ビリーザキッド 21才の生涯
Pat Garrett and Billy the Kid
1973年
アメリカ
サム・ペキンパー監督
ルディ・ワーリッツァー脚本
ボブ・ディラン音楽
ジェームズ・コバーン 、、、パット・ギャレット
クリス・クリストファーソン 、、、ビリー・ザ・キッド
ジェイソン・ロバーズ 、、、ルー・ウォレス
ジャック・イーラム 、、、アラモサ・ビル
リチャード・ジャッケル 、、、キップ・マッキニー
ケティ・フラド 、、、ベイカー夫人
ボブ・ディラン 、、、エイリアス
スリム・ピケンズ 、、、コリン・ベイカー
L・Q・ジョーンズ 、、、ブラック・ハリス
ハリー・ディーン・スタントン 、、、ルーク
R・G・アームストロング 、、、ボブ・オリンジャー
ルーク・アスキュー イ、、、ーノ
ジョン・ベック 、、、ジョン・W・ポー
マット・クラーク 、、、J・W・ベル
チャールズ・マーティン・スミス 、、、チャーリー
リタ・クーリッジ 、、、マリア
最期の西部劇であるという。
その幕引きは、根っからの西部の人であったサム・ペキンパーによってなされる。
無法の終わりは西部の終わり。
かつて自由気ままに無法者として流れていた名のある早撃ちガンマンたちは皆、権力者の後ろ盾で保安官となり、体制側に取り込まれた。
そこでもなお、自らを曲げないビリー・ザ・キッドに、もはや生きながらえる地など、なかった。
親友と謂うより親のような立場であったパット・ギャレットはできることなら彼を殺したくはない。
それでキッドに予めメキシコに逃げてくれと「これはおれの願いだ」と告げにゆく。
キッドも一度はそれを呑み、メキシコに逃亡を決めるが、体制側の無法に彼の血が騒ぐ。
彼は帰って来る。
もう対決しか残っていない。
しかし英雄らしい華々しい戦死からは程遠い死であった。
サム・ペキンパーがビリー・ザ・キッドいやパット・ギャレットに自らを重ねているのか、大変想いの濃い二人のやり取りと対決である。パット・ギャレットは逃げるビリー・ザ・キッドをワザと遠回りしながら追いかける。そして追い詰めるしかなくなる。
監督自身、これで西部劇を終焉させる最期の舞台なのだ。その複雑な心境も感じられる。
深夜待ち伏せしていたパット・ギャレットが食べ物を探しに降りて来た上半身裸のビリー・ザ・キッドを一発で撃ち抜く。
倒れるキッド。そこに丁度姿見の鏡に映ったパット自身の胸目掛けて銃を撃つ。あたかも自分が撃たれたかのように。
何故だろう、キッドの身体の何処にも撃たれた傷が見当たらない。
だが彼は即死していた。
パット・ギャレットについてきた部下がキッドの指を切って持ち帰ろうとしたとき、パッドは叫び声をあげ激しくその男を突き飛ばす。
ソファに沈み込むパッド。これはサム・ペキンパー自身でもあるか。
ここで一つの時代が終わった。
わたしは、ボブ・ディランはあまり好きなミュージシャンではないが、エイリアスの存在はかなり魅力的であった。
この映画になくてはならないキャラでもある。
彼の曲がほぼ絶え間なく鳴っている印象であったが、やはり”Knockin' on Heaven's Door”(天国への扉)の流れる場面だろう。
今にも命の潰える初老の保安官が河に向かってゆき跪く。
その背後で彼を見守るしかない妻。
これほど悲哀の籠った壮絶なシーンというのもない。
まさに歌詞そのものの世界である。
(これはこのシーンの為に作られた映画音楽なのだから当り目だが、余りに一体化していた)。
>かあさん、このバッジを俺から外してくれ
>もうそれは使えない
>暗くなっていく、何も見えない
>どうやら天国のドアを叩いるようだ
エリック・クラプトンやガンズ・アンド・ローゼズのカヴァーで昔聴いたものだが、これはディランのオリジナルが最も良い。
間違いなく。
この映画で聴くのが真っ当な聴き方だと分かる。
西部劇の渋い大スターが沢山出ている上に、これまた渋いミュージシャンが3人いる。
リタ・クーリッジ、、、思い出そうとすると眩暈がする(笑。
大柄で歳もいっているが、カントリー歌手のクリス・クリストファーソンも自然体で憎めないビリー・ザ・キッドになっていた。
そしてジェームズ・コバーン~パット・ギャレットがやはり主役であった。
彼が冒頭で土地の取引を巡り暗殺される今際の際に、走馬灯のように脳裏を巡ったヴィジョンがこの映像であったのだろう。
ペキンパーから、本当の西部に捧げられたレクイエムであるか。
この映画の「天国への扉」を最初に聴いていたら、もう少しディランを好きになっていたと思われる。
本文でとても書く気になれなかったが、「ビリーザキッド 21才の生涯」ってどこから出て来た題なのか?
全く見当違いも甚だしい。
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