凍った湖
Der Tote am Teich
オーストリア
2015
ニコラウス ライトナー 監督
スザンヌ・フロイント 脚本
マシュー・ウェーバー 音楽
ヨーゼフ ハーダー、、、セップ・アホーナー(引退した警察官)
マリア ホフシュテッター、、、グレーテ オラー(捜査官)
ミリアム フッセネッガー、、、リサ ネメス(グレーテの相棒、若い捜査官)
エルニ・マンゴールド、、、マリア・アホーナー(セップの母)
フィリップ・ホックメア、、、ヤコブ・プラントナー(リンツから来た行楽客)
トーマス・ライジンガー、、、ハーバート・メイヤー(市長)
今日は昨日よりやぶ用が多く、観る時間が取れず、サムネイルから見て暗そうで比較的短め~1時間半のものをとりあえず選んだ。
何とも言えない。
余りにも異質な異国情緒というか人々の雰囲気から、何をやっているのかがほぼ掴めぬ状況であった。
しかし寡黙で引籠った雰囲気が妙に日常的で、ドキュメンタリータッチでもある。
何やらシリーズもののテレビ映画らしい。
終始、青味がかった寒々とした陰鬱な雰囲気が漂う。
オーストリアの酷い田舎町と思って観ていたら、最初に殺人犯と疑われてしょっ引かれたのが市長であった。
ここは市なのだ。
だがどう見ても閉鎖的な村に映った。
人に対する頑迷な差別意識と排他的な態度が村意識をありありと示していた。
村八分にされている元警官セップは以前、妻と子供を轢き逃げされ、その犯人がどうしても逮捕できずに終わったことで、仕事を退くことになったという。とても影のある男だ。
リンツ出身のヤコブ・プラントナーという男が凍った湖で死体で発見される。発見者は元警官のアホーナー。
殺された男はリンツから訪れた行楽客であった。
彼と休暇を過ごしたゲリ・プフォーザーがセップ・アホーナーの従妹であることから彼も捜査に加わる。
すでに年金受給者なのに捜査に加わるというのもどうなのか、、、
肝っ玉母さんみたいな捜査主任のグレーテ オラーが認めているなら関係ないと謂う所か。
彼女は、ちょっとした参考人、事情を聴くレベルのひと(容疑者ではないひと)を独断で逮捕してしまう。
そんなアホーナーと言いたいところだが、この強権に対し文句を言う人はいない。
(直ぐに釈放してしまうのだが、、、何とも)。
市長、宿の主人、果てはアホーナーまで疑われるが、、、。
殺された男は、カーリングのストーンで頭を殴打されたことが直接の原因であったが、その前に毒を盛られていたことが解剖で判明する。かなり複雑な背景を感じる。
この辺の人たちは、カーリングは日常の娯楽で、コミュニケーションのツールでもあるようだ。
何処にでも誰でもストーンは持ってるみたい。
しかもそれに使われたストーンは、セップの亡くなった叔父のものであった。
彼がどうしても気になり関わろうとする気持ちは分かる。
それが必然的に親戚に捜査が及んでゆくこととなろうとも、、、
この事件は連続殺人とかに発展するものではなく、一件の殺人事件を丁寧に荒っぽく追うもので、大変渋く地味な展開であった。
であるから銃や暴力によるアクションもない。
とても暗く静かな情念は感じる。
ここでいつもなら、犯人と動機までこの先に、つらつらと書いてしまうのだが(わたしが映画評という認識を持たぬため)しかしやはりこれからクライムサスペンスを見ようとする人にとり、そこを書いてしまっては身も蓋もない。こうした映画では雰囲気だけを書くくらいに留めたい(そういう指摘を以前頂いていることもあり)。
ただし一言、最後に明らかにされる、所謂隠し子には財産の相続権がないという法律がかなり効いた。
特に若い捜査官リサには。
何やらむず痒い(笑。
AmazonPrimeにて