札幌に来た。
やはり、リアルに触れてみたかった。
遠洋漁業の歴史や本当のニシン漁。
あの頃、聞いた話の裏付けだって欲しい。
それにしても、今日の札幌は暖かい。
昼間に限って言えば、マフラーも手袋も要らない。
どちらも着用すると汗ばむくらいだ。
数日前の福岡の方が寒かった。
「吹雪の北国みたいなのを期待してきたのになぁ」
前を歩く青年の集団が冗談っぽく話しているのが聞こえた。
同感だ。
遥々九州から来たのに九州よりも暖かいとは残念だ。
至る所にうず高く積もった雪の塊だけでは、北国感の演出に足りていない。
キンと引き締まるような冷えた空気こそが、北国感の演出に欠かせないのだろう。
札幌駅はカラカラとスーツケースを引く観光客の往来で賑わっている。
駅のコインロッカーも充分な設置数だと思えるのに、意外と空きが見つからず歩き回った。
荷を楽にしたところで、街を歩いてみることにした。
観光で来た訳でないことを念頭に置きながらも、知らぬ街並みに好奇心が沸く。
札幌駅前通を南へ下った。
足元の悪さを予想して、ゴアテクスが貼ってある軽登山用のブーツを履いてきた。
正解だった。
この街は「雪」と「水溜り」で出来ている。
踏み固められた雪は滑りやすく、不慣れな者には歩きにくい。
茶色く濁った水溜りは、避けられない大きさで路上に広がる。
歩道はどこもかしこもカラーコーンとバーで仕切られ、狭い通路が作られている。
屋根や看板に積もった雪が解け、頭上から雫が落ちてくる場所を通らせないようにするためだ。
良心的なのだが歩きにくいことには変わりない。
驚いたのは信号。
ほとんどの交差点がスクランブル交差点のように、一旦車の往来を全て止め、歩行者が東西南北だけでなく斜めにも自由に行きかう。
その間、車用の信号は東西南北全て赤なのだ。
そのくせ、横断歩道の白いラインはクロスには引かれていない。
逆に、車用信号のどれかが青だと、それがどの向きであっても歩行者用信号は全て赤だ。
車が雪でスリップしやすいのを見越してなのだろうか。
それでも左に見える車用の信号が赤になると、いつもの癖で渡りだしてしまう。
だが目の前の歩行者用の信号は赤なのだ。
向こう側にいる警備員に大声で注意され引き返した。
しばらく歩いて左に曲がると有名な時計台が見える。
さらに南に歩くと大通り公園。
雪祭りの準備で忙しい。
このあたりの店舗もまた、雪祭りのセールやキャンペーンで忙しそうだ。
大通りを少し歩いて左に曲がると北海道庁旧本庁舎が見えた。
今日の目的は、この国指定重要文化財の中にある北海道立文書館。
マニアックな書物がそろっている。
中に有益な情報を見つけることが出来た。
満足がいった。
明日はいよいよ石狩の浜に立つ。
想いは膨らむばかりだ。
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