蟲師 続章 第十一話~第二十話 特別編「鈴の雫」まで観る
2014~2015
漆原友紀 原作
長濵博史 監督・シリーズ構成
桑畑絹子、伊丹あき、山田由香 脚本
ルーシー・ローズ「SHIVER」OPナンバー
第十一話 草の茵
第十二話 香る闇
第十三話 残り紅
第十四話 隠り江
第十五話 光の緒
第十六話 壷天の星
第十七話 水碧む
第十八話 雷の袂
第十九話 泥の草
第二十話 常の樹
特別編「鈴の雫」
ギンコ(蟲師) 、、、中野裕斗
語り/声、ぬい 、、、土井美加
化野(あだしの) 、、、うえだゆうじ
淡幽(たんゆう) 、、、小林愛
山と命と理の間に流れる約束のなかに、、、
超低空飛行のなかで観た。
(途中で意識を失うこともあったが直ぐに目覚めていたはず)。
この物語には徐々に馴染んで来た。ギンコに馴染んで来たと謂うべきか。
わたしにはこの世界観、水が合う。
「光脈」そして「ヌシ」が常にキイとなって展開する。
光脈は、地中深くを流れる、黄金色に光り輝く命の水脈であり、その上に位置する山や村は繁栄する。
しかしそれは進路を変えてゆく。「ワタリ」や蟲師はその状況を適確に掴む者たちだ。
(文化人類学者や地質学者たちのフィールドワークにも重なるところか)。
ヌシは山全体と繋がり、金鉱を保つため統制をとる存在である。
ずっと昔から全ての生き物は命の理の下に生きて来た。ヌシはその約束の現れである、といったことをギンコは述べていた。
確かにヒトの目には見えないモノ~存在によって支えられているし、まだ知らぬ系も存在するはず。
まだダークマターもダークエネルギーについてもほとんど分かっていない(そもそも何でダークマターとダークエネルギーと分けて考えるのかも分からない(笑)。
この件、どう解明されるのかワクワクであるが、結構ドキドキでもある。
それだけでなく宇宙を生成、制御する重層する流れは確かに感じるところ。
いつどこで繋がるか分からない蟲との邂逅はまさに交通事故であろう。
物語でも同調してそのまま暮らすケースがあるが、同化してしまい人ではないモノになることを決意する場面もある。
ギンコとしては、待っている者がいるところに戻してやることを原則としているようだが。
彼の蟲と同等に人と謂う存在に対する洞察の深さはこの物語の一番の魅力だ。
あの何時も咥えている 蟲煙草(蟲除け)もクール(笑。
民俗学でも謂われる黄昏時(誰そ彼時)はここではしばしば「おおまがどき」として極めて危うい「場所」となる。
影だけで現世(うつしよ)に現れ影を踏むことで入れ替わってしまう。
ギャングの人攫いもあるにせよ、こんな事態も多くの未解決事件のなかにはあるのかも。
ホントにいつどこでどのように繋がるかは分からないのだ。
何がきっかけであろうと。宇宙線であろうとニュートリノであろうと、、、。
しかしギンコの采配のクールな所は、、、
蟲による病を治すのではなく、時にはそのまま維持することもアリだと謂うところ。
ちょっと違うものとしてそのまま生きるという事である。
どんな姿となり目の前から消失してしまおうと、その対象を森羅万象の中に認め想い続けなさいと謂うところ、刺さる。
とても印象的であったのは、第十八話 「雷の袂」で、我が子をどうしても愛せない母親と愛情を求める息子との鬼気迫る葛藤を描いたもの。結局、息子は他所の家で育てられることで幕引きとなる。
ここに蟲も何も無い。だが、ホントにどうにもならない理がある。
息子を愛せない母は、どうやっても愛する事など出来ない。
最近とっても疲れてヘトヘト、、、光酒 (こうき)を是非呑みたい。
光脈を流れる、たいそう美味な酒であり万薬の長とされるそうだ。
呑みたい。
とっても呑みたい。
切ない噺ばかりの蟲師のなかでも「鈴の雫」は特に切なかった、、、
U-Nextにて