ドル高騰、生みの苦しみの始まり
2022-05-10
ドルが高騰しています。株式や債券、商品、果ては仮想通貨に至るまで市場が大荒れとなっています。
10日のドル指数は一時103を突破、これは20年振りの高値水準です。
米国10年債と2年債の利回り差。一時マイナスとなり、今は若干イールドは戻ってますがそれでもタイト。金融機関は短期で資金を調達し長期で貸し付けますから、これでは金融機関は利益を生み出せず、貸し出し意欲の低下に繋がります。
米国10年債利回りと、その10年移動平均を比較したグラフ。金融機関は米国債の大口需要家であり毎週国債に投資しています。つまり10年移動平均が金融機関の平均取得コストと同じ意味を持ちます。10年移動平均が2.04%で現在は3%と、大きく突き抜けていますので巨額の含み損を抱えていることが推測出来ます。
総じて金融システムに強いストレスがかかっていることが伺えます。金融機関株価の直近の動向は以下の通り。
<直近高値からの下落率>
JPモルガン(アメリカ) ▲29.5%
ゴールドマン(アメリカ) ▲27.5%
シティバンク(アメリカ) ▲40.0%
ドイツ銀行(ドイツ) ▲38.8%
BNPパリバ(フランス) ▲46.0%
ウニクレディト(イタリア)▲49.7%
クレディスイス(スイス) ▲58.1%
ドルの高騰は「経済成長によるドル需要」または「ドル建て債務返済によるドル需要」に大別出来ますけど、今起こっていることは後者の悪いドル高になります。過去、恐慌が起きた事例では必ず大手金融機関の破綻がトリガーとなってきました。FRBは引き締めをまだ始めたばかりですが、今の状況を放置していたら、何れかの大手金融機関が潰れて恐慌を引き起こすことになるでしょう。しかしながら人為的な経済破綻は政治的に許容されませんから、おそらくある段階で方針を転換すると見られますが、現実問題として生産停滞による経済の縮小は変わった訳ではありません。中央銀行は新たな富は生み出せず、富の流れを変えることしか出来ないのです。緩和路線へ戻った場合、株式などの金融資産は息を吹き返すでしょうが、恩恵はその多くを持つ富裕層に限られ、インフレが加速することになると思います。経済縮小下で格差が深刻なほど拡がり、断絶と緊張、そして社会不安が増大することになるでしょう。つまり今のドル基軸通貨システムにおいては生産の拡大が進まぬ限り手立てがないという結論になります。今の混乱は古いシステムが壊れ、新たなシステムが誕生するための「生みの苦しみ」が始まったともいえると思います。
10日のドル指数は一時103を突破、これは20年振りの高値水準です。
米国10年債と2年債の利回り差。一時マイナスとなり、今は若干イールドは戻ってますがそれでもタイト。金融機関は短期で資金を調達し長期で貸し付けますから、これでは金融機関は利益を生み出せず、貸し出し意欲の低下に繋がります。
米国10年債利回りと、その10年移動平均を比較したグラフ。金融機関は米国債の大口需要家であり毎週国債に投資しています。つまり10年移動平均が金融機関の平均取得コストと同じ意味を持ちます。10年移動平均が2.04%で現在は3%と、大きく突き抜けていますので巨額の含み損を抱えていることが推測出来ます。
総じて金融システムに強いストレスがかかっていることが伺えます。金融機関株価の直近の動向は以下の通り。
<直近高値からの下落率>
JPモルガン(アメリカ) ▲29.5%
ゴールドマン(アメリカ) ▲27.5%
シティバンク(アメリカ) ▲40.0%
ドイツ銀行(ドイツ) ▲38.8%
BNPパリバ(フランス) ▲46.0%
ウニクレディト(イタリア)▲49.7%
クレディスイス(スイス) ▲58.1%
ドルの高騰は「経済成長によるドル需要」または「ドル建て債務返済によるドル需要」に大別出来ますけど、今起こっていることは後者の悪いドル高になります。過去、恐慌が起きた事例では必ず大手金融機関の破綻がトリガーとなってきました。FRBは引き締めをまだ始めたばかりですが、今の状況を放置していたら、何れかの大手金融機関が潰れて恐慌を引き起こすことになるでしょう。しかしながら人為的な経済破綻は政治的に許容されませんから、おそらくある段階で方針を転換すると見られますが、現実問題として生産停滞による経済の縮小は変わった訳ではありません。中央銀行は新たな富は生み出せず、富の流れを変えることしか出来ないのです。緩和路線へ戻った場合、株式などの金融資産は息を吹き返すでしょうが、恩恵はその多くを持つ富裕層に限られ、インフレが加速することになると思います。経済縮小下で格差が深刻なほど拡がり、断絶と緊張、そして社会不安が増大することになるでしょう。つまり今のドル基軸通貨システムにおいては生産の拡大が進まぬ限り手立てがないという結論になります。今の混乱は古いシステムが壊れ、新たなシステムが誕生するための「生みの苦しみ」が始まったともいえると思います。
これから投資するなら農業が有望
2022-05-09
ゴールデンウィークは家庭菜園に力を入れていました。2年前に1坪畑を借りて野菜作りをやったことはあるのですが、残念ながらミニトマトも小玉スイカも枝葉だけがボウボウに繁ってまともな作物を収穫することは叶いませんでした。暖かくなってくると野菜はもの凄いスピードで成長していくので、気付いたら手に負えなくなってしまいます。野菜は人が適切な手入れをやらないとダメになってしまうという見本ですね。
今年は念願だった家庭菜園用の庭も手に入れました。まだ若葉マークの初心者なので2年前と同じ野菜を再チャレンジします。また、今回は違った形でやろうと思い、種から育苗をやってみました。が、ホームセンターで売ってる苗と較べると明らかに成長度合いが違っている。
左がホームセンターで買った苗、右が私が種から育苗した苗です。私が住んでいる地域ではつい先日まで寒い日がありましたから普通にやっていたら今の時期に、ここまで大きく育つとは思えません。恐らくホームセンターの苗はヒーター等が付いてる育苗器で育てたんでしょうね。ともあれGWの植え付けを目標にしてましたから、これではまだ無理。仕方ないのでホームセンターで買った苗で定植することにしました。
腐葉土と鶏糞だけ混ぜ込んで畝を作りました。化成肥料は使いません(最初は鶏糞すら入れないでやろうと思ってましたが、いきなりそれではハードルが高いと思い考え直しました)。今回は失敗しないよう、ある程度勉強してから臨みます。
ところで今、食料品を始めとした様々な物資の値上げが続いていますが、家庭菜園をやろうという人が世界中で増えているようです。この前見たロシア在住日本人のYoutuberの動画によると、今ロシアではダーチャ(家庭菜園付き別荘)がほとんど売り切れになっているようです。それにしてもロシアのダーチャ、羨ましいです。何しろ向こうは土地が広いし土壌も豊か。日本でもダーチャを作って売り出せば、人気となる気がしますがどうでしょう。これからはどうせ投資するなら株なんかではなく、農地の確保や農業技術を習得する方が余程有望だと思いますよ。
今年は念願だった家庭菜園用の庭も手に入れました。まだ若葉マークの初心者なので2年前と同じ野菜を再チャレンジします。また、今回は違った形でやろうと思い、種から育苗をやってみました。が、ホームセンターで売ってる苗と較べると明らかに成長度合いが違っている。
左がホームセンターで買った苗、右が私が種から育苗した苗です。私が住んでいる地域ではつい先日まで寒い日がありましたから普通にやっていたら今の時期に、ここまで大きく育つとは思えません。恐らくホームセンターの苗はヒーター等が付いてる育苗器で育てたんでしょうね。ともあれGWの植え付けを目標にしてましたから、これではまだ無理。仕方ないのでホームセンターで買った苗で定植することにしました。
腐葉土と鶏糞だけ混ぜ込んで畝を作りました。化成肥料は使いません(最初は鶏糞すら入れないでやろうと思ってましたが、いきなりそれではハードルが高いと思い考え直しました)。今回は失敗しないよう、ある程度勉強してから臨みます。
ところで今、食料品を始めとした様々な物資の値上げが続いていますが、家庭菜園をやろうという人が世界中で増えているようです。この前見たロシア在住日本人のYoutuberの動画によると、今ロシアではダーチャ(家庭菜園付き別荘)がほとんど売り切れになっているようです。それにしてもロシアのダーチャ、羨ましいです。何しろ向こうは土地が広いし土壌も豊か。日本でもダーチャを作って売り出せば、人気となる気がしますがどうでしょう。これからはどうせ投資するなら株なんかではなく、農地の確保や農業技術を習得する方が余程有望だと思いますよ。
FRB、0.5%利上げと来月からの量的引き締めを決定
2022-05-06
米国FRBは4日まで開いた会合で、22年ぶりとなる0.5%の大幅利上げと、来月から量的引き締めと呼ばれる金融資産の圧縮に乗り出すことを決めました。2つの引き締め策によって記録的なインフレの抑え込みを急ぐ構えです。市場では0.75%利上げも一部織り込みがありましたから決定直後、ダウ平均株価は932ドルと大幅上昇したかと思ったら翌日は上昇分を全て吐き出す1,063ドル安と神経質な地合いとなっています。
当たり前の話ですが中央銀行はその金融操作によって世界に”富”を新たに生み出したりはしません。ただし金融操作によって”富の流れ”を変えることは出来ます。「利下げ」を例に挙げると将来得られる利益を現在に先取りし、そしてその富は金融資産を持っている者に多くが分配されます。FRBの金融操作によって富の流れが変わるのだから、より有利なポジションを陣取るために世界の中央銀行でもあるFRBの決定に世界中の投資家が注目しています。
1970年代のオイルショック以降、FRBは長期的な趨勢としてはずっと利下げを継続してきました。つまり将来得られる利益を先取りし続けてきました。現在が過去40年と異なるのは年率8%を超えるインフレに襲われていることです。政策金利は0.75~1%でしかないのだから、実質金利は大幅なマイナスです。インフレが一時的要因であるか否かによって判断は異なりますが、世界は将来得られる富をついに取り尽くしてしまった可能性がある。
ところでFRBはインフレを抑えることは出来るのか?出来ると思います。インフレ率が8%なら政策金利も8%、あるいはそれ以上にすればいい。また、FRBは株価の下落を食い止めることは出来るのか?出来ると思います。株式も債券もジャンク債も何でも買い入れるようにすればいい。では景気を損ねずインフレを鎮静化し株価を維持することは出来るのか?それは無理だと思います。現在起こっていることは正に実体経済の縮小であって、相対的な損失を誰に負わせるのかという問題でしかないからです。インフレは需要が供給に対して多いことによって起こる現象でありますから、生産力の拡大が第一の選択肢となるはずで、FRBの範疇を超えているのです。
それでは肝心の生産力の拡大はどうなっているのでしょうか?残念ですが目立った改善の動きは聞こえて来ません。逆にロシアのウクライナ侵攻による天然資源の供給問題や、世界中で相次ぐ肥料や食料の輸出禁止、最近では世界の工場である中国の新型コロナ流行によるロックダウンの影響が心配されるなど、不安の種はむしろ多くなっているように思えます。
当たり前の話ですが中央銀行はその金融操作によって世界に”富”を新たに生み出したりはしません。ただし金融操作によって”富の流れ”を変えることは出来ます。「利下げ」を例に挙げると将来得られる利益を現在に先取りし、そしてその富は金融資産を持っている者に多くが分配されます。FRBの金融操作によって富の流れが変わるのだから、より有利なポジションを陣取るために世界の中央銀行でもあるFRBの決定に世界中の投資家が注目しています。
1970年代のオイルショック以降、FRBは長期的な趨勢としてはずっと利下げを継続してきました。つまり将来得られる利益を先取りし続けてきました。現在が過去40年と異なるのは年率8%を超えるインフレに襲われていることです。政策金利は0.75~1%でしかないのだから、実質金利は大幅なマイナスです。インフレが一時的要因であるか否かによって判断は異なりますが、世界は将来得られる富をついに取り尽くしてしまった可能性がある。
ところでFRBはインフレを抑えることは出来るのか?出来ると思います。インフレ率が8%なら政策金利も8%、あるいはそれ以上にすればいい。また、FRBは株価の下落を食い止めることは出来るのか?出来ると思います。株式も債券もジャンク債も何でも買い入れるようにすればいい。では景気を損ねずインフレを鎮静化し株価を維持することは出来るのか?それは無理だと思います。現在起こっていることは正に実体経済の縮小であって、相対的な損失を誰に負わせるのかという問題でしかないからです。インフレは需要が供給に対して多いことによって起こる現象でありますから、生産力の拡大が第一の選択肢となるはずで、FRBの範疇を超えているのです。
それでは肝心の生産力の拡大はどうなっているのでしょうか?残念ですが目立った改善の動きは聞こえて来ません。逆にロシアのウクライナ侵攻による天然資源の供給問題や、世界中で相次ぐ肥料や食料の輸出禁止、最近では世界の工場である中国の新型コロナ流行によるロックダウンの影響が心配されるなど、不安の種はむしろ多くなっているように思えます。
ゴールドと株価、為替の比較(2022/4)
2022-05-01
ドルが高騰してます。4月のドル指数は20年振りの102台、為替もドル円が130円の大台を突破しました。世界のベンチマークである米国債利回りは2.9%へ上昇(価格は下落)、株式も総崩れ、円建てゴールドは前月比+4.38%上昇しましたが、為替の影響を考慮すると実質的には下落であり、何とも微妙な1カ月となりました。FRBは本格的な引締めはこれからにも関わらず早くも金融市場は動揺していますが、FRBが現在の引き締め姿勢をあくまでも貫くかが当面の注目点となりそうです。
<2015/12/30からのパフォーマンス>
・ゴールド(円建て) +92.35%
・S&P500(円建て) +115.62%
・日経225 +41.05%
・ドル円 +7.67%