ゴールド投資の記録 金地金売却による所得の例外、「雑所得」の考察
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ゴールド投資の記録

 まもなく到来する石油生産のピークアウトは経済や金融システムを崩壊の危機に直面させることになるでしょう。だとしたら、私達は長きに亘って発展してきた文明社会の頂点に立っているという事であり、この先世界を待っているのは長い黄昏の時代です。数百年に一度の激動期、ゴールドは輝きを放つのでしょうか?

金地金売却による所得の例外、「雑所得」の考察

 金地金や金貨を売却した時の所得は原則、譲渡所得として申告納税します。ただし「原則」というからには例外もある。それはどういうケースかというと「営利を目的として継続的に金地金の売買をしている場合の所得」です。この場合、譲渡所得とはならず、その実態により事業所得または雑所得とされます。

No.3161 金地金の譲渡による所得

 事業所得は小売業、サービス業などの事業を営んでいる人の所得なので、サラリーマンの場合は無視して良いかと思います。となると残る問題は雑所得となりますが、正直、譲渡所得ではなく雑所得とされてしまったら金地金売却に係る税金は著しく不利なものとなります。譲渡所得には特別控除50万円がある上、所有期間が5年を超えている場合、所得の金額が半分にされるという特典がありますが、雑所得にはそういった特典はありません。

 そこで問題となるのは国税庁が公表している雑所得とされる判断基準、「営利を目的として継続的に金地金の売買をしている場合」とは具体的にどのようなケースを指すのか?調べてみたのですが、これといった情報は見つかりませんでした。金額的な基準があるのか?継続的とは毎日なのか毎月なのか?営利を目的の線引きはどこにあるのか?等々さっぱり判りません。

 考えあぐねてたのですが、思わぬところにヒントが見つかりました。それは競馬の払戻金に対する課税関係に関する裁判所の判例です。競馬の払戻金に対する税金は原則、一時所得とされます。その場合経費として認められるのは当たり馬券の購入費用だけですが、実態が「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」の場合、偶発性・単発性が高い一時所得ではなく、はずれ馬券の購入費用も経費として認められる雑所得とされるかが裁判で争われ、勝訴した判例があります。

最高裁が再び外れ馬券の購入費を経費と認定 判決が及ぼす影響と留意点

 詳細は本文記事を読んで頂きたいのですが、この最高裁まで争った方の場合、年間数億~数十億もの馬券を購入してトータルとして利益を出すスタイルでしたので、はずれ馬券を経費として認められるか否かで税額が10倍もの開きが出ますから死活問題だったことでしょう。そして競馬の払戻金が雑所得として判定されるケースとして以下の判断基準が示されました。

1.独自の条件設定と計算式に基づき定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入している。
2.年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げている。

 1・2の事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合は、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」として雑所得に該当する。


 裁判所は「多額の利益」についての基準は示していないのですけど、競馬で最高裁まで争った複数のケースでは私が見る限り、どれも年間1千万円超の利益を上げていたようです。また、複数年にわたる継続的行為のうち1年でも赤字の年がある場合、全体が「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」として否認されるという厳しい内容であったのは特筆すべきことだと感じました。雑所得として認められるには、一定の利益を安定して出し続けなければならないということです。

 これを金地金に当て嵌めた場合、独自の条件・計算式に基づき、ほぼ毎日金地金を売買し、相場環境(上げ相場・下げ相場)にも関わらず、年間を通じた収支で多額の利益(年間1千万超?)を安定して上げ続けている場合、譲渡所得ではなく雑所得と判定される、と言えそうです。

 どうですか?金地金の売却益が雑所得とされるには、むしろハードルが高いと私などは思うのですが…。時期や金額に規則性がなくバラバラに売買してたり、年間収支が黒字だったり赤字だったりする場合は「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」とは言えません。ですので、一般の人が金地金(純金積立を含む)の売却益を申告納税する際は、余程のことがない限り、原則の譲渡所得として扱って差し支えないのではないでしょうか。


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Author:GC
2002年からゴールド投資を始める。2015年まで米国株メインでしたが、現物ゴールドを中心にポートフォリオを再構築しました。2021年新型コロナの渦中に地方移住を決断し、自家菜園やオフグリッドを模索中。2024年9月自主退職。

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