中国の主張がそのまま載っているドイツ語版ウィキペデアに呆然!「近くて遠い島」尖閣諸島訪問記【後編】(川口 マーン 惠美) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)
2012.07.13
# ドイツ

中国の主張がそのまま載っているドイツ語版ウィキペデアに呆然!
「近くて遠い島」尖閣諸島訪問記【後編】

南小島の島影

 午前8時30分、朝日に映える美しい魚釣島を後に、南小島、北小島に向かう。東京都は、尖閣諸島の3島を購入した暁には避難港を作ることを検討しているが、その有力候補地がこの2島のあいだの水門だ。こんな小さな船でここまで来るのだから、もしも、シケや視界不良となった場合に避難できる場所があれば、漁師はどんなにか心強いことだろう。

 今回の遠征では、ここでの潜水も目玉の1つになっていた。本職の漁師は潜って漁を、漁師でない人は漁を試みつつ、水深やら、海流の様子やら、サンゴなどの生態系を観察。そして、カメラマンはその様子を撮影する。隣の船から、4人の男が碧色の海にざぶんと飛び込んだ。

 彼らが海の中に消えてしまうと、私たちはすることがなくなったので、船を駆って南小島の探検に出発した。もっとも探検といっても、上陸は禁じられているので、近くへ寄って眺めるだけだ。

 南小島は、東端と西端に隆起がある。東の隆起は空に向かって尖がっていて、まさに尖閣の名にふさわしい。石垣の残骸も見える。石垣は、魚釣島より風化の度合いが軽い。ここにも、かつては鰹節工場や羽毛の加工場があった。ということは、魚釣島と同じく、この小さな島にも井戸があったのだろうか。

 40分ほどして元の位置に戻ってくると、潜っていた4人が次々と海面に姿を現した。漁師がロープを引くと、水中から、数珠つなぎになった獲物がぞろぞろと上がってくる。真っ赤な魚、そして、見たこともないような紺碧の魚もいる。合計10尾ぐらいの収獲。

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