国立新美術館で開催中のミュシャ展(現チェコ生まれ1860-1939)へ行ってきました。
とてもよかったです。
会場に入るとやはり「お~っ!」と、歓声が上がります。
なぜかというと、絵の大きさにまず歓声が出ました。(キャンバス大きさ6M~8M位で巨大)
最近私が見た美術展では、1か2位に感動的な展覧会だったと思いました。
(好みの問題かもね。)
ミュシャの絵といえば
スラヴ民族は自然界の神々を崇拝していた温厚な農牧民だそうですが「原故郷のスラヴ民族」と
題の付いた作品・・・・・多神教の祭祀の両脇には、正義への戦いを象徴する若い戦士と、
平和の象徴である怯えたような眼でこちらを見据える女子が描かれた幻想的な絵は
誰しも一度は見たことがある絵ではないでしょうか。
ミュシャは若い頃はパリで、生活のためにデザイン画やポスターを描いていましたが
あまり売れなかったようです。
やがてチャンスは訪れ、当時売れっ子の女優サラ・ベルナール主演の舞台のポスターを頼まれて
描いたことをきっかけに大人気になったようです。
優美で装飾的な作風は多くの人を魅了し、時代の寵児として活躍しましたが
そのあたりの活躍が、アール・ヌーヴォーを代表する芸術家とされる所以なのでしょう。
美しい女性像や流麗な植物文様など、華やかで洗練されたポスターや美しい優美な装飾パネルを手がけて
人気をはくし活躍しました。
この時代のものもミュシャが代表する作品群のひとつでしょう。
今もパステル調の美しくまたちょっとレトロな絵は、この展覧会でのミュージアムショップにおいても
かなり女性の心をつかんでいたと思われます。
もうひとつ、ミュシャの代表的な作品群は突如50歳で祖国へ帰り、18年かけて描いたといわれる
「スラヴ叙事詩」と題の付いた大きな一連の作品20点です。
祖国プラハ市のために描かれたものです。
「スラヴ叙事詩」は長い間、人の目に触れることは少なかったのですが、今回国外では世界初の展覧会です。
古代から近代に至るスラヴ民族の苦難と栄光の歴史を映し出す壮大な映画の一場面を見るようでした。
その中で下の絵だけは今回撮影が許可されたものですが、なにせ入場チケットを買うだけで
30分もかかり、見れるのだろうかと思っていたものですからそこそこいい場所は取れずに写した
ものです。
①イヴァンチェの兄弟学校
②ロシアの農奴制廃止
③聖アスト山
④スラヴ菩提樹の下でおこなわれるオムラジナ会の誓い
⑤スラヴ民族の賛歌・・・(スラヴ民族の愛と自由と独立と宣言した絵)
絵の前方に描かれた人間はほぼ実物大でした。
私は「グルンヴァルトの戦いの後」と名付けられた絵が印象的でした。
それは「絵」そのものにでは無くて、戦いに勝利した場面を描いたものですが、
平和への願いと葛藤、ただ戦いに勝ったという喜びを描いたのではなく、戦いの後の死体や破戒を前に、
勝利とはどういうことか、戦いということはどういうことかを・・・・
人々の絆を破壊することではなく構築することを描きたかったという、人道的なミュシャの心がこの絵にはあったのです。
最後はこの「スラヴ叙事詩」を描いたことも一因で、カトリック批判をしたとされて捉えられてしまった訳ですが
「人間はみな、よく知りあえばよりたやすく解り合い歩みあえると、常に心に抱かねばならないのです。」と
ミュシャは晩年語っています。
あの、ピカソも生涯何回も絵の作風を変えたといわれていますが
今回のミュシャも、ガラッと絵の作風が変わり、変われるのだということ。
いつの時代にも、どの絵にも生きた時代の背景が色濃く作品に現れていて興味深いこと。。
またある種の希望や願いをもって描かれることを読めればより作品を理解できるかもしれないことなど・・・
楽しみました。
国立新美術館での会期は6月5日まで。
最近 ピカソの事もテレビで放映されていたけど 何度も作風が変わり変化していくものなんですね 描くって その人の人生表現ですものね 生き様が知らず知らず出て来ますね 嘘はつけません。
絵を見れば 私みたいな素人でも 描かれた人の性格が分かります。 何気なく ブロブに描いた絵をアップしているけど 考えたら怖いです。
実物大の人間が描かれているなんて かなり 大作なんですね びっくりです。