シザーハンズ
1990年
アメリカ
ティム・バートン監督
キャロライン・トンプソン脚本
ダニー・エルフマン音楽
ステファン・チャプスキー撮影
ジョニー・デップ 、、、エドワード・シザーハンズ(人造人間)
ウィノナ・ライダー 、、、キム(ペグの娘、高校生)
ダイアン・ウィースト 、、、ペグ(化粧品のセールスレディ)
アンソニー・マイケル・ホール 、、、ジム(キムのボーイフレンド)
キャシー・ベイカー 、、、ジョイス(近所の女性)
アラン・アーキン 、、、ビル(ペグの夫)
ロバート・オリヴェリ 、、、ケヴィン(キムの弟)
ヴィンセント・プライス 、、、発明家(エドワードの生みの親)
ディック・アンソニー・ウィリアムズ、、、アレン巡査
街に雪の降る訳をキムおばあちゃんがベッドで眠ろうとする孫娘に語って聞かせる噺。
ティム・バートンの模型世界の幕開けという感じで始まる。
ティム・バートン&ジョニー・デップのコンビは良い。
この『シザーハンズ』、『エド・ウッド』、『スリーピー・ホロウ』、『チャーリーとチョコレート工場』、『アリス・イン・ワンダーランド』、『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』、『ダーク・シャドウ』、、、他は観ていない。後二つくらいあるはず。一つはアニメーションでディップは声で出ていたようだ。
どれも好きな映画だが、『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』だけ、ちょっと惜しい感じか。
ほかは申し分ない。『スリーピー・ホロウ』が一番好きかな、、、。
「ヒューゴの不思議な発明 」のアーティフィシャルな世界も素敵であったが、これもまた素晴らしい機械仕掛けの郷愁に充ちている。
カラフルな箱庭のような街の光景。
山の上のお城でのクッキー作りの工程がたまらない。
あのオートメーションはちょっと他では見られない。
ジュールベルヌの世界である。
発明家の博士がまたよい雰囲気を醸す。
エドワードは単純なロボットから次第に複雑で高度なロボットに作り変えられていったようだ。
そして手をプレゼントしてやろうという時に彼の造物主は絶命する。
手があんなにでかい鋏だとこれは他者との触れ合いは極めて困難となろう。
(実際、象徴的な意味で、手が鋏になってしまっているヒトはいるだろう。きっと思いの外たくさんいるかも知れない)。
コミュニケーション能力次第であるところまではもっていけても。
ちょっとしたはずみで怪我をさせてしまう~関係を壊してしまう。
自分も気がつけば傷だらけになってしまっている。
まず落ち着いた安らかな生活というものは送れまい。
城で独り過ごしていたところ、化粧品のセールスレディに不憫に思われたエドワードは彼女の家に引き取られる。
これは変わったペットを連れ帰る感覚に近い。
いや基本的にペグは親切でこころ優しいひとなのだ。
一生懸命彼女はエドワードの世話を焼く。(前半のほとんどエドはペグとのやり取りだ)。
他者~外部との関係に慣れていないエドワードは大人しく従う。
最初彼が街に連れてこられたときに周囲の者は皆、好奇の目で見守る。
まずは見世物状態である。
手が鋏なので握手やハグは無理だが、無害である分には共同体は手懐けて組み込んでしまう。
表面的には好意的に受け容れるが、あくまでも自分たちの尺度に当て嵌めたうえである。
やがて人々が自分のエゴで彼を利用しようとし始める。
思惑通りに彼が動けるわけでもない。鋏が多くのシーンにおいて邪魔をする。彼自身の志向性や個性もある。
住人にとって都合が良く彼の才能を活かせる庭木の剪定とかヘアカットのような受け身の行為なら問題ないが、彼自身が自らの意志を窺わせると、彼を邪魔に思うものは必ず出てくる。
個性や才能は、マイナスの価値に反転する(また情勢によって更に反転もするが)。
コミュニケーション能力の未熟さ、これは精神科医の分析する通り対人経験の乏しさからくるところが大きいであろうが、更に彼が何よりキムに恋をしてしまったところから流れが変わって行く。
犯罪まがいの無理強いされたり、しかし彼はキムの為に一人罪を被る。
その辺から一転して彼への風当たりは強くなる。
することなすこと全て悪い方に受けとられてゆく。
ケヴィンを事故から救って命を助けても、鋏で付けたかすり傷の方が取沙汰される。
一度悪いイメージを被せられると、その払拭は極めて難しい。
更にジムの嫉妬の膨張がエドワードを追い詰める。
キムのこころがエドワードに傾くにつれそれは大きくなり遂には行くところまで行ってしまう。
住人たちの集団ヒステリーが募り、まるでフランケンシュタインの怪物を追い詰める村人みたいに城に押し寄せてゆく。
ここでアレン巡査が彼らを懐柔しようとするが、それで収まらず、結局キムが彼が死んだ証拠に城で拾った鋏を見せて皆を納得させて帰す。
アレン巡査のような人もなかにはいるが、全体としては、こうしたパタンとなってしまう事は抑えられない。
キムは最後にエドワードに「愛しているわ」とキスをして、彼を残し城を降りて行ってしまう。
そのまま長い年月が経ったということか、、、。
孫娘はどこまで理解しただろうか?
エドワードがキムの氷の彫刻を作ることで、その飛沫が飛んで雪が降っているというのは、なかなかのものだ。
それはきっと納得しただろう。
今年も雪が降っているのはエドワードが元気だから、、、
いや孤独だからだ。
孤独の白い結晶が模型の街に降り積もる。
「オシリス」というSF映画を観た。
もうSFに拘るのはやめた。
こんな糞屑映画を観てこの先、SFに拘る理由を失くした。
このところこのジャンルの低迷ぶりには目を覆うばかりだ。
余りに酷い。
どんな低脳が作っているのかとしみじみ思う。
口直しに、もう一度「ブレードランナー2049」を観てみたい。
「パシフィックリム」の続編も期待しているが、、、。
勿論、「ブレードランナー2049」続編にも当然。
だが、もう基本的には拘りは捨てた、、、。
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