ガンダムの放置ゲーの元祖かもしれません。
ガンダムの黒歴史PCゲームを多数生み出したファミリーソフト社のガンダム第1作目です。プラットフォームはMSX2で、ジャンルはシミュレーションですが、戦略系ではなくMSまたはMAによる1対1のバトルシミュレーターとでも言うようなシステムです。
【システム概要】 自機と装備を選択し、自機の能力値を配分した後、敵機とフィールドを選べば戦闘モードに移行します。パイロットの概念はありません。戦闘はターン制ですがフルオートのため連続的に感じます。自機と装備の選択には必要ポイントが設定されており、その合計ポイントは経験値的に増えていく所持ポイント以下という制限があります。そのため安価(≒弱い)な機体で始め、徐々に高価(≒強い)な機体にも乗れるようになっていきます。
自機は全64種で
1st・
Z・
ZZ・
逆シャア の感覚的に8割くらいが登場しています。バリエーション系や
オリジナルはいません。装備の選択肢は劇中や設定に無いものもあり多め、かつ機体毎に違うものが用意されており、作り込んである印象を受けます。
一方、フィールド全30面と敵機全40種は最初から全て選ぶ事ができ、戦力値最大の相手ともいきなり戦えますが、もちろん最初は一瞬で負けます。ストーリーやクリアの概念が無いため、強いて言えばその相手を倒すのが一つの区切りでしょうか。他人のデータと疑似的に対戦する仕組みもあります。
【プレイ所感】 ドット絵のファやエルがエモ可愛い、というのはさておき。フィールドは15x8マス(フィールドによっては有効はそれ以下)なのですが、移動もオートかつ半ランダムで、能力値が低いと敵に近付かない&射程距離内でも攻撃しない仕様のため、双方が弱い内はなかなか攻撃が起きず、一度近付いてからもフィールド両端まで遠ざかる事も多々あります。
そんなわけで序盤は1回の戦闘で10分くらいかかる場合もあり、なかなか辛いものがありますが、フルオートなので‘放置プレイ’で凌げます。ただ、狭いフィールドを選ぶか、双方の能力が上がる事で高速化していくので、グリプス戦役の機体に乗り出す頃には戦闘時間が短くなり、後半は1分程度で終わる事もあります。
不利な条件で戦う方が獲得ポイントは増えますが、それよりも高価な敵を倒す方が効率は良いです。自機・敵機の戦力値は必ずしも強さとは一致せず、劇中イメージ/設定とも結構違うので、コスパの良い自機を見付けるのが攻略の一つにもなっています。中盤はハイザックやボリノーク・サマーンがお勧め。
そして、クリアの定義が無いので、私は弱い敵から1種ずつ順番に倒していって、ポイント4000になる頃に全種を倒してクリアとしました。プレイ時間は凡そ20時間足らずという所でしょうか。まぁ今の基準ではとてもそんな時間を費やす対象ではないと思いますが、レトロ感を前向きに楽しみました。
ただ、このソフトが
カプセル戦記 の前後に発売された事を考えると、一般的なゲーム性ではとても太刀打ちできないように思います。という私見とは裏腹に、パラメーターチューニングがコアな層に受けてか結構売れたらしく、後継作も生まれる事に。
【その他】 パッケージ及びマニュアル書が、近藤氏のイラストになっているのも黒歴史の加点要素です。そして、そのイラスト変更を伴う次のようなプラットフォームまたはバージョン違いが、後に発売されています。
◆PC8801版:MSX2版からの変更点は画面レイアウト・一部フィールド・パッケージ裏イラスト・マニュアル書イラスト(他は未確認)
◆PC9801版:PC8801版からの変更点はマニュアル書イラスト(他は未確認)
◆MSX2版プラスキット:MSX2版にフィールド20面・MS16体を追加(ミニコミック付き←詳細不明)
◆MSX2版プラスキット付き:MSX2版(未確認)とプラスキットの同梱版
【入手難易度:★★★☆☆
】大半のブックオフとAmazonでの取り扱いはありませんが、ヤフオク・メルカリではバージョンを選ばなければ時々見かけます。特定のバージョン指定だと★一つ増えるイメージです。バージョンにもよりますが3千円前後~で手に入ります。