錆びた鎖
1960
斎藤武市 監督
池田一朗、秋元隆太 脚本
赤木圭一郎 、、、長岡英二(次男、学生)
笹森礼子 、、、冬木美枝(従妹、学生)
小沢栄太郎 、、、長岡康三郎(父、荷役会社社長)
轟夕起子 、、、長岡時子(母)
小高雄二 、、、長岡健一(長男、新社長)
宮城千賀子 、、、井上正緒(キャバレー、スタンキイのママ、英二の実母)
白木マリ 、、、沢村加奈子(会社秘書、健一の愛人)
大坂志郎 、、、水原泰三(金融業者、長岡企業の専務に収まり乗っ取りを企む)
近藤宏 、、、松井保(暴力団ボス、パクリ屋、水原と通じる)
杉山俊夫 、、、松平政吉(ウクレレと歌が得意、港湾労働者)
西村晃 、、、ぐちりの平太(港湾労働者)
三島雅夫 、、、馬場吉太郎(長岡に世話になった会社社長、乗っ取り一派)
初っ端からまた赤木圭一郎が歌いまくる。
昨日(幌馬車は行く)ほどではないが。こちらの歌の凄いこと、、、
「若さがいっぱい、青春、若い青春とか、そればかりの歌詞。青春謳歌などというより、こんなものどこのバカが作るんだろうとほとほと感心する類のもので、彼はどんなつもりで歌っているんだろうとちょっと心配になる(おれは嫌だね、とは言えぬ立場か)。
この歌でハードルは極端に下がったが、噺の中身はよく出来ていて見応えがあった。
わたしにとって新鮮なものであり、見せ場の続く弛みの無いかなりの力作である。
特に兄弟間の葛藤が色濃く描かれてゆく。
スタンキイのママの存在も何とも言えない、、、。
「エデンの東」も匂わせるところ。
笹森礼子演じる 美枝は兄弟間を揺れ動く役回りであるが、さほど深く物語に関わらない。
(彼女のファンには面白い映画ではないかも)。
会社の乗っ取りを企む者たち(この中には生前父にずいぶん助けられた社長などもいる)、やくざのパクリ屋の暗躍。
沖仲仕というか港湾労働者の過酷な生き様も垣間見える。
しかし搾取された手形のサルベージをその道の人に頼んでいたが、暴力で強奪されたものであり、警察には通報しないのか。
湾岸特有の危うい企業の姿~関係性も感じられた。
それに加え長岡家の事情も絡む。
何と(パクリ屋に謀殺された)亡き父が頼みにしていた次男は、キャバレーのママ、正緒が実の母であった。
この事実から更に兄弟間の葛藤も深まる。
結局、このママが大金持ちで、長岡家に2000万円を貸してくれることに。
手形を長男が強奪され、奪った松井組の者の計略により父が殺害され、その後は手形をちらつかせた乗っ取り軍団~直接には水原にやられっぱなしとなり、会社は実質彼の思うままに経営され、完全営利最優先となり、沖仲仕たちの怒りは最大級に膨れ上がる。
新社長の健一は彼の傀儡であり、労働者の信用はゼロ。
誰もが次男英二を頼みにする。英二は一向に交わろうともしない兄と違い、沖仲仕と寄り添い深く関わっていた。
更にママが融資してくれたのも彼が実子であったからだ。
(兄の方は従妹の美枝と結婚し彼女の家の財産をあてにするつもりでいた)。
とは言え、乗っ取り組の犯罪はどう片が付くのかと思っていると、、、
まさかこんな医者はないだろうというような暴力団の後始末役の薬中の医者によって父が殺害されたことがバレる。
父を嵌めた男が同じ医院で何れも心臓疾発作で突然の死を迎えていたのだ。
怪しいところをつつくと必ず重要な情報が掴める。松井組が実働隊として動き、水原と繋がっていることなども、、、。
(父に恩義を感じていると親切そうに接してくる社長もその乗っ取り団の一人であったり)。
そして向こう見ずな英二が直ぐに殴り込みをかける。
殴り合いのラフファイトと何故か感傷的にボートで海に乗り出すシーンなど、このへんは太陽族のタッチか。
最後は長岡兄弟がわだかまりを克服して固く手を結び、沖仲仕と協力して敵を倒す。
結局、美枝はどうしたのかは分からないまま(本作ではヒロインは余り重要な立場にいない)。
まあ、弟の方に行ったはず。
もう少し赤木圭一郎と笹森礼子作品にあたってみたい。
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