げきぴあ: 梅田芸術劇場アーカイブ

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世界で活躍する最強のミュージカルスターが、ここ日本の地で、ミュージカルの素晴らしさを存分に歌い上げる奇跡のコンサート『4Stars 2017』が12月に上演されます!

2013年に開催された『4Stars』初回は、『ミス・サイゴン』のヒロイン・キム役のオリジナルキャストであるレア・サロンガ、『オペラ座の怪人』のファントム&クリスティーヌとして人気を博し、その続編『ラブ・ネバー・ダイズ』ではファントム&クリスティーヌ役のオリジナルキャストを務めたラミン・カリムルーシエラ・ボーゲス、そして日本が誇るスター・城田優の4名が集結して、世界レベルの歌声を響かせ、熱狂のステージとなりました。

その『4Stars』が4年ぶりに登場!

第2弾となる今回は、前回に引き続き城田優ラミン・カリムルーシエラ・ボーゲス、そして新たに『天使にラブ・ソングを...(SISTER ACT)』のロンドン公演で主人公デロリス役のオリジナルキャストを務め、2013年にはブロードウェイ公演『ピピン』のリーディング・プレイヤー役でトニー賞最優秀女優賞を受賞したパティーナ・ミラーが参加!
新しい『4Stars』がやってきます。

この公演に並々ならぬ意気込みを持つ城田優さんに、お話を伺ってきました。

城田優 INTERVIEW

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●4年ぶりの「4Stars」が始動!


―― 4年ぶりの『4Stars』ですね。前回の公演、とても素晴らしかった思い出があります。今回の第2弾については、どなたかが「またやりたい」と仰ったんでしょうか?

「(手を上げて)はい! 僕が言いました!!」


―― おぉ、素敵です! ではまず、第1回目だった2013年公演をちょっと振り返って...。日本でこのメンバーの共演を観られるなんて、と思う最強の3人の海外スターとご一緒でしたが、城田さんは初日前の囲み会見で「緊張して泣きそう」と仰っていましたね。

「そうなんです、あまりの恐怖と感動で泣きました、本番直前に。稽古の時は「なんとかなるかな」と思っていたのですが、いざ本番直前、場あたりやゲネプロになったら、みんなの、それまでのリラックス状態からの爆発力がハンパじゃなくて、怖くなっちゃって! さらに、衣裳をつけてライトを浴びて、マイクを通して聴こえる3人の声があまりにも感動的で。感動と恐怖という相反する感情が混ざったら、涙になっていましたね。脳内がパニクってました」


―― その恐怖を超えて、本番はどんな心境でしたか。

「実際に僕、本当にゲネプロで5回くらい歌詞も飛んで、1曲の中で2度飛んじゃうくらいだった。ヤバイヤバイどうしよう、ってなってたんですが、みんなシリアスに受け止めるでもなく「どうしたの(笑)」「優、何言ってるの、大丈夫だよ」って励ましてくれた。これは僕、色々なところで言ってるのですが、レアがそこで言ったのが「Yu, you watch my eyes, you are fine(私の目を見なさい、それで大丈夫だから)」。カッコいいでしょう(笑)! そんなこと、言えますか普通! ......で、僕、実際舞台の上で緊張したら、そうした(レアの目を見た)んです。そうしたら、初日から千秋楽まで、一度も歌詞を間違えることなく終わりました!! すごいでしょう(笑)。でもそれは紛れもなく、レア、ラミン、シエラが僕に勇気をくれたおかげなんです」


―― そんな経験があって、またやりたいと。

前回、とにかく楽しかったし、自分にとってはすべてが勉強になった。彼らのメンタルの強さや自分をコントロールする力というものは、僕に足りない要素だったから、結果的に自分がすごく成長できました。やっぱり、速い人と走ると自分も速くなる...みたいなもので、世界のトップの人たちと一緒にやることで、自分のレベルも格段に上がるんです。何よりみんな温かくて、しかも日本が大好きで、実は前回の公演が終わった瞬間からみんなで「またやりたい!」と言っていたんです
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―― 全員が言っていた、というのは素敵ですね!

「それに、このメンバーで、この日本でショーが出来るということの素晴らしさは、誰よりも僕が実感しています。で、去年の春か夏かな? そのあたりで「4Starsをまたやりたいんだ」って言ったら、梅芸さんも考えていたところだったようで、結構円滑にこの第2弾が決まりました」

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9月5日、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』の製作発表会見が行われました。

2001年にパリで開幕、その後世界各国で上演されて500万人以上を動員している世界的ヒットミュージカルで、日本でも再演を重ねていますが、今回は振付・美術・衣裳が一新された"新バージョン"演出で登場するのが話題。
キャストもほぼ一新のフレッシュさです!

会見の模様はコチラに先に出しています→★チケットぴあニュース

げきぴあではまず、会見で披露されたミニライブの模様をご紹介
なおこの日の扮装は、演出の小池修一郎さん曰く「本番用の衣裳ではありませんが、私服でもありません。この日の会見のための衣裳」とのことです。貴重!


♪『世界の王』
劇中を代表する人気ナンバー!
本国フランスでは長らくシングルチャートの上位にランクインしていた大ヒット曲です。
ロミオ、ベンヴォーリオ、マーキューシオを中心としたモンタギュー家の若者たちが、この世は俺たちのものだとばかりに軽快にパワフルに歌います。
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ロミオ役:古川雄大
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ロミオ役:大野拓朗
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先日、古川さんの歌稽古は拝見したのですが(こちらで、ちょろっとレポートしてます→)大野ロミオはこのライブがお初だった担当。大野さん、しっかりとロミオの高いパートも骨太に歌いこなしてます。これは期待大!

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王政に対する不満を民衆が爆発させ、その怒りを動力に革命を成功させた「フランス革命」。
その革命期のフランスをテーマにしたミュージカルは『レ・ミゼラブル』『ベルサイユのばら』、そして今春上演されたばかりの『1789-バスティーユの恋人たち-』と、日本でも数々愛されていますが、その中でも異色の作品が『スカーレット・ピンパーネル』です。

この作品は、権力を得た民衆側が暴走し、元貴族らを次々と処刑していく中、無実の彼らを救おうと立ち上がったイギリス貴族側の視点で描かれた、いわば"裏から見たフランス革命"の物語

といっても重いテーマを扱った作品というより、身分を隠し人助けをする正義のヒーローの冒険活劇、といった華やかさと爽快さのあるミュージカルで、日本では2008年に宝塚歌劇団星組が初演、好評を得て2010年には月組が再演、さらに2017年にも星組で上演が決定している人気作です。

その作品が、日本では宝塚歌劇団外で初めて上演されます。

時はフランス革命の最中、無実のフランス貴族たちが次々と革命政府により断頭台へ送られていく。
そんな混乱のパリでは、彼らを救い出す謎の集団"スカーレット・ピンパーネル"の存在が話題になっていた。
"スカーレット・ピンパーネル"のリーダーは、実はイギリス貴族のパーシー・ブレークニー。
その正体は誰にも明かさず、そのことから妻マルグリットとの間にも大きな溝ができていた。
一方でマルグリットの元恋人であり、フランス政府特命全権大使のショーヴランはマルグリットに近づき、ピンパーネル団の素性を暴こうと執念を燃やし...。


"スカーレット・ピンパーネル"のリーダーであるイギリス貴族、パーシー・ブレークニーを演じるのは、石丸幹二
その妻マルグリットは、日本初演となった2008年宝塚歌劇星組公演でパーシーを演じた安蘭けい

これ以上にない豪華キャストが、ブロードウェイをはじめ各国で活躍しているガブリエル・バリーの演出のもと、待望の男女混合ミュージカルとしての『スカーレット・ピンパーネル』を上演します!

パーシーを演じる石丸幹二さんに、お話を伺ってきました。


◆ 石丸幹二 ロングインタビュー ◆

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●今回は"大人で魅せる『スカーレット・ピンパーネル』"。行き着くテーマは"勇気"です


――石丸さんが「ひとかけらの勇気」(2008年宝塚歌劇星組公演時に書き下ろされた、劇中を代表するナンバー)を色々なところで歌っていらっしゃるのを聴いていましたので、ついに来たか!と思いました。

「『スカーレット・ピンパーネル』はいつか演じてみたいと熱望していました。ブロードウェイ・ミュージカルの翻訳上演として、宝塚歌劇で上演を繰り返していますが、これまで日本では男性が演じたことがなかったので、その"最初に関われる男"になれることが嬉しいです(笑)」


――石丸さんはこの作品、ご覧になっていらっしゃいましたか?

「宝塚星組版を観ました。そのあとブロードウェイ版を映像で観て、さらにヨーロッパではいくつかドラマにもなっているので、DVDを色々と観ました。ヨーロッパでは非常に人気のある物語。やはり身近な歴史だし、何よりテーマが人を惹き付けるのだなと思っています」

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宝塚歌劇団OGを中心とする"BAD GIRLS"が、ひとつのジャンルのダンスをテーマに、異国の男性ダンサーとMeetするDANCE LEGENDシリーズ

第1弾『Bad GIRLS meets BADBOYS』ではバレエ、
第2弾『Argentango』ではアルゼンチンタンゴに挑戦したBAD GIRLS。
第3弾となる今回は、フラメンコに挑戦します!
タイトルは『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』

ハイレベルなダンステクニックに加え、物語性のあるシアトリカルなショーにも人気の高いDANCE LEGENDシリーズですが、今回はシリーズ皆勤賞の湖月わたるさん水夏希さん、そしてシリーズ初参加にして、2015年に宝塚を退団し今回が退団後初ダンス公演となる緒月遠麻さんの3人に、お話を伺ってきました。
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◆ 湖月わたる×水夏希×緒月遠麻 インタビュー ◆


●宝塚OGの皆さん、フラメンコの魅力を教えてください!

――第1弾は"バレエ"、第2弾は"アルゼンチンタンゴ"と続いた「DANCE LEGEND」ですが、今回のダンステーマは"フラメンコ"とのこと。今日は、「フラメンコとは何ぞや」「フラメンコの魅力とは」を、ぜひ皆さんにお伺いしたいと思います! と言いますのは、フラメンコってあまり接点がなく、それこそ宝塚のスペインを舞台にした作品の一場面で拝見する、というくらいの触れ方しかなくて...。

「そうですよね、普通あまり接点がないですよね」

湖月「私たちも、スタートはそんな感じですよ」


――皆さん、宝塚歌劇団のご出身ですが、音楽学校でフラメンコは習うものなんでしょうか?

湖月「私、劇団レッスンで1年くらい習ったんです」

「私たちの時代は、なかったですよ~!」

湖月「ちょうどこのあたりが境目なのかな? ずっと長い間あったみたいなんですが、私たちが入ったころで、なくなってしまったみたいです。なので私は、チラっとは触れていましたが、公演で本格的にフラメンコを踊ってはいないですね...闘牛士とか、スパニッシュ系のダンスは色々とあるのですが」

「私は...踊ったことないです」

緒月「え? ちか(水)さん、ありますよね?」

「え?」

緒月「『情熱のバルセロナ』(2009年、水さんトップ時代の雪組公演)で...」

「あぁ、私はそこでは踊ってないの」

緒月「そうか。私はその公演で、少しやりました。と言っても、男性の動きでしたが」


――フラメンコって、どんな印象ですか?

「ひと言で言うなら、"世にも難しい"、です(笑)」

緒月「ちかさんがそれを言うかなあ...(笑)」

湖月「私、マリア・パヘスさんが『リバーダンス』の中で踊ったフラメンコの映像を観た時に、「なんなんだ!」と思いました、すごく情熱的で、でもすごく素敵なダンスで...」

「今までやったことのないダンスですよね。"感情のままに踊る"という印象」

緒月「うん」

「このあいだ、フラメンコ雑誌を見ていたら、「これ、絶対NGだよね?」って写真が載ってるんですよ(笑)。なんといいますか、"中途半端"な。でもその中途半端な格好がカッコいい世界」

湖月「わかる! そこ(のポジション)に行くまでの途中、みたいな瞬間を切り取るの」

「私たち、宝塚出身というのもありますし、特にバレエとかは動きが決まっていて、とにかく美しく、というものに慣れているんですけれど、フラメンコはそういうものがないんですよね。だからこそ、触れる機会はあまりないですけど、でも一度触れてみたら「何この世界!」となるんです」

湖月「うん、ハマりますね。やっぱり踊りたくなる。みなさん、フラメンコを知ると、見たくなるというより、踊りたくなるんですって」

「うっかり嵌らないようにしないと! ハマったら深すぎて大変(笑)」

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■ミュージカル『グランドホテル』vol.17■

ついに開幕しました、ミュージカル『グランドホテル』
これまでもインタビューや稽古場&開幕レポートなど、様々な角度から本作を追っている当連載ですが、開幕してもまだ連載は終わりではありません!

本日は、REDチームのガイゲルン男爵役・伊礼彼方さんインタビューをお届けします。
すでに開幕していますので、具体的な内容にまで踏み込んで、お話を伺って来ました。

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◆ 伊礼彼方 INTERVIEW ◆

――公演後に、ありがとうございます。お疲れさまでした。『グランドホテル』、観ていても体力を吸い取られていく気がします(笑)。すごい舞台ですよね。やっている側はさぞかし...、と思うのですが。

「大変ですねぇ! 命削って、魂削って、やっている感じ。いや、どの芝居でも、魂を削る仕事だと思うのですが、今回は、よりそう思います。でも、楽しいんですよ。今回この『グランドホテル』の稽古初日に集まったREDチームの顔ぶれを見た時に、やっぱりこの仕事受けてよかった、素敵なメンバーだなと思ったんです」


――どのあたりが、素敵だと感じたポイントなんでしょう?

「こういう大型ミュージカルで、なかなかお互いの目を見て芝居をできる人って、少ないんですよ。日本のミュージカルって、様式美みたいなところ、まだあるじゃないですか。でもREDチームって、そういうのを嫌う人たちで、ちゃんと向き合いたい、ちゃんと芝居をしたいって思いを強く持ってる人たちが集まってる。別にGREENがそうじゃないという意味ではないですよ。ただ、そこを大切にしている人たちが集まったなと僕は思って、好きだなぁこのメンバー! ...と」


――今回その、REDとGREENにチームを分け、演出も、結末も変える...というのが上演前から話題になっていました。実際やっていて、どうでしょう?

「いや、ここまで変わるとは思ってませんでしたね! 最初の段階から2チームに分けてやる、とは聞いていたのですが、演出は基本的に一緒なものだと思ってたんですよ。そうしたら、方向性があまりにも...180度違うので、びっくりしました。といっても僕、GREENチーム、まだ観ていないんですけど。観るつもりもないんですけど(笑)! ...でもシーンごとにちょこちょこは見ていて、そのちょこちょこ観た感じで言うと、GREENは僕の好みじゃないです(笑)。成河くん曰く、それはちゃんと通しで観ないからだ、全部観ると(良さが)わかるよと。...なるほど、じゃあ僕はまだ見ないでおこう、と思ってます!」


――初日前の会見でも、伊礼さんはGREENチームへの闘争心むき出しの発言をされてましたよね(笑)。でも裏を返せばそれだけ"REDチーム愛"があるんだろうな、と。

「もちろんですよ! 本当に、芝居をするのがものすごく楽しい。毎日違うし。成河くんもね、俺がちょっと緊張してたら、「大丈夫だよ、目を見て芝居すれば」って言ってくれて。かっこいいでしょ。草刈(民代)さんは草刈さんで、「緊張しませんか?大丈夫ですか?」って訊いたら「ぜんぜん平気」って、これまたかっこいいの(笑)! でも、僕思うんですが、REDってものすごい臆病者が集まってるチームなんですよ。演出のトム(・サザーランド)は、もちろん演出をつけるのですが、演技指導はしないんです。芝居に関しては、基本的に俳優に任せてくれる。その中で僕らは「あれはどうなんですか」「これはどうなんですか」と、みんな自己主張が強くて、ちょっと面倒くさい(笑)。でもそれは、良いものを作りたいという表れなんです。臆病だからこそ、より稽古したい、ディスカッションしてちゃんと腹の底に落とさないと人前に立てない、という責任感。そんな臆病者が集まって作り出している世界なんです、REDは」
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■ミュージカル『グランドホテル』vol.16■

ふたつの『グランドホテル』から浮き彫りになるもの

ミュージカル『グランドホテル』が4月9日、東京・赤坂ACTシアターで開幕した。演出は英国出身のトム・サザーランド。カンパニーを中川晃教・安寿ミラ・宮原浩暢らが出演する〈GREEN〉と、成河・草刈民代・伊礼彼方らが出演する〈RED〉のふたつに分け、演出を変えて上演されることが話題となっていた作品だ。中でも結末は〈GREEN=悲劇的エンディング〉〈RED=ハッピーエンディング〉とまったく異なるものになる......というところまで、事前に明らかにされていた。さっそく、両バージョンを観劇した。

▽〈GREEN〉
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▽〈RED〉
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物語は1928年ベルリン、ナチス台頭が近づく不穏な社会情勢の中、豪華なグランドホテルに行きかう人々のドラマを描く群像劇。ことさら飾り立てられてはいないが品のある舞台セットは、まさに高級ホテルの趣き。その美しいセットが回転し情景を変える中、ホテルを訪れる客たちの事情が点景のように綴られていく。重い病を患ったユダヤ人の会計士、借金だらけの男爵、引退興行中のバレリーナ......。それぞれの歌声が重なると同時に、彼らの人生が重なり、そして物語が一気に回りだすプロローグ「グランド・パレード」から、一気に心を掴まれる。

それまで接点のなかった人々の人生が、グランドホテルという場所で奇跡のように交錯する。そこで愛が生まれ、友情が生まれ、殺人事件が生まれる。その過程も、両バージョンで少しずつ異なる。それは目に見えて違うものから些細なものまで様々だ。だが、その些細な選択から、物語がボタンの掛け違いのようにずれていき、最後の運命を大きく変えていくよう。結末の演出はまさに180度違う。新しい世界への旅立ちを予感させる〈RED〉、このあと戦争へ走っていく当時のベルリンの重苦しさを描き出す〈GREEN〉。......だが、思うのだ。まったく違うようでいて、ふたつの物語は、実は同じものを描き出しているのではないか、と。希望を絶たれたような〈GREEN〉の中では、新しく生まれる命――それは希望である――が、ひときわ強く輝く。一方、希望を胸に幕切れを迎える〈RED〉の登場人物もまた1928年のドイツに生きているのは間違いなく、彼らのその後に苦難が待ち受けていることは想像に難くない。どちらも、どんな状況であろうと、貪欲に生きることのエネルギーが描かれている。ふたつの『グランドホテル』は表裏一体なのだ。実際クライマックス、ある人物に死が訪れるシーンの演出は、まさに表と裏といった見え方のする演出がなされていて、興味深かった。

とはいえ、同じ脚本と音楽で異なるドラマを生み出していく意欲作、その意図するところをきちんと見せきるには、役者には演じる力量、さらにはクレバーさが要求されるであろう。今回のキャストは全員が、その役目をきちんと担っていて、非常に見応えのある舞台を作り上げている。どちらを観ても満足のいく作品だが、できれば両バージョンを観て、そこから何かを感じ取って欲しい。

公演は4月24日(日)まで同劇場にて。その後、愛知、大阪公演あり。


取材・文・撮影:平野祥恵



▽〈GREEN〉オットー・クリンゲライン役、中川晃教
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▽〈RED〉オットー・クリンゲライン役、成河
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▽〈GREEN〉フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵役、宮原浩暢
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▽〈RED〉フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵役、伊礼彼方
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■ミュージカル『グランドホテル』vol.11■


ミュージカル『グランドホテル』、いよいよ稽古もスタートし、作品が動き出しています!
これまでキャストのビジュアル撮影レポート&インタビューを連載していました<げきぴあ>ですが、引き続きこの作品を追っていきますよ~!

本日お送りするのは、今月アタマに行われた<顔合わせ>の模様です。

キャスト、スタッフから、主催者、キャストの事務所関係者等々、作品に関わる人々が一同に会する<顔合わせ>の場。

今回の『グランドホテル』は〈GREEN〉〈RED〉の2チーム制で上演されることはこれまでもお伝えしていますが、なんと<顔合わせ>も2日にわたり、2チーム別々で開催!
Wキャスト・Wチームの公演というのはさほど珍しいものではありませんが、顔合わせまで別々に行うというのはなかなか珍しい。
まさに、「ふたつの『グランドホテル』」が、ここから生まれていくのです!

〈GREEN〉チーム
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〈RED〉チーム
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演出のトム・サザーランドさんからは「昨年、日本で『タイタニック』という作品をやりました。演出家としてのキャリアの中でももっとも楽しく、エキサイティングな時を過ごしました。今年もまた、日本で演出する機会をいただき、心の底から嬉しく思います。『グランドホテル』のこの旅路、出航するのが本当に楽しみでなりません」というご挨拶が。


また作品については下記のようなことも語っていらっしゃいました。

「ETERNAL CHIKAMATSU」稽古場レポート

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ポケットに手を入れたルヴォーさんが稽古場に現れ、俳優陣がスタンバイしているところまで出向いて、本日の稽古について話し始めた。端から見ると、世間話でもしてるみたいにリラックスした表情で、キャストから笑いまで取っている。繊細かつ緻密で求心的なルヴォー演出のイメージを覆す、フランク&フレンドリーな雰囲気だ。
 「すいません、いいですか」という、そのきれいな発音の日本語のひと声で始まったのは、『心中天網島』のおさん(伊藤歩)が、治兵衛(中島歩)に金策用の着物を持たせて送り出そうとする場面。夫の愛人のために粉骨砕身する妻と、恐縮しつつもそれに甘える夫の会話には、ちょっと現代人には理解しづらい歯がゆさがある。ルヴォーさんは伊藤さんと中島さんに質問を投げかけたりしながら、両者の真意を少しずつ探ってゆこうとしているようだ。
 こうした『天網島』の各場面を、現代からやって来たハル(深津絵里)と、謎のジジイ(中嶋しゅう)が傍観している。そしてハルはこの後、近松が描いた心中物語にどんどん介入してゆくという、この作品ならではの大胆な展開となる。ルヴォーさんと話し合いながら脚本を執筆した劇作家/演出家の谷賢一さんは、稽古にもつねに立ち会い、日英のせりふの表記の確認や変更に対応している。この日も、ラストシーンの一部のせりふを変更することになり、ルヴォー、深津、七之助、演出助手、通訳の5人が、ラップトップPCを開く谷さんを囲んで、鳩首会議を始めていた。稽古に入る前も入ってからも、脚本はとめどなくアップデイトされているそうだ。ちなみに、今回ルヴォーさんの通訳をつとめているのは、演出家の小川絵梨子さん(!)。谷さんと小川さん、いま日本演劇界でめざましい活躍を続けている二人の若手演劇人が顔を揃えた現場は、将来語りぐさになるんじゃないだろうか。
 さて、本日はいよいよラストシーンに突入。ハルの主体性がより明快になってゆくにつれて、深津さんの凛とした美しさが際だってゆく。七之助さんの、歌舞伎の女方の完成された表現美がこれに拮抗して、異なる二つの強烈な個性が、絶妙なハーモニーを醸し出す。花道と廻り舞台の機能を合体させたような装置もフル稼働し、歌舞伎のスペクタクル性を意識した趣向に富む演出が、いろいろ試されていた。
 「これでひとまず全体の絵ができました。ラブリー。素晴らしいです」とルヴォーさんが満足気な表情で全員に声を掛けて、本日の稽古は終了。順調に進んでいるようだけど、今日見た光景が、そのまま本番に反映されると思ったら大間違いな気もする。これからどのような進化を遂げるのか。ますます初日が楽しみになってきた。 

(文=伊達なつめ)


『ETERNAL CHIKAMATSU』-近松門左衛門「心中天網島」より-
[作]谷賢一 [演出]デヴィッド・ルヴォー 
[出演]深津絵里 / 中村七之助 / 伊藤歩 / 中島歩 / 入野自由 / 矢崎広 / 澤村國久 / 山岡弘征 / 朝山知彦 / 宮菜穂子 / 森川由樹 / 中嶋しゅう / 音尾琢真 / 他 

【大阪公演】2016/2/29(月)~3/6(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
【東京公演】2016/3/10(木)~27(日)シアターコクーン

★東京追加公演は明日20日に一般発売!

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■ミュージカル『グランドホテル』vol.6■


ビジュアル撮影レポ&インタビューで綴っている、ミュージカル『グランドホテル』のげきぴあ連載ですが、本日は〈REDチーム〉エリザヴェータ・グルシンスカヤ役の草刈民代さんをご紹介いたします。

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グルシンスカヤは、光と影を併せ持つ、この作品を象徴するような存在です。
<かつて一世を風靡した引退間近のプリマバレリーナ。まだ美しさを保っているが、踊りへの情熱と自信を失っている>という役どころ。
原作である映画版では、あの大女優グレタ・ガルボが演じていました。

今回の日本版では、グルシンスカヤはREDチーム草刈民代さん、GREENチーム安寿ミラさんのWキャスト。
日本を代表するバレリーナだった草刈さん、
元宝塚花組トップスターで、宝塚きってのダンスの名手として知られる安寿さん。
全くタイプの違う、しかし日本が誇るダンサーおふたりのWキャスト......この心憎いキャスティング、「そう来たか!」と膝を打った方も多いのではないでしょうか!?


◆ ビジュアル撮影レポート ◆


草刈さんの撮影はこんな雰囲気で進められていました。
シンプルなラインに、ゴージャスな生地。
20年代風の素敵なドレスを美しく着こなす、草刈さん。
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■ミュージカル『グランドホテル』vol.5■

イギリスの若き鬼才トム・サザーランドのもとに、日本が誇る各世代の才能たちが集結。
注目のミュージカル『グランドホテル』のビジュアル撮影レポ&インタビューを連載中のげきぴあですが、本日はズィノヴィッツ役、大山真志さんをご紹介します!


◆ ビジュアル撮影レポート ◆


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今作『グランドホテル』は〈GREEN〉〈RED〉の2チームでの上演が発表されていますが、大山さんは両チームに出演。
演じるズィノヴィッツは<ビジネス至上主義の敏腕弁護士。プライシング(繊維会社社長)の転落と共に彼をあっさり見放してしまうしたたかな人物>とのこと。

大山さんの、敏腕弁護士姿!
雰囲気出ていますよね。
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