ゴールド投資の記録 2022年05月
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ゴールド投資の記録

 まもなく到来する石油生産のピークアウトは経済や金融システムを崩壊の危機に直面させることになるでしょう。だとしたら、私達は長きに亘って発展してきた文明社会の頂点に立っているという事であり、この先世界を待っているのは長い黄昏の時代です。数百年に一度の激動期、ゴールドは輝きを放つのでしょうか?

新たに畑が欲しい

 じゃがいもの花が咲きました。

20220530じゃがいもの花
 うちの畑で一番生育が良いのは、じゃがいもかな。今のところ深刻な病害虫の被害には遭っていません。小玉スイカもミニトマトも今のところ順調のようだし今から収穫が楽しみです。

 ところで、庭の家庭菜園ではどうしても広さが不足しているので、家の周辺で新たに畑となる土地を探し始めています。条件は
(1)自宅から2km以内
(2)広さは100坪以上

 実は候補地を幾つか絞ってまして、その一つは広さ350坪、自宅から凡そ2kmの地目が「山林」の土地です。切り株は幾つか残っていますが現況が更地で広さは申し分ありません。ただ調べると色々問題がある事が分かってきました。例えば固定資産税はよく知られているように、その土地に住宅が建っていれば1/3~1/6に軽減されるんですけど畑のような使い方だと、フルに税金が掛かってきます。こちらの固定資産税は、利用価値のない山林ということで千円程度なんですが、開墾して畑にすると恐らく年間20~30万円は課税されるようになると思います。

 現況が畑なら課税地目を「農地」に変更出来れば固定資産税は安くなるのですけど、その為には市の農業委員会へ届け出て「農地証明」を発行してもらう必要があります。でも聞いたところによると都市計画地域では、農業資格者以外には新規に農地証明を発行していないようなんですよね。都市計画地域外だったとしても簡単ではない感じです。

 開き直って10km以上離れた原野のような安い土地を買うか。しかし通うのに車が必要不可欠となるので、今後車を持てなくなったらどうするのかという問題があるし、そのような土地は買ったが最後、死ぬまで手放すことは出来なくなるでしょう。であれば近くの固定資産税が宅地並みの土地を承知の上で買うか。あるいは広い土地付きのボロ家を中古で買うという選択肢もあるかも知れない。ロシアでいうところの菜園付き別荘、ダーチャのイメージですよね。

 田舎の不動産は売りたいときに手放せるものではないし固定資産税は固定費なので、どうするのか悩みどころです。いっそのことサラリーマンを辞めて専業農家になって、農業資格をゲットしてしまおうか(笑)。


金地金売却による所得の例外、「雑所得」の考察

 金地金や金貨を売却した時の所得は原則、譲渡所得として申告納税します。ただし「原則」というからには例外もある。それはどういうケースかというと「営利を目的として継続的に金地金の売買をしている場合の所得」です。この場合、譲渡所得とはならず、その実態により事業所得または雑所得とされます。

No.3161 金地金の譲渡による所得

 事業所得は小売業、サービス業などの事業を営んでいる人の所得なので、サラリーマンの場合は無視して良いかと思います。となると残る問題は雑所得となりますが、正直、譲渡所得ではなく雑所得とされてしまったら金地金売却に係る税金は著しく不利なものとなります。譲渡所得には特別控除50万円がある上、所有期間が5年を超えている場合、所得の金額が半分にされるという特典がありますが、雑所得にはそういった特典はありません。

 そこで問題となるのは国税庁が公表している雑所得とされる判断基準、「営利を目的として継続的に金地金の売買をしている場合」とは具体的にどのようなケースを指すのか?調べてみたのですが、これといった情報は見つかりませんでした。金額的な基準があるのか?継続的とは毎日なのか毎月なのか?営利を目的の線引きはどこにあるのか?等々さっぱり判りません。

 考えあぐねてたのですが、思わぬところにヒントが見つかりました。それは競馬の払戻金に対する課税関係に関する裁判所の判例です。競馬の払戻金に対する税金は原則、一時所得とされます。その場合経費として認められるのは当たり馬券の購入費用だけですが、実態が「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」の場合、偶発性・単発性が高い一時所得ではなく、はずれ馬券の購入費用も経費として認められる雑所得とされるかが裁判で争われ、勝訴した判例があります。

最高裁が再び外れ馬券の購入費を経費と認定 判決が及ぼす影響と留意点

 詳細は本文記事を読んで頂きたいのですが、この最高裁まで争った方の場合、年間数億~数十億もの馬券を購入してトータルとして利益を出すスタイルでしたので、はずれ馬券を経費として認められるか否かで税額が10倍もの開きが出ますから死活問題だったことでしょう。そして競馬の払戻金が雑所得として判定されるケースとして以下の判断基準が示されました。

1.独自の条件設定と計算式に基づき定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入している。
2.年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げている。

 1・2の事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合は、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」として雑所得に該当する。


 裁判所は「多額の利益」についての基準は示していないのですけど、競馬で最高裁まで争った複数のケースでは私が見る限り、どれも年間1千万円超の利益を上げていたようです。また、複数年にわたる継続的行為のうち1年でも赤字の年がある場合、全体が「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」として否認されるという厳しい内容であったのは特筆すべきことだと感じました。雑所得として認められるには、一定の利益を安定して出し続けなければならないということです。

 これを金地金に当て嵌めた場合、独自の条件・計算式に基づき、ほぼ毎日金地金を売買し、相場環境(上げ相場・下げ相場)にも関わらず、年間を通じた収支で多額の利益(年間1千万超?)を安定して上げ続けている場合、譲渡所得ではなく雑所得と判定される、と言えそうです。

 どうですか?金地金の売却益が雑所得とされるには、むしろハードルが高いと私などは思うのですが…。時期や金額に規則性がなくバラバラに売買してたり、年間収支が黒字だったり赤字だったりする場合は「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」とは言えません。ですので、一般の人が金地金(純金積立を含む)の売却益を申告納税する際は、余程のことがない限り、原則の譲渡所得として扱って差し支えないのではないでしょうか。


ロンドン金属取引所(LME)、金銀の先物取引終了を発表

 ロンドン金属取引所(LME)は7月までにゴールドとシルバーの先物取引を終了することを発表しました。

LME to scrap gold and silver futures by July due to thin activity

 取引が低調であることを理由として挙げていますが、インフレによって金銀を含むコモディティ市場はむしろ取引が活発化しているはずで奇妙な話です。ネット上ではロシア中央銀行の金買い取りに絡めて理論的な現物価格とペーパーとの乖離、ペーパーを下げて現物を買い集めている主体がいる等、憶測が流れていますが本当のことは私には分かりません。ただ、現時点での終了は不可解ということだけは言えると思います。また国際的な金銀先物取引については、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が主ですので、今のところLME取引の閉鎖が影響を及ぼすことはないと見ています。

 LMEというと、3月にニッケルの踏み上げで中国の生産者が巨額損失を蒙り、当日の取引が全て無効となる前代未聞の事件が記憶に新しいところです。あれからニッケルの先物市場は暫くのあいだ再開出来ませんでした。ゴールド投資というと、次に必ず出てくるのが金鉱株はどうなのかという話ですが、金銀の生産者も先の中国のニッケル生産者同様、ヘッジのため先物で常に売り持ちをしているはずなので、市場の急変とポジションの量によっては火だるまになる可能性が燻っています。つまり金鉱会社へ投資するのなら、どういったヘッジをしているかを含め、企業のことを事前によく調べた方が良いという事です。現に産金大手バリックゴールドは過去にゴールドの踏み上げで600億ドル(7.6兆円)超の巨額損失を計上したことがあるのです。

 ところで先物市場というのは僅かな証拠金で何十倍もの取引を行うことが可能ですが、実際に現引きするのは極少数で殆どは差金決済取引となっています。事実上、現物商品の価格は膨大なマネーの潮流によって決められていることが、マネー優位の現代社会を表しているとも言えます。しかし現実問題としてLMEニッケルの踏み上げ騒動に見られるように、もしもその買いポジションが一斉に現引きに向かったとしたら、引き渡せる現物はないのが現状なのです。これが差額を儲けて満足なうちは良いのですが、今後お金よりも現物がますます重要になっていくとしたら、お金は要らんから現物をくれよという人が増えていきませんか。そうなると今の先物市場というのはたちまち機能出来なくなります。ゴールドについても先物やロンドンのスポット取引に見られるように、現物を介さず、その数十倍ものマネーが行き交うペーパー市場で値決めされているのはおかしな話だと思いませんか。

金の価格形成に影響を及ぼすペーパーゴールド

 裏を返せば先物などのペーパー市場が大手を振っているうちは、ゴールドが本来あるべき価格で取引されることはないだろうということです。私は先物の総ポジションは、少なくともその商品の現在庫もしくは供給見込みを上限にするなど、完全に引き渡しが出来ることを前提に変革すべきだと思いますね。今後マネーではなく、現物優位の経済になっていけば自然とそうなるだろうし、場合によっては先物自体消滅することもあり得る。LMEの金銀先物取引終了はそんな事を予感させるニュースでした。


週末農業 枝豆・人参・向日葵など

 GW以降天気の優れない日が続いています。気温は低いし日は当たらないしで野菜作りには逆風ですが、このまま梅雨入りしてしまうのでしょうか。

20220522野菜2
 先週撒いた枝豆のタネが発芽。雨が多かったので2割はそのまま死んでしまったようです。やっぱり植物は日が当たらないとダメなんですよね。それと土を触ってみるとべとっとしている。水捌けが悪くて土中の空気が少ないのかも知れない。バーク堆肥を入れるべきだったか。追加でタネを撒いて、今度は空気を含めるよう、ふんわり目に土を被せました。来週またチェックします。

 20220522野菜1
 前に枝豆をやった時はトマト等と違って基本放置で良かったのですが、虫に食われる記憶があったのでトンネルを仕立て、隙間がないように防虫ネットをしっかり張ります。

20220522野菜4
 人参も小さな芽が出てきました。

20220522野菜3
 緑肥になる向日葵。放っておいても元気に育ってくれてるので楽でいいです。種は食べられるし植物油にも使えるようです。


市場のデータは全て正しいのか

 米国セントルイス連銀は「ECONOMIC RESEARCH」というHPで金利や株価、GDP、失業率などあらゆる経済データを無料で公開しています。便利なのはページ上で複数のデータを計算式を加えて結果を確認できたり、エクセル形式のファイルにダウンロードも出来るので重宝しています。

 金価格は米国10年実質金利と強い連動を示すことが知られており、当ブログでも折を見て紹介してますが、ソースはここから拾ったものがベースとなっています。それでは実質金利は何を見たらいいのでしょう?10-Year Treasury Inflation-Indexed Security、インフレ連動10年米国債(DFII10)がそれにあたります。フィッシャー方程式によって実質金利=名目金利-インフレ率で表されますから、実質金利と名目金利が分かれば市場が予測しているインフレ率を弾き出すことが出来ます。名目金利は米国10年債利回り(DGS10)のことなので、インフレ率はDGS10からDFII10を差し引けばいい。計算式をエディットした結果が下のグラフです。



 直近5/13の10年予想インフレ率は2.69%。直近、コロナ下で経済が止まってしまった2020年が0.5%の大底です。そこから上昇を続けているとは言え、原油が高止まりしCPIやPPIが8%だの10%だのという現状からすれば伸びが鈍い。2013年初は2.48%でしたから、僅かに上向いただけでほとんど横ばいと言っていい。理由として考えられるのはマーケットはまだ今のインフレが一時的と捉えている、ということでしょうか。デフレとなる恐慌を織り込んでいる可能性も考えましたが、他の市場が比較的平静なのでそれは否定されるかな。

 そもそもこれらのデータが経済を、真に正しく表しているという前提が疑わしいとも言える。名目金利に至ってはFRBが米国債を買い捲って金利を意図的に押し潰しています。QTを表明したとは言えFRBは米国債保有で首位。もしFRBが米国債をすべて手放したとき市場で評価される金利は果たして何%なのか。インフレ率についても市場は5年先10年先を正確に捉えていると本当に言えるのか。リーマン危機後は中央銀行の量的緩和に代表されるように、当局の仲介なしには市場はまともに機能しなくなってしまいました。全ての金融資産のベンチマークである国債利回り自体、操作されたものだしね。となると他の金融資産の値付けも全ておかしいものだと言えませんか。

 もしもですよ、石油をはじめとした資源がピークを越えてしまっていて、この先何十年も減耗が続くのだとしたら。その間、減収減益がずーっと続いていくことになるんですよ。それを現在の株価や予想インフレ率が織り込んでいるとはとても言えません。資源ピークが思い違いの可能性もありますが、越えたという外形的な証拠は複数あがって来ています。何が言いたいのかというと、これらの経済データは意図的な操作をされているし、市場は割と目先のことしか織り込んでいないだろうということ。見えざる手で市場が全て正しいとするのは誤解だと思いますよ。しかし、こんな事を続けていたら、最後は何の裏付けもない証券という紙だけ残る気がしますがどうでしょう。でも今は全て電子空間上のデジタルデータですから、そうなったら紙すら残らないか。

 ところで先日気付いたのですが、「ECONOMIC RESERCH」でゴールドのデータが突然、参照不可となっていました。つい最近まで普通に見られたんですけどね。ゴールドと他の経済指標を比較検討されたくない理由でもあるのかな。


自宅用の井戸が完成しました

 自宅用の井戸が完成しました。

 人は水さえあれば1カ月程度は生きられますが、1滴も水を飲めなかった場合、僅か3~4日で命に関わります。水というのはそれだけ大事なものであり、何かあった時のために備蓄するなら水を欠かす事は出来ません。そこで新居を建てるにあたり、どうせなら敷地に井戸を掘ったらいいじゃないかと思い立ちました。業者に工事を依頼する前、想像していたイメージは下のイラストのような井戸です。

20220516井戸のイメージ
 ダッシュ村でTOKIOが作ったような、壁がブロック積みの井戸。


 実際は想像と全然違っていて、地中をを杭打ち機のような建機で打ち付けながら掘り進んでいきます。マンションの工事現場で基礎に長い杭を打っていきますよね。あんな感じです。工事中は騒音が凄いと事前に業者から聞いていたので、あらかじめ近隣の方々に菓子折りをもって挨拶しておきます。ところで山の麓など水の出易い土地というのがあるらしく、そういう場所は数メートルも掘れば水脈にあたりますが、うちの土地は結局50mも掘ることになって予想の3倍費用がかかってしまいました。まあこれから先のことを考えるとお金だけ貯めておいてもね。役立つものに使った方がいいかなと。業者は「以前は見積りで諦める人が多かったのが、最近は実際に工事まで進む案件が増えてきた」と言っていました。防災意識が高まってきてるということでしょうか。


20220519井戸水栓
 完成した井戸です。見た目は普通の水栓蛇口と変わりません。

20220516井戸2
 地下水を汲み上げる電動ポンプ。難があるとすればこれかな。電気がなくても水だけは使えるのが理想だったけど致し方ない。

 ところで先日、Youtubeで南三陸町の空き家バンクのある物件を見たのですが、まさに湧き水が使える家だったんですね。家に加えて広めの畑も付いているので畑いじりをやって田舎暮らしをするなら最高ですが、こういった物件は大抵不便な場所にあったりします。私は引っ越しにあたり今勤めている会社に通い続ける選択をしたので、郊外でも駅に近い(だけど周りは農地に囲まれている)ところを選んだわけですけど、会社も辞める積りなら、こういう家を格安で手に入れて移住するのもアリかなと思います。


日本銀行の政策とゴールド

 2000年以降の円建てゴールドの下落率(前日比)、ワースト10をまとめました。
20220514金下落率

 表を作る前、どうせ2008年秋のリーマンショックの時がワースト1だろうと思っていましたが違いました。ワースト1は2013年4月のマイナス10.58%。たった1日ですから、かなりの下落率ですよね。私はこの頃ゴールドは持ってはいましたが、ポジションは遥かに少なかったので全く記憶に残っていません。そこで当時どういった出来事があったのかを改めて調べてみました。それで、これだろうと当たりを付けたのがこのニュースです。

 2013年4月4日発表 「日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する。このため、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を行う」そう、黒田日銀が表明した「異次元緩和」の始まりです。

20220514GLDと実質金利1
 当時、それまで米国実質金利(名目金利からインフレ率を差し引いたもの)はマイナス▲0.7%程度で推移していたものが反転、プラス0.9%台へ1.6ポイントもの上昇となりました。この時実質金利の逆相関たるゴールドは1,600ドルから1,200ドル程度まで落ち込むことになります。そして株式を始めとした世界の金融資産の上昇もこの時期を起点として始まっていきました。

 そこで思い出したのが、投資評論家である市岡繁男氏の下の記事です。
日米欧3中銀の総資産と株価

 私は過去に氏のセミナーに何度か参加したこともありますが、氏がおっしゃるには、日米欧3中銀の総資産と世界株式の時価総額を比較してみると連動を示すことが分かった、しかもこれはドル建てやユーロ建てではなく、なぜか円建てで一番綺麗な連動を示している。理由は分からないが日銀の金融政策が世界の株価上昇に影響を与えているようだ、とおっしゃっていた事を覚えています。

20220514中銀資産と株価


 ところで、今年3月から米国実質金利がマイナス▲1%からプラス0.3%へ1.3ポイントの上昇となる場面がありました。実質金利の逆相関たるゴールドはやはりこの時期、2,000ドルから1,820ドルへ落ち込んでいます。
20220514GLDと実質金利2

 実質金利が上昇へ転じた3月前後、実は日銀でこういう動きがありました。長期金利0.25%で国債を無制限に買い取る指値オペの実施です。

 2月14日    指値オペを発表(長期金利が0.25%を超えなかった為、実行されず)
 3月29日~31日 連続の無制限指値オペを実施
 4月21日~26日 連続の無制限指値オペを実施
 4月27日~30日 指値オペを延長
 4月28日    5月2日以降、指値オペを毎営業日オファーしていく方針を発表

 長期金利を0.25%以上、絶対に超えさせないんだという強固な意志を日銀に感じます。為替もドル円が15円程度、急激に円安が進みました。正確なメカニズムは説明出来ないけど、外形的な事象から垣間見えるのは、日銀の金融政策が世界(とくに米国)の景気や株価に対する大きなアシストを果たしている、ということではないでしょうか。それは日本が世界最大の債権国であることと無関係ではない気がします。どういう事かというと日本の国富が海外へ流出した結果の実質金利や株価の上昇ではなかったのかということ。

 でもこんな事はいつまでも続きませんよ。世界のエネルギー収支は悪化し続けています。エネルギー収支の悪化は、生み出される富が益々減っていくということ。ロシアのウクライナ侵攻は時計の針を進めたのは間違いありません。恐らく世界は石油を始めとする資源の半分を使い尽くした。ローマクラブ「成長の限界」におけるコンピュータ・シミュレーションでは、資源の半分を消費した時点を境に世界の工業や食料生産が、何十年もつるべ落とし的に落下し続けることが示されています。そのうち日本が金融政策を実施しても実質金利もゴールドも何の反応も示さなくなるでしょう。その時は日本の国富が国外へ流出し食らいつくされたという事であり、日本国民にとって非常に不幸な出来事なのは間違いないです。

 ゴールドに投資するというのは、政府や中央銀行といった当局の政策に相反するポジションを持つということであり、妨害は今までもありましたし、これからもあるしょう。ただし、そういった当局の強力な政策にも関わらず、どうする事も出来ないエネルギー収支の悪化、経済の縮小は誰にも止めることが出来ない大局的な流れです。金融資産もゴールドも行き着くところへ行くだけなのです。


ゴールド急落

 ゴールドが前日比▲1.7%安の1,821ドル/ozと急落しました。

 このところ価格的にはいい感じに来ていたんですけどね。今度こそ噴き上がるのか?と期待するも叩き落されるパターンはもう何度見てきたかは覚えていませんが、人生と同じでままならぬものです。ゴールドが落ち込んだ理由は米実質金利の上昇です。ゴールドと米実質金利は逆相関の関係にあり、実質金利が下落すればゴールドは上昇し、反対に実質金利が上昇すればゴールドは下落する。

20220513実質金利とゴールド
 米10年実質金利とゴールドを比較したグラフ。3月から実質金利が1.25%も上昇し、ゴールドへ圧力を加えています。実質金利は名目金利-インフレ率で表されます。3月から米国10年債利回りはFRBの利上げ及びQT見込みで+1.05%上昇しましたが、10年インフレ率は逆に▲0.2%下落しています。ゴールドは金利を生みませんから、金利が上がって物価が下がる状況は完全に逆風です。

 先日発表された米消費者物価指数(CPI)は8.3%上昇と発表され、ロシアのウクライナ侵攻で今後、石油や穀物、希少資源の供給が心配されている状況なのにどうして?と思わないでもないですが、これはこれで現実として受け止めなくてはいけません。市場は今のインフレが一時的なものだと認識しているか、あるいは恐い予想としては、経済の実情に対して現在の金利が高すぎ、金融資産(と借金)の縮小、デレバレッジが相当程度進むことを織り込み始めている可能性がある。物価はマネーの総量との関係でもありますから、マネーが消滅してしまえば物価は上がりません。ただし金融資産は拡大し続けることを前提した建付けとなっているため、そうなったら金融システムは崩壊して恐慌へ一直線に進んでいくことになるでしょう。いわば経済の破綻ですけど、世論も政治も容認できるのか?という問題がある。それを踏まえても尚、FRBが今の路線を貫けるかどうかが次の焦点でしょうね。


デレバレッジの序盤

 ドル指数が20年振りの高値を付け、米国債の長短金利差が逆転し、10年債利回りが10年移動平均を突破。株式も債券も売られる典型的な借金解消、デレバレッジが進行しています。

 ドル高騰、生みの苦しみの始まり

 基軸通貨であるドル建て債務の割合が世界で一番大きいのだから、リスクオフの局面では様々な資産を売却してドルを求め、債務を返済していく動きが加速します。今年のドル指数と主要国通貨の騰落率は以下の通り。

20220512主要通貨騰落率

 ロシアルーブルは制裁で一時大きく下落しましたが回復し、何と上昇率トップ。総じて資源国が堅調、経常収支が赤字の国は弱含み。例外として世界最大の債権国である日本が何故かデフォルトの常連、アルゼンチンの1つ上の位置につけているのは日銀の指値オペの影響でしょう。

 ドル高は物価上昇圧力を米国で緩和、反対にそれ以外の国で高め、米国優位に働きます。通常、通貨価値減少は購買力低下を通じて物価をバランスさせるはずですが、今回穀物などの食料は高値に張り付いたままなのが特徴的です。幾ら購買力が低下したからといっても食料は買わない訳にはいかないのと、需給がそれだけ締まっているということでしょうか。通貨安と商品高でダブルパンチとなっています。食料は肥料やロシアウクライナの問題で今年の秋口以降、さらに混乱に拍車がかかると予想します。デレバレッジも今は序盤でしかありません。


インドネシア、パーム油の輸出を禁止

 インドネシア政府は4月22日、パーム油とその原材料の輸出を28日から禁止すると発表した。同国は世界最大のパーム油生産国で、世界全体の供給の半分超を占めている。輸出禁止により、世界的な食料インフレが一段と悪化する可能性がある。

 ジョコ大統領は配信された動画で、ロシアのウクライナ侵攻を受けて食品価格が世界的に高騰したことで、食料の国内向け供給を確保したいと説明。「国内市場において調理用油が潤沢に手ごろな価格で確実に供給されるようにするため、この措置の効果を見届けて検証する」と述べた。


-------------引用終わり-------------


 アブラヤシから生産されるパーム油は、現在世界で最も多く消費されている植物油脂(およそ30%)ですが、その世界最大生産国であるインドネシアが輸出禁止に踏み切りました。これもロシア侵攻の影響の一つですが、ロシアとウクライナのひまわり油の輸出が厳しい状態にあるので、その代替需要の一部がパーム油へ向かったようです。

 パーム油のことを私はよく知らなかったのですけど、フライなどの加熱調理用やマーガリン、ショートニング、チョコレート用油脂、それからシャンプー等の衛生消耗品にも多用されているようです。それにしても全植物油脂のうち30%を占めているとは今更ながら驚きました。その世界供給のうち半分が消滅してしまうのだから、この先どうなるのかちょっと恐ろしい気がします。インドネシアは今年初めにも石炭の輸出を一時禁止しましたが、需給がタイトになれば自国を優先するのは当たり前のこと。これからこういった話はどんどん出てくると見ておいた方がいいです。個人的にも食料だけではなく、衛生消耗品の備蓄も随時進めていくつもりです。


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プロフィール

GC

Author:GC
2002年からゴールド投資を始める。2015年まで米国株メインでしたが、現物ゴールドを中心にポートフォリオを再構築しました。2021年新型コロナの渦中に地方移住を決断し、自家菜園やオフグリッドを模索中。2024年9月自主退職。

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