お菓子・コスプレ・ロックンロール!「けいおん!」
●音を合わせるのは、手をつなぐのと似ている。●
のっぺりとバンドをいくつかやりながら、まったく上達しなかったたまごまごです。こんばんは。
パートはドラム・サックスなんですが、発表したらオシマーイという感じで済ませてばかりだったので上を目指してませんでした。ぬるいです。
とはいえまあなんと、音を合わせることの楽しいことよ。実際集まって音あわせするだけでも幸せだから困る。
はて、4月末から5月にかけて、「GO-ON!」「青春デンデケデケデケ」「けいおん!」「フールオンザロック」と、ものすごい勢いでバンドマンガの1巻が出ています。
いずれも面白い上に方向性がばらばらなので、興味のある人は見比べてみるといいかもしれません。
今回はその中でも、上達しない努力してない、そんな「ゆるゆる」だけどなんだかキモチイイ青春バンドマンガ「けいおん!」を紹介します。
●でこぼこメンツがとりあえず集まってみる●
きらら系列マンガで、基本個性的な女の子がよたよた集まってのたくたやる作品です。なので最初は「音楽ってさああ」とかおっさんくさいこといいそうになりましたが、考えてみたら自分もそんな人間だったことを思い出して即購入。
まあまあ、そしたら本当にあんまりやる気あるわけじゃないわけですよ。「声がかれるまで叫びたい、この情熱をこめて!」とかと正反対。
ゆるゆるにもほどがあります。
このギターの子が平沢唯。おそらく「アホの子」トップランナーになれる実力の持ち主。テンポはずれまくり、変なところで変なスイッチが入るまったりアホの子です。
彼女も別に「ギターやる!」っていう意気込みもなく、なんだかなあなあでギターとして誘われるその適当っぷり。
最初の元凶はコイツ。
ドラムス、田井中律。
もうどうにもならないくらいのトラブルメーカーで、先ほどの唯がアホならこちらは「バカの子」。余計な時に余計なことばかりして、事態をややこしくします。
ただ、このシーンはぐっときました。
ああ・・・まったくです。キーボードとかギターとかもう、キー!ってなって自分もドラム選びましたええ。そのあとあんなに苦労するとも知らず。
こんな感じでわいわいがやがや集まって、お菓子を食べる。
そんで、ステージでは顧問の趣味で作ったコスプレ。
そんなバンド活動です。ゆるすぎて、張った弦もたるむっつうもんです。
ちなみに、カンのいい人はもう気づいていると思うのですが、名前の元ネタはP−MODELのメンバーです。
●とはいえ、集って音を合わせるのは快感なんだ●
ベースの秋山澪。
この子が照れ屋でツンツンしているんですが、もうね、もう死ぬほどかわいいんだ!引用したコマを見れば一発で分かっていただけるかと。
「目立ちたくないから!」と一番拒絶していた彼女が、一番夢中になって音楽に取り組もうとする様がえらいかわいいんですってまじで。
こんな風に正直じゃなくなったのは、先ほどの律ちゃんのせいに他ならないのですが、まあのんべんだらりなメンツでもこういう子がいると一気にムードも盛り上がります。
キーボードの琴吹紬。通称ムギ。テンポの読めない最強お嬢様です。
おそらく音楽的にはこの子がいるのでなりたっているんじゃないかな、と思います。
この子も相当ズれているんですが、これでメンツは揃いました。
実際はきちんと練習してマジめに挑まないと音楽なんてできません。
しかしこのマンガは練習のシーンや演奏のシーンが一切ありません。おそらくそれは「集まること自体が実は最高に楽しいんだよ」というのを描こうとしているからだと思うんです。
音楽マンガ、というジャンルには入れずらいかもしれないほのぼのコメディ。ですが、音楽やった人ならニヤリとするシーンもあります。たとえばこれ。
「青春デンデケデケデケ」でも描写されているのですが、最初に買った楽器は本当に弾くのが勿体無い。なんだか申し訳ない気すらわいてきます。
ああ、もう色々やりたいのに、いいんだろうか触っても。ギターと添い寝する唯がいとしすぎます。笑うシーンですが、気持ちは痛いほどわかる。
この新鮮な気持ちは、若者の特権ですよ。いや、おっさんでも同じか。
楽器ってなんでこんなにワクワクするんだろうね。楽器を持ち寄って音を出すってなんであんなにドキドキするんだろうね。
そんなワクワクとドキドキが、ドタバタしながらもいーっぱい詰まってます。だからとってもキモチイイ。
萌え文法を使いつつ、高校時代に顔を合わせて何かをする楽しさがしっかり描かれているマンガは、やはり楽しいのですよ。特にそれを通り過ぎた大人の視点としては。映画「スウィングガールズ」や「リンダ・リンダ・リンダ」なんかはまさにそれを体言していましたが、それをもっと「集まってワイワイ」に特化したのがこの「けいおん!」だと思います。
出来れば演奏シーンがもうちょっとほしいところですが、4コマの特性上難しいでしょう。
ただ、このシーンはぐっときたね。
ステージでのあの緊迫感。
普段だらだらしていたかもしれない。でもやっぱり好きなんだ。
積み重ねてきていたものをこの一瞬で輝かせる感覚。
リアルなステージの再現ではないけれども、十分ワクワクできます。
ワクワクするために音楽ってあるんだしね。
なによりもさ。楽器やる女の子ってそれだけで、惹かれますよね。「ハルヒ」の「ライブアライブ」とか、「まなびストレート」のライブシーンで「お?」と感じた人なら楽しめると思います。