11月はじめの土曜日、オープンしたばかりの浦和コミセン音楽室でHAOWさんのライブを観る。パルコ10階の窓から見える浦和東部の午後の景色は、曇り空でもやわらかな日差しに包まれ、普段生活している場所にもかかわらず、遠い記憶の中のどこかで見た光景のように思えた。
コンサート会場となる音楽室6に入ると、正面には青空にいくつもの雲が浮かんでいる絵が飾られ、そしてフラワーアレンジと、演奏が始まる舞台を演出していた。
最初の出演者オクノユースケさんが挨拶し、コンサートは始まる。アコースティックギターのリフが印象的で、自ら「前座です」といいきるMCが彼の性格を物語っているように思えた。ギタリスト吉川忠英さんの一番弟子だという。
オクノさんは演奏を終え、本日の主役を紹介する。正面左に配置されたグランドピアノに座り、金色のモールで装飾されたマイクスタンドの向こうでHAOWさんの演奏が始まった。
♪Smorky 、Smorky、Smorky ~ と歌うフレーズが印象深い、洗練されたポップスバラードを弾き語る彼女の音楽性に、ああ~日本のよきポピュラーソングのセンスをしっかり受け継いでいるアーティストなんだな~と感じる。普段接している音楽がどちらかといえばポピュラーとは異なる音楽が多い自分にとって、日々の生活の中でほっと一息つけるような、等身大のポピュラーソングが逆にとても新鮮に思えた。
伴奏をピアノからギターに替えて演奏した「もったいない~地球が嘆いている編」や「パンダ出張中!」ではコミカルな歌でお客さんを楽しませ、逆に「海の上さえ渡る唄」ではボーカルの凄みで聴かせてくれて、まったく飽きさせず、芸風の幅広さに感心した。
途中、ゲストミュージシャンとしてウクレレ奏者の中学生も参加し、その腕前にびっくりする。HAOWさん、オクノさんとのセッションにもかかわらず、しっかりとリードギターを弾いていた。海外ではズバ抜けた技術を持つ若手ミュージシャンが大御所のセッションに参加っていう話はよく聞くが、日本の若年層も相当なものがあると思う。中学生とは・・・スゴイね。
MCの中で、遠い昔に録音した音源を友人からもらって過去の曲を思い出したという話があった。そうだよね・・・・自分でつくったものでも忘れてしまってるんだよね・・・と自分も思う。そして忘れていた歌であっても、聴き直してみると、そこには作った当時に考えていたこと、悩んでいたこと、感じていたことがギッシリと詰まっていて、失われた時の中に置いてきた自分自身がしっかりと生きていたりするから、歌って不思議な媒体だと思う。
♪本を読もう、手紙を書こう、とにかく何かをしてみよう~・・・本日の演奏で一番よかったと思う曲「Gift」。闇の中で踏み出せないままの自分自身を励ましているような、そんな歌詞だ。なぜ歌を聴くのか? なぜ歌を作るのか?・・・無意識であれ意識的であれ、聴く側は歌に励まされ、作る側は自分自身を励まし、そんな魅力があるからこそ、人は歌を求めるんだろうね。
この日のセットリスト1曲1曲に作り手の思い入れを感じ、お洒落で味のいい個人経営の喫茶店のような手作りライブを目の当たりにして、アーティストってこうあるべきなんだろうな~と考えさせられた。ボーカル、バンド、楽器演奏・・・音楽の表現形態は様々。そんな様々な表現形態の中でも、自分で詞を書き、曲を作り、それを歌うという「シンガーソングライター」的な表現形態について、それがやりたくて自分も音楽を始めたことを思い出す。そこには音楽だけではなく「言葉」があり、その「言葉」で伝えたいものは「想い」であって、「音楽」はその「想い」を演出してくれるもの。音楽的技術や表現技術は欠くことは出来ないものだけれど、歌を作るアーティストにとって一番大切なものは、そんな「想い」に気付く「感性」ではないかと、HAOWさんのライブを観て、再認識させられたのだ。「琴線に触れる」という言葉がある。歌い手と聴き手が「感性」と「感性」とを共有するエンターテイメント、それが「歌」の世界であり、手作りコンサートという形で、ぶれることなく見事にそれを提示してくれたHAOWさんのサービス精神に感服。アーティストとしての姿勢と誠実さに拍手を贈りたい。そしてそんなライブを紹介して下さったパクさんにも感謝。
途中、六ヶ所村核燃再処理工場の本格稼動開始へ異議を唱えるMCがあった。前述した「感性」について付け加えて言うと、「感性」が敏感であり、「想い」を伝えようとするアーティストの目が、社会の理不尽さに向けられていくのは当然なことだと思う。音楽と社会的メッセージが結びつく理由は、その間に「感性」が介在しているからこそであり、逆にそんな「感性」に誠実であろうとすればする程、さまざまな問題に目を背け続けることが困難になっていくのではないだろうか。かつて自分も環境問題を扱ったロックの曲を作り、歌っていた時期がある。地球温暖化を含め、また新たにそんなテーマを扱った詞を書きたいな~なんて思わされもした。
HAOWさんの演奏が終わり、3人目の出演者としてアコースティックギター奏者のOkayanさんの演奏を聴くことが出来た。彼の演奏についてはもう「言葉」の世界とはまた違った純粋な「音楽」の世界として、素晴らしい演奏だった。コンサートの途中で退席せねばならず、演奏を最期まで聴くことは出来なかったが、アコースティックギター1本であれだけ感動的な音が出せるとは・・・感激。MCにはキャラクターが出ていて、大いに笑わせてもらった。
この日メインで出演された3名は、ジョン・レノン・ミュージアムの演奏会で知り合ったという。ジョン・レノン、そしてオノ・ヨーコが残してくれた接点だよね。このブログのテーマの一つ「ジョン・レノンが殺された意味」もまだまだ続く・・・。
●リンク:HAOW'S STATION(HAOWさんのブログ)
●リンク:okayan music 雑記帳(Okayanさんブログ)
●リンク:YUSUKEOKUNO.INFO(オクノユースケさんHP)
コンサート会場となる音楽室6に入ると、正面には青空にいくつもの雲が浮かんでいる絵が飾られ、そしてフラワーアレンジと、演奏が始まる舞台を演出していた。
最初の出演者オクノユースケさんが挨拶し、コンサートは始まる。アコースティックギターのリフが印象的で、自ら「前座です」といいきるMCが彼の性格を物語っているように思えた。ギタリスト吉川忠英さんの一番弟子だという。
オクノさんは演奏を終え、本日の主役を紹介する。正面左に配置されたグランドピアノに座り、金色のモールで装飾されたマイクスタンドの向こうでHAOWさんの演奏が始まった。
♪Smorky 、Smorky、Smorky ~ と歌うフレーズが印象深い、洗練されたポップスバラードを弾き語る彼女の音楽性に、ああ~日本のよきポピュラーソングのセンスをしっかり受け継いでいるアーティストなんだな~と感じる。普段接している音楽がどちらかといえばポピュラーとは異なる音楽が多い自分にとって、日々の生活の中でほっと一息つけるような、等身大のポピュラーソングが逆にとても新鮮に思えた。
伴奏をピアノからギターに替えて演奏した「もったいない~地球が嘆いている編」や「パンダ出張中!」ではコミカルな歌でお客さんを楽しませ、逆に「海の上さえ渡る唄」ではボーカルの凄みで聴かせてくれて、まったく飽きさせず、芸風の幅広さに感心した。
途中、ゲストミュージシャンとしてウクレレ奏者の中学生も参加し、その腕前にびっくりする。HAOWさん、オクノさんとのセッションにもかかわらず、しっかりとリードギターを弾いていた。海外ではズバ抜けた技術を持つ若手ミュージシャンが大御所のセッションに参加っていう話はよく聞くが、日本の若年層も相当なものがあると思う。中学生とは・・・スゴイね。
MCの中で、遠い昔に録音した音源を友人からもらって過去の曲を思い出したという話があった。そうだよね・・・・自分でつくったものでも忘れてしまってるんだよね・・・と自分も思う。そして忘れていた歌であっても、聴き直してみると、そこには作った当時に考えていたこと、悩んでいたこと、感じていたことがギッシリと詰まっていて、失われた時の中に置いてきた自分自身がしっかりと生きていたりするから、歌って不思議な媒体だと思う。
♪本を読もう、手紙を書こう、とにかく何かをしてみよう~・・・本日の演奏で一番よかったと思う曲「Gift」。闇の中で踏み出せないままの自分自身を励ましているような、そんな歌詞だ。なぜ歌を聴くのか? なぜ歌を作るのか?・・・無意識であれ意識的であれ、聴く側は歌に励まされ、作る側は自分自身を励まし、そんな魅力があるからこそ、人は歌を求めるんだろうね。
この日のセットリスト1曲1曲に作り手の思い入れを感じ、お洒落で味のいい個人経営の喫茶店のような手作りライブを目の当たりにして、アーティストってこうあるべきなんだろうな~と考えさせられた。ボーカル、バンド、楽器演奏・・・音楽の表現形態は様々。そんな様々な表現形態の中でも、自分で詞を書き、曲を作り、それを歌うという「シンガーソングライター」的な表現形態について、それがやりたくて自分も音楽を始めたことを思い出す。そこには音楽だけではなく「言葉」があり、その「言葉」で伝えたいものは「想い」であって、「音楽」はその「想い」を演出してくれるもの。音楽的技術や表現技術は欠くことは出来ないものだけれど、歌を作るアーティストにとって一番大切なものは、そんな「想い」に気付く「感性」ではないかと、HAOWさんのライブを観て、再認識させられたのだ。「琴線に触れる」という言葉がある。歌い手と聴き手が「感性」と「感性」とを共有するエンターテイメント、それが「歌」の世界であり、手作りコンサートという形で、ぶれることなく見事にそれを提示してくれたHAOWさんのサービス精神に感服。アーティストとしての姿勢と誠実さに拍手を贈りたい。そしてそんなライブを紹介して下さったパクさんにも感謝。
途中、六ヶ所村核燃再処理工場の本格稼動開始へ異議を唱えるMCがあった。前述した「感性」について付け加えて言うと、「感性」が敏感であり、「想い」を伝えようとするアーティストの目が、社会の理不尽さに向けられていくのは当然なことだと思う。音楽と社会的メッセージが結びつく理由は、その間に「感性」が介在しているからこそであり、逆にそんな「感性」に誠実であろうとすればする程、さまざまな問題に目を背け続けることが困難になっていくのではないだろうか。かつて自分も環境問題を扱ったロックの曲を作り、歌っていた時期がある。地球温暖化を含め、また新たにそんなテーマを扱った詞を書きたいな~なんて思わされもした。
HAOWさんの演奏が終わり、3人目の出演者としてアコースティックギター奏者のOkayanさんの演奏を聴くことが出来た。彼の演奏についてはもう「言葉」の世界とはまた違った純粋な「音楽」の世界として、素晴らしい演奏だった。コンサートの途中で退席せねばならず、演奏を最期まで聴くことは出来なかったが、アコースティックギター1本であれだけ感動的な音が出せるとは・・・感激。MCにはキャラクターが出ていて、大いに笑わせてもらった。
この日メインで出演された3名は、ジョン・レノン・ミュージアムの演奏会で知り合ったという。ジョン・レノン、そしてオノ・ヨーコが残してくれた接点だよね。このブログのテーマの一つ「ジョン・レノンが殺された意味」もまだまだ続く・・・。
●リンク:HAOW'S STATION(HAOWさんのブログ)
●リンク:okayan music 雑記帳(Okayanさんブログ)
●リンク:YUSUKEOKUNO.INFO(オクノユースケさんHP)
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