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「仕事を優先できない=戦力外」な日本社会が女性の社会進出を阻む
長引く不況や新興国との競争激化などの影響で、不安定な非正規雇用や、正規雇用であっても低所得者な人が増えた。それに合わせるかのように、結婚できない人が増えている。
婚活女性の男性に望む年収は500万円以上
日本では、「男は仕事、女は家庭」に代表される男尊女卑の風潮が根強い。そのため、多くの女性は結婚や出産を機に退職を余儀なくされ、その後は低賃金のパートタイマーにならざるを得ない。
子育てには、1,500〜3,000万円もの費用がかかる。1年あたり100万円を超える計算だ。生活費も考慮すると、結婚生活を送るのに必要な費用は最低でも年400万円はかかる。女性が、安定したそこそこの収入がある男性との結婚を望むのは当然と言えよう。
ところが、結婚適齢期の男性で、女性が望むような年収500万円を超える人の割合は低い。このことが、男女ともに「結婚したくてもできない」という深刻な状況を生み出している。
私は、女が男に経済的に依存せざるを得ない日本社会そのものがおかしいと思う。
高等教育を受けた女性が単純労働をする日本
子持ちの既婚女性の多くが、専業主婦かパートタイマーである。これは女性の労働力という宝の持ち腐れではないだろうか。
今や、男も女も同じように高校に行くのが当たり前だ。大学以上の高等教育を受ける女性も少なくない。ところが、就職となると、明らかに男女で差別されている。多くの女性は、結婚や出産後に辞めることを前提にされ、たとえ大卒であっても、比較的簡単な仕事(単純労働)しか任せてもらえない。そのため、日本の女性の管理職に占める割合はわずか10%であり、極めて低い水準だ。
昭和時代中期までは「男は外、女は内」という考え方に合理性があった。まだ家電が普及していなかった頃は、家事ですら重労働だった。妻のことを「家内」「奥さん」、夫のことを「主人」「旦那」と呼ぶのも、その名残だろう。
だが、時代は変わった。コンビニやスーパーが日常的な存在となり、白物家電の普及した今日、家事は重労働ではなくなった。職場でもOA化やFA化により、体力が物を言う肉体労働は非常に少なくなった。女性を差別する合理的理由は皆無に等しい。女には出産があるが、出産後の育児は男でもできる。ところが、日本では一向に女性の社会進出は進まない。キャリアウーマンと呼ばれる女性もいるが、彼女たちの多くは結婚から遠ざかっているのが現実だ。
私は「休むこと=悪」とみなす日本のクソ労働環境に原因があると思う。
子供を持つと否が応でも仕事を優先できないときがある
子供を持つと、仕事も生活も、子供に影響を受けるようになる。
子供は大人よりも抵抗力が弱いため病気にかかりやすい。やんちゃな子供であれば、遊んでいて怪我をしたり、トラブルを起こして学校に呼び出されたりすることもあるだろう。加えて、学校では、運動会、学芸会、PTA総会、三者面談など様々なイベントがある。
子供が熱を出せば病院に連れて行き、親が学校から呼び出されれば行かなければいけない。このように、子供のことを優先せざるを得なくなることは多々ある。
多くの会社は、いつ休むか分からない子持ちの女性を要職には採用したがらない。従って、彼女たちが働けるのは、休んでも影響が少ない単純労働の職場が中心となる。
海外では、こう言うときは「お互い様」だ。会社の側も、社員が休むことを前提にして、突発的な休みが発生しても、極力業務には支障がでないようにしている。故に有給消化率も非常に高い。
ワークライフバランスを取れる社会が女性の社会進出を促進させる
私は、日本の「休むこと=悪」と見なす考え方に加えて、「男は仕事、女は家庭」という封建的な考え方が、日本の男女共同参画社会の実現を阻んでいると思う。
よく「育児と仕事は両立できない」と聞く。これは、育児を妻の仕事と決めつけているからではないだろうか。私は、育児を含めて家庭というものは、妻だけではなく、夫婦が2人で協力し合って維持していくものだと思っている。仕事でも、女は男と同じように、産後も、キャリアを生かして働けばよいではないか。もし、妻の重要な仕事と、子供の病気が重なれば、夫の方が会社を休むのもありだろう。
日本社会が休むことに寛容になり、ワークライフバランスが取れた生活が普通になれば、結果として既婚未婚を問わず女性の社会進出は増える。女が男に経済的に依存する必要もなくなる。たとえ年収250万円の低所得でも、夫婦双方がフルタイムで働けばダブルインカムで、世帯年収は500万円になる。それだけあれば、裕福とまではいかなくても、結婚生活を営むことができる。
そうなれば、収入を基準に相手を探す「婚活」はなくなり、非婚化問題にも解決の道筋が見えてくる。
実現には、政府による子育て支援以上に、日本人の労働に対する意識改革が不可欠だ。