不注意な異邦人 ヨーロッパ

    日本はバナナ共和国

    アフリカの旧イギリス植民地が相次いで独立した時、問題が起こった。民主主義・議会政治とはどういうことか全然理解していない民衆と、もともと彼らを牛耳っていた酋長さんたち。政府(酋長さんズ)は既得権をいいことに私腹肥やしに専念し、圧政をしき、民衆は植民地時代に破壊され尽くしていた農地で自立の術をもたず、政府の言いなりになった。このような未熟な独立国を英語でbanana republic と揶揄する。

    日本の現状を見聞きすると、この国はやっぱりバナナ共和国だと目を覆いたくなる。お金も教育(の機会)もあるのに、自分の頭で考えられない民衆。下品な成り上がり政治家の指図に唯々諾々と従うか、ただ闇雲に無視するかで、自分と周囲に何がどう関わってくるのか見ようともしない。

    あのね。コロナは政府の言うことに関係ないの。すごく感染力の強い危険なウィルスなの。若くて健康な人は感染してても症状が出ないだけで、周り中を感染させることはできるの。

    私は仕事があるから、大阪から東京に出張します。私は健康だから、うつされないようにマスクして、温泉行きます。スポンサーの利権がらみでどうしてもオリンピックやります。   ?????   あんたらは、アホだ。愚民だ。

    自分がうつされる以前に、うつす可能性を考えろ! 買い物だ外食だと、ウロウロ出歩くな! 対処の遅すぎる政府(予防接種も入国制限も)が緊急事態だの自粛だのと言おうが言うまいが、自分が、自分の家族が、家族の行動半径にいる人がみんな、コロナにかからないように考えて行動しろ!

    夫の髭面

    ロックダウン中、夫が髭を伸ばしている。誰かに似ている‥‥神様もだけど、他の誰かに。ずーっと考え込んだ末、やっとわかった。むかしの千円札の伊藤博文だ!
    Japanese Banknotes 1000 Yen note 1963 Ito Hirobumi

    自国愛(自己愛)

    第二次世界大戦が終わった1945年に20歳の兵士だった人は、96歳になる。すべての兵士が誰かの友人であり、父・夫・兄弟・息子のどれかでもあったわけだが、今ではその人たちのほとんども存命ではない。

    ここロンドンで数年前、「僕の叔父は戦争中に日本兵に酷い目に遭った」と私を責める人がいた。同じ合唱団にいた“友人”だ。私よりかなり年配、おそらく70歳前後の男性。その人の叔父といえば、まさに兵士の世代だったろう。しかし当人にとって日本軍の残虐行為は聞いた話で、直接体験したことではない。さらに、戦争が終わってずいぶん経った頃に生まれ、兵役にとられた親族を一人ももたない私にすれば、責められても何とも言いようがない。

    国家間のいがみ合いを見ていていつも思う。自国愛つまりは自己愛が、他の誰かを悪く思うことで鼓舞しなければ成り立たないほど脆弱ならば、捨ててしまえばいいのに。

    好みの問題は別として、だ。そりゃ私だって好きな国と嫌いな国はある。だからって、嫌いな国が日本より劣ってるとか好きな国が優れているとかは思わない。

    日本軍の残虐さが歴史に残るものであるのと同様に、七つの海を制覇し植民地化したヨーロッパ諸国の罪はアジア・アフリカに取り返しがつかない爪痕を残した。そしてアメリカや中国やロシアは現役で全世界を蹂躙している。力がありながら良心を保った国家なんて、未だかつて存在したことがないのだ。なぜって、人間とは醜い獣だからだ。

    なぜ、あんたと同じぐらい私も醜い、一緒に落ち込みましょうとはならず、あんたの方が私より醜いという殴り合いになるの?

    女の直観?

    私たち夫婦が住む宅地の管理会社は、法外な管理費を吹っ掛けながら何もしないので住民の不興を買いっぱなしだ。我が家も、3年に一度のはずの外装修理が入居してから11年の間に1度もなく、庭の壁が崩壊しかけている。お陰で扉は閉まらず、いつガラガラと崩れるかも分からず、危険この上ない。

    私たちは業を煮やして弁護士を雇った。管理会社の担当者は弁護士からの手紙にものらりくらりと言い訳を重ねつつも、さすがに怯えたのか重い腰を上げて、ここ数ヶ月ちょこちょこと修理の業者を寄越している。

    この担当者、夫が数年前に初めて会った頃、すこぶる好感を持っていた。熱心で誠実な感じの男だと。さて、私はつい最近まで面識がなかったのだが、ある日夫の不在時に応対することになった。会った瞬間、こいつは曲者だと私は感じた。視線が落ち着かず、話している間私を見ていない。嘘つき、怠け者の典型的な様子だ。

    翌日話した隣人の女性が、私とまったく同じ印象を持っていると知った。男衆にはきわめてウケのよい人物が、たまたまにせよ、二人の女性に同様の猜疑心を起こさせていたとは、面白い。

    ここから仮説。もしかして男性は(少なくとも男性のうちかなりの割合の人々は)、潜在意識の中で、女は男ほど怖くない(賢くない)と思っているのではないか。だから女性と対峙する時に、男性に対する時ほどには防備を固めていない、ゆえにボロを出す。実はそれほどバカではない女性はボロを見るので、その男の正体を見抜いてしまう。

    女の直観なんて言うけれど、そんなものではなくて、男側の勝手な思い込みが女に人を見る目じゃなく隙を与えているのではないかと、ふとそんな気がした。と、夫に言うと、「う〜ん、確かにそうかも」と素直な反応だった。

    若くして逝った教え子へ

    6月にオーラが亡くなったことを、最近になって知った。ノルウェー時代の教え子、5年ほど前に我が家に数日泊まっていった青年だ。33歳。彼の悲しい最期は、痛ましすぎて胸を塞ぐけれど、驚きではなかった。

    思春期の私が拒食症で入院したのは1980年より前。当時の日本の精神科医療は、なんかもう受精直後の胎児みたいに未分化の状態で、摂食障害はおろか、中二病・薬物依存・ストレス性うつ・その他諸々の神経症から、双極性障害や統合失調症といった器質性疾患に至るまで、あらゆる“心の不調”が十把一絡げにされていた。文字通りクソみそ。なので私は、3人の成人女性(鬱を伴う認知症、統合失調症、双極性障害)と一緒の部屋に入れられた。

    病棟にはもっと凄い人も大勢いて、阿鼻叫喚と不気味な規則性が共存する日常に私は慣れていった。お薬コールをする看護婦の気怠い訛り、見舞いに来ない娘を連呼する認知症のお婆さん、薬物依存で虚ろな目の美少女をしきりに世話する過食症の娘、躁になると夜通しお経を絶叫する双極性障害の僧侶、彼を優しく羽交締めにする看護士、その過去あります風な筋骨逞しさ。統合失調症の青年の、的外れだけど悪意のないお喋り(の試み)にも、つき合うぐらいの忍耐力はついていった。

    んなわけで、統合失調症とはどんな様子なのか、素人の中では私はわりと分かっている方ではないかと思う。オーラがうちに来た時、ああ、そうかと思ったのはそのレファレンスがあったからだ。

    今思い返すと、彼の容貌、考え方、感受性、ぎこちなさ‥‥どこかファン・ゴッホを思わせる。ゴッホが統合失調症だったという確証はないけれど、突出した敏感さと脆弱さが似ている。そして偶然、金色の髪、水色の目、白すぎる肌、小柄で細い体躯まで、似ている。

    もし適切な医療を受けていたなら、病気を飼いならして創造性の肥やしにもして、生きていけたかもしれない。たくさんの人に愛された大切な若い命。でも、辛かったろうね。おやすみ、オーラ。今はもう安心して、ゆっくり眠って。もっと優しくしてあげなくて、本当にごめんね。

    コロナ〜ボリスは何を考えているのか

    ボリス・ジョンソン英首相は、他の欧州諸国のような断固たるコロナ対策をとらない理由として、国民の8割に感染させて来年までに抗体を作るのだと嘯いている。500人規模の集まりとかをワザワザ許可したりの無茶苦茶ぶりだ。年寄りとか持病もちとか、どのみち先が長くはない人々を、NHS(国民保健サービス)の負担になる前に片づけようという意図も見え見えである。

    しかしね、ボリスの保守党の主たる支持層はまさに高齢者なのだよね。その人たち殺してどーすんの。
    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ30数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

    引用・転載は原則として歓迎ですが、事前にご一報ください。どのような論旨・目的での引用・転載か、把握しておきたく存じます。

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