初めまして、19の加納と申します。稽古に参加できないことが続いている間に、同期たちが次々と名稽古場日記を生み出してしまって、どうしようかなあ。まずネタを考えなきゃなあ。
という議題を思い出したり忘れたりしながら、私は稽古の帰り道に某レンタルショップに入りました。二日前に借りた7冊の漫画は、もう稽古前に返却ボックスに返しています。お目当ての漫画は二日前同様貸し出し中でした。仕方なくまた別の漫画を借りようと、大して広くない漫画コーナーを歩き回りながら、私はもんもんとしていました。もんもん。漫画を借りようと思った時、基本的には割と有名で、しかし自分はまだ未読のものを候補にするわけですが、コレクター気質な私は良作はきちんと自分で買いたいなと思うのです。そうなるとここでレンタルしてしまうのは何となく無駄な気がするのです。私は翌日のことを思いました。丸一日休み、時間の使い道が必要で、いつものように動画サイトサーフィンでもいいけどなんかちょっとそうする気にならない。最近液晶疲れもひどいし、今は漫画が一番気楽に手を伸ばせるんだがな。なんで目当ての漫画ないんだろうな。もんもん。30分以上経って、私は何も借りずに店を出ました。夕飯を食べようと思っていた某チェーン店に行く気持ちもなぜか失せており、買い物のために私はスーパーを目指しました。
そして吸い込まれるように小さな本屋に入りました。『ジーキル博士とハイド氏』の、自分が持っているのとは違う和訳を買おうかなとぼんやり考えます。この小説を私は溺愛していて、しかしそう主張するには大して和訳を読み比べたりもできていないのです。カタカナの作者名が並ぶ棚をじっくり、特にサ行が並んでいるようなところを念入りに探します。ありません。そもそも外国人作家の場合、あれ何順で並んでるんですか?全然わからん。いつもわからん。とにかく端から端まで眺めてもお目当ては見つかりません。なんでないんだよスティーブンソンだぞ、せめて『宝島』とかあってもよかっただろ。まあないものはないのです。棚から棚へ未練がましくうろうろして、しかしとうとう見つけられず、私はまたカタカナ作者の棚へ戻ってきました。そして上の方へと目を凝らし、アンデルセンの『絵のない絵本』に気づきました。お気に入りの一冊ですが自分では持っていません。薄くて安い。ひとまず手に取ります。目線を下げていきます。マーク・トウェインの『トム・ソーヤの冒険』を見て、少し逡巡し、訳者の名前を見て購入を決めました。また棚から棚へぼんやり歩き、またカタカナの棚へ来て、最後にジョン・スタインベックの『ハツカネズミと人間』を手に取り、レジに並びました。漫画を2泊3日で16冊借りたくらいの合計金額だったと思います。
読みかけのまま放置してある、好きな漫画のノベライズ作品とか、ラノベと呼ぶには長くて重い二次元コンテンツな小説とかが入っている棚の中に、今日の3冊がしまわれます。そこには『ジーキル博士とハイド氏』もあります。どれから、いつ読もうかな。秋公演前に読めるといいな。
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