ザ・ホスト 美しき侵略者
The Host
2013年
アメリカ
アンドリュー・ニコル監督・脚本
ステファニー・メイヤー『ザ・ホスト』原作
アントニオ・ピント音楽
シアーシャ・ローナン 、、、メラニー・ストライダー/ワンダラー
ジェイク・アベル 、、、イアン
マックス・アイアンズ 、、、ジャレド・ハウ
フランシス・フィッシャー 、、、マギー
チャンドラー・カンタベリー 、、、ジェイミー・ストライダー(弟)
ダイアン・クルーガー 、、、シーカー/レイシー
ウィリアム・ハート 、、、ジェブ・ストライダー(叔父、人間のレジスタンス指導者)
「ガタカ」の監督である。
「マリー・アントワネットに別れをつげて」でマリー・アントワネットを演じていたダイアン・クルーガー。
「アンノウン」の存在感も光った女優だ。
「つぐない」で凄い子役ぶりを見せて注目を浴び、「ハンナ」、「グランド・ブダペスト・ホテル」、何と言っても「ブルックリン」のシアーシャ・ローナンの主演である。
分かり易いSF恋愛映画である。
とても観易い。
ソウルという地球外生命体に征服された人類。
体を乗っ取られた人間は目の色が銀色?に変わる。見た目は分かり易い。
銀目玉の圧倒的多数~体制に対する少数の生き残り(オリジナル)人類という構図か。
すでに残った人類などほとんど相手にしていないが、ダイアン・クルーガーのシーカーはムキになって残党を探す。
彼らはその惑星に棲む知的生命体に乗り移って生きながらえてきているという。
メラニーに移ったソウルは1000年以上も生を繋いでいるらしい。
その振る舞いはDNAのようだ。ある意味、われわれの肉体はDNAの乗り継ぐ舟のようなものだから。
ソウルに体を乗っ取られた者たちに対する少数の人類レジスタンスの残党たちが、何とか人類の世を取り戻そうとする。
しかしソウルに身体を受け渡しながらも人間としての意識を残し内部~こころで葛藤するメラニーのような例も現れる。
そんなワンダ/メラニーという存在を軸に話しは進展する。
テーマは「愛」である。
理屈ではない。
様々な感情の揺れ動きが物語を展開させてゆく。
(外科的な)医学は非常に高度に発達しているのに、他のテクノロジーが地球人の使っているものをそのまま利用している。
まどろっこしくはないのか?
シーカーが逃げたメラニー・ストライダー/ワンダラーらを探すのに、ほとんどテクノロジーが駆使されず、ヘリと車の目視で探しまわり、地球は広いわね、みたいな弱音を吐いているのにはまいった。遥か彼方の深宇宙から地球を探し出してやって来たエイリアンなのか、ホントに?まあ、そんな部分は沢山あるのでいちいち問わない。
テーマは恋愛である。
とは言え、身体が余りに異なるのに、(恋愛)感情や思考が似ている、というよりほぼ同じというのも、逆に大変違和感を覚える。
特に1000年以上も生きている知的生命体のワンダラーが地球人のティーンの女子くらいの知的反応~対応しかないというのも、どうなんだろう。
そしていとも簡単にレジスタンスのひとりの男子に恋をしてしまう。
でも元の彼女メラニーは他の男子が元々好きなのだ。
一つの体で、好きな男子が別なのだ。別々に違う男子を好む主体がふたつ同居している。
これは二股架けるというのとは原理的に異なる状況である(敢えて言うまでもない)。
極めて身体性の比重が強い恋愛が、そんな分裂状態でそもそも可能であるのか?
元は光るミジンコみたいな身体性をしていて、人間の男子にそんなに簡単に恋をできてしまうのだろうか。
純粋に精神的にと言いたいところなのだろうが、、、。
それが、俄かに納得できないために終盤ズブズブと恋愛の沼地に沈んでゆくに従いこちらは白けて浮上してくるのであった。
ソウル(エイリアン)を宿主の人間から取り出す場面はとても興味を惹かれる光景であった。
そして一人だけ暴走してメラニー/ワンダラーを追ってきたシーカーを人間に戻すことによって、彼女の内的な葛藤も知ることが出来る。結構、乗っ取られた人間の精神が、強く抑圧されながらも人間本性~記憶(意志)を残し持っていることが分かる。
この辺は妙にリアルで説得力ある部分であった。
だが恋愛映画として観る場合、余りに単純でかなり無理がある。
共感がどうのというレベルではない。
シアーシャ・ローナンの映画としては、「ブルックリン」の方が圧倒的に良い。
ダイアン・クルーガーはなかなかクール・ビューティな面は魅せることが出来ていたので、それなりによかったのでは、、、。
謂っている内容は分かるが納得出来ない映画というのは少なくない。