エレクトリック・ドリームズ 安全第一
Safe and Sound
2017
イギリス、アメリカ
アラン・テイラー 監督
カレン・イーガン&トラヴィス・センテル脚本
アナリース・バッソ、、、フォスター・リー(女子高生)
モーラ・ティアニー、、、アイリーン(母、反体制派活動家)
アルジー・スミス、、、カーベ(フォスターのクラスメイト)
アリス・リー、、、ミレーナ(フォスターのクラスメイト)
コナー・パオロ、、、イーサン(シミ社サポートスタッフ)
マーティン・ドノヴァン、、、オーディン
ウェアラブルデバイス「デックス」を腕に嵌めることによりかなりのセキュリティは保証されるが個人情報と日々の行動の全ては追跡され筒抜け状態となる。そんな現実がアメリカ東部に実現していた。
プライバシーが全く無くとも安全なら良いと。わたしは到底耐えられない。いや絶対無理(爆。
その状態で、生きていると謂えるのか?
マインドコントロールの度合いから謂えば統一教会や悪徳ホストの餌食となったのと同等だ。
その点において本作品はとても啓発的であると謂えよう。
裏の手口も終盤、ご丁寧に描いてくれているし、お陰で無実の母がテロリストとして終身刑をくらってしまった。
そして駒として操ったフォスターをシミ社は、あたかも事件摘発で役に立ったヒロイン扱いである。
あんなにまともな母を終身刑にされても満面の笑顔で皆の前でスピーチする娘なのだ。
もう完全に行ってしまってる(チ~ン。
フォスターは母と二人で、自由な西部から管理が行き届いた東部の大都会に出て来て、知り合いも友人もいない心細いところで転校生として過ごすことに。洗練度も違うが、何においても管理下で安全に過ごすという意識~規範が尋常でないことを知る。
高校では誰もが身を守るためのウェアラブルデバイス「デックス」を身に着けているが、彼女の場合、母の政治的な思惑での1年間だけの滞在であり、母が自分の情報を全て管理されてしまう事を酷く嫌っていた為デバイスは着けることが出来なかった。
しかしそれでは友達が出来るどころか、皆が遠ざかってしまいボッチとなるしかない。それでなくとも西部から来たというだけでテロリスト扱いなのだ。虐めである。
関りの出来たカーベという不良に頼み、母の無防備な預金口座からデックスを購入する手助けをしてもらう。
母のセキュリティー感覚の薄さも問題なのだが、、、。
製品はドローンで程なく彼女のもとに届く。
操作法が分らぬ為、最初はサポートに頼るが直ぐに使い熟してしまう。
だが学校に友達がいなくて寂しい分、サポートの優しさに惹かれ彼の名前まで聴こうとする。
懇切丁寧なサポートに過剰に思い入れをしてしまうのだ。
やはり地方出のボッチ女子が悪質ホストに嵌るパタンか(笑。
案の定シミ社~テロ対策システム企業のサポートの魔の手が付け入って来る。
日常的にありもしないテロの事件で煽りほうだい煽って危機意識を植え込んでいる前提の上であるが、、、
今まさに君の学校が危機状況にあると。
そして褒めたり脅したりで揺さぶって来ては、周りの者たちに対する警戒心を植え付ける。
精神的に孤立させ、唯一頼れるサポートの言いなりに動くように洗脳してしまう。まさに究極の洗脳サポートだ。
マニュアル通りか?
ある意味、悪質ホストよりも悪質だわ。
しかしこれらは完全に虚偽のでっち上げで、真実が暴かれたら企業と国の絡んだ大きな犯罪である。
実際何も起こっていないにも拘らず、「テロ」という概念でこれだけ人々を操り思いのままにしてきたのだ。
企業としては更に住民の危機意識を高め、セキュリティ強化を政府から依頼されることで大儲けしようというもの。
「安全第一」幻想は強い。
そして後半の詰めである。
もう孤独と不安と恐怖しかないフォスターは秘密で名前を教えてくれたサポートのイーサンの言いなりになり、爆弾をバッグに詰めて登校する。直ぐにセキュリティが発動し取り押さえられるものの。
母親が娘を騙して自爆テロを敢行させようとしたとして母は終身刑に。
娘は何故かヒロインに祭り上げられていた。
まあ、サポート担当のイーサンは必ず君を守るとは言っていたが、これで良いのかフォスター?
もう彼女はどうにかなってしまってる為、分らない。
特にフォスターを気にかけて時折、助け舟を出してくれるミレーナを警戒させていたのは、彼女が電子化される前の紙の本が収蔵されている古典的な図書館に出入りしているからか。
本による知識を持っている者は要注意なのだ。
もう完全にミレーナとも切れてしまったフォスターである。
これからは、シミ社の広告塔などもやるのかも。
シニカルな回。
AmazonPrimeにて