- 作者: 川口俊和
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2015/12/07
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- 作者: 川口俊和
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2015/12/10
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内容(「BOOK」データベースより)
お願いします、あの日に戻らせてください―。「ここに来れば、過去に戻れるって、ほんとうですか?」不思議なうわさのある喫茶店フニクリフニクラを訪れた4人の女性たちが紡ぐ、家族と、愛と、後悔の物語。
僕はとりあえず、毎年『本屋大賞』の候補作は全部読むことにしているので、この本も手に取りました。
近所の書店でも、平積みにされていることが多くて、けっこう売れていそうだし。
でも、正直なところ、「なんというか、イメージだけで売れていそうな、地雷本」の予感はあったんですよ。僕もけっこう長い間、本を読み続けているので、表紙を手にとって、少しめくってみれば、だいたいの予想はつくのです。
「過去に戻れる喫茶店」、場合によっては、未来にも行ける。
ただし、そこにはかなりめんどくさいルールがある……
とある街の、とある喫茶店の
とある座席には不思議な都市伝説があった
その席に座ると、望んだとおりの時間に戻れるという
ただし、そこにはめんどくさい……
非常にめんどくさいルールがあった
1.過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない者には会う事はできない
2.過去に戻って、どんな努力をしても、現実は変わらない
3.過去に戻れる席には先客がいる
その席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ
4.過去に戻っても、席を立って移動する事はできない
5.過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、
そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ
この小説、もともとは舞台用の脚本として書かれたそうです。
そうであれば、役者さんの渾身の演技で、観客を泣かせることも可能なのかもしれません。
文章で読むと「何このお涙頂戴のベタな話……」っていう小説『世界の中心で、愛をさけぶ』でも、映画で長澤まさみさんが苦しんでいる姿をみると、やっぱり「泣ける」ものですから。
そもそも、こんな短い4編の小説のために、こんなめんどくさい「ルール」が設定されていると、「泣ける話を書くために、後付けでルールを作りかえていったのだろうな」というのが伝わってきます。
いやほんと、申し訳ないけれど、「コーヒーが冷めないうちに」速読してしまいました。いつか面白くなるのかもしれない……あっ、終わった。
文章も良く言えば「脚本っぽい」、悪くいえば「説明的でクドい」
二美子は高校生の時に独学で六ヵ国語をマスターし、早稲田大学を首席で卒業すると、都内の医療系大手IT会社に入社。二年目にはチーフとして多くのプロジェクトを任されるようになった。いわゆるバリバリのキャリアウーマンというやつである。
……ああ。
その「いわゆるバリバリのキャリアウーマンというやつである」っていう一文、削除!
それまでの文章で、二美子さんという人が「バリバリのキャリアウーマン」であることは、十分説明できているのに……というか、こんなベタな表現、山田詠美先生が読んだら、羽田圭介さんの「雨音のシンフォニー」以上に罵倒するのではなかろうか。
いやまあ、エンターテインメントと純文学を比べて文章がうんぬん、というのは筋違いだというのは承知していますが、この作品を読むと「なぜこれが『本屋大賞』の10作のうちのひとつとしてノミネートされたのか」疑問を通り越して、憤りすら感じてきます。
最初のエピソードの人とか、読み終えて、「そんなまわりくどいことせずに、電話かメールするか、直接会いに行けよ!」って全力でツッコミを入れてしまいました。いくらなんでも無理があるよこれ。
『本屋大賞』って、「書店員さんがお客さんに読んでもらいたい本」なんですよね。
ということは、これを読んで、面白いと思って投票した、ということなの?
「失礼ですが、書店員さん、あなたたちの目は節穴ですか?」(『謎解きはディナーのあとで』風に)
いや、『本屋大賞』って、毎回、1作か2作くらい「謎ノミネート本」が含まれているんですよ、たしかに。
それ以外にも、西加奈子さんとか森見登美彦さんとか、最近では小川糸さんのような「書店員さんに好感度を持たれていて、ノミネートされやすい作家枠」みたいなのもある。
まあでも、彼らの作品は、僕の好みや「その年の10作」に入るかどうかはさておき、それなりのクオリティは満たしているのですが、これはちょっとヒドい。衝撃的だ。
『本屋大賞』のノミネート10作をもう一度確認して、この本の前に「PR表記」が無いことを確認しましたよ僕は。
既存の文学賞という「権威」を打破して、読者により近い、面白い作品を紹介したい、というコンセプトのはずだったのに、超劣化『ツナグ』みたいなのが、なぜ選ばれているのか(そもそも『ツナグ』だってそんなに褒められたものじゃないのに!)
ファミ通クロスレビューで40点を獲得した『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』かよ!
『本屋大賞』とかにノミネートされることがなければ、僕が読むこともなく、こんな悪口を書く必要も書かれる必要もなかったんですよね。
単なる「ああ、何年かに一度、『お涙頂戴+自己啓発テイスト』の死んだ人に会える小説って売れるんだよな」で済んでいたのに!
竹内結子さん主演で映画化されたら、GACKTさんも僕も涙を流すかもしれませんが(なんのかんの言っても、ある種の作品にとっては「人が演じる」というのは力になるんです)、これに投票した『本屋大賞』審査員の書店員さんにぜひ聞きたい。
これ、本当にあなたが自分で読みましたか?
読んでないのだったら、信義に反するし、読んで投票したのだったら……うーん……(以下、校閲者が削除しました)
「こういうベストセラーより、(売れてないけど)もっと面白い本が、書店にはたくさんありますよ!」っていうのが『本屋大賞』だったのではないのかねえ……
あっ、長々と書いていたら、コーヒー冷めた。
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