ガンダム黒歴史レビュー
FC2ブログ

ガンダム黒歴史レビュー


データベースや考証において神の如きサイトはいくつもありますので、ここでは自分なりの所感を書かせていただいております。   認知度が低い領域を重視する傾向があります。ネタバレは最小限にするよう努めます。

プロフィール

著者maguo twitter
   

ガンダムの作品・設定資料などを集めるコレクターの端くれです。興味の赴くまま場当たり的に集めるばかりで、読んだり考えたりしなくなってしまったので、その動機付けとして備忘録を兼ねて書いています。あるがままに受け入れるスタンスですので考察は浅いです。

メールフォーム

名前:
メアド:
件名:
本文:


そしてキミに会いに行く

そしてキミに会いに行く
 一見しただけではガンダム作品だと分かりませんが、表紙右の人はシャアです。

 異世界系でありながら逆シャア の前日譚でもあるという黒歴史作品です。舞台設定は1988年の逆シャア 公開前の日本に生きる主人公が、逆シャア 前の宇宙世紀に転移してシャアに出会う始まりです。逆転移もあります。
 そんな両者の異世界生活を描くだけの作品かと思いきや、むしろそれ以外のオリジナル要素を軸としてストーリーが展開します。単独で単行本化されたガンダム作品としては、異世界系の元祖ではないかと思います。


【世界観・独自性・経歴】
西暦と宇宙世紀のミキシング作品で、時期は1988年(明記)・1999年(明記/推定6月)・1998年前後(推測)およびU.C.0093.01前後(推測)と思われるが定かでない。
メカは登場せず、キャラはシャア以外は全てオリジナル。

アニパロコミックスJUNIOR(隔月発行の漫画雑誌)に1988年から全7回で連載後、単行本化。


【入手難易度:★★★★☆
ブックオフ・ヤフオク・メルカリでは滅多に見かけず、Amazonの取り扱いもありません。流通量が極めて少ないため入手は難しいですが、需要も少ないため特に高価ではありません。古いレアコミックとして定価~数倍までが想定域かと思います。

∀ガンダム エピソーズ

ターンAエピソーズ
 1冊丸ごとパラレル作品と見なすか否か、ディアナ様の御心のままに。

 ∀の前日譚と後日譚、そして本編と同時期の別場面からなる次の全6エピソードが収録された短編集です。
1.卒業
2.ソシエも月に吠える
3.ローラの牛
4.轍の果て
5.ハイム夫人奮戦記
6.エア・ボルジャーノ
 ただし、基本的にはTV版ではなく∀ガンダム(佐藤版) [レビュー済み]の外伝という位置付けになっているため、特に後日譚にあたるエピソード5,6はTV版と明らかに異なる前提*に基づいています。前日譚となるエピソード1は微妙な所ではありますが、一部に違和感はあります。
 一方、本編の同時期を描いたエピソード2~4はそういった目立つ差異は無く、TV版を補完する外伝と捉える事も可能なように思います。そういう目線で読んだとしても、実に興味深い描写が多々あります。個人的にはレット隊を掘り下げたエピソード4が良かったです。ソシエ好きとしてはエピソード2もまた良し。
 なお、先述のエピソード5,6の前提*には、佐藤版の結末など著しいネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。


【世界観・独自性・経歴】
正歴の作品で、佐藤版∀ の外伝作品。時期はC.C.2343~46頃に相当すると思われる。
メカにオリジナルはないが、キャラは数名の名有り民間人がオリジナルとして登場。

エピソード2~4がザ・スニーカーに掲載後、それら加筆修正と共にエピソード1,6を書き下ろして角川スニーカー文庫から単行本化。


【入手難易度:★★★☆☆
ブックオフでは見かけなくなり、Amazonでは電子書籍に限られるようです。ヤフオクやメルカリではたまに見かけます。単独よりも本編小説5冊との6冊セットで出品されがちですが、いずれも定価前後で手に入ります。

RPGマガジン 1997年3月号/83号

rpg9703
 1990年代に刊行されていたテーブルトークRPG専門誌ですが、後半はガンダム関連の記事やリプレイ小説というジャンル丸ごと黒歴史とも言える作品が掲載されていました。

 その1997年3月号/83号にも、2つの連載リプレイ小説「ルウム宙域独立偵察部隊 偵察部隊激戦譜 第2回」「戦士たちの鎮魂歌 第6回」が掲載されていますが、それらのレビューはまた別の機会に改めるとして。
 
 他のガンダム関連として、「トレジャーハンター1997」と題した特集の中で「宇宙世紀のトレジャーハント」というコーナーが設けられ、2つのシナリオソース【潜入!阻止限界点】【バッカニアの海】が掲載されています。前者はブリティッシュ作戦、後者はU.C.0079.08のカリブ海が舞台です。
 後者には黒歴史機体「RB-79M バッカニア」の線画を含む設定が掲載されており、設定文中にベース機体としての「海中用作業ポッド MP-W3」の記載もあります。フィッシュアイの親戚、そしてグッピーの先祖と言ったところでしょうか。


【入手難易度:★★★☆☆】
ブックオフではまず見かけず、Amazonでの取り扱いはありません。ヤフオク・メルカリでもたまにしか見かけません。古さゆえの手に入り難さはありますが、特にプレミアが付いているわけではないので、単独なら1000円前後で手に入ります。

MSフィールド

MSフィールドa
 ガンダムの放置ゲーの元祖かもしれません。

 ガンダムの黒歴史PCゲームを多数生み出したファミリーソフト社のガンダム第1作目です。プラットフォームはMSX2で、ジャンルはシミュレーションですが、戦略系ではなくMSまたはMAによる1対1のバトルシミュレーターとでも言うようなシステムです。
MSフィールドb
【システム概要】
 自機と装備を選択し、自機の能力値を配分した後、敵機とフィールドを選べば戦闘モードに移行します。パイロットの概念はありません。戦闘はターン制ですがフルオートのため連続的に感じます。自機と装備の選択には必要ポイントが設定されており、その合計ポイントは経験値的に増えていく所持ポイント以下という制限があります。そのため安価(≒弱い)な機体で始め、徐々に高価(≒強い)な機体にも乗れるようになっていきます。
 自機は全64種で1stZZZ逆シャア の感覚的に8割くらいが登場しています。バリエーション系やオリジナルはいません。装備の選択肢は劇中や設定に無いものもあり多め、かつ機体毎に違うものが用意されており、作り込んである印象を受けます。
 一方、フィールド全30面と敵機全40種は最初から全て選ぶ事ができ、戦力値最大の相手ともいきなり戦えますが、もちろん最初は一瞬で負けます。ストーリーやクリアの概念が無いため、強いて言えばその相手を倒すのが一つの区切りでしょうか。他人のデータと疑似的に対戦する仕組みもあります。
MSフィールドc
【プレイ所感】
 ドット絵のファやエルがエモ可愛い、というのはさておき。フィールドは15x8マス(フィールドによっては有効はそれ以下)なのですが、移動もオートかつ半ランダムで、能力値が低いと敵に近付かない&射程距離内でも攻撃しない仕様のため、双方が弱い内はなかなか攻撃が起きず、一度近付いてからもフィールド両端まで遠ざかる事も多々あります。
 そんなわけで序盤は1回の戦闘で10分くらいかかる場合もあり、なかなか辛いものがありますが、フルオートなので‘放置プレイ’で凌げます。ただ、狭いフィールドを選ぶか、双方の能力が上がる事で高速化していくので、グリプス戦役の機体に乗り出す頃には戦闘時間が短くなり、後半は1分程度で終わる事もあります。
 不利な条件で戦う方が獲得ポイントは増えますが、それよりも高価な敵を倒す方が効率は良いです。自機・敵機の戦力値は必ずしも強さとは一致せず、劇中イメージ/設定とも結構違うので、コスパの良い自機を見付けるのが攻略の一つにもなっています。中盤はハイザックやボリノーク・サマーンがお勧め。
 そして、クリアの定義が無いので、私は弱い敵から1種ずつ順番に倒していって、ポイント4000になる頃に全種を倒してクリアとしました。プレイ時間は凡そ20時間足らずという所でしょうか。まぁ今の基準ではとてもそんな時間を費やす対象ではないと思いますが、レトロ感を前向きに楽しみました。
 ただ、このソフトがカプセル戦記 の前後に発売された事を考えると、一般的なゲーム性ではとても太刀打ちできないように思います。という私見とは裏腹に、パラメーターチューニングがコアな層に受けてか結構売れたらしく、後継作も生まれる事に。
MSフィールドd
【その他】
 パッケージ及びマニュアル書が、近藤氏のイラストになっているのも黒歴史の加点要素です。そして、そのイラスト変更を伴う次のようなプラットフォームまたはバージョン違いが、後に発売されています。
◆PC8801版:MSX2版からの変更点は画面レイアウト・一部フィールド・パッケージ裏イラスト・マニュアル書イラスト(他は未確認)
◆PC9801版:PC8801版からの変更点はマニュアル書イラスト(他は未確認)
◆MSX2版プラスキット:MSX2版にフィールド20面・MS16体を追加(ミニコミック付き←詳細不明)
◆MSX2版プラスキット付き:MSX2版(未確認)とプラスキットの同梱版


【入手難易度:★★★☆☆
大半のブックオフとAmazonでの取り扱いはありませんが、ヤフオク・メルカリではバージョンを選ばなければ時々見かけます。特定のバージョン指定だと★一つ増えるイメージです。バージョンにもよりますが3千円前後~で手に入ります。

Zガンダムを10倍楽しむ本

Zガンダムを10倍楽しむ本
 表紙では分かりませんが、隠れMSV本でもあります。

 本書は放送が始まったばかりのTV版Z の手引書という趣旨であるため、発売時点で未放送となるエピソードの情報は限定的となっています。具体的には、冒頭の概要解説は1st 振り返り及び第10話前後までの内容となっており、それに続く各話ダイジェストは第14話までとなっています。
 そのダイジェストも第5話までは各シーンの画像が過半数を占めていますが、執筆時に未放送だったと思われる第6話以降は、代わりに関連の設定線画が掲載されています。その設定線画はよくあるイラスト抽出ではなく、手書きの注釈等が残されたままのため、他の資料本よりも情報量が多いです。
 更に、あらすじ文章も第6話以降は実際に放送された内容と細部が異なる場合があり、今となってはそれが見所の一つでもあります。例えば第8話で「カシアス・ランク」というキャラが登場する事になっていました。

 その次は、企画書と富野監督のインタビュー記事が掲載されています。企画書の方は別冊アニメディアのZガンダム本やラポートのZガンダム大事典 に一部掲載されているものと同じものを元にしていますが、あちらが原本を画像でそのまま掲載しているのに対し、こちらは記事として再構成しています。
 インタビューの方は、1st 放送時のアニメック に掲載されたものと似た雰囲気で、取材時点で未放送となる部分のネタバレ展開や型式番号の決定則といった細かな設定の解説など、後年は絶対話さなそうな事も語っています。MSVに対する前向きな発言もあります。
 
 その先は、他の資料でもよくある設定線画や解説が掲載されていますが、そちらも多くに手書きの注釈等が残されています。また、珍しい所として一部の挿絵にMS戦記 のコマが使われており、更にその著者である近藤氏のインタビュー記事もイラスト込みの2ページで掲載されています。

 最後に、MSO・MSV・MS-X特集が31ページの大容量で掲載されています。それらが一段落した時代のため、記載内容は今日でも知られている内容と概ね同じですが、後年の資料では省かれがちな補足情報も散見されます。
 特に目を引くのは初出となるMS-06Zの2号機の画稿です。こちらは2000年前後まで唯一の掲載だった模様で、しかも後に掲載された1つであるガンダムオフィシャルズ では、2号機ではなく1号機とする画稿になっています。


【入手難易度:★★★☆☆
ブックオフではまず見かけず、Amazonでもあまり出ないようです。ヤフオク・メルカリでは時々見かけます。2000円以下で手に入る事もあります。

Copyright (C) ガンダム黒歴史レビュー All Rights Reserved.