プチ脱走事件

プチ脱走事件

ここでは、「プチ脱走事件」 に関する記事を紹介しています。

金曜日、太陽がまぶしく光りだした朝、それまでじっとしていた1歳牝馬たちが、嬉しそうに走り出しました。

新雪が積もったところに、放牧地の場所替えをしたため、気分もリフレッシュして大はしゃぎ。

2・牝・ハーツカンパニ 

躍動感ある馬の写真が撮りたくて、そっと近付いたつもりでしたが、「みーつけた!」

2・牝・ディープ 

案の定、ニンジン餌付けの逆効果。

2・牝・アリューカン 

みんなすぐに集まってきてしまい、「ないの?ないの?ニンジンないの?」

2・牝・ハーツ 

帽子を引っ張られたり、服を突付かれたり。近過ぎて、写真も撮れません。

そんなに期待した顔で見つめなくても・・・・。

2・牝・ディープ顔 

あきらめたカンパニー牝馬は、雪をペロペロ。

2・牝・かん 

食いしん坊のゴールドアリュール牝馬は、「ねえねえ、隠してるんでしょ?」

2・牝・アリュール 

みんな動かなくなってしまったので、向かいの1歳牡馬を撮ることにして、移動しました。

しばらくして、振り返った牝馬の放牧地。

2・牝・4頭 

「しめしめ、遠くにいったな・・・」

そこで、再び「おーい」と呼ぶと、気が付いたハーツクライ牝馬とカンパニー牝馬が、こちらへ。

2・牝・カン&ハーツ 

ゴールドアリュール牝馬とディープインパクト牝馬も、「負けないわよ!」と、突進。

2・牝・アリュール&ディープ 

なんとも元気のいい4姉妹。

2・牝・ハーツアップ 

これが、翌日の小さな事件の伏線だったとは、誰が考えたことでしょう。

土曜日、ウイルス性の胃腸炎にかかり、前夜入浴を控えた4歳の長男が、「朝風呂に入りたい」と言い出し、しぶしぶ用意。

「外の景色でも見ようか」と、いつもは閉めているロールカーテンを開けると、一瞬、目を疑いました。

「通路に馬がいる・・・・。はあ?なんで!?」

窓から見える放牧地と放牧地の間の通路に、いるはずのない1歳の鹿毛馬が1頭、目に飛び込んできたのです。

「逃げた?」・・・としか考えられません。

そばに軽トラックが置いてあったので、「誰か先に気付いて、つかまえようとしているんだ」と思い込み、助っ人に入るつもりで、急いで防寒服を着ましたが・・・。

現場に駆けつけると、人影なし。

代わりに、向こうから、すごい勢いで1頭の馬が駆けてきて、額の星で、それが”ハーちゃん”であることに気付きました。

「えー?ちょっと、どうするの!」

ハーツクライ牝馬は、放牧地の中の仲間のところに帰りたくて、うずうずしています。

どうやら、出たくて出たわけではなく、何かの拍子に、牧柵の下をくぐったか破ったかして外に出てしまい、戻れなくなった様子。

牧場で、数年に1度は起きるハプニング。私も、つかまえて中に入れればいいということは分かるのですが、何しろ一人。

携帯、不携帯。この場を離れるわけにはいかないし、とにかく、つかまえるしかないか・・・・。

馬は、予測不能の事態が起きると、たいてい興奮状態におちいり、人間ひとりの手には負えなくなるものですが、彼女は思いのほか冷静でした。

「ハーちゃん」と呼ぶと、すんなり近寄ってきて、顔のもくしをつかませたのです。

「あとは、入れればいいんだけど・・・」これが、大問題。

右手にハーツのもくしを持ち、左手だけで、出入り口の3本の馬栓棒を開けなければなりません。

おまけに、ハーツを心配するアリュール、カンパニ、ディープの3頭が、入り口をふさいでいて、開ければ今度はそちらが出てしまう可能性あり。

「Kくーん!Sくーん!」大声でスタッフを呼ぶも応答なし。

意を決して、踏み切りました。

1本ずつ棒をずらし、最後の1本を、迎える馬たちの様子に注意し、慎重に開けた・・・・はずでした。

あとお尻一つ分はみ出したまま、前に進まないハーちゃんに気をとられていると、なんとお尻の向こうから、するりと抜け出した馬が1頭。

「ディープゥゥゥ!!」

がっかりでした。ハーツを入れたと思ったら、今度は、ディープが嬉しそうに脱走。

なんだか意気揚々として、駆け出していきそうな雰囲気。

牧場所有馬のハーちゃんと違い、ディープは”お客様の馬”。「その辺を駆け回り、道路に出て怪我でもしたら?」と身の毛がよだちました。

が、こんなところで、ニンジン餌付けの効果が見事に発揮されるとは!

「ディープ・・・」 その辺りを興味深そうにそぞろ歩いたディープは、思いのほか簡単に私の手につかまり、あっさりと放牧地へ。

全身の力が抜けたのは言うまでもありません。「良かった・・・」

後で牧柵周りを確認したところ、壊れているところはなく、1ヵ所、馬の毛が抜け落ちている雪面を発見しました。

2・牝・毛 

どうやらハーツは、元気良く走っていた時に横転し、そのまま柵の下をくぐり抜けて、出てしまった様子。

胸前の毛がちょっぴり抜けたものの、無傷で、歩様の乱れもなく、涼しい顔をしていました。

無事だったから、笑って言える話。

スタッフは、繁殖牝馬1頭の装蹄のため、厩舎でジェットヒーターをかけていて、まったく気付かなかったこと。

軽トラは、放牧地からその繁殖馬を出すために乗り捨ててあったこと。

普段動きのない時間に、繁殖馬1頭を厩舎に入れたため、他馬が興奮して走ったこと。

など、今回のハプニングの原因を紐解きながら、改めて、馬を管理することの責任を痛感させられます。

新雪の後で、通路がアイスバーンになっていなかったことも幸いし、無傷のハーちゃん、恐るべし。

これからも、心して見守っていきたいと思います。

コメント
この記事へのコメント
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2012/02/20(月) 23:19 | | #[ 編集]
プチ脱走事件、ドキドキしながら読ませていただきました。

いるはずのないところにいる馬。(@@)
ビックリしますよね。
でもハーちゃんが落ち着いていてよかった!
仔馬と言っても何百キロもあるんですもの。
人間一人の力ではどうにもなりませんよね。
yosshieさんの焦りが手に取るようにわかりました。(大汗)
細心の注意をはらってハーちゃんを戻したのに、今度はディープちゃん!(@@)
でも、ハーちゃんもディープちゃんも賢いですね。
ちゃんとyosshieさんの言う事を聞いて放牧地へ戻るなんて。(^^)
私も一緒に「よかったー!」と、ホッとしました。
そして2頭とも無事で本当によかった!

生き物が相手だと、思いもよらない事がおこりますよね。
牧場の皆さんは寒い中、大変だとは思いますが、お身体に気をつけて、がんばって下さいね。(^^)

全馬が無事に、元気に牧場を巣立っていけますように!
2012/02/27(月) 14:42 | URL | michi #BFJTYZbE[ 編集]
ご心配いただき、ありがとうございました。
偶然、普段入らない時間に風呂場に行き、窓から外を見ると、”馬”。驚きました!
あのまま誰も知らずに放っておいたら、馬自身もパニックになっていたかもしれず、早く見つけられて本当に良かったです。
4歳の長男は、「ちょっと待って」と言われたまま風呂場に残され、私が戻った時には、「お腹が痛い」と悲痛な顔をしていました。その後、高熱も出て、こちらが逆に大変なことに・・・。
今では、すっかりどちらも落ち着いていますが、あの日のプチ脱走事件は、忘れられない出来事となりそうです。
後で、牧柵周りを歩いた時に、雪の上にハーちゃんの足跡がたくさん残っていて、どこを通ったのか、すぐに分かりました。
牝馬なので、仲間意識が強いのか、牧柵の周囲だけをチョロチョロしている感じでしたね。
2頭とも同時に出てしまったら手に負えなかったかもしれません。
それにしても、「どうしてここから出られたの?」と思うような、細い隙間から飛び出したハーちゃん。
監視カメラが付いているわけではないので詳細はわかりませんが、怪我がなかったので、しなやかに抜け出したことだけは確かです。
数年後に、これが笑い話になるような活躍をしてくれれば嬉しいですね。
あの日は、サクセスベルーナの新馬デビューの時間も迫っていて、本当に気忙しい午前でした。
これからは、出産や種付けが始まり、昼も夜もない忙しさになると思いますが、生まれてくる仔馬や1歳馬にもますます気を配っていきたいと思います。v-22
2012/02/28(火) 11:33 | URL | team yosshie #uvrEXygI[ 編集]
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