病の窓に
96歳の父親から電話がかかって「新聞に俳句を送るから、宛先と要領を印刷したはがきを送ってくれないか」そう言われた 載るかどうかはわからんよと言うと 「載るよ!」と断言する あの自信はどこから来るのかねとあきれていたら、掲載日の朝早く 「新聞を見たか」と電話があり、寝ぼけ眼で開いてみると、<台風一過 病の窓に鳥一羽>とある 三席には入ってないねと言うと「選者は写生の人だが、オレは生活句だから」 とおっしゃる ああそうですかと応えながら、ぼくと似て物欲しげなところがなければなあと思いつつ新聞を閉じた 窓をあけると湿り気を帯びた朝だ
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