上野の森美術館で開催中の「ゴッホ展」を見てきました。
楽しみにしていたのは、“いわゆるゴッホの絵”と言われる以外の、あまり表に出ていなかった
ゴッホの絵の数々です。
今や世界中で人気のゴッホの絵を集めて展覧会を開くのは至難の業で、世界各地にある
ゴッホの絵所蔵の美術館から一堂に中々借りることが出来なかったというわけだそうですが
今回はゴッホの絵が40点余り展示されて、また、その時代のつながり、関連があった画家たちの素敵な絵も
一緒に展示されて、中々良い展覧会でした。
昨今のゴッホ人気を物語るかのように、平日でしたがとても混んでいました。
今回初めて見る絵を見ても、やはりゴッホは素晴らしい画家で、今に伝えられるにふさわしい画家だと強く私は思いましたが
特異なゴッホの局面ばかりがクローズアップされて伝えられて来た
ようにも思えます。
確かに…確かに・・・類まれな出来事も確かにありますが・・・。
多くは独学で絵を学んできた努力家であり、身近な農民画家としての時代の眼差し
駆け出しのころ影響を受けた灰色画とも呼ばれるハーグ派と、後期パリやアルル時代に影響を受けた
印象派の絵は、描き方も色彩も、筆のタッチも違って、興味深い。
最晩年の療養院で描いた絵は、私にはとても力強くまた、病んでいるようには見えない作品のように
見えました。
「サン レミ療養院の庭」「薔薇」そして「糸杉」。
どれも、明るさや力強さも感じます。
これらはいわゆるゴッホの絵の数々ですね。
ただ生前、売れた絵は一枚のみ・・・・。
絵を売って生活しようと志した人にとってはこれは深刻なことの一つであるはず。
ゴッホの生活を支えた弟のテオもゴッホの死後、6か月後にはこの世を去ったというのですから
ふたりとも、短い一生でしたね。
絵にもその不運にも、短くも情熱的に描いたそのものに惹きつけられるゴッホという画家。
ゴッホを思うとき、明るいとか華々しいものとかは思い起こすことは
難しいですが、数多くの確かな作品から短くも懸命に描いた足跡に感動を覚えます。
11月に入ると、ゴッホの映画 『永遠の門 ゴッホの見た未来』 も、公開されますので
そちらも楽しみです。