ゴールド投資の記録 2020年10月
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ゴールド投資の記録

 まもなく到来する石油生産のピークアウトは経済や金融システムを崩壊の危機に直面させることになるでしょう。だとしたら、私達は長きに亘って発展してきた文明社会の頂点に立っているという事であり、この先世界を待っているのは長い黄昏の時代です。数百年に一度の激動期、ゴールドは輝きを放つのでしょうか?

2020年第3四半期の金生産は前年同期比3.44%減

 ワールドゴールドカウンシル(以下WGC)が発表した2020年第3四半期の金需給の動向によると金鉱山のゴールド生産量は883.8t(前年比▲3.44%)となりました。



 金鉱山のゴールド生産量は6四半期連続の前年比マイナスです。コロナの影響はもちろんあったとは思いますが、それ以前に金生産量の減少は間違いなく中長期的な傾向として起こっています。それはバリックゴールドのCEOが警告したように、鉱山会社が有している金可掘埋蔵量の減少によるものです。過去30年の金鉱山発見のピークは1995年でしたから、サイクルとして金生産のピークがおよそ20年後。予想していた時期より後ずれしましたが、それは採掘技術の向上によるものだと見ています。だとすると全体の埋蔵量自体は変わらないのですから、先に採掘してしまった分、今後減産ペースは早まっていくのかも知れません。


停滞する経済、拡がる格差


※1947年 = 100


 上のグラフは1947年以降の米国S&P500株価指数とGDPの推移を比較したものです。過去72年間でGDPは85倍になった一方、S&P500はなんと211倍となっていますが、これは年間7.72%もの利回りです。100万円をS&P500に投資しておけば10年で200万円になることを示しています。しかし直近問題と考えられるのはGDP成長率との乖離です。株価を支えているのは企業収益ですからGDP(所得)の成長なしに株価が上昇し続けることは理屈に合わないのです。

 先日、40年前のオイルショックを境に米国の自律的成長は終わり、金融政策や財政政策は方向転換を余儀なくされたという記事をアップしましたが、米国のGDP成長率とS&P500利回りを期間ごとに分けて比較してみます。オイルショックとリーマンショックとで期間を区切っていますが、それはリーマンショックを機に従来の金融財政政策の他、量的緩和という非従来型の政策が加わったからです。


GDP及びS&P500 利回り比較
期間GDPS&P500
1947年~1979年7.63%6.30%
1980年~2007年6.19%9.22%
2008年~2019年3.48%12.28%

 1979年の第2次オイルショックが起こるまではGDPとS&P500株価指数の利回りはほぼ足並みを揃えています(むしろGDPの方が若干高い)。それが積極的な財政政策と利下げが始まった1980年以降、GDP成長率は低下し逆にS&P500利回りは上昇を続けています。特に量的緩和政策が始まったリーマンショック以降の利回りは12.28%、6年足らずで株価は2倍になったことを示しており、1947年以降の株価上昇幅の内70%超はリーマンショック以降に実現したものです。

 このことから観察出来るのはオイルショック以降の金融財政政策はGDPへのテコ入れ効果は確かにあったのでしょうが、より影響を及ぼしたのは金融資産の膨張です。さらに金融資産を有しているのは一部の富裕層に過ぎませんから格差が大きく拡がったということになります。

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 金持ち上位50人の資産が全国民の下位50%のそれと同じという驚異的な格差です。これ程ではありませんが日本も似たようなものでしょう。

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 リーマンショック後、ニューヨーク市ウォール街で発生した”ウォール街を占拠せよ”運動。1%の人間が富を独占する現状への批判、”わたしたちが99%だ”のプラカードが見える。オバマ大統領も賛同を示したが危機後に格差拡大はより深まった。


 金融資産の裏側には金融負債がありますから、所得(GDP)で負債を支える事が出来なくなると、払える水準まで「恐慌」と呼ばれる現象によって、本来は自動的にバランスされるのです。GDPの水準を無視して金融資産が膨張し続けることはあり得ない。それが金融財政政策によって崩壊が阻止されてきた結果、あり得ないことが起こっている。今の株高は多分に人工的なものです。

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 ところで先日、米議会予算局が財政と経済の長期見通しを公表し、今後2020~50年までの米国の実質成長率が平均1.6%にとどまると予測しています。過去10年の成長率と比較しても相当悲観的な見通しです。厳しめの予測で知られる米議会予算局ですが、実は私はこれすら甘いと見ています。というのも10年物米国債利回りは既に1%を割ってきているからです。そうなると残された手段は財政政策と量的緩和政策しか無くなるわけですが、経済成長がゼロもしくはマイナスで、金融資産(と裏側の金融負債)が10%とかのペースで殖え続けていくとしたら格差拡大は今以上に加速していくでしょう。

 金利と違って技術的には財政出動や金融緩和は幾らでも実行することが可能です。ただし財政出動も金融政策も将来の富からの前借りであって、現在のように金利がゼロ環境下である場合、それは前借り出来る将来の富は残っていないと解釈できます。それでも無理に借りてこようとしたら、その対価とされる富とは通貨価値そのものとなるはずです。そしてその状況は既に出現しつつあります。


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 米国10年インフレ連動債をみると直近足元の利回りはマイナスに沈んでいます。これは将来米国の実質的なGDP成長率がマイナスになるということ(米議会予算局の予想は実質1.6%の成長でしたよね?)、つまり名目的な経済成長率を超えたインフレになることを示しています。


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 「FEDのバランスシートが最大の7.17兆ドルを突破!株価暴落リスクを回避しようと米ドルを増刷し続けるパウ様に感謝!」 はて?これは本当に喜んでいいことなのでしょうか?


 ゼロ成長下で金融資産の拡大ペースが維持され、それがインフレをもたらすなら、それは金融資産を持たない者、つまり単純に中間層や貧困層から富裕層への富の移転を意味します。もはや略奪的と言ってもいいかも知れませんが、そんな事をいつまで続けられるのか。経済全体のパイが大きくならない中で格差が拡大し続けたら最後は持たざる者からの反乱だと思いますよ。自身や家族の生存すら脅かされるようになったら誰だって闘わざるを得ないでしょう、どうせ失うものは何もないのだから。果たして資本主義というシステムは民主主義とこの先いつまで共存できるのかな?なんてことをどうしても考えてしまいます。

 今の世界は金融資産を持っていない者は誰でも貧困層へ落とされかねない危険な状況です。かと言って当局が支える人工的な相場、一つ対処を間違えたら恐慌へ陥って全ての財産が吹き飛ばされかねない危険な相場への参加が本当に正しいと言えるのか。悩ましい問題ですが私は第3の道としてゴールドを選択しました。金利による利得を目指さない、インフレによる収奪から資産を守る。ゴールドで目指すべきは資産価値の上昇ではなく購買力の保持といってもいいと思います。何より危険な金融システムの信用リスクから遮断された、歴史ある実物資産であるゴールドを持つ重要性はかつてなく高まっていると信じます。


米国経済の自律的拡大は40年前に終わっていた

 基軸通貨を擁する米国債の金利は全ての金融資産のベンチマークとなる重要な指標です。米国債金利の長期チャートを眺めると、1980年頃を境にそれまで上昇基調だったのが一転して下落へ転じているのが見て取れます。この「異変」の切っ掛けとなったのは第4次中東戦争に端を発するオイルショックでした。



※10年物米国債とFF金利の推移


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※WTI原油価格の推移

 オイルショックによって、それまで3ドル台だった原油価格は40ドル近くまで跳ね上がります。現代の経済活動に原油は欠かせませんから、原油価格の高騰は経済に大きな負のインパクトをもたらします。今、ガソリン価格はリッター120円くらいですが、それが短期間に1,600円になったと言えば影響の大きさが分かるのではないかと思います。

 そしてオイルショックを境に、それまで上昇を続けてきた米国債金利は下落へと転じます。金利というのは経済成長と深い関係があります。経済が成長するから資金需要がある、金利があるということですが、それが下落を始めたというのは米経済の自律的拡大が曲がり角を迎えたということに他なりません。


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※米国10年債利回りマイナスFF金利利回り差(10年平均)

 金融機関は短期金利で資金を調達し長期金利で貸出して利ザヤを得ていますので、政策金利の引き下げは金融機関の貸出し拡大を促します。上のグラフは10年物米国債金利からFF金利を差し引いた「長短利回り差」の10年平均をチャート化したものです。オイルショックを境に利回り差はずっと拡大を続けています。つまり米金融政策は景気を拡大させる為、常に緩和方向へ舵を切っていました。


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※米国債務対GDP比

 米政府債務についてもオイルショックを機に拡大へ転じています。GDP比債務は1980年頃から上昇を続けていることが判ります。つまり米国はオイルショックによって経済の自律的拡大は止まり、金融システムが求める金利を成長がカバー出来なくなった為、その不足分を40年もの間政府の財政支出で埋め合わせ、かつ経済を浮揚させるべく常に緩和的水準に金利を据え置いてきたということになります。ただ、金融緩和も財政出動も言ってみれば将来の豊かさを今に前借りする行為です。10年物米国債金利は既に1%を切り、金利面での緩和は限界へ達しつつあります。

 その昔「お金」というのは金や銀のことでした。それが化石燃料を内燃機関に活用した「産業革命」によって経済が急拡大へ向かう歴史的な事件が起こります。お金は経済規模に対して多くても少なくても上手く機能しません。経済が急拡大したからといって金銀の量は増えたりしませんから、貸し付けによってお金が生まれる信用創造の仕組みは新たな金融システムにとって至極都合が良かったのです。そうして信用創造は金銀から「お金」の座を代替するようになっていきます。

 しかし信用創造には「経済が拡大し続けなければ、経済全体の借金が拡大し続けなければ正常に機能しない」という致命的な欠陥がありました。経済が拡大を続けている限り信用創造は上手く機能しますが、一旦拡大が止まれば、所得(GDP)で返済可能な水準まで劇的に債務(とその裏側にあるマネー)が縮小する恐慌へ陥ります。

 現代の金融システムの中枢、信用創造が化石燃料(特に原油)によって生まれ、基軸通貨を擁する米国の経済拡大がオイルショックによって頓挫したということなら、その金融システムの終わりもやはり原油の動向が切っ掛けになるのではないでしょうか。そしてその種は既に蒔かれています。


過去3年、ほとんど発見されていない金鉱脈

 過去3年間、新しいゴールドの鉱脈(埋蔵量200万オンス以上)はほとんど発見されていません。ゴールドアナリスト池水雄一氏のツイートです。



 新しい金鉱山が見つからなければ金の供給は徐々に減っていくのが道理です。現に金鉱山の生産量は5四半期連続で前期比マイナスとなっています。これまで金鉱山からの供給はずっと増え続けていましたから、金価格を巡る基礎的条件の一つは間違いなく変わりつつあるのです。ゴールドを保有する層の一定数は一旦手にしたら手放しませんから、市中で取引されるゴールドは今後ますます少なくなっていくと思われます。


相続した不動産に問題が発生

 父が亡くなって相続した不動産を売却に向けて動いています。

 不動産会社と媒介契約を結んでから、すぐに購入希望の方が現れたのですが問題が起こって契約は取り止めとなってしまいました。実は実家の真上には電力会社の高圧線が通っていまして、そこから発生する電磁波を気にされてのことです。

 私自身、実家の上に高圧線が通っていたことは勿論知っていましたが正直気にしたことはなかったんですね。でもネットを見ると高圧線下の土地について悪い話がわんさと出て来る。白血病になるとか癌になるとか。根拠不明な情報も出てますので、購入希望だった方はこれを見て気持ちが萎えてしまったのかも知れません。

 それはそれとして、よく調べると高圧線下の土地は、電力会社が土地利用を制限する目的で「地役権」と呼ばれるものを設定するということが分かりました。例えば高圧線の下3.5メートル以内に建物を作ってはいけないとか。しかし実家の登記を確認するとその設定がないんですね。また地役権を設定されたら電力会社から「線下補償料」が支払われるのですが、それらしき入金は父の通帳からは確認出来ません。(※補償料は一括支払いされる場合もあります)

 そこで電力会社へ問い合わせをして調べてもらったら、なんと元々は1つの大きな土地だった時に地役権が設定されていたのですが、宅地として分筆された際に地役権も引き継ぐはずが何かの手違いで漏れていたのが実情だったようです。今後あらためて設定に向けて動いていくそうです。

 更に問題は相続税申告の際、不動産評価額が変わることです。数字の計算の他、添付資料として何を付ければ税務署が納得してくれるか悩みの種が出来てしまいました。相続に関する手続きは税理士や司法書士に普通やってもらうのですが、手数料が高すぎるので自分でやろうと動いてきましたけど、やはりプロに頼むべきだったかと心が折れそうになっています。でもここまで来たら独力でやり切るしかない。

 また地役権というのは利用に制限のある土地、あるいは高圧線下という風評も含めて、売却に向けて周辺地価に対して価格は安くなるでしょうし、成約まで手こずるかも知れません。早期売却が見えてたからだったんですけど「金先物でポジションを建てて、不動産の売却金で金地金を購入する」という計画は白紙撤回となりそうです。


輸出入の物価差、所得8兆円生む 日本に原油安の恩恵

 新型コロナウイルス禍で総崩れかに見える日本の経済指標で、急速に改善した数字がある。貿易での稼ぎやすさを示す「交易条件」だ。輸出入の価格差による「利得」は2022年までに8兆円ほど増えるとの試算もある。輸出が停滞する影響よりも原油などの輸入価格が下がる恩恵が大きいためだ。世界経済の急収縮を象徴する皮肉なもうけとも言える。


-------------引用終わり-------------


 コロナによる世界的な経済収縮において、原油価格下落の影響により皮肉にも交易条件が改善したとするニュースです。日本の利得は2022年までに8兆円ほど増えるとの「皮算用」もありますが、果たして目論見どおりにいくのか疑問です。日本が利得を得ているというは、反対側に損失を出している先があるはずで、そのような交易は一時的にはあっても長続きはしません。

 今の油価で採算が合う油田はほとんどないのが実情なので、石油企業は急速に探査費や開発費を削っています。その影響は時間差をおいて数年後に供給の制約、インフレ圧力という形で表面化することになるでしょう。そして問題は天文学的な債務を積み上げた金融システムが、インフレ圧力によって深刻な脅威に晒されることです。まさにそれが「危機の真打ち」になるのではないでしょうか。


世界の公的債務、20年は対GDP比100%に迫る=IMF

  国際通貨基金(IMF)は14日に公表した財政報告で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に対応するために各国が大量の財政刺激策を導入したことで、世界の公的債務が2020年に対国内総生産(GDP)比で100%近くに迫り、過去最高水準になるとの見方を示した。ただ、成長が翌年に回復すれば公的債務の膨張は一度限りの傾向になるとした。

 21年の財政赤字は対GDP比12.7%と、20年の3.9%から9%ポイント近く拡大すると試算した。

 IMFの財政問題担当ディレクターのビトール・ガスパール氏は「債務は20年に一度急増し、21年以降は安定するとみている。25年はやや減る可能性もある」と指摘。公的債務は対GDP比で約100%の水準で高止まりするが、経済が再び成長する上、金利が非常に低い中で基礎的財政赤字が減るとし、「見通しによると、金利と成長率の差はマイナスで、その幅は新型コロナ危機前より広がる。よって低金利は公的債務に重要な役割を果たす」と述べた。


-------------引用終わり-------------


 世界の公的債務水準に警鐘を鳴らす記事です。特に何の感慨もないですけどね。政府債務が増え続けているのは金融資産(負債)が必要とする「金利」を経済成長が賄えていないので、足りない分を政府支出によって埋め合わざるを得ないからです。

 金利に対して経済成長は足りないのが普通なので、どこも多かれ少なかれ政府債務は増えていきます。減ってるのはドイツくらい?でもあれはユーロというシステムのお陰でドイツの代わりにスペインやギリシャが債務を抱え込むハメになってますからね。主要国で日本のGDP比債務はぶっちぎりのトップで、それについて昔は私もかなり否定的に見ていたんですけど、金融システムのことを理解するにつれ考えが変わっていきました。世の中そう単純で表面的なものじゃないぞと。

 記事中では公的債務の水準は5年後には安定し基礎的財政赤字は減ると見通していますが、長期的な経済成長の低下傾向から楽観的に過ぎると思います。これから米国も欧州も他の主要国も日本の後を追い、ゼロ金利の罠にはまるのは確実なので政府債務は激増していくのはほぼ間違いないありません。では政府債務を幾らでも増やしていけばいいのかと言えばそんなことはない。それが通るのだったらジンバブエもアルゼンチンも国家破綻しなかったわけで、日本がデフォルトしてないのは世界最大の債権国だからです。そういう意味では今後、海外からの借入依存度が高い国ほど(基軸通貨国である米国は除く)ピンチになっていくでしょうね。


田中貴金属で金インゴットを購入

20201012_田中

 田中貴金属で金インゴットを購入しました。

 田中に来たのは5年ぶりです。コロナの影響だと思うんですけど入場整理券を配られました。とはいえ私の他に客はほとんど居らず、すぐ案内されたのですが。今買い時か?と聞かれれば微妙ですね。まあそれでもいいかなと。タイミングを熟慮して逆に失敗することって結構ありますからね。

 それにしても金は随分高くなってしまいました。血涙が出るくらいの感覚ですよ。店の人と少し雑談して最近の状況を聞いたんですが、ここ暫く売りも買いも閑散としているそうです。レンジ内の値動きが続いているので、これがどちらかに放たれれば取引がもっと盛況になるんですけどねーでも相場のことは誰にも分らないですよーなんておっしゃっていました。


バリックのCEOが統合を呼びかけ、金可掘埋蔵量の危機を警告

産金大手バリックゴールドのCEOが金鉱山の可掘埋蔵量の危機を警告。

Barrick CEO calls for consolidation and warns of reserve crisis

・探鉱の不足により、金鉱部門全体の平均鉱山寿命は20年から10年近くに減少した
・業界全体の金の生産量は、過去20年間、毎年1.6%しか増加していない
・深刻な金可掘埋蔵量の減少により業界は更なる統合へ進むべき

 金鉱会社は2000年代に入ってから金価格の高騰を背景に鉱山開発や設備投資に多額の支出を計上していましたが、その後の金価格の低迷により巨額の損失計上を余儀なくされました。探鉱コストは直近ピークに対して70%超も削減されており、それが今になって表面化しつつあるのが理由の1つです。もう1点は多額の探鉱コストをかけても良質の金鉱山が発見されなくなったという事情もあります。地球上の良質な鉱脈は発見され尽くした感があり、高度な技術を用いても埋蔵発見量は2006年に対して18分の1にまで落ち込んでしまいました。

 つまりこれからの時代は金埋蔵量自体段々減っていきますし、地下3,000メートル超で操業している代表的な南アフリカのムポネン鉱山に見られるように、地熱を下げる為の冷房や坑道の補強、鉱石の運搬等にエネルギーがより必要となり、加えてコロナの流行によって典型的三密の現場である金鉱山の運営は難しくなっています。従って採掘コストはこれから益々高騰していくでしょう。このことから金価格は騰がっていくでしょうが金鉱山の未来が同じように明るいかどうかは分からないのです。


5億円相当の金密輸疑い5人逮捕

 去年、5億円相当の金の延べ板120キロを中国から関西空港への航空便で密輸しようとしたとして、7日までに中国人の会社役員ら5人が逮捕されたことが捜査関係者への取材で分かりました。警察は、消費税のかからない海外で購入した金を日本に持ち込み、利ざやを稼ごうとしたとみて調べています。

-------------引用終わり-------------

 金高騰に伴って増える一方の金密輸ですが、これまで消費税の罰金は「1,000万円又は脱税額が1,000万円超の場合は脱税額」とされていました。それが平成30年4月に関係法が改正され現在は「1,000万円又は脱税額の10倍が1,000万円超の場合は脱税額の10倍」へ罰則が強化されています。

 今、消費税率は10%ですから、脱税額の10倍となると密輸した金が全部没収ということも有り得る訳です。今回のケースは120キロの金ということで「ついうっかり」というレベルではなく、悪質な故意によるものだと思われるので(しかも過去に何度も繰り返していたことが疑われる)罰則の上限が適用される可能性が高いのではないでしょうか。

 金密輸による脱税は、国富を海外へ流出されることから没収をどんどんやって密輸が割に合わないということを内外へ知らしめるべきだと個人的には思います。


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プロフィール

GC

Author:GC
2002年からゴールド投資を始める。2015年まで米国株メインでしたが、現物ゴールドを中心にポートフォリオを再構築しました。2021年新型コロナの渦中に地方移住を決断し、自家菜園やオフグリッドを模索中。2024年9月自主退職。

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