ハプニング
The Happening
2008
アメリカ
M・ナイト・シャマラン監督・脚本・製作
ジェームズ・ニュートン・ハワード音楽
マーク・ウォールバーグ、、、エリオット・ムーア(高校の科学教師)
ズーイー・デシャネル、、、アルマ・ムーア(エリオットの妻)
ジョン・レグイザモ、、、ジュリアン(エリオットの友人、数学教師)
アシュリー・サンチェス、、、ジェス(ジュリアンの娘)
ベティ・バックリー、、、ジョーンズ夫人(田舎の一軒屋に住む老女)
セントラル・パークで午前8時33分、次々に人が自殺して行く。
エリオットの勤めるフィラデルフィアの高校では、テロ攻撃とみなし生徒を全員帰宅させることになる。
エリオット夫妻は、同僚のジュリアン宅に一時避難することになり電車で向かう。
日常の崩壊はいつ突然やって来るか分からない。
(わたしの場合は生まれた時から崩壊していた。その事実に後から気づく)。
テロリストによる毒ガス攻撃と受け取られ警戒態勢が敷かれるが、どうやら人為的な事件ではないとされてゆく。
しかし確かなニュースが届かず、政府からの確かな避難誘導や救援も来ない。
インフラ自体がマヒする。
工事現場の足場から次から次へとパラパラと作業員が落下して来るアングルは鬼気迫るもの。
尋常でない事態が起こったことを告げる上手い演出。
しかも何が原因が分からず、逃げようも避けようもなく、ただ突然、人が自殺衝動にかられ次々に死んでゆくだけなのだ。
これを目の当りにしたら、恐れ戦くしかない。
いつ自分の番となるか。不安に駆られ取り敢えずその場から逃げる。
何とか捕えたラジオのニュースを聞くと植物から出る毒素が原因である可能性が説かれていた。
風が木の葉をさざめかせ、叢は不気味な強風にそよぐ。
だが、毒素としたら恐ろしい効き目だ。その場に居合わせた人間は全員が自殺しているのだ。
この究明は絶対に行わなければなるまい。事態が何とか収まったとしても。
不安と緊張感はいや増しに増しパニックは広がる。
闇雲に逃げていた人が立ち止まる。
すると後ずさりしたかと思うと、銃やナイフで死んでゆく。
車で逃げてもその道の先には死体がゴロゴロ。元に戻って来る。
安全と思える逃げ場はなかなか見つからない。
仮に植物が撒き散らす毒素が原因だとしてどうやって逃れるか。
人々は家にガスマスクをして籠る。
この場合それが最も無難な方法であろう。
だが列車で移動していたら全く通信が途絶えたことで停車し、中途半端な土地に放り出され、茂みや野原をただ歩かねばならない場合、どうするか。
家の扉を閉ざした者は外部の者を入れようとはしない。何かを持ち込まれたら大変だ。食料ももつかどうか。
三人はとても陰険な老婆の一軒屋に何とか避難させてもらい、そこで様子を見ることに。
この噺、地と山場があるのではなく、ずっとこの宙吊り状態で淡々と流れるのみ。
現象に対する何らかの原因が究明されたり、大掛かりな対策が練られ施行されたりもせず、救援活動もなく、ただ主人公たちのローカルな寄る辺ない逃避行のみが描かれる。政府は何やってるんだ?
兎も角、何もはっきりしたことは分からぬまま、事態は拡大して行く。
木や叢がただ怪しく禍々しく映り出す。
何とかまだ入って来るニュースでは、評論家が植物が悪意を持って行っているような不安を煽る。
これは警告に過ぎない、とか、
いい加減なあてずっぽうも垂れ流されもするが、、、
こうした現象はピークを迎えた後、急速に鎮静する傾向がある。
それまでの間、どうにか持ちこたえられるかにかかってくる(楽観的に見れば)。
エリオッと妻のアルマはギクシャクしていた夫婦間がこのパニックを通して修正される。
これには同僚ジュリアンから預かった彼の娘ジェスの存在も大きい。
結局意を決して三人で外に出た時はこの現象は収束していた。
何とか助かり、彼ら3人は新しい生活を送り始めたが、アルマは新たな命を宿していたのだ。
ジェスの両親は犠牲となってしまったが、新たな家庭が出来、ハッピーエンドと思ったが、場所を変えてまたこの現象が始まったところでエンドロールとなる。
怪しい学者が言っていた通り、これからが本番なのか。
こんな映画があっても良いとは思われる。
特に新鮮さはないが手堅くまとめていた。
日常世界の突然の崩壊の現実はニュースを見れば世界中に幾らでもある。
AmazonPrimeにて
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