「ロスト・ケア」 葉真中顕著 (光文社)
著者は昨年、本作で「日本ミステリー文学大賞新人賞」を受賞しました。ある選考委員が「掛け値なしの秀作」と評したと朝日新聞(2013.5.14)は報じています。作者は冒頭に結末を提示します。その後、結末に至った経緯を読者に説明してゆく。かなり荷の重い作業です。先に、結論が出ているのだから。いかに読者に展開の期待感を抱かせるのか、腕の見せ所となります。介護地獄に陥っている登場人物が登場しまする。実母の介...
続きを読む【チャイニーズ中華】 水煮牛肉を「知音食堂」(池袋)で食べてみた
辛い水煮牛肉を無性に食べたくなって、池袋に出かけました。知音食堂は在日中国人やワタシのような中華料理好きの人間には欠かせない食堂です。昼食時に入店です。辛い水煮牛肉が出てきました。早速、白いご飯を注文します。牛肉についた辛子をご飯で和ませて、かきこみます。眉毛がタランと落ちます。美味しいなあ。これは偽装ではありません。真実の声です。このあと、醋溜白菜を食べます。甘く酸っぱいので、辛さが和らぎます。...
続きを読む「全家福」(神田神保町)で餃子は野暮かもしれないが!
>神田神保町には中華料理店が集まっています。競争が激しいゆえか、それぞれが自分の味を主張しあっています。「全家福」は健康志向でしょうか。黒酢の酢豚がウリです。ランチタイムに友人と2人で訪問しました。新館に移ってから3年とかで、3周年記念メニュー、2人以上で注文できる料理を食べました。ひとり1300円です。隣のテーブルでは汁物を啜っています。常連なのでしょう。「全家福」でソバなのですから。ここでは黒...
続きを読む「ハピネス」 桐野夏生著 (光文社)
有紗は30歳まであと少し。東京の江東区にある高層集合住宅に住む夢をかなえ、娘と2人で住んでいる。夫はアメリカに単身赴任し、海外から離婚したいと伝えてきた。若いママたちの垂涎の的、湾岸地帯での交流は微妙な問題をはらんでいる。集合住宅の価格や階層によって、あるいは夫の会社の著名度によっても、住民たちは優越感を持ったり、悔しんだりする。主人公の有紗は夫の離婚申出や、ママ友たちとの交流に悩みながら、自立し...
続きを読むカツ 「そよいち」 人形町
ビーフカツではなくメンチカツにしました。1000円です。オープンキッチンです。鍋にトンカツを入れる音さえも聞こえてくるような近さです。油の中でちりちりと揚がってゆく。ひとつひとつの動作が流れています。あっと言う間に、目の前にメンチカツが登場しました。形もいいが、匂いもいい。さくっと揚がったメンチカツ。カウンターに置いてあるソースをかけて堪能しました。揚げたての肉の香りが顔の周りに漂い、箸で裂くと肉...
続きを読むとんかつ 「豚珍館」 新宿
夕方6時ころ入店しました。ひとりなのでカウンターへ。すぐに「トンカツ」が現れました。厚くてデカいトンカツです。甘口と辛口のタレを両端にかけて、染みてゆくのを楽しみます。やおらプロレスラーのようにしまりの良いカツに食いつきます。衣がサクッと音を立てる。甘口のたれが口の中に広がります。肉を噛むと肉汁が染みだしてきます。タレと混ざり、肉のうま味とタレの甘味が混じって広がってゆくのです。ここでキャベツの千...
続きを読むまめかん 「あんと」 新丸ビル - あんこボーイの憂鬱
新丸ビルに行って地下道を歩いていたら、花園饅頭のカフェ「あんと」を発見しました。「あんこボーイ」の端くれとしては矢も楯もたまらずに突入。じっくりメニューをみたら「あんころ餅」を発見しました。午後から入荷と但し書きがありますが、すでに午後1時半。午後はとっくにすぎています。あんころ餅を口に入れ、さらさらした舌触りを想像しながら注文しました。もう、餅の口の中で噛んでいるイメージが出来上がっています。あ...
続きを読む「64(ロクヨン)」 横山秀夫著
著者の新作が出なかったので心配していました。病気だったらしい。昭和の最後の年、昭和64年にD県で起こった少女誘拐事件は未解決のまま14年がたちました。主人公、三上は腕の立つ刑事ですが、人事異動で広報室のトップに就任。私生活では娘が失踪し、辛い時期となります。広報室という立場も警察組織の情報保秘体質と記者クラブの情報公開の狭間に立ち困難を極めます。そんな時、警察庁のトップ、警視総監がD県警を視察に訪...
続きを読むイタリアン 「リゴレット ワイン&バー」 丸の内
ランチタイムに新丸ビルの7階にある「リゴレット ワイン&バー」に9名でお邪魔しました。丸の内界隈は、日本人や白人がいかにも仕事中という風情で足早に追い越してゆくのです。銀座では、中国人やタイ人が大声でゆっくりと歩いているのをこちらが追い越すのですから……。それぞれが好きなランチを注文して約1時間半過ごしました。比較的安価なお店でした。ピッザのランチが1200円、パスタのランチが1000円。サラダと飲...
続きを読む「Le Pain Quotidien」 青山
青山を散策していて、偶然、発見しました。2013年の夏、ブリュッセルを旅行していた時、同系統の店で朝食を摂ったので気がつきました。ブラセルではホテルから歩いてグランプラスへ行く途中にありました。お洒落なカフェだな! 自然食品をウリにしている。翌日の朝食をここで摂ろうと決めたのでした。別の日、サブロン広場を散歩していたら、そこにもありました。チェーン店なんですね。雰囲気のよい店だと思い出したので、店...
続きを読む「三秒間の死角」 アンデシュ・ルースルンド & ベリエ・ヘルストレム著
ミステリを読むと、舞台となった国の状況をしることができます。例えば、この小説の舞台、北欧の潜入捜査と刑務所内の覚せい剤汚染です。北欧では潜入捜査が認められているらしい。潜入した捜査官が殺人など重犯罪を犯した場合、上司たちは我先にと罪から逃れるために多様な方策を取るそうです。また、スウェーデンを除いた北欧の刑務所内は覚せい剤に汚染されているらしい。販売しているのはポーランド・マフィアだそうです。日本...
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