもの病気を専門に見てくれる小児科のクリニック、内科や外科など複数の診療科を備えた病院。地域にはさまざまな形態の医療機関がある。
フリーアクセス制をとっている日本では、健康保険証1枚あれば、規模の大小にかかわらず原則的にどこでも好きな医療機関を受診できる。そのせいか、ふだん私たちはあまり意識することなく、医療機関のことをまとめて「病院」と呼びがちだ。
だが、法律では「病院」と「診療所」を区別しており、同じような治療でも、どこで受けたかによって医療費に差が出ることもある。「病院」と「診療所」は、どのような基準で分けられているのだろうか。
医療の安全を確保し、効果がよく分からない民間療法などから国民を守るために、医療法では病気やケガの治療を行える施設は、原則的に科学的根拠に基いた治療を行う「病院」と「診療所」に限定している。
とくに「病院」に対しては、高度な医療を行えるように、医師をはじめとしたスタッフの人数、備えるべき設備などについての基準を設けているが、「診療所」との明確な線引きになっているのが入院用のベッドの数だ。
医療法第一条の五では、ベッド数20床以上だと「病院」で、19床以下またはベッドがない施設を「診療所」と定めている。ただし、同じ「病院」のカテゴリーの中でも、ベッド数に応じて医療費が異なる仕組みになっている。
とくに、最近、患者の自己負担に大きな差をもたらしているのが、医師の紹介状を持たずに病院を受診した場合の特別料金で、そのラインとなっているのが400床と500床以上の病院だ。
限りある医療資源で効率よく適切な治療を行なうために「診療所は日常的な病気やケガの治療や慢性疾患の経過観察」「病院は高度な手術や検査、化学治療、放射線治療」など、国は医療機関の機能分化を進めている。』
http://diamond.jp/articles/-/117275
『家の近所にある何でも相談できる診療所、子どもの病気を専門に見てくれる小児科のクリニック、内科や外科など複数の診療科を備えた病院。地域にはさまざまな形態の医療機関がある。
フリーアクセス制をとっている日本では、健康保険証1枚あれば、規模の大小にかかわらず原則的にどこでも好きな医療機関を受診できる。そのせいか、ふだん私たちはあまり意識することなく、医療機関のことをまとめて「病院」と呼びがちだ。
だが、法律では「病院」と「診療所」を区別しており、同じような治療でも、どこで受けたかによって医療費に差が出ることもある。「病院」と「診療所」は、どのような基準で分けられているのだろうか。
医療の安全を確保し、効果がよく分からない民間療法などから国民を守るために、医療法では病気やケガの治療を行える施設は、原則的に科学的根拠に基いた治療を行う「病院」と「診療所」に限定している。
とくに「病院」に対しては、高度な医療を行えるように、医師をはじめとしたスタッフの人数、備えるべき設備などについての基準を設けているが、「診療所」との明確な線引きになっているのが入院用のベッドの数だ。
医療法第一条の五では、ベッド数20床以上だと「病院」で、19床以下またはベッドがない施設を「診療所」と定めている。ただし、同じ「病院」のカテゴリーの中でも、ベッド数に応じて医療費が異なる仕組みになっている。
とくに、最近、患者の自己負担に大きな差をもたらしているのが、医師の紹介状を持たずに病院を受診した場合の特別料金で、そのラインとなっているのが400床と500床以上の病院だ。
限りある医療資源で効率よく適切な治療を行なうために「診療所は日常的な病気やケガの治療や慢性疾患の経過観察」「病院は高度な手術や検査、化学治療、放射線治療」など、国は医療機関の機能分化を進めている。』
海流発電②
世界初の「海流発電」実験、IHIが描く可能性
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ07HY6_X00C17A7000000/
『IHIと新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は7日、2020年に実用化を目指す水中浮遊式「海流発電」の実証試験機を横浜市内で報道公開した。海底からワイヤで固定して水中を漂わせ、海流で羽根を回転させて発電する。100キロワット級の「かいりゅう」が8月から、口之島(鹿児島県)近海でこの規模の機器として世界初の実証試験に入る。新たな再生エネルギーの選択肢となるか。
「設計から製造、配送電まで日本の持つ技術を結集した」とIHI技術開発本部の伊東章雄理事は胸を張る。かいりゅうの全長、幅は約20メートルで、重さは約330トンに達する。両端の円筒状の部分の先端に直径約11メートルの羽根が2枚ついた形状。羽根はそれぞれ逆方向に回転し、海中で安定した姿勢を保持する。浮上させれば海上で保守作業ができる。
海流発電は送電網を含む初期コストは高いが、安定した発電能力を発揮する再生エネルギーになりうる。海流のエネルギーは年間を通して変動が少なく、海流発電の設備利用率は40~70%と高い。風がないと止まってしまう風車は地上なら20%、洋上でも30~40%程度にとどまる。日照がないと発電できない太陽光にいたっては利用率は10~15%程度にすぎず、海流発電の効率の高さがわかる。
串木野港(同県)沖合で7月下旬から試運転し、8月中旬から約1週間の実証試験を始める。海底においた重りから係留して浮遊させ、発電した電気は海底ケーブルを経由して需要地へと送る。かいりゅうと名付けたのは口之島のある十島村の小中学生。海流と「海竜」の語呂合わせが語源という。
IHIとNEDOは6年前からIHIの横浜事業所(横浜市)で本格的に開発してきた。輸送のための船に載せられたかいりゅうは思わず見上げるほどの大きさだが、この発電能力ではとても、現実的な価格では出せない。ビジネスとして成り立たせるにはさらなる機器の大型化が欠かせない。
IHIは2020年代にかいりゅうの羽根を約4倍の40メートルまで大きくし、出力も2000キロワットに引き上げる未来を描く。ただそうなると、漁業権との両立が現実的な課題として浮上する。欧米で一般的となった洋上風力発電が日本で普及しない要因の一つにも、漁業権の補償の難しさがある。海洋大国、日本の恵まれた自然環境も、利用するには知恵が必要だ。』
海流で発電できる装置公開 黒潮海域で実証試験へ(17/07/07)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ07HY6_X00C17A7000000/
『IHIと新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は7日、2020年に実用化を目指す水中浮遊式「海流発電」の実証試験機を横浜市内で報道公開した。海底からワイヤで固定して水中を漂わせ、海流で羽根を回転させて発電する。100キロワット級の「かいりゅう」が8月から、口之島(鹿児島県)近海でこの規模の機器として世界初の実証試験に入る。新たな再生エネルギーの選択肢となるか。
「設計から製造、配送電まで日本の持つ技術を結集した」とIHI技術開発本部の伊東章雄理事は胸を張る。かいりゅうの全長、幅は約20メートルで、重さは約330トンに達する。両端の円筒状の部分の先端に直径約11メートルの羽根が2枚ついた形状。羽根はそれぞれ逆方向に回転し、海中で安定した姿勢を保持する。浮上させれば海上で保守作業ができる。
海流発電は送電網を含む初期コストは高いが、安定した発電能力を発揮する再生エネルギーになりうる。海流のエネルギーは年間を通して変動が少なく、海流発電の設備利用率は40~70%と高い。風がないと止まってしまう風車は地上なら20%、洋上でも30~40%程度にとどまる。日照がないと発電できない太陽光にいたっては利用率は10~15%程度にすぎず、海流発電の効率の高さがわかる。
串木野港(同県)沖合で7月下旬から試運転し、8月中旬から約1週間の実証試験を始める。海底においた重りから係留して浮遊させ、発電した電気は海底ケーブルを経由して需要地へと送る。かいりゅうと名付けたのは口之島のある十島村の小中学生。海流と「海竜」の語呂合わせが語源という。
IHIとNEDOは6年前からIHIの横浜事業所(横浜市)で本格的に開発してきた。輸送のための船に載せられたかいりゅうは思わず見上げるほどの大きさだが、この発電能力ではとても、現実的な価格では出せない。ビジネスとして成り立たせるにはさらなる機器の大型化が欠かせない。
IHIは2020年代にかいりゅうの羽根を約4倍の40メートルまで大きくし、出力も2000キロワットに引き上げる未来を描く。ただそうなると、漁業権との両立が現実的な課題として浮上する。欧米で一般的となった洋上風力発電が日本で普及しない要因の一つにも、漁業権の補償の難しさがある。海洋大国、日本の恵まれた自然環境も、利用するには知恵が必要だ。』
海流で発電できる装置公開 黒潮海域で実証試験へ(17/07/07)
テーマ : こんなことがありました
ジャンル : ブログ
福島原発事故2039
デブリ撮影できるか 第一原発3号機の格納容器調査
http://www.minpo.jp/news/detail/2017070943159
『東京電力が今月中旬にも開始する福島第一原発3号機の原子炉格納容器内部調査は、事故で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の実態を把握できるかが最大の焦点となる。東電は今春に1、2号機を調査したが、デブリは撮影できなかった。専門家は「調査で有力な情報が得られれば、3号機からの取り出し開始もあり得る」と分析している。
政府と東電は今夏に1~3号機の状況に応じたデブリの取り出し方針を決める計画だが、実態は事故から6年以上が過ぎた現在も把握できていない。3号機の調査でデブリの形状や硬さ、分布状況を把握できれば、1、2号機の方針検討にも役立つと期待されている。
3号機は格納容器の底から高さ6メートル付近まで汚染水がたまっている。デブリの一部は圧力容器下部を突き破り、汚染水内に落下しているとみられている。調査では、格納容器の壁の貫通部から潜水可能なロボットを入れ、レールを伝わせて圧力容器真下の足場に移動させる。圧力容器下部の状況をカメラで確認した後、汚染水の中を遊泳させてデブリの撮影を目指す。
政府と東電の工程表では2021年に1~3号機のいずれかで取り出しを始める方針。ただ、1号機は格納容器底部に落下したデブリが広範囲に広がっているとされる。2号機は格納容器内部の放射線量が比較的高いなど取り出しに向けた課題は多い。
廃炉の技術支援を担う原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の委員の1人は、3号機の使用済み核燃料取り出しに向けた作業が1、2号機と比べて進んでいる点を挙げ、「今回の調査で有力な情報が得られれば、3号機からデブリの取り出しを始める可能性がある」との認識を示した。』
栃木“汚染ごみ”処分問題 環境省が分散保管提案へ(17/07/08)
「帰還」テーマに対話集会 伊達でICRP
http://www.minpo.jp/news/detail/2017070943172
『東京電力福島第一原発事故を受けた国際放射線防護委員会(ICRP)の対話集会「ダイアログセミナー」は8日、伊達市役所で始まった。原発事故に伴う避難が長期化している現状を踏まえ、「帰還」をテーマに9日まで開く。
ICRP委員や農業従事者、市民ら約80人が出席した。ICRP副委員長のジャック・ロシャール氏があいさつした。
初日は4月に避難指示が解除された川俣町山木屋地区と飯舘村の花卉(かき)農家によるパネルディスカッションを行った。飯舘村在住の菅野クニさんを座長に、高橋日出夫さん(飯舘村)、菅野源勝さん(川俣町山木屋)、広野晶彦さん(川俣町山木屋)が「避難指示解除後の農業の再開」のテーマで発表した。高橋さんは飯舘村で農業を再開した理由について「古里の美しい景色と農業が好きという気持ちがきっかけになった」と話した。
福島民報社の早川正也浜通り創生局長が浜通り地方の抱える課題などを解説した。最終日は大熊町や双葉町など帰還困難区域の現状報告や討論がある。』
吉野復興相、東電会長・社長に「福島第2原発廃炉」判断を迫る
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20170708-186583.php
『吉野正芳復興相(衆院福島5区)は7日、復興庁に東京電力の川村隆会長、小早川智明社長ら新経営陣を呼び、(福島)県や県議会が廃炉を求めている福島第2原発の今後の方向性について早期に判断するよう求めた。会談は公開で行われたが、東電は吉野氏に第2原発の方向性には答えず、終了後報道陣の問いに対し、川村氏が「経営としての判断をできるだけ早く出そうとやっている」との考えを示した。閣僚が電力会社に対し、原発の存廃について判断を迫るのは異例。
吉野氏は東電に対し「政府としては一義的に(第2原発の今後の方向性は)事業者の判断(という認識)だ。でも、福島県民の思いを十分考えて一日も早く判断していただきたい」と迫った。
川村氏らは、吉野氏に対し、廃炉作業や賠償については「肝に銘じて頑張る」「福島の責任を完遂する」などと答えたが、第2原発の方向性については言及しなかった。』
<福島第2>廃炉「早期判断を」 復興相要請
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201707/20170708_63016.html
『吉野正芳復興相(衆院福島5区)は7日、東京電力ホールディングスの川村隆会長や小早川智明社長ら新経営陣と復興庁で面会した。福島県や県議会が廃炉を求めている同社の福島第2原発(楢葉町、富岡町)について「県民の思いを十分に理解し、一日も早く判断してほしい」と要請した。
吉野氏は第2原発の廃炉に関し「政府としては一義的には事業者の判断」と前置きした上で、早期決断を求めた。福島第1原発事故の甚大な被害も指摘し「責任の重さを肝に銘じ、福島の再生のため尽力してほしい」と注文を付けた。
東電の川村氏と小早川氏は「原発事故で大変な迷惑をかけて申し訳ない。福島への責任を果たす」などと陳謝した。第2原発には言及しなかった。川村氏は報道機関の取材に、第2原発の存廃について「できるだけ早く答えを出したい」と述べた。
東電は6月23日に経営陣を刷新。川村氏は就任記者会見で第2原発に関して火力や水力を含む全発電所の役割を整理した上で検討する方針を示したが、判断時期には触れなかった。』
福井知事「体制強化を」=原発・もんじゅで規制委員長に
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017070701271&g=soc
『原子力規制委員会の田中俊一委員長は7日、福井県庁を訪れて西川一誠知事と会談した。西川知事は同県が原発再稼働や高速増殖原型炉もんじゅの廃炉など、原子力に関するさまざまな問題を抱えていると説明。「日ごろから各発電所の状況を十分に把握できるよう、現地の人員体制を充実・強化してほしい」と述べた。
西川知事は、規制委がもんじゅを運営する日本原子力研究開発機構に対し、原子炉内の核燃料を早期に取り出すよう求めていることについて「あまりせかしてはいけないこともある。注意を持って対応してほしい」と求めた。』
ウラン濃縮工場で発電機発火=日本原燃、環境影響なし-青森
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017070701190&g=soc
『日本原燃は7日、青森県六ケ所村にあるウラン濃縮工場の補助建屋で火災があったと発表した。非常用ディーゼル発電機から発火し、自然に消えたという。けが人はおらず、周辺環境に影響はないとしている。
日本原燃によると、社員が発電機の試運転を行っていたところ、制御盤から発火。約15センチ四方が焦げたという。補助建屋では放射性物質を取り扱っていない。』
http://www.minpo.jp/news/detail/2017070943159
『東京電力が今月中旬にも開始する福島第一原発3号機の原子炉格納容器内部調査は、事故で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の実態を把握できるかが最大の焦点となる。東電は今春に1、2号機を調査したが、デブリは撮影できなかった。専門家は「調査で有力な情報が得られれば、3号機からの取り出し開始もあり得る」と分析している。
政府と東電は今夏に1~3号機の状況に応じたデブリの取り出し方針を決める計画だが、実態は事故から6年以上が過ぎた現在も把握できていない。3号機の調査でデブリの形状や硬さ、分布状況を把握できれば、1、2号機の方針検討にも役立つと期待されている。
3号機は格納容器の底から高さ6メートル付近まで汚染水がたまっている。デブリの一部は圧力容器下部を突き破り、汚染水内に落下しているとみられている。調査では、格納容器の壁の貫通部から潜水可能なロボットを入れ、レールを伝わせて圧力容器真下の足場に移動させる。圧力容器下部の状況をカメラで確認した後、汚染水の中を遊泳させてデブリの撮影を目指す。
政府と東電の工程表では2021年に1~3号機のいずれかで取り出しを始める方針。ただ、1号機は格納容器底部に落下したデブリが広範囲に広がっているとされる。2号機は格納容器内部の放射線量が比較的高いなど取り出しに向けた課題は多い。
廃炉の技術支援を担う原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の委員の1人は、3号機の使用済み核燃料取り出しに向けた作業が1、2号機と比べて進んでいる点を挙げ、「今回の調査で有力な情報が得られれば、3号機からデブリの取り出しを始める可能性がある」との認識を示した。』
栃木“汚染ごみ”処分問題 環境省が分散保管提案へ(17/07/08)
「帰還」テーマに対話集会 伊達でICRP
http://www.minpo.jp/news/detail/2017070943172
『東京電力福島第一原発事故を受けた国際放射線防護委員会(ICRP)の対話集会「ダイアログセミナー」は8日、伊達市役所で始まった。原発事故に伴う避難が長期化している現状を踏まえ、「帰還」をテーマに9日まで開く。
ICRP委員や農業従事者、市民ら約80人が出席した。ICRP副委員長のジャック・ロシャール氏があいさつした。
初日は4月に避難指示が解除された川俣町山木屋地区と飯舘村の花卉(かき)農家によるパネルディスカッションを行った。飯舘村在住の菅野クニさんを座長に、高橋日出夫さん(飯舘村)、菅野源勝さん(川俣町山木屋)、広野晶彦さん(川俣町山木屋)が「避難指示解除後の農業の再開」のテーマで発表した。高橋さんは飯舘村で農業を再開した理由について「古里の美しい景色と農業が好きという気持ちがきっかけになった」と話した。
福島民報社の早川正也浜通り創生局長が浜通り地方の抱える課題などを解説した。最終日は大熊町や双葉町など帰還困難区域の現状報告や討論がある。』
吉野復興相、東電会長・社長に「福島第2原発廃炉」判断を迫る
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20170708-186583.php
『吉野正芳復興相(衆院福島5区)は7日、復興庁に東京電力の川村隆会長、小早川智明社長ら新経営陣を呼び、(福島)県や県議会が廃炉を求めている福島第2原発の今後の方向性について早期に判断するよう求めた。会談は公開で行われたが、東電は吉野氏に第2原発の方向性には答えず、終了後報道陣の問いに対し、川村氏が「経営としての判断をできるだけ早く出そうとやっている」との考えを示した。閣僚が電力会社に対し、原発の存廃について判断を迫るのは異例。
吉野氏は東電に対し「政府としては一義的に(第2原発の今後の方向性は)事業者の判断(という認識)だ。でも、福島県民の思いを十分考えて一日も早く判断していただきたい」と迫った。
川村氏らは、吉野氏に対し、廃炉作業や賠償については「肝に銘じて頑張る」「福島の責任を完遂する」などと答えたが、第2原発の方向性については言及しなかった。』
<福島第2>廃炉「早期判断を」 復興相要請
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201707/20170708_63016.html
『吉野正芳復興相(衆院福島5区)は7日、東京電力ホールディングスの川村隆会長や小早川智明社長ら新経営陣と復興庁で面会した。福島県や県議会が廃炉を求めている同社の福島第2原発(楢葉町、富岡町)について「県民の思いを十分に理解し、一日も早く判断してほしい」と要請した。
吉野氏は第2原発の廃炉に関し「政府としては一義的には事業者の判断」と前置きした上で、早期決断を求めた。福島第1原発事故の甚大な被害も指摘し「責任の重さを肝に銘じ、福島の再生のため尽力してほしい」と注文を付けた。
東電の川村氏と小早川氏は「原発事故で大変な迷惑をかけて申し訳ない。福島への責任を果たす」などと陳謝した。第2原発には言及しなかった。川村氏は報道機関の取材に、第2原発の存廃について「できるだけ早く答えを出したい」と述べた。
東電は6月23日に経営陣を刷新。川村氏は就任記者会見で第2原発に関して火力や水力を含む全発電所の役割を整理した上で検討する方針を示したが、判断時期には触れなかった。』
福井知事「体制強化を」=原発・もんじゅで規制委員長に
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017070701271&g=soc
『原子力規制委員会の田中俊一委員長は7日、福井県庁を訪れて西川一誠知事と会談した。西川知事は同県が原発再稼働や高速増殖原型炉もんじゅの廃炉など、原子力に関するさまざまな問題を抱えていると説明。「日ごろから各発電所の状況を十分に把握できるよう、現地の人員体制を充実・強化してほしい」と述べた。
西川知事は、規制委がもんじゅを運営する日本原子力研究開発機構に対し、原子炉内の核燃料を早期に取り出すよう求めていることについて「あまりせかしてはいけないこともある。注意を持って対応してほしい」と求めた。』
ウラン濃縮工場で発電機発火=日本原燃、環境影響なし-青森
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017070701190&g=soc
『日本原燃は7日、青森県六ケ所村にあるウラン濃縮工場の補助建屋で火災があったと発表した。非常用ディーゼル発電機から発火し、自然に消えたという。けが人はおらず、周辺環境に影響はないとしている。
日本原燃によると、社員が発電機の試運転を行っていたところ、制御盤から発火。約15センチ四方が焦げたという。補助建屋では放射性物質を取り扱っていない。』
テーマ : こんなことがありました
ジャンル : ブログ