2022年02月の記事 - NewOrder
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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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隣の影

Undir trénu001

Undir trénu
2017
アイスランド・デンマーク・ポーランド・ドイツ

ハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソン監督

ステインソウル・フロアル・ステインソウルソン、、、アトリ(妻に家を追い出された男)
エッダ・ビヨルグヴィンズドッテル、、、インガ(アトリの母親)
シグルヅル・シグルヨンソン、、、バルドウィン(アトリの父親)
ソルステイン・バフマン、、、コンラウズ(バルドウィンとインガ夫妻の隣人)
セルマ・ビヨルンズドッテル、、、エイビョルグ(コンラウズの妻)
ラウラ・ヨハナ・ヨンズドッテル、、、アグネス(アトリの妻)


アイスランド語である。
なかなかエキゾチック。
しかし人の考え方、感じ方がとても日本人と似ている。
(いい大人がと思うが、実際こんなものだろう)。
とても近いものを感じた。隣の芝生は羨望の象徴ともなるが、でかい木となると影が暗い陰を落とす。
猫もどこも同じで、独自の時間を生きている。他者である。

Undir trénu002

この噺は、日本でも十分通用してしまう(住宅事情も含め)。
隣の木が原因でうちの庭に陰が出来てしまうから何とかしてくれ。
隣の家同士で、これが発端となりとんだことになってしまう。
途中でインガの可愛がっていた猫が暫く姿を消す。
これが彼女の思い込みが狂気に変貌する流れを作る(事態が加速する)。
そしてついにもとには戻れない決定打として隣の犬の剥製化である。完全にレッドゾーンを超えてしまった。

一度疑心暗鬼となると、ちょっとした変化や事故もすべて隣の住人の仕業~企みとなってゆく。
関係ないことまですべてが隣の引き起こしたことであり、諸悪の根源となる。
他者を見失う。全てが自己幻想~妄想の中に閉じてしまう。
妄想が自動的に増幅するのだ。そして機械的に振り回されるとなれば主体はその肥大した妄想自体に他ならない。
そして惨憺たる事態を引き起こし、完全に修復不可能な状況になったところに、素知らぬ顔で猫が旅から帰ってくる。
これまでの悲惨極まりない滑稽な攻防の幕引きにはぴったりだ、と笑いが込み上げるものだ。
皮肉と言いうには余りに滑稽すぎて、、、。

日光浴に差し支えるから大きな木の剪定を頼むよ、からお互いの家の器物損壊、タイヤのパンク、猫の謎の失踪、そして報復の犬殺し、、、
(猫はもともと謎の生き物であり、アトリが言ったように時折、長旅に出てゆく都合もある)。
果ては実力行使で木を倒したらその警戒に外でテントに寝ていた息子を直撃。
切ったのは隣の旦那だがその木を旦那ごと押し倒したのは息子の父である。
向こうは事故だと主張するが、息子の父は犯行を認めろと詰め寄り、結局殺し合いとなる羽目に(笑。

Undir trénu003

確かに険悪な関係を作ってしまった後で猫が勝手にどこかに出かけていなくなれば、心配で不安が募るだろう。
そしてその不安の解消のため、報復という形で隣にぶつけてしまう。
(このパタンはスケールを変えて様々な局面にも現れる。国家間にも)。
隣の大切に飼っている犬を剥製にして玄関口に置いておくのだ。
挑発というより、もう狂気の世界である。
これは飼い主にとって飛んでもなくショックに違いない。
ここで完全に常軌を逸した、戻ることのできない流れとなる。
(人間的理性などこれ程脆いものか)。


一番の諍いの元を作った頑迷なインガが茶を飲んでいるとき、窓辺の下に猫が優雅な身のこなしで戻ってくるではないか、、、。
息子は重傷で入院しかも離婚が決まり家は崩壊、自分の亭主と隣の亭主は同士討ちで死亡。向こうの奥さんは犬を剥製にされてからショックで寝込み、一番何でもないのは、恐らく元凶ともいえるインガであろうが、、、
ゆったりとしたお茶の時間に何を思うか、、、。

Undir trénu004

間違いなくドギツイブラックコメディであった。
猫には何の関係もない世界である。
(わたしもこんなところにいたら、猫のように暮らしたい)。
邦画にも充分リメイク出来る世界観ではあるが、わざわざ作るものでもあるまい。
これ一本でたくさん(いや似たものを他で観たような気もする)。

わざと何も書かなかったのだが(他はくどく書いておいて)、アトリという息子夫婦の問題を幼い少女も出してこの一件にどう絡めようとしたのか、いまひとつ意図が分からなかった。兄の失踪から母インガの精神状態が思わしくなくなったことは分かるが、その弟夫婦~妻を裏切り離婚を切り出されて悶々とする男の問題はまた異質であろう。
今一つ余計な絡みに思えた。

Undir trénu005


まあ、いずれにせよどこも同じようなもんだな~という認識をグロテスクなかたちでさせる映画であった。
よくできているが二度も見るような作品ではない。





AmazonPrimeにて










ルームロンダリング

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2018年

片桐健滋 監督・脚本
梅本竜矢 脚本

池田エライザ、、、八雲御子
渋川清彦、、、春日公比古 (パンクロッカーの幽霊)
伊藤健太郎、、、虹川亜樹人 (御子のアパートの隣の住人)
光宗薫、、、千夏本悠希 (コスプレOLの幽霊)
オダギリジョー、、、雷土悟郎(御子の叔父)
渡辺えり、、、御子の祖母
つみき みほ、、、御子の母
木下隆行、、、警官(サイコ殺人犯)


事故物件に暫く住み、何事もなくそこを出てゆけば、次からは綺麗な物件として蘇るとは知らなかった。
まさにマネーロンダリングみたいなものね(笑。

room002.jpg

霊が見える体質とのことだが、周波数が合えば大概のものは見えたり感知出来たりするものらしい。
事故物件というからには、自殺したり殺されたりした人なのだろうが、あまり良い体質~周波数には思えないが。
こういう例以外にも自分が死んだことに気づかず、界隈をウロチョロしている霊にせよ、見えるのならさっさと行くべきところにお行きなさいと諭すべきか。メンドクサイものだ。
まともな霊なら見える見えない以前に、この次元に留まってはいないだろう。
ヒロインの御子は絵が好きで、いつか美大に行こうとしている女子である。イラストレーター志望とか。

物質的状態から離れたらまさに桎梏から解かれる思いのままの世界だと思う。
何故、この肉体の過程を踏まなければならぬのかが理解できない。
制限を楽しむ段階なのか。
余りに制限キツイのだけど(笑。
まあこれはこれでよしとして、、、良くないが(爆。

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話は何だっけ。
一族~家族か?皆が霊が見えてしまって鬱陶しいということから家族がバラバラとなり、御子は18のとき引き取ってもらった祖母も亡くなり、天涯孤独の身になってしまう。幸い怪しい稼業で儲けている叔父が彼女の面倒をみることとなるが、バイトとしてルームロンダリングという乙な仕事を請け負うこととなる。借り手の付かない事故物件に一定期間住んでその部屋をクリーンな通常物件に戻す商売だ。オマケに彼女はそこに自縛する霊がしっかり見えて話せる~付き合えるのだ(好き好んで関わる気はないのだが)。
自殺したパンクロッカーはデモテープを彼女にレコード会社へ送ってもらいその曲が認められ、刺されて殺されたコスプレOLは、彼女に似顔絵を描いてもらい犯人を特定でき、二人ともお礼を言って成仏したみたいである。

彼女は霊が見えることで、何か良いことがあったのか、、、。
ともかく人は自分の置かれた環境と能力を最大限に活かして生きてゆくしかない。
彼女は死人との関係を活かして自己実現へと持って行けたのか、生きた彼氏も作ることが出来たのか、、、。
微妙であるが、、、
とても逢いたかった母との再会を果たしたかと思ったらすでに向こうは霊だったという、ほぼ生身も幽霊も彼女にとっては同じ画像であることが、何とも皮肉というか、、、。触れられないだけ。

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しかしパンクロッカーが認められないことで自殺するか?レコード会社にすんなり認められるような音ではすでにパンクではないはず。
死ぬ前に死んでるではないか。というよりすでにこの時期、パンクというものがあったとすればスタイルとして形骸化したもの~おチャラけたポップとして名称だけ残っていたという感じか。
御子に犯人の似顔絵を描いてもらい、凄い!そっくりなどと称賛していた幽霊OLは、絵が上手いことでもてはやされている光宗薫であることが面白い。彼女は女優より、もう何度も個展を開いている画家として有名である。

御子の隣の部屋の住人である虹川は、ひところ轢き逃げで世を騒がせた伊藤健太郎ではないか。わたしは最近はTVの無い部屋にいることが多いため三面記事関係はほぼ何も知らぬが、この頃はお昼のワイドショーなどなんとなく見ていたものだ。
僕は隣の人が声をあげて助けを求めていたのに無視して聞かなかったふりをしてしまいその結果彼女を死なせてしまったのかも、、、もうそんなことがないように隣の人のことをちゃんと知っておきたい、、、とかいったことを話していたが、その後の実生活には生きなかったのね。

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光宗薫女史にはそのうち田中道子さんと共におもいきり絵を描く映画にでも出てもらいたいものだ。それはそれで面白いはず。
池田エライザ女史は監督やったりミュージシャンやったりとこれまた多彩だが、まず監督作を近いうちに観たい。音楽の方もTVで聴いたがギターともどもなかなかのものであった。今後に期待したい。この映画ではやたらと可愛らしい役であったが。



AmazonPrimeにて









イニシエーション・ナイト 血塗られた女子寮

American Horror House001

American Horror House
2012
アメリカ

ダリン・スコット監督

アレッサンドラ・トレサーニ、、、ダリア
キャメロン・ディーン・スチュワート、、、デレク
デイヴ・デイヴィス、、、リットル
モーガンフェアチャイルド、、、ミスマーゴット、ローズマリー(寮主)
サリーナ・デュプレシス、、、サラ
ジャッキータトル、、、コリーン
イザベル・クエバ、、、ミスペナ(ダイオリンの先生)
グラレン・ブライアントバンクス、、、ゲージナルドハモンド探偵


アメリカには、カルト教団めいた組織~共同体がシッカリ存在している。
ある意味、不思議な国だ。
多様な人種による自由な国というイメージがあるかたわら、、、。
(確かに相変わらず人種差別はニュースを騒がせてもいるにせよ)。

とりあえず、青春モノとホラーモノに必要な要素はぎっしり詰まっていて、効率よく展開してゆく。
適度な御色気も嫌みがなく、ドギツイスプラッターもなく、探偵が第三者として微妙な案内役ともなり特に過不足もない。
この辺の手際は良いというか定石どおりにソツなく流れる。
それにしても、基本的な疑問だが、何でこんなに過酷でバカバカしい儀式(イニシエーション)を経てまで「女子社交クラブ」なんてものに入りたがるのか、、、それを謂っちゃあ御しまいだよ、そもそも物語が始まらないってとこだろうけど、この全体主義~協調圧力は滑稽ながら凄いものがある。何で拘るのかそれ自体がわたしにとっては謎である。

大学の学生寮に入ってしまうと、こういう流れに取り込まれるというなら、自宅かアパート借りてそこから通学したいものだ。
そういえば、女子寮には怖い女子リーダーがいて皆戦々恐々としている映画は似たようなのを幾つか観た覚えもある。
この作品もそういう女子グループが幅を利かせ、入会テストと称して新入生に飛んでもないノルマを課す。
それをクリアしようと頑張る新入生であるが、そこに寮に潜む悪霊たちが絡み、無残にも殺されてゆく。
殺すのは彼女たちばかりではなく、その他の学生も皆殺しにしてゆくのだ。
(そこまでやるかとも思うが、ここの寮主は徹底している)。

普通、ヒロインと思しき娘は最後まで生き残って、こちらも安堵感を味わってエンディングとなるところだが、本作では結局、悪霊の親玉の寮主の采配で学生全員が殺されてしまう。
果敢に挑んだヒロインもあえなくやられてしまい、ゾンビみたいな寮主の手下のひとりに最後にはなっていた、、、。
策は無いが結構頑張っていたのに、、、。
寮主の部屋に忍び込み、彼女の秘密のノートまで読んでいるのだから、そこから何か撃退方法など探し出すシーンもあって良い。
いまひとつ物足りない感は拭えないところ。

最後はまた何事もなかったかのように新たな学生が寮に入って来る。
これではエンドレスではないか、という感じで終わるのだが、かえって凡庸に思う。こういうパタンも既視感がたっぷり。
あのヒロインが火事場の馬鹿力からもうひと捻り妙案が浮かび、絶体絶命のところを大逆転の展開があってもよかったはず。
この流れを終わらせてスッキリの方がワンランク上がる作品だと思った。

American Horror House003

キャストは皆地味な感じであったが、この映画には合っていた(皆薄い感じの人々なのだ)。
特にヒロインが度胸のある元気なヤンチャ娘で面白い。



AmazonPrimeにて







美しき生首の禍

The Brain That Wouldnt Die

The Brain That Wouldn't Die
1962
アメリカ

ジョセフ・グリーン監督・脚本
レックス・カールトン原作

ハーヴ・エヴァース 、、、ビル・コートナー(天才外科医)
ヴァージニア・リース 、、、ジャン・コンプトン(恋人、首だけで出演)
レスリー・ダニエルズ 、、、カート(助手の外科医)
アデール・ラモント 、、、ドリス・パウエル
ローラ・メイソン 、、、ドナ・ウィルソン
ブルース・ブライトン 、、、ビルの父、博士


マッドサイエンティストが人体実験の果て、恋人の首に他の身体をくっつけようとして破綻する噺。
画質は大変クリアで良かった。
演出や撮影はしっかりしており、シンプルなディテールでそれらしさと臨場感を出していた。
特に手術のシーンと車の事故に繋がる暴走シーンなど。
分かり易い伏線と展開もよい。

首だけテーブルに乗っているのが、高尾山で観たトリックアートを思い出し笑ってしまった。
大体、自動車事故後、主人公は恋人の首だけ持って何とか帰ってきたが、そんなに奇麗にスパッと首が切れるって、どういう事故なのか。
確率薄い首チョンパである。
実験におあつらえ向き過ぎないか。
(助からない事故に遭った体から首だけ切断というのならまだ分かるのだが)。

彼女は彼女で、頭だけで笑うのは不可能のはず。いや喋るのも無理だ。
不気味過ぎるからやめてくれ(笑。
頭だけで考えるというのも実は難しいはずだが、、、。
あの循環する液体というのがミソなのだろうが。
それでかえって彼女(の頭)は冴えわたってしまうと、、、。
それはそれで面白い。
結局、魂の問題にまで思弁的にもってゆくのかと期待もしたが、単に人体切り貼り(人体移植)にひたすら快感を覚える元婚約者に対する復讐の念に燃えるのみ。

トリックアートだ、と言いたくなる絵でもあるが、それも文脈から言ってそりゃ無理(爆。
マッドサイエンティストが、首だけになった恋人の体にピッタリの女性を物色してゆく過程の光景がまた何とも言えずシュール。
リアリティがあるとは言えないが、無いとも言えない流れで結局、昔酷い目に遭わせた女性に行きつく。
彼女は、現在絵のモデルをしており、恋人の体に使うにはうってつけであった。

変に倫理的で厳格な人(父や首だけの恋人)とマッドサイエンティストの対比を狙っているにせよ、ちょっと理屈がうっとおしい。
もう少しあそこは、さらっと流してもよかったのでは。

首だけになったところで、透視能力みたいなパワーが増し、クローゼットの中に封印された実験で失敗したクリーチャーと交信してしてしまう。ここはなかなか斬新なところ。
自分がマッドサイエンティストのかつての婚約者に他の体をくっつけられることを察し彼女~首は強く拒否し嫌悪感を抱く。
そしてクリーチャーと力を合わせて婚約者でもあったマッドサイエンティストを倒そうと約束する。
鍵を破って出て来たクリーチャーは、わざとらしく惨い姿であった。
研究室はもみ合っているうちに火事になり火が回ってゆく。
クリーチャーは、助手を殺し主人公にも噛みつき深手を負わせ、彼が恋人の体に使おうと手に入れたモデルを助けさらって行く。
ちょっとこの辺の姿はフランケンシュタインを想わせる。

ヒロインはその後、どうなるのか。
何度も「わたしを死なせて」と言っていたからそのまま火に包まれて死んでゆくのか。
クリーチャーと気を失っているモデルはその後、どうしたのか。
噛みつかれて酷い傷を負ったがまだ生きているマッドサイエンティストもそのまま大人しく死ぬタマとも思えない。


続編など念頭にはなかったようだが、作れば出来る余地は残していたと思うが、、、。




AmazonPrimeにて






愛怨峡

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1937年

溝口健二 監督
依田義賢、溝口健二 脚本
川口松太郎 原作

山路ふみ子 、、、村上ふみ
河津清三郎 、、、鈴木芳太郎
清水将夫 、、、 旅館の若主人滝沢謙吉
三桝豊 、、、謙吉の父安造
明晴江 、、、謙吉の母おしん
加藤精一 、、、ふみの伯父村上藤兵衛
田中春男 、、、謙吉の友人広瀬恒夫
野辺かほる 、、、広瀬の妻里子
浦辺粂子 、、、産婆村井ウメ


フィルムの荒れようが凄いため、いつ頃の映画かと思ったが、「祇園の姉妹」の後に作られた映画だという。
あの名作の次の作品と言われれば確かに内容的にはよくできた映画であることは分かるが、余程保管~管理が悪い状態であったのだろう。
場面的に飛んでしまっているところもある。勿体ない。
そういえば、「祇園の姉妹」も一部フィルムが欠損していた。
このような傑作フィルムの管理・保管は文化において大切なことだと思うが。

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引いたロングショットは相変わらずで、特に女性が走ってくるロングショットが好きな監督だ。
ゴダールもそこに着目していた。小津も溝口も彼ならではの身体性~物質的特性がはっきり感じられるものだ。

内容としては、純朴なふみが逞しく強かになってゆくのが、若旦那健吉との対比もあり、面白く痛快であった。
もっとやれと応援したくなる(笑。
溝口作品の例に漏れずヒロインは過酷な試練には遭うが、この作品はちょいと違う。
如何にも世間知らずの依存的なヒロインが経験を積む度に豹変してゆくのだ。

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男気のある爽やかなヤクザ者芳太郎と優柔不断で女々しい謙吉との対比も面白い。
カッコつけるお兄ちゃんと未練がましい若旦那との間にあっては、、、
まあ、こうなってゆくよね、と思う方向へと流れてゆく。
その辺は分かりやすいが、ダレルことなど微塵もなく面白く展開して行く。
何より自分の子供を守るという意志が絶大なパワーを生み出し、女~母は向かうところ敵なしという感じになる(笑。

溝口映画のヒロインが無限に辛酸をなめ暗闇に落ちてゆくよくあるパタンではなく、芳太郎とふみの夫婦漫才でカラッと明るく希望を感じさせる舞台で閉じてゆくところが、らしくなくて、わたしにはとてもホッとさせられるところであった。
こういうエンディングの方が良い。
わたしは断然こっちの方が好きだ(笑。

aiennkyou003.jpg

しかし赤ん坊を生んだばかりの時期から2年くらいは里子に出していた。
これは愛着関係の形成において懸念すべきところ。
少なくとも3歳までは母親の元に置いておきたい。
誰かに食べさせてもらい自身は子育てに専念する。
その後、忙しくて里子にちょっと出しても後に大きな障害は生むまい。

まあ、父は義父となるが、この漫才夫婦なら良い子を育てることは間違いない。
若旦那はふみに対しても実の子に対しても、自己愛の延長でしか接することは出来ないことは確か。
相手のことがホントに思いやれる関係の中でしか健康な人間関係は育まれない。

aiennkyou005.jpg

明るいエンディングの溝口映画であった。
良かった。



Amazonprimeにて













座敷荒らしの件

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今朝、書庫を見て唖然とした。
何と昨日、落下したもの、壊れたものを直して元通りにして置いたはずが、全く同じものが同じように落下しているではないか。
昨日と同じ光景!
SFだ。
と喜ぶ訳にはゆかない。
被害の当事者である。
その余裕はない。

とその時、猛スピードで左前方の棚の陰に身を潜める影あり。
その姿をメモリーから読み出し吟味すると、デカイ鼠に他ならない。
フリーズした。
かつて人類と湿地帯を巡り長い闘争を繰り返してきたライバルではないか。
決着はまだついてないぞと、ゲリラ戦を挑んできたのか。
メンドクサイ奴である。
そういうのは一番、苦手。

わたしはできれば「ぼのぼのくん」に出てくるようなリスだったらいいなと、そう思いたかったのだが、現実はやはりもっとも想像しやすい相手であった。
物音ひとつ立てずに立て籠もっている。連綿と続く、ゲリラ戦術に長けた連中。
その角の奥~漆黒の闇、いやブラックホールに、どれほどの菌と糞が溜まってゆくのだろうか、、、
キツイ。渋い。ちょっと無理。
そこで「すみっコぐらし」を続ける敵に対しどういう対応があるかご近所の娘さんが獣医をされているお宅に連絡すると、、罠にかけるか、毒を食わせる、に限るとご返答(娘さんではなくお父さん)。
そして間髪を入れず奥さんがやってきて毒餌を分けてくださった。
助かる。どうやらこの界隈は太ってでかい鼠がウロチョロしている昨今だそうだ。
きっとどこかの家から追い払われたものがたまたま扉の開いていた間抜けな離れにここぞとばかり乱入してきたのだろう。

ただし奥さんが言われるには、ネズミは頭が良いから、毒餌を警戒して食べないかも知れないと。しかも餌はすぐに効くというより徐々に効いてくるものだと。
う~ん、なるほど。ならば車でホームセンターに駆け付け、罠とやらも購入せねばなるまい、とくる。
業者用超強力捕獲シート10枚入りを購入する。
敵が単体である保証はなく、複数で入ってきていれば、枚数も必要と考えた。
しかもそのシートに上手く乗っかってくれるかどうか、ジャンプ力はどれくらいのものなのだろうか、とか。

貰った毒餌を二か所、超強力ねばねばシートを前日、今日と確実にジャンプの起点にしている場所三か所に置く。
それにわたしは彼(彼女)の潜んでいる場所は知っているのだ。出てくる先に餌とシートを置いておけば、引っかかる確率は大変高いものとなろう。
暫くは持久戦となるはずなので、自分の食べるものをたらふく買ってアパートに帰る。
恐らく窓を開けっぱなしにしたであろう娘に、夜になったら書庫を確認して、掛かっていたら片付けてねと言っておく。
勿論嫌がったが、ママと一緒に協力してやって。そうしないと悪い菌が広がって大変だゾウ~とだけ念を押す。
五分五分というところかな~と、ひとり鰻丼食べつつ映画をみながら思っていると、電話で一匹罠に貼り付いて死んでいるという報告。
それを片付けた後、そのままにして置き、周りの環境と餌と罠に異変が起きないか翌朝また観察することにした。
もし特に変化がなければ、複数匹で入っていなかったこと、対応が早かったことが幸いしたといえるか。
後は念入りの消毒作業となる。

そんなこんなで今日も溝口映画の感想が書けなかった。
まずい。もう忘れかけている。
新たに映画見てしまったしなあ、、、。
明日にでも書かないと、今のわたしでは、無理かも、、、。

今日も、おちびからアップ。やはり字が小さい。目が疲れた。


StrawberryMoon002.jpg






ネット不調

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今日は、断続的に途切れるソフトバンク・エアーのおかげで安定したネット環境が得られず、映画の感想はまたの機会にしたい。
何なんだこのルーター。
ある程度の長さを書くには適さない状況のため(こうしょっちゅう落ちては。以前もあった)。
実家にいる頃は考えられないトラブルである。
ほとんどネット環境自体が無意識であったから。

暫定据え置き「おちび」モバイルから、今日もさらっと一言だけアップ。

実は、書庫に何者かが侵入したらしく、荒らされていたため、警察に通報するか検討中。
今のところもう一件通報を控えている案件もあり(これは極秘重要事項)。

書庫はまるで小動物が中に入って暴れたかのような状態。
上に置いた額関係がみんな床に落下しており、天井からぶら下げていた南洋の音の出るおもちゃ類の紐が千切れていたり、本の上に乗せておいた関係書類やカード類も落下していた。それから本の上に乗せておいたその著者のインタビューVHSビデオも落下している。要するに上にとりあえず乗っかっていたものがことごとく落とされているのだ。
そして長女もやったことのある鋭利な刃物かどうかはさておき書棚の一部を削った跡。

今回、本そのものやパソコン、モニタに被害は認められず、一冊15万のダヴィンチのデッサン本とか、その手の貴重なものはとりあえず無事であり、すべてを確認した分けではないが、取られたものはなさそう。
となると、犯人は爪(前歯)の発達した身軽な小動物か、長女となるか、、、。
しかし長女が破壊ではなくものを落とすだけにとどまるはずはなく、書棚の一番下(低い)の部分の削れと最上部をラウンドして落としてゆく導線の流れ、そして離れた次の棚に飛び移るためにちょうど良い位置にぶら下がった南洋のおもちゃの引き千切れた跡。
これを考えれば、子猫かリスみたいな輩かと。

ただ不思議なのは、わたしがカギをかけて出た後、今日わたしが入るまでカギがかかっていたこと。
では、いつの間に、、、。
先日、カギをかけておいたはずなのに網戸もドアも開いていたことがあった。
家の者には、その件を確認したが誰もそれについて知らないという。
開いていた隙間がちょうど猫の通れるくらいであった。
だが、何故カギが開いていたのか、、、まずそこが問題だ。

問題はそこであり、カギのかかった中で行われたことであれば下手人は何らかの理由で開いていたタイミングに入り込み、書庫内に潜んでいたということになる。
今日半日その中にいたが、屋根裏のキャンバス置き場も電気を点けて覗き、聞き耳を立てていたが、まったく気配がない。
夜行性ということも考えられるが、そうであればその道の専門家に頼むことになるかも。
ともかく、何なんだという一日であった。

誰かが一度カギを開けたことは確か。
(追求すべきはそこなのだが)。


明日はネット環境も修正~修復しないと。


sun009.jpg





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当分の間は机上で

sun005.jpg

早速この小さな2in1パソコンでブログのお試しアップを行ってみる。
(今日のアップはあくまでも新しい「おちび」の使い勝手を測る目的)。
やはり文字が小さ過ぎて、コンピュータ名の変更の際、スペルを間違ってしまったのに気づかなかった。
解像度は1280*800である。
(まあそこは、Zoomを110%にするだけでも結構違ってくるもの。目が楽になる)。
まず作業前に鰻重を食べてやる気を盛り上げた。
ドーピングみたいに(笑。

USB3.0 (Type-C×1)、USB2.0 (micro-B×1)のため、アダプターを買って有線マウスをまずつけて基本的なユーティリティとアプリケーションを入れる作業だけは手っ取り早く行うことにした。せめて片方だけでもノーマルコネクタにして欲しかった。もうUSB がレゴみたいに連結して不細工に長くなってみっともない。これはBluetoothだなやっぱり。
しかし、うっかり64GBしかないことを忘れていた。
普通2TBあれば自分にとっての基本ソフトを入れることに何の制限意識も生じない。ところが、これはしっかり意識して入れないとえらいこっちゃということになる。

基本ユーティリティを入れたところまではよかったが、無料オフィスであるLibreOffice 7.3を入れた後、何も考えず画像処理のgimp-2.10.30を入れてしまった。これが容量を圧迫した。
このパソコンで使うソフトでもない。しかし使うときは使う。音楽ソフトは、完全にあきらめたものだが(外出先で閃くこともあるがさすがにスペックが無理)。
画像処理~補正はちょっとした局面でよくやる。やはりこのまま残そう。
目下、13.5GB空き。
アプリの作業スペースはとりあえず確保されてはいる。
後は、定期的にクリーンアップとデフラグをしていくこと。
不要ファイルは埃みたいに溜まるし、断片化は処理速度が落ちる(これは馬鹿にならない)。

ダウンロードなどして取り込んだデータは全てmicroSD128GBに流してしまう。
キチキチの運営となること必定。
今後システム側の記憶域には極力何も入れないようにしないと。

それで外に持ってゆくときは、観ないが机上にあるところで、映画をひとつこれで観てみた。
結構見れるものだ。
ものすごく古い溝口映画である。画面が上下に揺れるには笑ってしまった。
ずっと所在不明だったフィルムが見つかったとのこと、、、(いつ頃のことだ)。
映画研究家なら飛びつくところだろうが、わたしにとっては、ふ~んというもの。
かなり見難いが想像で補填しながら充分観られる。
明日はその感想にしたい。
それからマウスの件を片付けること。


では、今日はこの辺で、、、。
おやすみなさい。

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結局、お子様用スタディパソコン買う

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迷ったが、手軽に持ち運べるパソコン(ノートでもタブレットでも使えるもの)が欲しくて手に入れた。
12時間バッテリーが持つというのも大きい。
今日19時30分過ぎに実家に届き、アパートから取りに行き、戻ってきて設定。
マウスが無いため一苦労。10.1inchは流石に見ると小さい。つまり表示が細かい。
ノングレアでないが観にくいことはなかったが。扱いにくかった。
スタイラスペンが別売であったことに気づき、タッチパッドとタッチパネルで何とか済ませたが、明日やはりマウスを買うつもり。

わたしは、マウスがないとダメ。
調子がそもそも出ないのだ(笑。
USBが、USB3.0 (Type-C×1)、USB2.0 (micro-B×1)であり、手持ちのモノではそのまま挿せない。
Bluetoothで繋ぐかも検討したい。USB無線タイプのマウスはこの端子の少なさからは選択肢には入らない。

無線LANは問題ない。外で繋ぐときは、アップの際に瞬時にiPhoneを使ってテザリングで行くつもり。
(まだ外で取材して書くには寒すぎるが、、、近いうちには)。
兎も角、持ち運びたいので買ったのだが、思いのほか重い(笑。
妙に重いのだ。モニタ部とキーボード本体部の繋目の柔らかな構造がとても微妙で、持つにはコツ~慣れが必要に感じるところが影響するか。

色々と軽い部品を使っているはずだが、アップルみたいな総アルミとかの高級品でないため、その辺は仕方ない。
システムはeMMCに入っており、SSDより小さく消費電力も抑えられるが、さして重さには関係ない。小ぶりなストレージで小さなパソコンには向いているが、ただSSDに比べると速度はやや劣る。HDDよりは速いが。
容量は64GBがよいところか(値段を考えるとこれが限界であろう。eMMCは単位容量価格は高い)。
microSDメモリーカードリーダーに最もこなれた価格帯の128GBを挿したままにして使うつもり(最近のSDメモリーは128がもっともコスパは良いと感じる)。保管データは全てそちらに流す。システム直下には、しょっちゅう更新するデータと頻繁に確認するモノ、じっくり時間をかけて作るデータを置いておく。まあ、3Dをやるわけではないので、皆軽めのデータになるが。ただデータ格納部の着脱が容易なので、他の端末にコピーするときなどネットを介さずにできるところは安全でもあり手軽である。落としたらそれこそ危険だが(探しても小さくて見つからないとか)。

CPUがセレロン(N4000)であれば安心。こういうパソコンに高スペックは無駄。バランスが大事(セレロンでも軽めの仕事やWeb閲覧など複数ブラウズしてもサクサク行くし、ストレスなど感じない)。
電力消費が高く放熱も凄いCorei シリーズはいらない。しかしAtomプロセッサーは困る。省エネでも非力すぎて実際、使い物にはならない。
OSがWinのProなのは、これが学習パソコンとして構成されているからだろう。
つまり生徒分数十台繋いでサーバーでドメイン管理するには、やはりプロである。
Homeでは一斉管理には向かない。
そうそう、情報の暗号化もOSの機能にある。個人情報管理に良い。つまり別途にそのソフトを導入する必要がなくなる。
更にリモートデスクトップが使える。やはり学習パソコンだから、それがあるとないでは、教える上での利便性が変わる。
これは、別に学習とかを考えなくとも、使い道があるかも知れない。とても便利な機能だし。これも機能として加えるとなると専用ソフトの導入が必要となる。

懐も深く、コスパが良いのだ。ふにゃとした部分に慣れれば問題ない。
兎も角、マウスがないとダメなひとなので、明日マウスを導入してからバリバリあちこちに移動して使い倒したい。
mouse E10というモノ。

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全く乗れない映画

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どうにも乗って行けない映画にぶつかることはよくある。

今日見たものもそれにあたり、もうお手上げ状態。
分類上はダークファンタジーアニメとなるのか。
だとすれば、わたしにとっては、結構面白いものになるはずだが、、、
全然ならなかった。

エクソシストのアニメなのだが、街を襲う~破壊する怪獣のような悪魔を祓う流れと並行して、人の記憶を食べる悪魔の動きが重なる。
何でこれをひとつのドラマに入れ込むのか、ずっと意味が分からないままとりあえず観ていったが、最後はあんぐり、である。
記憶を(多くの人から一度に)食べる悪魔が、時空~場そのものを食べてしまうというくだりには、もういい加減にしてくれ、と言いたくなった。
登場人物のキャラにも全く馴染めないし思いも行動にも不快感を覚えるし。

そして上級のエクソシストがこれ見よがしに、古い結界を解き新たな結界を張るのだが、それがどうなったのか、さっぱり分からない。その腕利きエクソシストの出番と活躍がさっぱり見えない。
勉強中のエクソシストは仕事の取り決めなど無視して身勝手なことをして、その結果街にかなりの損害を与え取り逃がした悪魔はずっと潜伏して問題を起こし続けているのに、当人たちは全く悪びれた様子もない。

そして何とかその悪魔を倒したと思ったら訳の分からぬ「コールタール」が押し寄せてきて主人公たちは絶体絶命となる。
そこへ仲良くなった記憶を食べる子供の悪魔がやってきて時空を食べて街を救うと来た。
エクソシストと悪魔の友情によって救われる、みたいな。
もう何なの?という感じ。

荒唐無稽なファンタジーでは済まない気色悪さが残る。
へんてこりんなアニメであった。
祭りの光景が全編に続くなか、悪魔がドンドン現れ、建造物がたくさん倒壊する、、、
普通、祭りどころではなく、人は皆避難するのでは。
エクソシストの動きも、一体なにをやっているんだか、、、。

兎も角、物語の枠内での物理的信憑性は肝心なところである。
あまりに設定に無理があると入って行けない。
そのうえで、よい記憶も悪い記憶も大事なんだ、とかお前のことは絶対忘れない、とか言われても何なんだかね~。
そもそも時空を喰らうといなくなってしまうのか。

何だかつんのめってしまった作品であった。
「青の祓魔師劇場版」というもの。
こういうものは、御免だ。

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ジャンクヘッド

JUNK HEAD001

JUNK HEAD
2017


堀貴秀 監督・原案・脚本・キャラクターデザイン・衣装・撮影・照明・編集・音楽
近藤芳樹 音楽


ストップモーションアニメである。約14万コマのショット数による見事なSF作品になっていた。
堀貴秀監督がたった一人で作り上げた作品。
製作に7年かかったという。
デルトロ監督が激賞というがよく分かる。
3部作の1作目というから、続編もかなり待たないと。必ず観るが。

JUNK HEAD002

構想を練り脚本を書くだけでもかなりの労力であろうが、それをもとに実際のキャラや環境の製作と撮影とくれば気の遠くなるような作業になろう。
独特の世界観が説得力を持って展開されるが、その重量は相当なもの。
しかも大変精緻に作られており、ライティングやカメラにも工夫が凝らされている。
ことばも如何にも他の生物という感じの新たな造語を喋っているが次第に耳慣れて来る(笑。
(ちょっと韓国語に近いか)。
熱量が何と言っても凄い。
もう眩暈がする。

JUNK HEAD003

舞台は地下世界である。
地上は環境破壊が進み人類は地下開発のためマリガンという人工生物を作るが、彼らは自我を持つに至り、反旗を翻す。
お互いに不可侵の協定を結び1600年の時が経った。
人類はその間、遺伝子操作により不死の命を手に入れる。しかしそれと引き換えに生殖能力を失う。
環境汚染は益々酷くなり、更に謎のウイルスのパンデミックもあり人類存亡の危機を迎えた。
そこで、長らく交信の途絶えていたマリガンの世界を人類の滅亡をとめるために調査することになった。
一人のダンス講師が選ばれ派遣される。何で調査団ではなく、一人だけで、しかも彼が何故選ばれたのかは不思議。
かなり傲慢な奴である。

JUNK HEAD004

地下世界の荒涼として混沌とした光景は何とも言えない。
そこには珍妙で獰猛な動物と知性を持つ様々な個性のマリガンの社会があった。
長い迷路のような地下道の壁には至る所に穴があり、獰猛で不気味な虫が這い出てくる。
作者の地下イメージにだんだんこちらも染まってゆく。
そう嵌る世界だ。
またマリガンという連中が、人から離れて独自進化してきたとは言え、実に人間味のある連中だったりする(良くも悪くも)。

JUNK HEAD007

マリガンや彼らによって改造された主人公、各種のクリーチャーたちの造形はユーモラスで可愛げがあり面白い。
獰猛な連中はひたすらタフに襲って来るばかりだが、完全に弱肉強食の世界だ。
しかしこんな恐ろしいクリーチャーがいてよくマリガンたちは平和に生き延びてきたものだ。
地下世界も、かなり危ない場所ではないか。
実際、不死身の主人公も何度となく殺されかかる。
(寿命が長くてもウイルスや事故による死はあるものだ)。

JUNK HEAD006

主人公は事故や襲われて解体すると頭だけ拾われ、屑でとりあえず作られた身体になって様々な地下世界を横切る。
だが上の世界から降りて来たということで、遠い昔自分たちを創造した神であるとマリガンたちに崇められたりもする。
恐ろしく獰猛なクリーチャーに対しモグラのような戦士と共闘するあたりは大変スリルもあり見応えあるバトルシーンとなっていた。
この辺でもう主人公は当初の人間像から随分変わり、友を守り労ろうという意識が高まっている。
目的の生殖能力に関わる木の存在の情報を得るがここからは随分遠い。
そこに行くための冒険の形で物語が進んでゆくことが分かる。
これは当人自身にとって良い冒険となってゆくことは言うまでもない。

JUNK HEAD005

彼は何度も死にそうなところを救ってもらったりしながら、生きる実感と他者への感謝・共感の念を覚えてゆく。
そして彼に特別好意を寄せ、旅について来るという謎の少女とその用心棒のクリーチャーが、どうやら続編では深く絡んでくるようだ。
3人旅でまた波乱に満ちた冒険となるのか。
ともかく、これは面白い。
だが、大変な製作を待たねばならない。
期待したい。

JUNK HEAD008

ホントにデルトロ監督が泣いて喜びそうな映画である。
よく分かる。
BGMがちょと素人ぽくて可愛いかった(笑。
しかしこの異様なパワーは何処から湧いてくるものなのか、、、好きだからこそなんだろうけど、、、



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映画もしんどいが

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いまいち映画に滑っても疲れるが、よく出来たこってりした力作を観ても疲れるヽ( ´_`)丿。
コソボでもあんなに映画らしい映画をきっちり撮っている人々がいるのだ、と思うとその監督や演者の熱量に圧倒されるのだ。
よく、映画を観て励まされたとか元気をもらったとか癒されたなどという声を聴くが、わたしは疲れる。
そのパワーに同調しきれず、、、いや時には共振し過ぎてオーバーフローしてしまう。

ここで、いつも感想(更に連想や関係ない事まで)を書いているが、実はもうヘロヘロ状態である。
映画を観終わったところで、ビールでも飲んで直ぐに眠りたいところだ。
今はもうすでに飲みながらキーを打っているが(酔。

疲れるのは毎日、何かしらの野暮用があることも原因。
一日の三分の二はアパートの方に来ているのだが、そこの備え付け備品が丁度わたしが入居した時点で壊れだした。
入ってすぐにIHヒーター。その後、トイレのドアノブ、今度は洗濯機である。
そろそろエアコンも危なそうな気もしてくる(笑。
持ち込みのちょっと古い電子レンジ(新しいのを買ったのでしまっておいたもの)も何か怪しげになって来た(怖。
明日は、業者が洗濯機を入れ替えてくれる日。ほぼ半日はそれで潰れる。

こちらに中途半端に住むにあたり、何一つ新たに買わないという縛りでこれまでやった来たのだが。
まあ、ほぼ日中は実家にいるので不自由はしないにせよ、アパートには一切家具はなく、全て車のトランクや押し入れに入れておいたキャンプセットと折り畳み簡易テーブル、チェストの類だ。
すると一番困るのは備蓄関係の紙類・洗剤類・水類・非常食類・レトルト食品類の置き場である。
棚がほとんどなく、引っ掛ける穴も開けられない。
だが、ロフトのデッドスペースにこれを充てるととても合理的に思えた。
今はそれらのモノがズラッと横並びしていて管理もし易い。
(キッチン周りの小物・必需品の収納が如何ともし難い。そこが目下課題である)。

O君が、借りるならせめて天井が高いところにしな、とアドバイスをくれたのだが、その通りの中2階でやたら天井は高い。
お陰で自分で照明が取り付けられず業者を呼んで付けてもらった。
このちょっと人に遭ったり、待ったりする時間が、間の抜けた映画みたいで、疲れる。
もっとワクワクしなければ。天井の高さを生かさないと、、、いまのところ何も浮かばない。

最近、10インチのセレロンでOSがChromeではなくWin10のキーボード着脱可のノートにもタブレット(タッチパネル)にもなる12時間バッテリーの持つ2万で買えるパソコンを見つけた。かなり堅牢なもので落下テストで75センチくらいなら大丈夫とのこと。
Win10のプロなので、何かと便利。ネットワークにしても必要なアプリが入れられる点でも使い勝手は良い。
外で書いても、帰ってネットに繋ぎアップするだけで完結する。持ち運び用取っ手もついている(笑。子供学習用でもあるからか。
どうしようかな~。
ちょっとワクワクしてきたところで寝よう。
おやすみなさい(。-_-。)

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本当の目的

Three Days in September001

Three Days in September
2015

マケドニア、コソボ

ダリヤン・ペヨフスキ監督
アレクサンダー・ペヨフスキー音楽

イレーナ・リスティック、、、ヤナ/クリスティン(元医大生)
カムカ・トシノフスキー、、、マリカ(売春婦)
アデム・カラガ、、、ガンツ(警官、ヤナ/クリスティンの幼馴染)
サラエチン・ビラル、、、雑貨店主(ガンツの父)
ミリカ・ストヤノバ、、、アンカ(90歳の老婆)


マケドニア、コソボの映画は初めて観た。暗く寒々とした北欧の映画の雰囲気がした。
「本当の目的」ってなんだこりゃ。
まさに”Three Days in September”であった。これ以外の題などあり得ない。
シンプルで静謐で精緻な物語。妙な時間交錯~回想などが入らない奇麗な空間で展開された。
ストリングスBGMが内省的な雰囲気を的確に演出していた。

Three Days in September004

ヤナは父がかつて精力的に開発を推し進めていたが頓挫して結局荒れ果ててしまった故郷の町に還って来る。
今は数十人しか人が残っておらず、老婆ひとり以外は皆男という特異な空間なのだ。
廃墟となったリゾートホテルの相続者は娘であるヤナとクリスティンの双子の姉妹であった。
ヤナと列車の同室で出逢ったマリカは行く当てがなく、ヤナの家に転げ込む。
彼女は街で役人と揉み合いになり、殺されそうなところを咄嗟にナイフで相手を刺し逃亡中であった。

Three Days in September002

ヤナとマリカは少し打ち解けて来たが、直ぐに新聞でヤナが売春婦で客の役人を殺害して逃亡中であることが分かってしまう。
ヤナが帰ってきたことを知り警官で幼馴染のガンツが家にやってきて、リゾートホテルを自分の知り合いに売るように持ち掛ける。
マリカはヤナと彼女の父の事業のことなどを話しながら湖に行った帰りに豪雨に遭い、逸れてしまう。
やみくもに飛び込んだ家がたった一人の老婆アンカの家で、彼女からヤナ姉妹の秘密を知ることとなる。

ヤナは実は姉のクリスティンであり、昏睡状態が数十年続いたヤナの生命維持装置を外し、亡くなったことで故郷に帰って来たのだが、その目的は死んだヤナを名乗り彼女を死なせ父ヨセフも絶望死させた張本人で、警官になり彼女の財産をも奪おうと画策しいるガンツに復讐するためであった。

クリスティンもマリカが正当防衛であることを認識している。
クリスティンとマリカはお互いを深く理解し合う。

ガンツは彼女がマリカを匿った件をネタに、それに目をつぶる交換条件として強引に廃ホテルの売買契約をしその金を要求した。
マリカはクリスティンの車でそこを離れ、ガンツの思惑通り契約成立というところまで来る。

Three Days in September003

ガンツがクリスティンに受け取った金を要求したとき、背後から国境を越えて逃げたはずのマリカが彼に銃を向ける。
ふたりの計略であった。
クリスティンが少女時代にガンツに受けた暴行とそれを恐れて逃げて転落し長い昏睡状態の末亡くなった妹、それを嘆き自殺した父ヨセフの仇をこれから討つことを彼に告げる。
「さあ、飛ぶのよ」である。「ジャンプ」は向こうでは悉く負~不吉の意味である(曲にしても)。
ホテルの端の断崖になったところへ、銃で撃って転落させ、まだ唸っているためマリカがとどめを刺す。

その後マリカを追ってきた警察には、彼女は車と金を盗んで何処かに逃げたとだけ伝える。

Three Days in September005

たたまたま二人が似ていたこともあり、マリカが髪をショートにしてキリっとした眼鏡をかけるとパスポート写真のクリスティンそっくりとなり、国外に無事脱出できる。
これはよいのだが、クリスティン本人のパスポートがなくなり、彼女はこの先、どうするのか。
マリカより心配になる。彼女もこの田舎町にずっといるわけにもゆくまい。国内も同様。

ともかく映画として実によく出来ている。
変な効果とか狙わず、着実な演出と実力ある女優の演技でしっかり世界を成立させていた。

どっぷり入り込んでしまい、ふたりのこの先がちょっと気がかりであるのだが、、、。



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THE GUILTY /ギルティ

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THEGUILTY   Den skyldige
2018
デンマーク

グスタフ・モーラー監督
グスタフ・モーラー 、エミール・ナイガード・アルベルトセン脚本
カール・コールマン 、カスパー・ヘッセラーガー音楽


ヤコブ・セーダーグレン、、、アスガー・ホルム(刑事、緊急通報指令室のオペレーター)
イェシカ・ディナウエ、、、イーベン・オスタゴー(精神を病む女性)の声
ヨハン・オルセン、、、ミケル・ベルグ(イーベンの元夫)の声
カティンカ・エヴァース=ヤーンセン、、、マチルデ・オスタゴー(イーベンとミケルの娘、6歳9カ月)の声
オマール・シャガウィー、、、ルシード(アスガーの元相棒刑事)の声


真っ暗な画面で電話の呼び出し音が鳴り響くところから始まり最後まで息もつかせず持ってゆく凄い緊張感の映画である。
大変、共感できる噺の内容であり、リアリティも言うことなし。
薄暗い緊急通報指令室から電話によるやり取りのみ。
話の合間の「間」の緊迫~アスガーの固有時に同期してゆく。

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現役の捜査から外れて今は緊急通報指令室のオペレーターを務めるアスガー・ホルム。
どこか投げやりで皮肉交じりの仕事ぶりが見受けられる。
彼は明日の裁判を控えている。過去の捜査での問題を抱えていることは分かる。
かつての相棒刑事が証言に立ち、その結果で現役復帰も望めるところのようだ。
そこに刑事の直観と経験から見逃せない通報が入って来る、、、。

物語は主人公もこちらも電話の音声のみという覚束ない情報を頼りに推理してゆかなくてはならない。
(電話からその所有者と身元情報、更に携帯なら基地局周辺情報はパソコンモニタに表示はされる)。
完全にリアルタイムで、誰も超越的な視座を持ちえないところが、大変な臨場感と緊張を強いる。
妙な煽りのBGMなども一切入らない。音~声が頼りの映画なのだ。それが入れば邪魔になるだけである。

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電話の気配から女性が元夫に誘拐~拉致されたことが推測できた。
彼女イーベンの自宅に電話をかけると、怯えて母の安否を心配する6歳9カ月の娘が出て精いっぱい状況を語ってくれる。
この時、母を連れだした元夫はナイフを持っていたという。
アスガーは彼女をなだめ、電話を受けるだけの立場を超えて自主的に捜査を始めてしまう。
(事件に関する彼の推察なども北シェラン指令室に伝えようとしたが、無視されそっけなくあしらわれてしまったせいもある)。

それからは、彼女の携帯から場所を探り、娘と話すふりをさせながら車の種類や状況を探り、逐次指令室に情報を入れてゆく。
その傍ら元相棒に電話を入れ、元夫のミケルの家宅捜査を依頼する。これは明らかに彼の職務を超えた行為であった。
明日かつての事件の証言をする相棒ルシードは渋々承諾する。
娘に連絡し一部始終を推察したところから、彼は自分の事件として母を必ず娘のところに帰す約束を果たすことにした。

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イーベンとの断続的なやり取りで車のナンバーの特定や隙を見て逃げ出す方法などをその時に応じて伝え等するが、これらの過程で、(こちらも)粗暴な元夫による妻の無謀な誘拐事件という図式~物語で完全に解釈してしまう。
後は如何に最悪の事態を引き起こす前にミケルを押さえ、イーベンを無事に救出するかの流れを追う気持ちになる。
だが、そこまでには引っかかることもある。幼い娘がパパの協力もあり彼の携帯番号をしっかり記憶していたことなど、、、。

アスガーが保護依頼した警官がマチルデが待つ自宅に到着し、驚愕する。
弟のオリバーが切り刻まれた死体でベッドにいたのだ。マチルデも血まみれになっていたのは、アスガーが促して弟と一緒にいれば心細くないという勧めに従った結果であった。彼女は父が入るなと言った部屋で見てしまったのだ。
ここで、アスガーは(こちらも)父が赤ん坊である息子を殺害しナイフ片手に母を連れ出したものと断定してしまう。
車内で暴れる彼女をトランク?に押し込み運転していたが停めて開けた瞬間にレンガで殴るような支持も出していた。
そして繋がったミケルに対し完全な犯罪者呼ばわりで、直ぐに彼女を放すように警告もする。

アスガーが不安で興奮するイーベンを落ち着かせようと日常の何気ない会話に誘うと、、、
水族館が好きでよく3人で出かけ、「大きな青い沈黙」に惹かれるという彼女に潜む狂気に触れてゆく。
丁度相棒がミケルの自宅から精神病院の書類を見つける。
モニタにはミケルがその精神病院に向かっていることが分かる。
彼女は気心が知れたアスガーにオリバーのお腹にいる蛇を取り出し泣き止ませたということを打ち明けた。

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事態は急展開する。
オリバーを殺したのは母イーベンであり、ミケルは以前彼女が入院していた病院に何とか運び込もうと苦慮していたのであった。
幼い娘にその状況など掴みようがない。しかし何かあったときのために父は自分の携帯番号をしっかり暗記させていたのだ。
既に彼女はミケルにレンガで殴りつけ逃げた後であったが、何故直ぐに通報しなかったのかと問うアスガーに本心を語る。
「今まで誰に助けを求めても無駄だった。医者も弁護士も自治体も何もしてくれない。オリバーの姿を見て俺が全ての片をつけるしかないと悟った」と。訪問権を失った暴行事件もきっとその関係性の中で生じた事態であっただろう。ある意味、アスガーもこの事件の片を自分でつけるしかないと感じていたのだ。
彼も、悪事を犯した若者を射殺した件の裁判に出廷する身であった。アスガーは元相棒刑事に嘘はつかないでくれと告げる。
自分は射殺する理由のない若者を殺したことを認める。
アスガーはイーベンが無事保護されたことに安堵し、もうとっくに交代時間を過ぎた暗い部屋を独り去ってゆく。


わたしが最も共感した人物がミケルである。



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映画がしんどい

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ここのところ、見る映画どれも実にしんどい( ̄^ ̄)ゞ。
連続で、ちょっとナニコレなのだ。
今日は半分まで観て、疲れて続きは明日にした。
今見掛けた作品は、出来はとても良いのだが、こってりし過ぎてやはり疲れる。
デンマーク映画だ。緊張の続くクライムもの。

SFの出来の良い映画が一番、好みですっきりするのだが、、、。
ラブコメディとクライムサスペンスものは、どうにも苦手。
そうそう以前は、ホラーが一番ダメだったが、最近見慣れて来たせいか、免疫ができた(笑。
(但し、内容でなく、音で脅かすのはやめてほしい。ただもうビックリするから)。

別に好きでもない「映画」を観る必要などどこにもないのだが、では観なければ何をやるかというと、特にない。
いや、絵があるはず。
だが、ここずっと手につかないのだ。
以前は絵を描いたり、パソコンで音作りや3Dを作ったり、詩を書いたりの充実した?日々を送っていたころもあったが、、、。

歳もあってか、大量に物事に取り組めなくなってきている。
同時並行処理は昔は結構得意であったが、今それをやるとすこぶる効率が低下する。
つまり、やる意味がない。
遅くなるだけならまだしも、間違ったらその修正・修復で余計面倒になる。

朝から晩までがやけに早いのだ(爆。
ボケ老人の境地ではないか、、、大丈夫か。
しかし、今日も感じたが、夜の更けるのが早い。
意識はゆっくり流れているのだが、外界は途切れ途切れにジャンプしている。

気持ちに、しなやかさもなくなって硬直しているような。
後で気づく事柄が多い。
これには、ちょっと困る。
久しぶりにビール呑んで寝ることにした。


ということで、おやすみなさい(・Д・)ノ。



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明日の映画は「THE GUILTY ギルティ」を。








The 4th Kind フォース・カインド

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The Fourth Kind
2009
アメリカ

オラトゥンデ・オスンサンミ監督・脚本
ドクター・アビゲイル・タイラー 、オラントゥンデ・オスサンミ 、テリー・ロビンス原作

ミラ・ジョヴォヴィッチ、、、アビゲイル(アビー)・タイラー博士(精神科医)
ウィル・パットン、、、オーガスト保安官
イライアス・コティーズ、、、エイブル・キャンポス博士(精神科医)
ハキーム・ケイ=カジーム、、、アウォロワ・オデュサミ博士(シュメール語の権威)
ミア・マッケンナ=ブルース、、、アシュリー・タイラー(タイラー博士の娘)
ラファエル・コールマン、、、ロニー・タイラー(タイラー博士の息子)


「第4次接近遭遇」だと。アブダクションのことか。アラスカ州ノームで起きた事件のモキュメント映画。
ミラ・ジョヴォヴィッチの主演作にしては、すんごい地味かな~。
アビゲイル・タイラー博士の実際の体験と研究をもとに実名だけ変えて再現された噺。という設定。
(アビゲイル・タイラー博士役の人~本人?がとってもオカルト映画向きの風貌の方)。
UFOに拉致され記憶を消され、その記憶の断片を催眠療法で表に出し、不眠と不安と恐怖から解放されよう、とするのだが、、、。
実際のカウンセリングや警察の監視用に撮られたビデオが大げさなノイズが入って不鮮明な画像のため訳が分からなく、それでリアルさ臨場感を出そうとするも、今ひとつ、、、。シュメール語で何やら当たり障りのない脅しをかける宇宙人(こういう時にここぞとばかりに使われる鉄板のシュメール語、、、古代宇宙人とか)。

実際の博士たちがインタビューや実録カウンセリングビデオで出て来るが、皆役者に見えるんだけど。
最後の「信じるか信じないかはあなた次第」で、全て終わった(笑。これ言っちゃおしまいだよ。もう、だっさ(笑。

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街の誘拐された人たちの不眠と不安は収まらない。混乱は増すばかり。
フクロウが寝ているときに自分を見つめているのだが、それは実はフクロウではなかった。では、それは何なのか。
何人もの患者が、決まってフクロウを入眠時に見ており、記憶を探るうちにそれはフクロウではないことが分かる。
「はなしたくないけど、はなさないと。」
「うめこまれたみたいで、まともにかんがえられないけど、あたまのそとにださないとならない。」
アブダクションに遭った人たちは記憶を消されているが、不安と恐怖から脱するため、進んでタイラー博士の催眠術にかかり、深層の記憶を掬い上げて解放されようとする。このいたたまれない気持ちはとても分かる。きっとそう思うはず。

しかしその後、ことごとくその人たちは自殺や心中をしたり、重傷を負って半身不随になったり、破滅してゆく。
(すでに失踪事件も多数発生しているのだ)。
そしてそこに常に関わって来たタイラー博士自身が疑われる。
(確かにこの人がマッドサイエンティストだったら、これほど怖いことはない)。
更に彼女の娘も宇宙人に拉致されてしまう。
この宇宙人は一体、何をしたいのか。フクロウみたいでフクロウではない勿体ぶった連中だ。かなり悪質。
もしタイラー博士が仕組んだものであれば(催眠誘導)、ヒッチコックの世界だ。これはこれで凄いが。

The Fourth Kind001

作品からは離れるが、、、
オープンコンタクトは、われわれのこころに恐怖と不安のあるうちは、無理みたいだ。
何処の国の政府もそれらに関する情報は伏せている(らしい)。
混乱を引き起こすことが分かっているため、まだまだ情報公開出来る段階ではないと。
われわれの精神の成長次第であるということになろう。
だとすれば、無理かも。ずっと。

ちなみに本作のようなおどろおどろしいものではなく、もっとスマートに清々しく行われるアブダクションは結構あるそうだ。
そういう情報源を持つ人たちはいる。
まともなひとで。勿論(笑。
目的は人類のDNA採取らいい。
それを自分たちの生命維持に有効利用するのだと、、、
ふ~ん、といったところだが、そう遠からず、全容が解明されるものであろう。
負の意味のショッキングなニュースにはならないと思う。

The Fourth Kind004

最後も何やら歯切れはよくない。
UFO目撃談などがずっと続く。
珍しくも何ともない。

ミラ・ジョヴォヴィッチが勿体ない。




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フロンティア

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Frontier
2017
ロシア

ドミトリー・チューリン 監督
アレクサンドル・シェフツォフ 脚本

クリスティーナ・ブロスカヤ、、、エリザヴェータ(考古学者)
パベル・プリルチニー、、、ミハイル・ショーロフ
アレクサンドル・コルシュノフ、、、ニコライ・シューロフ(ミハイルの父)
セミオン・トレスクノフ、、、アレクセイ・シューロフ(ニコライの父)
エレナ・リャドワ


タイムスリップなどという間違った言葉~概念は使いたくないが、適当な言葉がまだない。
まあ、並行宇宙のひとつにスリップしたというところか。
その場所にあったモノにここで触れることをきっかけに、その宇宙の竜巻が現れ、そこに移動している。
だが、そこでは幻(幽霊)のような実態のない(認知されない)存在として行ったり来たりである。
ところが、何かのきっかけで(恐らくは命を失いかける)ようなときに、そこにいる存在と繋がることが出来るらしい。
ミハイルにしか見えない異世界接続の竜巻表現はなかなかのモノであった。
ロシア映画のVFX水準はどの映画をとっても大変高いものだ。この映画も例に漏れない。
ただし、こうしたイメージ表現はよいのだが、「情報」を如何にして得るのかがカギとなる映画でもあり、その得方がうやむやな感じで、肝心なところでしっくりこない。

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ミハイル・ショーロフは仕事は何なのか、戦時中たくさんの兵が亡くなりその身元確認も済んでいない土地を、強引に都市開発して儲けようと企む起業家の手先みたいなことをしている。
そんなおり、見つかった防空壕の調査を行うべきだと、工事の抗議運動する男女に出逢う。

そしてミハイルは考古学者の女性に案内され防空壕に入るとそこには、ロシア兵がドイツ軍に追い詰められ自殺を図った凄惨な状況ががありありと広がっていた。
その師団を率いていたのがアレクセイ・ショーロフという人物であることが分かる。
(この時、何故か彼女は、たまたま出会ったはずのミハイル・ショーロフの名を知っている、、、どこからミハエルの幻覚が始まったのか)。
ミハイルと同じ名字であり、もしかしたら何らかの関係があるかも、彼女の説明を聞いているうちに興味は湧いてきたが、急に防空壕が崩れ、ふたりは生き埋めになり、病院に運ばれる。
彼(の意識)は戦時中に飛ぶ。
ミハイルは軽傷で済み入院はせず、彼女だけが集中治療室に運ばれ意識が戻らぬ状況が続いている様子であったが、、、。

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ミハイルはそこで見つかった身分証など兵士の持ち物や豪の金具などに触れることで、戦時中の系にスリップしてしまうのであった。
非常に激しい攻防戦で繰り広げられているなか、ミハエルには弾が当たらず、ロシア兵たちも彼の存在が見えないようであった。
彼は謂わば超越的存在として兵士とともに戦火を体験する。
激しい銃撃をかいくぐって彼は身内のショーロフを探す。
とても都合よく直ぐに引き合わされることになるが、ショーロフ家の謎はなかなか解けなかった。

結局、アレクセイ・ショーロフ指揮官とその長男パーヴェルは戦死する。
次男のアレクセイ(父と同じ名)を戦時中にスリップし見つけ、妻が子供が出来たという知らせの手紙を渡し、その系ではアレクセイを庇いドイツ兵に撃たれてミハイルは死ぬ。
全く戦時下の彼らがミハエルを知覚出来ないのではなく、どちらかの死ぬ前にはしっかり見えるようであった。
そこでミハエルは死ぬことで、元の系で生き返る。アレクセイの子供とはミハイルの父ニコライであった。つまりおじいちゃんと戦場にいたのだ。

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病院では実は彼女は意識を取り戻して回復し、ミハエルはずっと集中治療室で昏睡状態であった。
(何故、何度も彼がエリザヴェータに花をもって見舞い来たことが他の人物に目撃されているのか、それ自体が彼の幻想なのか)。
では、その戦時中のスリップ事故は全てミハエルの脳内幻想であったのか。
あの詳細な出来事は、彼の潜在意識にあるものではないはずだが、
まさにそこ(その系)にスリップしなければ分からぬことばかりだと思う。
というよりわざとうやむやにしている節がある。
そこが脳内幻想なのか、実際の並行宇宙への移動なのか、はっきりさせない意図は何なのか。

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最後は、回復して付き添っていてくれたエリザヴェータと目覚めたミハエルが愛の告白。
ラブロマンスで終わるが、ナンかしっくりこない。
そもそも何でこのふたりこんなに惹きあっているのか。ふたりとも一目惚れだったのか、、、。

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ミハエルの生々しい戦地に赴くことによる心境の変化は分かったが、、、。
自分のルーツに触れ父、祖父たちを敬う気持ちが生じたりするところは感動的な場面と言えるが。
どうも生理的に受け付け難い作品でもあった。



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アイアンスカイ 第三帝国の逆襲

The Coming Race002

Iron Sky: The Coming Race
2019
フィンランド・ドイツ・ベルギー

ティモ・ヴオレンソラ監督
ダラン・マッソン、ティモ・ヴオレンソラ脚本

ララ・ロッシ、、、オビ
ウラジミール・ブルラコフ、、、サーシャ
キット・デイル、、、マルコム
ユリア・ディーツェ、、、レナーテ・リヒター
トム・グリーン、、、ドナルド
ウド・キア、、、ウォルフガング・コーツフライシュ/アドルフ・ヒトラー
ユリア・ディーツェ、、、レナーテ・リヒター
ジョン・フランダース、、、ゲイリー
ジェームズ・クイン、、、ヨハン
ムヤ・ルバンブ・ツィニオニカ、、、イディ・アミン
アントニー・プレザント、、、マーク・ザッカーバーグ
アマンダ・ウォルザック、、、マーガレット・サッチャー
フランチェスコ・イタリアーノ、、、カリグラ
デュタ・スカートラジェ、、、ヨシフ・スターリン
ユッカ・ヒルデン、、、ローマ法王
アッバス・シラフカン、、、ウサーマ・ビン・ラーディン
カリ・ケトネン、、、ウラジーミル・プーチン
ホン・ピン・タン、、、チンギス・カン
ヴァスコ・デ・ベケラエル、、、毛沢東
ロイド・ライ、、、金正恩
テロ・カウコマー、、、ウルホ・ケッコネン
ガエタン・ウェンダース、、、スティーブ・ジョブズ


アイアン・スカイ」の続編。いろいろと著名人が出て来る(そっくりさんである)。地球の地下の空洞に住んでいる地底人であった。
やはり地底人は恐竜であった(ここはわたしの説ともピッタリ合う)が、何だか大味な描写(人物など特に)と大雑把な展開で、どうも物語に入り込めない、、、。
とりあえず、、、
核戦争によって地球文明が崩壊した後、地球の脱出者たちは、ナチスの月面基地で生き残った人々とともに暮らし始めた。
しかしヘリウム3採掘基地の爆発事故などでエネルギー供給に支障が出て食糧難も抱え、基地の老朽化もあり、月面での生活は限界に来ていた。


そこへ地球からサーシャたちロシア人難民がやって来る。
元月面ナチス総統コーツフライシュも帰還していた。
そして彼はオビに、地球の地下空洞都市を支える「ヴリル・ヤー」というエネルギーを月面基地の再生のために奪ってくるように差し向ける。そのエネルギーを少し母レナーテに与えただけで、彼女の病気が回復に向かったのだ。

The Coming Race004

後は、サーシャの宇宙船を使って地球の地下空洞都市に潜入する。住人たちは皆、恐竜なのだ(人型知的恐竜とそのまんま恐竜が共存していた)。
そこには地上で人々を導き操った多くの偉人たちが一堂に会しており、人類を駆逐したのは良いが放射能汚染で地上に何も住めなくなったのはやりすぎだ、などと話していた。
レオナルドの「最後の晩餐」の形体で並んでいたのは分かるが、、、。

The Coming Race005

ジュブス教の教祖ドナルドとその信者たちは捕らえられるが、ビジネスの話を向けて彼らを取り込もうとしたが、ヒトラーたちに食われてしまう。
オビとサーシャ、マルコムは何とか聖杯という形の「ヴリル・ヤー」を奪って逃げる。
途中恐竜の引く車で逃げるとき大きな岩ではなく大きな太陽エネルギーに追われるところが、例の映画のオマージュなのか。
月面基地に戻りはしたが、すぐさまアドルフ・ヒトラーが宇宙船で追ってきて、基地の中を恐竜にまたがり大暴れする。

The Coming Race003

「ヴリル・ヤー」の力を借りてスーパーウーマン化したレナーテがヒトラーを倒す。
しかし彼女は弟のコーツフライシュに撃たれて死んでしまう。
月面基地も破壊され、古い宇宙船を直してオビたち生き残った者が火星めがけて飛び立つが、元月面総統のコーツフライシュが兄の宇宙船を奪い追いかけて来る。
彼はドナルドの持っていたiPhoneを使い船と兵器をコントロールしていた。
そのiPhoneをサーシャ愛用のノキア3310でハッキングしコーツフライシュを宇宙船毎爆破して辛くも逃げ延びる、、、。
火星まで80年くらいで着くかな~。
何だこれという感じ。

The Coming Race006

キャラクター描写が不自然で特に魅力もなく物語にもこれと言って面白みもなく、最後まで入り込めない映画であった。
最初の作品は、それなりに楽しめた記憶~印象は残っている。
ちょっとこれは、脚本的に厳しい。
共感をもって見られる部分というのがほとんどなかった。

The Coming Race001

恐竜などの造形と動きは安定したCGで問題なく、宇宙船の出来など良かったが、内容的にあまりに雑であった。
著名人のそっくりさんは確かに似てはいたが、それだけで愉しめるほどではない(カリグラが似てるかどうかは分からないが)。
この作品で今度は火星でのソ連基地との攻防みたいな続編はもう勘弁してもらいたい。



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今も降ってはいるが、、、

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一向に積もる気配はない。
確かに屋根の上など見ればうっすらと白くなってはいるが、、、。
平地で10㎝というのは、全く無理。
予報だと1時までは雪と出ているのだが、今から一時まで降っても、相が変わるとは到底思えない。
街は漆黒のままだ。
色のついたギラツク光があてなく彷徨う。
何故か車がいつもより殺気立っている。

基本、全てを黒く濡らしただけの雨と同じ。


読書は出来た。
難問は未だ未解決。
それでいい。

古いノートのハードディスクを診断したらもうすぐダメになるでしょうと出た(笑。
新しくSSDを乗せ換えてUbuntuで走らせるのもよいが、それならノート毎新しくした方がバランスが良い。
もう古いのはHDDだけが参っているのでもなく、他ももうよれよれの低スペックと来ている。
クロームブックでも買った方がセカンドノートとしては生産性も高いはず。
買うこと自体見合わせるのもアリだ。そうしよう。なくても困るわけではない。

もう冬も飽きた。
今日も思いのほか寒くはなかった。
実感の伴わない冬。

一日の最後に、ケーキを食べ過ぎた。
空が晴れたら、ウォーキングの時間を増やそう。
春が感じられたら公園で昼寝しよう。


一日が自分の身体性にピッタリ合うようにしたい。
TV(美の巨人たち)で「篠田桃紅」を録画してBlu-rayにコピーしじっくり見たが、今の自分にとてもしっくりくる。
こんな整った呼吸を静かにしたいものだ。


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ジェーン・カンピオン監督の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』、ドゥニ・ビルヌーブ監督の『DUNE デューン 砂の惑星』が楽しみ。


明日は雪ということ

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朝の4時から降り始めるということで、恐らく妻を朝職場に送り届けることは出来るが、帰りの頃には、予報では10㎝くらい積もっているということで、迎えは車は危険に思える。
まだアイスバーン化していなければ、走ることに問題は少ないかも知れない。寧ろ翌朝の方が危険度は高くなろう。

しかし10㎝積もる程なら、大きな雪だるまが楽々作れる。
どうしようか。
まあ、今考えてもしょうがない。
明日その様子を見て、創作意欲が湧いたら作ろう(笑。
ある意味、よい機会なのだ。よい機会なのだ、、、

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わたしが高校生の頃は、冬は必ず10㎝くらい(いやそれ以上)の積雪になっており、それが普通だった。
道には深い溝が出来ていて、わたしの前を走っている自転車がそれにタイヤをとられ派手にすっころぶ。
それを見たわたしは、うまく回避せんとして同じところを通過するのだが見事その溝に捕まり同様にすっころぶ。
ちょっと笑ってしまう。
溝~構造が出来ていれば、どうあがこうとそこを自動的に吸い込まれるように通過する羽目に。
思わず分かっちゃいたけど、やっちまったよ。である。

その後のわたしの人生を象徴するがごとく、、、。
とかつい言いたくもなる。
だが、実際、、、「分かっちゃいるけど、、、」が実に多かった。
レール~構造が見えていたなら、そこを超脱する抽象~超越的な方法を採用するしかないのに。

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思い切ってシャツを取り替えないと、同じ光景を繰り返すしかない。
要するにジャンプの出来る思想に乗り移る。
前方でもなく上方でもない、並行移動である。
ここが肝心。

努力し頑張って前に突っ走るのではなく、崇高な修行、瞑想による垂直性を目指すのではなく、微分と幾何学的な転換。
違うわたしに成っていること。
イメージ的には稲垣足穂の小説に出て来るお月様。

シュワッとするソーダでも飲もう。


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金柑の実を収穫する

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金柑を収穫した。弟の家の庭で。
もう下に実が落ち放題の状況で、勿体ないので大きめのモノを片っ端採って来た。

うちにもその木はあるのだが、庭木と垣根全てを業者に頼み、凄まじく刈り込んでしまったので、うちの庭はつんつるてん状態で何もないのだ。垣根も枝を極端に刈り込んだお陰で葉がほとんどないため、プライバシーもなくなった感がある。
今年の6月のことだ。まだほとんど枝も伸びてもいないし、葉は少々付いては来たが、丸坊主状態からでは、なかなか、、、。
見てるだけで風邪を引きそうになる(笑。

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今日は日中晴れ上がって、気温も適度にあり?風も無いため、心地よく実を採る作業が始められた。
結構、尖った棘状の枝があり、チクチクしながらも、薔薇のような鋭さはないので、抵抗なく進んだ。
LLサイズの買い物ビニル袋一杯になったところで、見たところ残るはまだ小粒のモノばかりということで止めた。
妻に昨日頼まれたものだが、金柑ジュースとジャムかな。
どちらも喉によく、この時期は助かる。結構美味しいものだし、、、。

かなり大きめの木が二本あるのだが、微妙に陽の当たりが異なるようで、成っている実の数と大きさがかなり違う。
少ない方からは実も小さめで色も冴えないためほとんど採らなかった。
確かにうちの庭の多肉を見ても、置く場所でかなり勢いが違う。
環境とは、微妙なものだ。
基本的に植物は移動できない(種の状態での移動は可能だが。又は地下茎でう遠くまで広がることは出来る)。
動物は動けるとは言え、実際は動けるだけで身は守れるわけではない。
(これは話が長くなるのでここでは略)。

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そう、多肉は今年からビニルカバーとか一切付けずに雪が降れば積もり放題にして放置することにした。
確かに寒さに弱いものはダメになってしまうが、さほど寒さの継続しない冬に、ビニルハウス化することの弊害の方が大きいことに気づいた。
強烈な日光とハウス内気温上昇での悪影響の方が大きいのだ。
冬の日光は非常に強い。
閉じた空間は直ぐに相当な気温となる。その微調整はわたしの今の状況からは不可能。
これくらいの寒さなら適応してもらった方がよい。彼ら(彼女ら)は思いのほか逞しいことも知った。

植物の実を付ける姿には、いつも生命力というものを直に感じさせられる。
これこそ神秘であり、恩寵である。
この接点は失いたくない。
(植物的生を夢想する時間は、そのまま作品制作の時間と重なる)。

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木曜は雪だという。どれくらい積もるのだろう。
今年は雪だるま作りはする気になれない。どうでもよい。
ただ、路面の凍結だけは困るな、、、。




免許更新

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車の免許更新をした。
一番、気にしたのが視力であったが、何とかクリアしてほっとした。
それ以外では、全てお任せで行きたかったので、書類も写真も向こうに一任。
4900円で全てやってもらえたので、それでOK

但し、優良運転者の表彰があります。かなり立派な額入り賞状がもらえるので、690円でこの日程でどうぞと言われた。
またなんやかんやで徴収するのね、と思ったがそれは強制ではないとのこと。
なら、い~らないっと。びっくりした。
先日、娘が腹を立てて自分の表彰状の入った額毎片っ端投げつけて壊してしまったので、丁度良いと思い、10枚ばかり額毎処分してしまったところ(全て絵の賞状)。すっきりしたところで、もう額を増やしても意味はないし、ましてや優良運転だなんて、、、。
レーシングカー(フォーミュラーカーとか)での賞状などと言ったら、もう家宝扱いだろうが(笑。

モノをドンドン整理しなくてはならない時期である。そうした流れになっている。うちは、、、。
家宝レベルの大事な本を娘にダメにされたことだけは今でもダメージとして残るが、大方壊れたり痛んだりしたところで早晩処分しなければならぬモノたちである。
最近、飾り物関係は激減し、長年関わって来た機械類も、まだ新しめの機械類も随分捨てた。
活躍中のプリンターも娘に投げ飛ばされて昇天したばかり。
服も捨てた。

N-1の発想で、無くて不便だけど何とか其れで行こうという生活に切り替えようと思う。
ノートパソコンは、2台ばかり、リナックス系にOSを入れ替えて再生させるつもりだが。
こういうものはバッテリー機能がゼロであろうが、使い切りたい(モバイルとしては使えなくとも)。
結局、何と言うかパソコンが一番身近で親しめ、面白いものだと実感する今日この頃。
なんせわたしのパソコン歴は(あまり言いたくはないのだが、とは言っても随分前に当ブログでバラしてしまっているが)FM8からである。あの8ビットパソコンの(別に恥ずかしがることでもないだろうが)。
随分、当時はプログラム書いたものだ。だって、欲しいソフトが売ってないのだから(爆。
仕事はそれで随分と助かったものだ。

ソフトが出回り始めてからは、画像~映像関係と音楽作成関係ののアプリケーションでかなり遊んだ。
3D作品も以前ブログで紹介はした。
鉄人28号を作って楽しんでいたものだ。
もうそうした根気がない。
ひとの作品観て楽しむくらい(リアルキャンバスに絵を描いてはいるが。時々である)。
ちょっと思い出にも浸ってしまったが、、、モノには必ず記憶が纏う、、、。

何の噺だったか、、、。
そう、免許更新であった。
30分ほどの交通事故ヴィデオを必ず見せられる。今日は真面目な顔をして最前列の席で観た。
一度こういう模範的なスタイルで臨んでみたかったのだ(爆。
教官の指示する教則本のページをいちいち頷きながら見る。
ヴィデオでは、交差点右折時に前方の車が左折した陰からやみくもに突進してくるバイクに注意ということで、これはしっかり注意をしなければと肝に銘ずるが、更にその二点に注意しつつ右側の横断歩道を横切って行く歩行者にも注意、ということ。まさにその通りである。
それから、来るはずのない方向からも逆走自転車、歩行者、最近では高齢者の逆走カーも考えられる為、必ず来るはずのない側も一時停止してしっかり目視して運転すること、という確かに重要な噺であった。ためになったものだ。


帰ってからカメの水替えをして娘たちと妻の自転車の空気を入れた。
それからオリンピックのフィギュアを観てゆっくり休んだ。
(紀平梨花には早く戻ってきてほしいものだ)。

どうということもない一日である。



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ラフィキ:ふたりの夢

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Rafiki
2019
ケニア・南アフリカ・フランス・レバノン・ノルウェー・オランダ・ドイツ

ワヌリ・カヒウ監督
ワヌリ・カヒウ ジェナ・バス脚本
モニカ・アラク・ドゥ・ニェコ原作


サマンサ・ムガシア、、、ケナ(政治家の娘、ジキと愛し合う)
シェイラ・ムニバ、、、ジキ(ケナの父の政敵の娘)
ネビル・ミサティ、、、ブラックスタ(ケナに思いを寄せる青年)
ジミ・ガツ、、、ジョン・ワウラ(ケナの父、政治家)
デニス・ムショカ、、、ペーター・オケミ(ジキの父、政治家)
パトリシア・アミラ、、、ローズ・オケミ(ジキの母)


まあ、色彩が凄い。
原色を思い切り使ったビビットな配色。
これを日常でさらりとやってのけるところがとても素敵に思えたのだが、、、
どうやら感性的な解放と自由でこうなっている訳ではなかったようだ。
とても保守的でがんじがらめ、村の生活である。
制限・制約・監視の機能が自発的に作動していた。

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同性愛が法律でも宗教からも禁止され排斥されているのだから、この国にいる間は、しらばっくれているしかない。
学校を出て海外に移住してから、彼女らの言う「本物になる」ように生きるしかあるまい。
人のことを監視しアンテナを立て、噂話で生きているおばさんは何処にでもいるようだ。
特に彼女らのようなマイノリティにとっては危険極まりない輩だ。
そういう目に対し無頓着に振舞っていると大変なことになる。
案の定、皆に言いふらされて集団リンチに遭う。
もう大学進学を控えた高校生なのだから、その辺の集団(共同)意識は踏まえておかないと命にも関わる。

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将来海外で二人で暮らすにせよ、それまでは親の財力は頼みの綱であり重要なものだ。
まして政治家である。共同体の集合意識に抵触することをしでかすと(それが娘でも)選挙に勝てない。
法律違反ならなおのこと、更に宗教的なヒステリックな嫌悪感も根深く、これがかなり大きい。
親としても深刻な事態を呼んでしまった。

しかしジキの父は取り乱し娘を叱り激高していたが、ケナの父は娘を信じて受け止め、人格を尊重していた。
ここは彼が離婚し新しい妻との間に子供をもうけていることもあるが、人のこころのありように理解も深いように思われるところ。
(政治家である分、法的な外部システムの無根拠性をよく知っていることもある。ケナの父が次期も当選した方がよい政治が実現するように思われるが)。
ジキの母も父のように彼女を批判せず、同情的な態度で彼女を優しく包み込んでいた。
どちらも、片方の親だけでも世間の批判にめげず娘を守ろうとしているところは救いだ。

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わたしがこの立場なら、娘を絶対的に守り抜く所存だ。
当たり前だ。言うまでもない。
(わたしの親であったら、もう世間に顔向けできないとか、親に恥をかかせて、などと世間より激しく断罪してくるだろう。充分に分かる。良い反面教師であった(爆)。

身体~性レベルにおいては、思想的な転向みたいなシフトは不可能である。
生の基盤は、尊重するしかないのだ。生存と同義であるのだから。
これを法や宗教で規制し罰したところでどうなるものでもない。
単に人権侵害に過ぎない。
ケナとジキを寄ってたかって痛めつけた連中は、パラダイムにすっぽり嵌っているというだけでなく、基本的に自分と違う人間に対して想像力を働かせることが出来ない輩である。人権とはそもそもそこから始まるものだ(他者に対する想像力)。

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同性婚の認められている国はオランダに始まり今は28か国あるという(更にパートナーシップ制度を有する国もある)。
これが認められない理由の一つは宗教であろう。大きく足を引っ張る。この映画でもケナに対して教会で神父がエクソシストみたいになって頑張っていた(思わず笑った)。ケナは飄々としていたが、それが実情だ。
日本を除き、先進国はアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、、、どこも認められており、何処かに飛び込めばよい。
若いんだし。何でもできる。思わず頑張れと言ってやりたくなる(神父は頑張るな)。
最後に希望を持たせるエンディングで後味はよかった。

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久々に人にお勧めしたくなる作品であった。
ケニア映画。これからドンドン出てきてもらいたい。
そうそう、キャストもとても活き活きしていて気持ちがよい。





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つみきのいえ

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La maison en petits cubes
2008

加藤久仁生 監督・アニメーション
平田研也 脚本
近藤研二(栗コーダーカルテット) 音楽

絵が日本製のアニメというより海外~フランスあたりのものに思えた。
(普遍性とかいうより、無国籍の雰囲気を出そうとしているように思える)。
とてもソフトなタッチに描かれていて、人物~老人にも温かみと素朴さを覚える。

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海の水位がだんだん上がってきて、上へ上へとレンガを積み重ね積み木のように高く伸びてゆく家と主人である老人の噺。
今の部屋の床に水が入ってきたら、船でレンガを運んでもらいセメントを敷いてレンガを積み上げ新しい階を作ってゆく。
これまで住んでいた下の階から椅子やテーブル、沢山の想い出の写真を運び上げる。
恐らくずっと一人で淡々と続けて来た孤独な作業。
何であっても生きていれば続けるしかない作業なのだ。

そんなとき、彼はいつも咥えているパイプを下に落としてしまう。
新しいパイプを買おうとしたが、気に入るものがない。
すると潜水服に目が行った。
そうだ、下の階に潜って行って拾おう。

下に潜るにつれ彼の時間~想い出が巻き戻る。
一階毎に鮮明に浮かび上がる光景。
(本当はこれらは全て平行にある世界なのだろう)。
しかしこの垂直性はイメージとして分かり易い。

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病に臥せった奥さんを看病する自分。
子供や孫たちの写真を撮る自分。
奥さんとなる女性にプロポーズして受け入れられる自分。
一切この物語には、セリフがないが(長澤まさみのナレーションVersionもあるらしい)、ことばがないことで余計に豊かに伝わる「絵」というものがある。この情報はとても豊かであり同時に切ない。

下へ下へと降りると子供の頃にまで行きつき、そこには大地が開け草木が花が覆い茂っていた。
そんな頃もあったんだ。
主人の生きた分だけ海底から高く伸びてゆく「つみきのいえ」。
彼はパイプを拾って上に還る。
素敵な演出ではないか。

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水位は何処まで上がるのか。
もう屋根しか見えない家や水没している家はたくさんあって、家主も亡くなっているのだろう。
生きるということをこのような形で可視化するアイデアは素晴らしい。
植物的な生の在り方にうっとりする。
何処か別のところに行くという選択肢は、ここにはないのだ。
BGMの音楽がピッタリマッチしていて詩情は増すばかり、、、


またいつかひっそりと観たい映画。



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インフィニ/INFINI

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INFINI
2015
オーストラリア

シェーン・アビス 監督・脚本・製作
ブライアン・カーチア 音楽

ダニエル・マクファーソン 、、、ウィット・カーマイケル
グレース・ファン 、、、クレア・グレニッヒ
ルーク・ヘムズワース 、、、チャーリー・ケント
ルーク・フォード 、、、チェスター・ハンティントン
ブレン・フォスター 、、、、モーガン・ジャックラー
ドゥエイン・スティーヴンソン 、、、レックス・マニングス
ハリー・パヴリディス 、、、ハリス・メンジーズ
ルイーサ・ミグノニ 、、、フィリパ・ボクサン
ケヴィン・コープランド 、、、シート・ヨハンソン
リチャード・ハジェット 、、、モントリー
テス・ハウブリック 、、、リサ・カーマイケル
マット・ミント 、、、主任


23世紀ともなれば、他の知的生命体との遭遇もかなりのものかも知れない。
一般の人間が銀河の果てまで派遣され仕事に従事しているのだ。
スケールが違う。
ただ、そのスケールが豊かさから拡がったのではなく、貧富の差の激しさの成すところというのが、厳しい。
貧困層は、遠くの惑星での労働に従事せざる負えない状況にあるとのこと。
しかも転送時の事故で命を落とすリスクは大きいという。
(何やらアメリカの貧困層が外国の軍事行動に駆り出されているのに似ている)。

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INFINIは銀河系で地球から最も遠い惑星で極寒の地である。
そこに設けた基地に先に到着した隊員がペイロード伝送によりINFINIの鉱物を地球に転送しようと目論んでいた。
しかもその地で仕事に従事していた1600人もの人間が地球に帰還後、皆狂暴化し殺し合い全滅するという事件が起きる。
INFINI調査団が集められたがカーマイケルのいた師団はウイルス感染で全員殺処分になるが、彼だけ緊急措置の装置を使い単身INFINIに転送され助かる。

新鮮に感じたのは、宇宙船を使うのではなく、首に装着されたAPEX装置により、転送されるところである。
この時代、余りに多くの遠方の惑星に向けての出稼ぎが増えたため、宇宙船の建造費の捻出が厳しくなったものか。
貧困の労働者階級を使い、リスキーでもあらゆる意味からコスパのよい方法が模索されたのであろう。
所謂転送法はワープなのか、リロケーションシステムなのか、23世紀にこの技術が一般化されているのは立派に思うが、反面貧富の差の拡大が留まらず、人間の質もこの有様ときては、かなり歪な発展をした感は拭えない。

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他の師団がペイロード伝送阻止とカーマイケルの救出のため、INFINIに転送される。
彼らは予定通り移動に成功し基地内の惨状に驚くが、カーマイケルの無事も確認した。
カーマイケルによると基地の隊員たちは皆、急に人格が変わって狂暴化しお互いに殺し合いを始め、自分は安全な場所に隠れて助かったと。
プログラマーでもあるカーマイケルの働きで基地が復興しINFINIの鉱物のペイロード伝送も止めることに成功する。
そして帰還を果たそうという時に制御室に乱入したウイルス感染した元の隊員に大尉が襲われる。
彼を襲った感染者を撃ち殺すとその血飛沫を浴びた者が皆感染してしまった。

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カーマイケルやハリスは、症状は出ておらず、バイオラボで前にいた研究者のレポートを読みINFINIに関して理解を深める。
鉱物に見えるものが生命体で在り、惑星そのものが一つの意志をもつ生命体とも謂えるものであることを知るに及んだ。
この天体は、どうやら、タルコフスキーというかスタニスワフ・レムの「ソラリス」と同等のものと受け取ってもよい。
だが、侵入者の深い意識~無意識を読み取り、それを実体化して見せるのではなく、個体の人格を破りそれを顕在化~増幅して発現させるものであろう。感染とは言え、こういった次元のものであるように受け取れる。
ハンティントンも症状は出ていなかったが、明らかに暴力的に敵意丸出しでカーマイケルに襲い掛かって来るのだった。
結局、皆が殺し合いをすることとなり、カーマイケルひとりが残ることとなる。

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そもそもそのINFINIの目的は何であるのか。
ラボのレポートからも読み取れたことは、彼らが暴力本能により他の存在~種を淘汰して支配することにある。
地球に鉱物(彼ら)をペイロード伝送し侵略を企てていたのだが、それは今や止められ、感染者(複製体か)を送ってはみたが暴力性から自滅する羽目となった。

INFINIとしても、新たな手段と方法を探る必要があった。
しかしそれは、容易く見つかったようだ。
やって来た隊員たちが、身籠の妻のところに何としても還らなければならない、とか6歳の娘の学校行事に出るという大事な約束があるなど、家族の愛~絆を再三強調していた。
これは、彼らにとり単純な暴力に替わる強力なキーとなったはず。

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カーマイケルは最後にループ録音をする。
「お前の企ては失敗した。お前には選択肢があった。それなのに人間の最悪の部分をお前は選んだ。憎しみや非道な暴力。諍いを。物事の全体を見る能力がなかった。未来を見通すことをお前は拒否した。支配したいという利己的な欲求に負けた。もしお前が成長し、進化出来ていたなら、状況は違っていたはずだ。もし共に協力し合えていたならここへ来る気はなかった。ただ家族に少しでも良い暮らしをと、それをお前は奪った。俺たち全員から。そしてこんな結果に。~何故か憎しみはない。~」スウィッチを切って彼は腕をナイフで切り自殺を図る。

カーマイケルが目を覚ますと、他の隊員全員が無事生きているのだ。
まるで酷い悪夢から目覚めたかのような面持ちで誰もがいるようだった。
大尉は記憶が一部飛んでいるが、報告に問題はないと言っていたが、恐らく皆が後ろめたい何かを隠していた。
知っているのだ。自分が複製体であることを。それで大尉は何度もカーマイケルに「何か聴くことはないか」と執拗に繰り返したのだ。
「ありません」と返し、皆で無事に帰還する。
最後の検閲の関門では粗暴な雰囲気も出るなどしてかなり滞るがどうにか全員クリアする。
「愛」は、強力な武器となろう。


続編があってもよいかも知れない。



AmazonPrimeにて








スプライス

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Splice
2009
カナダ,フランス

ヴィンチェンゾ・ナタリ 監督
ヴィンチェンゾ・ナタリ、アントワネット・テリー・ブライアント 脚本


エイドリアン・ブロディ、、、クライヴ・ニコリ(遺伝子学者)
サラ・ポーリー、、、エルサ・カスト(遺伝子学者、クライヴの妻)
デルフィーヌ・シャネアック、、、ドレン(ハイブリッド・アニマル)
ブランドン・マクギボン、、、ギャビン・ニコリ(クライヴの弟の遺伝子学者)
シモーナ・メカネスキュ、、、ジョアン・ショロ(クライヴたちを抱える製薬会社のトップ)
デヴィッド・ヒューレット、、、ウィリアム・バーロー(ジョアンの部下)


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天才遺伝子学者の暴走で手に負えない新たな生物~異種が誕生してしまいパニックとなる映画は既視感一杯で、またそのパタンか、という感じで観始めたのだが、、、
相当なクオリティーに驚かされた。
ここまで描かれたものは、初めて見た。
特に生み出されたクリーチャーの畏敬の念すら抱かせる異様な存在感である。
ディテールまでも素晴らしい。特にあの感情の昂ぶりに応じて姿を現す羽の神々しさ。
そしてあの尻尾は一撃必殺で大変恐ろしい。
単に不安を醸す如何わしさではなく、妙に親しみ易い可愛らしさでもなく、、、孤高のクリーチャーとなっている。

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早晩、遺伝子操作により、こんな風な新種が生み出されるのだな、と自然に夢想してしまう。
ハイブリッドで生み出されたものは幾らでもあるし、現人類も様々な遺伝子を組み込んで生き長らえて来た。
このような飛躍はあって良い時期だ。
もうその時は来ている。
どこを歩いても閉塞感に充満した空間を下劣な眼差しが交錯するだけ。
こういう存在に白昼の日常を一気に食い破ってもらいたい。
きっと近いうちに『何かが道をやってくる』。

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充分この映画はわたしの生活空間に接続し、響いた。
「キューブ」の監督ではないか。やはりただモノではないね。
天才遺伝学者もエイドリアン・ブロディだと、もうそのものという感じだし。
奥さんのもっと天才で紙一重を抜けてしまった科学者の女優もわたしは初めてだが、言うことなし。
だが、何と言ってもデルフィーヌ・シャネアックが凄すぎた。勿論VFXが大変優れた仕事をしていたが、この女優は何なんだ。
完全に他者~異物を演じ切った。人間性のヒトカケラもない徹底した異種。身体サイクルも全く異なる。
その質感がとても硬質で心地よい場を創っていた。
注目のフランス女優である。

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クライヴとエルサは大手製薬会社で遺伝子レベルでの病気治療の研究を進めており、その過程でDNA結合実験により新種の生命体と呼べる「フレッド」と「ジンジャー」を生み出す(彼らはメスのジンジャーがオス化することで互いに殺し合いその実験は失敗に終わる)。そこから更にその新生物と人間(エルサ)のDNAを結合させ、知的生命体ドレンまで生み出してしまった。クライヴは会社の許可もなく倫理的にみても問題である為、胚の形成まで確認したところで阻止するつもりでいたが、妻が暴走してしまう。結局、成長が著しく早いため、死も早いと仮定し、その全過程の観察がとれるという楽観的な考えで、育てることにしてしまう。
ここでエルサが母から虐待されて育ってきた影響もドレンに対して見せている。ここは夫も危惧したところだ。
ドレンは知性はあるが人間的な予測~文脈の外にあり、いつもふたりは翻弄されてしまう。彼女の身体能力は高く機敏でしかも水中でも呼吸が出来、羽根が自由に伸ばせて空の飛行も可能なのだ。更に毒を注入する尻尾ももち、大変獰猛で危険な知的生物と謂える。そして最初の生命体と同じくメスからオスへと性が変わるのだ。女性の形態でクライヴと男に性転換してからエルサと性行為もしている。

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非常に強力な新種で在り、これが野に放たれたら圧倒的に優勢な種となろう。
エルサとクライヴは、危険因子の処分に出るが、その時に居合わせたウィリアムとギャビンは瞬殺され、クライヴも結局殺されてしまう。エルサは隙を突き石でそれの頭を割り、ようやく止めることが出来た。

その後、エルサはジョアンと次のステージに進む契約を多額の報酬のもとに交わす。
彼女のお腹を見ると何と、ドレンとの子供を身籠っていることが分かる、、、。
「失うものは何もない」彼女の研究は継続されるのだ。


大変な傑作SF映画である。
驚いた。ヴィンチェンゾ・ナタリ監督は今後も必見。



AmazonPrimeにて





注:中古DVD







プレシピス

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Sommernachtsmord
2016
オーストリア

ハラルド・シケリッツ監督
フェリックス・ミッテラー脚本

グレゴール・ブロエブ 、、、フローリアン・フォークナー(オルガニスト)
カタリーナ・シュトラーサー、、、フランツ(女性警官)
クレーメンス・シック、、、エルマール(モニカの元夫)
フランツィスカ・ペトリ、、、モニカ・ルファート(金持ちの婦人)
ゲルティ・ドラッスル、、、レジーナ・ティッフェンブルナー(フローリアンの婚約者)
マルティン・ライトゲープ、、、ロメド・フォークナー(フローリアンの弟)
ジュリア・グシュニッツァー、、、アーデルハイト・フォークナー(フローリアンの母)
ピーター・ミッタールッツナー、、、イジドール・フォークナー(フローリアンの父)
ローランド・シルビールナグル、、、フランツの同僚警官
フローリアン・スメラウアー、、、フランツの同僚警官
ベルンハルト・ヴォルフ、、、銀行支店長


「絶壁 」
オーストリアのチロルが舞台。
一体どんなところなのか。
まず実際、行くことなどないだろうし。
チロルという響きに惹かれた(笑。チロルチョコというのがあったな。

そこでオルガン塔を作る夢を持った男がオルガンの部品を丹念に作って倉庫に貯めている。
夜は近所のバーでピアノを弾いている。これがまたいい。
わたしが以前勤めていた職場の近くにも全国的に有名なオルガン工房があり、熟練した職人がオルガン部品を作る姿に触れることが楽しみだった。図面は最新式のソフトで引いていたが、実際の製作は細やかな手作りである。音を確かめながら、これが何とも言えない。

チロル地方の風光明媚な場所で、オルガンが奏でられる。
主人公?の建てるオルガンの塔予定地は、夜になると満天の星々の煌めき、寝転んで見たらもう、、、堪らんもののようだ。わたしはプラネタリウムでしか知らない大パノラマが生で拝めるという。空気も思いっきり澄み渡っていて、、、
その丘に風で鳴るオルガン塔を建てるとか、、、どういう形状なのだ。螺旋形とか言っていたな。ちゃんとオルガン奏者も普通に弾けるのか、ちょっと心配にもなったが、、、。
よく、わたしが通っていた工房でも時折特注が入り、音楽大学を退官した教授が自宅を3階までぶち抜きパイプオルガンを設置する工事をしたと言って写真を見せてもらったものだ。幾つもそういったケースを写真で見せられた。羨ましいというか。
オルガン奏者には堪らない贅沢だろう。これで1日中弾けるではないか。近所のことは知らんが、、、。
出来れば、自宅ではなく近所の離れている別荘に設置した方が無難な気もしたが(普段は弾けなくなるか)。

ともかく、でかい贅沢は良いものだ。これを見て思った。
鰻とケーキくらいでチマチマした日常を送っていたところに、これは清々しい刺激であった。
抜けるような青空と緑と花々と水と羊と、、、まあ、素敵な土地だこと、、、
と思って観始めるが、、、出てくる人間が皆、童話に出て来る悪者~魔物(中には怪獣)みたいなのばかりで、「カネはセクシーだから」などとぬかす金の亡者があたりをかき回す、かなり汚い噺が繰り広げられる。おまけに言葉も汚い。やることも汚い。
そしてもうひとつ核となるのがオルガニストの家族だが、これまた全員が(精神の)病気みたいで、オカルティックな雰囲気が凄いのだ。
何やかや言っても主役級は美男美女を揃えてくる映画は多いが(特にハリウッドなど)この作品は徹底している。
皆、獰猛な(悪魔的な)顔をしており、タフで喧嘩も強い。オルガン奏者もそうだ。見た目はプロレスラーといっても納得する。

もう怪しさでは誰もが引けを取らない。
同時にコミカルで笑いの壺もあちこちに散らばっている。
童話の禍々しい闇の部分にも似て。
そう、こういった悪い妖精の面々を本で見たことがある。

噺は、チロルにモニカ・ルファートという着飾った(場にそぐわぬ)観光客の女性が大金をもって現れる。
バーではピアノを弾ているがオルガン奏者でオルガンの塔を建てようと計画しているフローリアンに資金を援助してくれた。
彼女は600万フランを持っていたが元夫のエルマールが凄い形相で金を取りに来る。
結局、300ずつ分けるが、フローリアンとその夜丘の上で星を見た明くる日に死体で発見される。
だがその死体も直ぐに消えてしまう。分けた金が惜しくなって取りに来た夫がまず疑われる。
一緒にいたはずのフローリアンもおらず、彼の婚約者レジーナ・ティッフェンブルナーも後を付けていて、これらも皆怪しい。
皆、事情聴取される。フローリアンと婚約者との間もギクシャクして険悪な感じになる。

真犯人と決めつけられたエルマールはこっぴどく絞られ散々な目に遭う。笑いのネタにもされる。タフで癖の強い女性警官フランツの猛烈な取り調べはかなりのもの。
この元夫は曰く付きの金を妻モニカの口座に全て移して守っていたのだが、銀行の支店長が全て贋金にすり替えて渡していた。
彼は銀行の金をギャンブルに注ぎ込んでいたのだった(贋金を作ること自体大変な作業となるはずだが。とんでもない連中ばかり)。
支店長は逆上したエルマールに襲われ足を撃たれフェラーリを奪われる。
エルマールはそのままライフルをもって、フローリアン一家が出かけて行った山小屋にヘリでゆく。
皆芝刈りとか仕事をしている中、何と死んだと思っていた妻のモニカが活き活きと仕事をしているではないか。
彼女はそこでの暮らしを楽しんでおり、金のことなどどうでも良いようであった。しかしフローリアンは金がないと夢がかなえられないのだが。エルマールは、やけをおこして銃で脅すがフローリアン一家にボコボコにされる。その後興奮し過ぎで死んでしまう、、、
等というあらすじは無意味で、ここでは前半の伏線を次々に鮮やかに回収してゆく手際を味わうことが肝心である。
な~るほどね、と分かるところ。そしてそのころには、オカルト家族がとても優しい素敵な家族に思えている。アダムスファミリーとはまたちょっと違う感じで(笑。モニカの笑顔が全てを表していた。フローリアンは婚約者ともよりを戻す。

何と言ってもフローリアン家が面白い。
フローリアンは丘の上にオルガン塔を建てるというファンタジックな夢を持つ(目下資金集めに苦慮する)男。
ダッチワイフをいつもおんぶひもで抱いて歩いている獰猛な性格で腕力も凄い弟のロメド。
自閉症的な儀式を常にしており、排他主義的な父のイジドール。
何をするにもまずタロットカード占いの母のアーデルハイト。客に必ずヤギの乳を出す。
この家族の印象がうんと柔らかくなって終わるところなど見事。

とても変わった面白い映画であった。
オルガンもピアノもよかったし。
顧みると女性警官フランツの暴れぶりがかなり全体を締めて面白さも醸していたことが分かる。

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オーストリア映画も要チェックである。




AmazonPrimeにて











ボディヒート・サーガ 魔性伝説

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Muse
2019
アメリカ

ジョン・バー 監督・脚本
アレクサンダー・ラッド 音楽


ライリー・イーガン、、、アダム(画家)
エル・エヴァンズ、、、リャナンシー(アダムのミューズ)
ケイト・マンシ、、、マリア(同じアパートの住人)
ルー・フェリグノ・Jr、、、ジェイソン(画家、マリアの彼氏)
マックス・デッカー、、、ヘクター(麻薬の売人、同じアパートの住人)
ジェニー・ファーン、、、ヴァレリー(画商)


こんな耽美的なアメリカ映画なかなか見れない。
ここ最近見たものの中では出色の出来である。
魅了された。
この質感が妙に心地よいのだ。
アトリエも雑然としているが、広さが絶妙で何かを呼び込む空間に思える。
こんなアトリエで制作したい(笑。

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このアダム自身、幻視の能力があるようで、リャナンシーに出逢う前に既に彼女の眼を描いていたり、ヘクターにそそのかされて森に車に乗ってゆく前にやはり木の絵を描いており、誘ったヘクターの腕に入れ墨のようにその木がくっきりと浮かび上がっていた。
そういう資質の上で初めて彼女のような存在に逢えるのか。というより愛し合えるのか、である(遭うだけなら殺された連中もみなそうだ。気づく前に死んでいたにせよ)。

ヴァレリーは、アダムの恩人みたいに振舞っており、彼も彼女を慕っているが、リャナンシーの存在を実在するモノ~ミューズのように刷り込んでおいて、切羽詰まったときにそれは妄想に過ぎないと言い逃れようとしている胡散臭い女だ。
彼にとり明らかにダブルバインドであり、こういうのは指導者ではない。

306だから3階に住んでいる訳だが、あのような死体を切り刻んで次々に捨てられる床下スペースがあるって、どういう建物の構造なのか、心配になった。臭くないのかも含め。死体の現実性の揺らぐ場でもある、、、。
アパート内であれだけ行方不明者が出ており、外の人間も悪ばかりだがかなりいなくなっており、警察も動いているとは思うが、、、。
ほとんどその手の動きや騒ぎは彼らの世界には入ってこなかった。
大変静謐で内省的な稠密な空間が結晶している。
そう、ここは無時間空間と言えよう。

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幻想と現実の狭間のゾーンの危うくめくるめく空間が堪能できた。
何と言ってもリャナンシーのエル・エヴァンズが超越的な美を体現していたところが大きい。
彼女の身体性を通して空間が形成されるのだ。
これまでエルと言ったら、エル・ファニングであったが、それを超える女優かも知れない。
ひとことも喋らぬところがよかった。ペラペラ喋る余地は設定上なかったが、言葉を発しないことの効果~演出がこれほど効いたものは観たことがない。その分、眼が素晴らしく生きていた。眼が空間を凍てつかせる。
ことばは、どうしても日常時間を呼び込む。


ただ、失踪~死体~警察などの外部性(現実性)が余りに稀薄であり、最後にアダムと銃では死なないリャナンシーが、手を繋いで森の奥に入ってゆくのも、幻想の中に身を投じるというか、うやむやに片付けた感もする。
丁度、「ブレードランナー」のディレクターズカットで削られたエンディングの部分に重なるところ。
少なくともアダムは生身である。
森の奥で暮らせまい。
とは言え、リャナンシーを森に置き去りにしてヴァレリーとともに車に乗ってマリアの待つ元の街に戻るだろうか。
他の人間では、マリアが双方の世界の接点にもっとも近づき得たと言えるが(命の危険を冒して)、すでに彼女の側~日常世界に行く気はしまい。
わたしだってそうだ。あの世界を体験して、もう戻る意思など持つはずもない。
マリアも健康的で気立てがよさそうな素敵な女性であるが、日常世界を背負っている。
そこには、何もない(ヘクターの言う通り)。というより鬱屈した現実の物語に絡めとられるだけであるのは言うまでもない。

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何と言うか全てのシーンの縁が幻想に溶け込みつつ進行してゆく。
アダムの妄想世界かと思うと、邪魔者は瞬殺され死人は確かに出ていて、リャナンシーは実在する。
少なくともリャナンシーの存在を軸にアダムの世界は変異してゆく。
アダムとリャナンシーは本当に愛し合っているのも分かる。
それにより、絵も認められて売れ、現実世界の変容も確かに起こるのだが。
リャナンシーの存在ゆえに、双方のディテールがぼやけている。
そんな作品であった。


エル・エヴァンズには、注目したい。
(もしかしたら、これ以上の役はないかも)。




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