団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり、医療や介護制度が維持がむずかしくなっていくとされる「2025年問題」。その2025年となってしまいました。
といっても、東京では元日から営業している店も多く、医療や交通機関などお正月なんて関係ない職場もたくさんあります。
高齢化がますます加速すると、こうした便利で快適な暮らしも続けられなくなるのかも。そう感じたのは、先月の別府の旅でランチを食べに入ったファミリーレストランでのことです。
目当てにしていた地元のお店が休みだったので、ジョリーパスタへ。時刻は12時半過ぎ。ファミリーレストランで食べる観光客は多くないだろうと予測したのですが、3組ほどの待ちができていました。
順番がなかなか回ってきません。広めの店ですがフロアー担当が一人しかいないからです。食事が終わって客が席を立っても、食器を下げるところまで手が回っていないテーブルがかなりありました。注文はタブレットですが、会計は支払いまで客がパネルを操作しますが最後はスタッフの手が要ります。厨房から出来上がった料理を運ぶだけでも忙しいのに、会計のたびにレジに行き、その合間にウーバーのテイクアウトの対応までこなしていました。
すばらしかったのはフロアー担当の女性。順番待ちや会計待ちの客からのプレッシャーがあるだろうに、にこやかに次々と仕事を片付けていました。東京だったら、すきまバイトで人を増やせますが、ただでさえ人手不足の観光地ではそういうわけにもいかないのでしょう。
ただ者ではない働きぶりに、急に出勤できなくなったアルバイトやパートの代わりに入った本社の社員ではないかと想像しました。ジョリーパスタは深夜のワンオペで店員が死亡した「すき家」を展開するゼンショーです。
その後ようやくフロアーにもう一人スタッフが加わり、店内もかなり落ち着いていたので、会計時にワンオペ女性に「大変でしたね」と声をかけました。一瞬、緊張が走ったように感じたのは待たされたクレームがあると身構えたからでしょうか。
「あんなに忙しい中で次々と仕事を片付けていく姿がすばらしくて感銘を受けました」と続けると、ほっとしたような笑顔を見せてくれました。
結局、彼女が正社員なのかアルバイトなのかわかりませんでしたが、このような人のがんばりに支えられている社会は限界に来ています。客だからサービスされて当然だとふんぞり返ってばかりはいられません。
大分空港からの帰路。窓際の席だと、空港スタッフが敬礼やお辞儀で見送っている姿が見えますが、これも日本だけのサービスでしょう。
スペイン巡礼で立ち寄った食料品店は、客がレジで待っていても店主はずっと電話中でした。
日本ではありえない接客ですが、超高齢化で人手不足が深刻する中、これでいいと割り切る時期に来ているのでしょう。そうでないと「2025年問題」の日本で生きていけません。