そうなんですけど、歳をとって重いものが面倒になったり、航空機の荷物制限が厳しくなったりすると、ミラーレスのコンパクトさも良いかなと、年寄りの妥協をしてしまいがちです。0社でもFP発光で騙しながらシャッタースピードを稼いでメルヘンを撮っています。
ミラーレスはポスト一眼レフに成り得るのか
一昔前はしっかり写真を撮る方は一眼レフ、ログ用や入門機としてはコンパクトデジカメ、という風潮でカメラの住み分けが成されていました。
いや、成されていたというか暗黙の了解のように誰しもがそう思い込んでいました。
しかしここ数年の間に『軽く・小さく・安価な』ミラーレス一眼が登場し、ダイビング雑誌や量販店では猫も杓子もミラーレス、ミラーレスが水中カメラの決定版、みたいな扱いをされています。
それは本当のことなのか? 業界特有の批判無用の提灯持ちではないのか?
今回はそのへんのことをネチネチネチネチ考察していきたいと思います。
●ミラーレスとはどんなカメラなのか
カメラの種類を理解しておこう
まずカメラの分類の定義を一応説明しておきます。
現行のデジカメ(スチール撮影)には大きく分けて2種類存在します。
●レンズ交換式カメラ
・デジタル一眼レフ
・ミラーレス
用途によってレンズを交換できるが、場合によっては複数のレンズが別途必要。
ボケ味があり精度の高い単焦点レンズを使用できるが、水中ではレンズ交換ができないため被写体が限られる。
●コンパクトカメラ
レンズは本体に組み込まれているので交換できないが、多くの場合ズームレンズなので幅広い被写体に対応できる。
ズームレンズの特性上ボケ味が少なく、精度も低くなる。
このように、ミラーレスは一眼レフと同じレンズ交換式カメラに分類されます。
では一眼レフと何が違うのかというと、一眼レフはレンズから入った像を鏡を通してファインダーから光学的に観察するのに対し、ミラーレスは名前の通りこの鏡を排除し小型化を図ったため、コンデジ同様モニターで像を確認するようになっています。
簡単に言えば、レンズ交換ができるコンデジといった立ち位置です。
精度の高い単焦点レンズできれいな画作りができる上、コンデジのように小型・軽量な夢のようなハイブリッドカメラ。
一眼レフとコンデジのいいとこどりの次世代カメラ。
なんとまあ甘美な響きですが、本当にそうなのか。
水中撮影で本当にそのポテンシャルを発揮できるのか。
事項から細かく比較していきたいと思います。
●比較 レンズ交換
VS 一眼レフ
レンズ交換式カメラの一番のメリットは数あるレンズ群から目的に合ったものをチョイスできる、という点に尽きます。
ところが、各社ミラーレス機をこぞって発売しているにも関わらず、ミラーレス専用設計のレンズというものは驚くほど少ないです。
ミラーレス機に特化したSONY、OLYMPUSを除けば、使用できるレンズのほとんどが一眼レフと兼用設計のため、レンズ自体が大きい上にアダプタをかます必要がありミラーレス最大の利点である小型・軽量を殺しており、全体で見ればほとんど一眼レフAPS機と変わらないくらいの大きさになってしまいます。
また、専用設計のレンズ自体もラインナップがズームレンズと標準~広角レンズに偏重しているためマクロ撮影で欲しい60mm~100mm程度の単焦点レンズが全く用意されていないメーカーばかり。
このためマウントアダプタを介し一眼レフ用のレンズを使う羽目になるのですが、センサーサイズの違いからまた微妙にはずれてしまうという八方塞がりな状況に陥りやすいです。
ワイドに関しても、APS-Cでフルサイズの1.5倍、マイクロフォーサーズでは2倍近く画角が異なるため広角レンズを使用しても効果を得にくいという欠点があります。
●比較 センサーサイズ
VS 一眼レフ・コンデジ
センサーサイズ比較画像
センサーサイズは大きい方が画質がよく、よくボケます。
その為センサーサイズは大きいに越したことはないのですが、その分カメラも大きく重くなり、価格も高くなるので落としどころを自分でつける形になります。
ミラーレスは一眼レフでも使用しているAPS-Cが主流のため、センサーサイズに限れば一眼レフと見劣りしない写真を撮ることができます。
逆にコンデジはハイエンド機からも大きく水を開け、圧倒的な差を見せつけています。
●比較 タイムラグ
VS 一眼レフ
レンズから通った情報をモニターで表示するため、どうしても多少のズレが発生します。
一眼レフが文字通り光の速さで視認できるのに比べれば遅いと言わざるを得ませんが、コンデジを長年愛用している身からすれば何のことはありません。
●比較 シャッタースピード
VS VS 一眼レフ・コンデジ
水中撮影ではストロボ同調最高速度がとにかく重要です。
コンデジでは1/2000秒、一眼レフでは1/250~1/320秒くらいが同調速度の限界になります。
ではその間に収まるミラーレスはいかほどか。 1/500秒? 1/1000秒?
なんとほとんどの機種が驚異の1/160秒です。
最も速いCANON M3でさえ1/200秒が限界。
これでは動く被写体は狙えないし、青被りもひどくて話になりません。
この一点のみを見て、ミラーレスは水中撮影に向かないと私は言い切ります。
●結論
他にいかなるメリットを持っていたとしても、ストロボ同調速度の遅さからミラーレスは水中撮影には向きません。
完全にコンデジと一眼レフの悪い所どりのゴミに成り下がっています。
但し、陸上撮影では取り回しの良さがフルに活かされるので、陸撮に関しては非常にいい選択であると付け加えておきます。
あとは小ささを活かしてストロボを使用しないことが前提のクジラやイルカ撮影では威力を発揮するかもしれません。
だがオリンパス、てめーは駄目だ。
●おまけ
ならば何故ダイビング雑誌や量販店、大手都市型ショップはこぞってミラーレスを勧めるのか。
ぶっちゃけて言えばお金です。
特にカメラメーカーO社はダイビング雑誌最大手の広告主なので、提灯記事しか書けません。
いつの間にか雑誌Mから一眼レフの記事は消え、ミラーレスこそ至高のカメラと言わんばかりの持ち上げぶりです。
量販店や大手都市型はそもそも商品知識を持った従業員がいないので、提灯記事に右へ倣えが一番楽ですし、実入りも大きいので手っ取り早い商売を考えればそっちに傾きます。
逆に現地サービスや都市型でもカメラに造詣の深い方のお店では私の知る限りミラーレスを勧めている所は一切ありません。
結局何が言いたいかというと、雑誌や広告を盲信せず最後は自分の目を信じるしかないということで、このブログ自体も僕の主観が多いに働いているので程々に見ていただき、もしメーカーさんや出版社の方が見ても怒んないでくださいすみません調子こきました。